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悪役令嬢、お願いする
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「というわけなのです。お母様、お願いしてもよろしいかしら?」
王太子ダミアンから、王家から私に婚約の申し込みが来ると聞いて、ダミアンに宣言した通りカイルにも話した。
その上で、お母様とローレンス公爵夫人に王妃様に話をしてくれるようお願いすることになった。
カイルはえらく憤慨したまま、公爵家に帰った。
私がすぐに、カイル母に頼んで欲しいと言ったので。
で、私の方もお母様にお願いする。
これが陛下が言い出したのなら、お父様にお願いするんだけど。
王妃様かぁ。
ほとんどラノベの中でも記述がなかったし、カイルと婚約したから全く縁がないんだよね。
確かに、アナスタシアは家格も容姿も成績も問題ない令嬢だけど、すでに他の令息と婚約してるのに横槍をいれるほど?
何か他に意図があるのか、それとも単にダミアンに婚約者がいないから提案しただけなのか。
うーん。
会ってみないと判断つかないわ。
ダミアンもなぁ。
ヒロインとはもう出会ってるのに、進展してるんだかしてないんだか。
「あらあらあら。王家から婚約の打診が来ないように、早めに婚約したというのにね。うちの可愛いアナが王妃様のご希望のうちにその選択肢をなくしてあげたのに、困った王家ね。分かったわ、任せなさい」
「殿下がさっさとお好きな方と婚約すれば良いのですけど、どうにも煮え切らなくて」
「あら?殿下は好きな方がいらっしゃるの?」
「あ、いえ、よく分からなくて。ただ、学園の同じクラスのご令嬢方は皆様とても優秀な方ばかりですし、私にこだわる必要はないかと。それに、殿下はカイル様の性格を良くご存知のようですから」
入学式で、私を見るなと牽制したくらいだもの。
見たら減るとまで言ってたわ。
カイル様の私への溺愛を知っているお母様は、クスクスと笑われる。
「ローレンス様のアナへの愛情は、親や兄であるジュリアンすら嫉妬の対象ですものね。王妃様はえらくアナにこだわっていたのよ。まぁ、筆頭公爵家に殿下と同い年の娘がいるのだから、分からないでもないけど」
お母様の言葉に、何か引っかかった。
「お母様。そんなに王妃様は私を推してくださっていたのですか?」
私の問いに、お母様がそうなのよねと頷く。
「確かにうちは筆頭公爵家だけど、他の公爵家に殿下と歳の近いご令嬢がいないわけじゃないわ。侯爵家にだっている。それなのにまるでアナスタシアでなければならないみたいな印象を受けるのよ。アデラインに権力が集中することは避けるべきだと思うのだけど」
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「あら?殿下は好きな方がいらっしゃるの?」
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