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異変
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フローラ様とお話してから、私は少しずつだけど部屋から出るようになった。
まだ、失うことの恐怖感は消えないけど、それも時間が解決してくれるだろう。
元々、お兄様の考えは理解していたのだ。ただ臆病者の私は、それでも怖くて、殻に閉じこもるしか出来なかった。それだけだ。
あの日、私を優しく抱きしめてくれたフローラ様。本当に聖女に相応しい人だと思う。
ゲームの中で、シオンお兄様が、ソルが、ハロルドたちが、みんながフローラ様を好きになるのは当然だったのだと思ってしまう。
攻略とか、そんなことじゃない。あの人の本当に美しい心が、婚約破棄という形を取ったとしても手に入れたいものだったのだ。
今回、フローラ様は聖女としてシオンお兄様の相手、つまりは王太子妃となる選択をされたけど、本当にそれで良かったのだろうか。
他に好きな人はいなかったの?
ソルや、ハロルドたちは、フローラ様のこと、本当にシオンお兄様に渡して構わないの?
心の中の疑問は、ずっと残ったまま、私は日々を過ごしていた。
前よりほんの少しだけ、お兄様やフローラ様とお茶をしたりするけど、基本的には部屋で読書をする毎日で、ソルとも少しは話すこともあるけど、なるべくは1人にしてもらっている。
まだうまく笑えなくて、その表情を見るソルの辛そうな顔を見るのが悲しくて。
お兄様やフローラ様にも辛い思いをさせているのだと思うけど、普段表情のあまり変わらないソルの辛そうな顔を見るのは、苦しい。
今日も、いつも通りに窓際の椅子に座り、読書をしていた。
ソルは珍しく用があるとかで側を離れていた。王宮の、しかも居住区の自室に入ってこられる人間は限られている。それに、扉の外にはカイがいてくれているから、ソルが側にいないことには何の疑問もなかった。
だから、ふと窓から見えたソルの姿に、体が硬直した。
明るい鳶色の髪の少女と話しているソルの姿。私はその少女を見たことがなかったから、王宮勤めの侍女ではないのだろう。
貴族のご令嬢なら見覚えもあると思うから、平民なのかもしれないが、居住区の敷地内に入っているということは、違うのかもしれない。
そんなことをグルグルと考えるしかない。だって、だって、ソルが少女に微笑みかけている。
私には、ソルにあんまり笑顔を見せてもらった記憶がない。
最初は、護衛だったからずっと無表情で。婚約者になってから、心配する顔や、困ったような顔はよく見たけど、あんな笑顔なんて、私は・・・
その時ー
胸の奥がドクン!と震えた。
まだ、失うことの恐怖感は消えないけど、それも時間が解決してくれるだろう。
元々、お兄様の考えは理解していたのだ。ただ臆病者の私は、それでも怖くて、殻に閉じこもるしか出来なかった。それだけだ。
あの日、私を優しく抱きしめてくれたフローラ様。本当に聖女に相応しい人だと思う。
ゲームの中で、シオンお兄様が、ソルが、ハロルドたちが、みんながフローラ様を好きになるのは当然だったのだと思ってしまう。
攻略とか、そんなことじゃない。あの人の本当に美しい心が、婚約破棄という形を取ったとしても手に入れたいものだったのだ。
今回、フローラ様は聖女としてシオンお兄様の相手、つまりは王太子妃となる選択をされたけど、本当にそれで良かったのだろうか。
他に好きな人はいなかったの?
ソルや、ハロルドたちは、フローラ様のこと、本当にシオンお兄様に渡して構わないの?
心の中の疑問は、ずっと残ったまま、私は日々を過ごしていた。
前よりほんの少しだけ、お兄様やフローラ様とお茶をしたりするけど、基本的には部屋で読書をする毎日で、ソルとも少しは話すこともあるけど、なるべくは1人にしてもらっている。
まだうまく笑えなくて、その表情を見るソルの辛そうな顔を見るのが悲しくて。
お兄様やフローラ様にも辛い思いをさせているのだと思うけど、普段表情のあまり変わらないソルの辛そうな顔を見るのは、苦しい。
今日も、いつも通りに窓際の椅子に座り、読書をしていた。
ソルは珍しく用があるとかで側を離れていた。王宮の、しかも居住区の自室に入ってこられる人間は限られている。それに、扉の外にはカイがいてくれているから、ソルが側にいないことには何の疑問もなかった。
だから、ふと窓から見えたソルの姿に、体が硬直した。
明るい鳶色の髪の少女と話しているソルの姿。私はその少女を見たことがなかったから、王宮勤めの侍女ではないのだろう。
貴族のご令嬢なら見覚えもあると思うから、平民なのかもしれないが、居住区の敷地内に入っているということは、違うのかもしれない。
そんなことをグルグルと考えるしかない。だって、だって、ソルが少女に微笑みかけている。
私には、ソルにあんまり笑顔を見せてもらった記憶がない。
最初は、護衛だったからずっと無表情で。婚約者になってから、心配する顔や、困ったような顔はよく見たけど、あんな笑顔なんて、私は・・・
その時ー
胸の奥がドクン!と震えた。
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