悪役令嬢？いま忙しいので後でやります

何がどうなった？

　私は、父親である国王陛下と、母親である王妃の前で、呆然としていた。一体、何がどうなった？

　事の始まりは、1時間ほど前ー

　３日の休養をようやく終え、明日からまた学園に通おうと思っていた私は、父親である国王陛下に呼び出しを受けた。
　うーん、明日からまた学園だから、体調に気遣うようにとか言われるのかな。

「ソルと婚約・・・ですか？」

「他に誰か好きな人でもいるのなら、その方でも構わないのよ？」

「いや、いませんけど・・・いきなりなんですか？」

　私だって、中身がアラサー女子といえど、王族が政略結婚するのは当然のことだと分かっている。
　しかも、王太子であるシオンがいるのだから、私は自国の高位貴族に降嫁するか、他国の王族に政略結婚として嫁ぐ運命だろう。
　だけど、それがどうなったら自分の護衛騎士との婚約になるの？

「なんだ？嫌なのか？」

「え、いや、嫌と言うのではなくて・・・」

　嫌かと問われると、それはちょっと違う気がする。
　確かに『花乙』のソルは私を殺す暗殺者だけど、今現在、私の護衛騎士であるソルは優しい。
　ちょっと融通効かないとこもあるけど、ものすごく大切に思ってくれてるんだろうなとわかる程度には優しい。
　だから、嫌というわけではない。ないけど、恋愛感情かと問われると・・・

「シオンが、お前がソルと結婚するのなら、ダイアンサス伯爵令嬢と婚約すると約束した」

「え？フローラ様と？」

「あの、全く他のご令嬢に興味を示さなかったシオンがだ。いつまでも王太子が独り身というわけにはいかん。国を混乱させるもとになる。だが、その為にお前に無理に婚約させるつもりはない。だから聞いている」

　シオンとフローラが婚約。
ゲームでは、卒業と同時に聖女として覚醒したフローラと婚約することになってたっけ。
　フローラがお姉様・・・うん。いいかも。
　でも、ソルはそれでいいのかな。ソルだってフローラのこと好きだったと思うけど。

「そ、ソルの気持ちは、どうなのでしょうか」

「ソルにはまだ聞いてないのよ。貴女の気持ちを聞いてからと思って」

「その、ソルが命令とかそういうんでなくて、その、いいと言うのなら・・・」

　私がそう言うと、お父様とお母様は何だか生温かい目で私を見つめていた。
　なんですか？そんな目で見ないでください！ソルは護衛騎士だから、王家からの命令とあらば、フローラが好きでも私と婚約するだろう。
　それはちょっと、違うフラグが立ちそうで嫌だ。

　私の答えに、お父様とお母様は、この後ソルに確かめるので下がりなさいと言われた。

　その結果ー

　私はソルと婚約することとなり、シオンとフローラとの婚約と同時に国内に発表されることとなったー

　いやほんと、何がどうなったの？