推ししか勝たん!〜悪役令嬢?なにそれ、美味しいの?〜

みおな

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攻略対象、困る

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 僕の名前はダミアン。ダミアン・アデルバード。
 アデルバード王国の王太子だ。

 王妃である母から、我が国の筆頭公爵家の令嬢アナスタシア・アデライン嬢との婚約を勧められたとき、素直に了承した。

 僕には気になる令嬢もいなかったし、王家に生まれた以上、王妃に相応しい令嬢を婚約者とし、国を支えるのが当然だと思っているからだ。

 だが王家から申し込む直前に、父上からアデライン嬢とローレンス公爵令息が婚約したと報告を受けた。

 母上がお茶会でアデライン公爵夫人に、婚約の話をしたらしいから、申し込みが来る前に婚約をしたと感じた。

 ローレンス公爵令息。
カイル・ローレンスは、宰相の息子で次期宰相と言われている。

 冷酷冷徹と言われているカイルが、アデライン公爵令嬢と婚約した?

 父上は、筆頭公爵令嬢と次期宰相の公爵令息が婚姻し、次期国王の僕の治世を支えてくれるのを良しとした。

 だけど母上は、僕の婚約者はと譲らない。

 駄目だと言われても、他の公爵令息と婚約しているのにいくら王家だと言っても横槍は入れられない。

 しかも、アデライン嬢はカイルとの婚約をしたと言っていた。

 となると、婚約の打診をしつこくしたら、絶対にアデライン公爵家から抗議が来る。

 それに、あのカイルの執着を見る限りローレンス公爵家からも抗議が来るだろう。

 勘弁して欲しい。
アデライン嬢のことを好きなのなら、王命でも何でも出して婚約者になりたいと思うかもしれないが、正直言って、そういう感情を持つカイルの気持ちを知ったから、横槍を入れる気にもならない。

 カイルには、僕の治世の時に宰相として支えて欲しいし、普通に友人として仲良くしておきたい。

 そもそも、母上があそこまでアデライン嬢にこだわる理由がわからない。

 確かに、家格も本人の資質も問題ないと思う。
 だけど、別に公爵令嬢でなければならないわけでもないし、むしろアデライン公爵家に権力が集まるのを避ける意味でも他の貴族家の方が良いと思えるのに。

 母上は全くこちらの意見を聞こうとしないし、どうするべきか迷っていたら、母上のところにアデライン公爵夫人とローレンス公爵夫人が訪れていると侍従に聞いた。

 さすが行動が早いな。

 僕は夫人とはほとんど話したこともないからよく知らないけど、わざわざ母上に会いに来たことから、婚約の打診についての苦情だろう。

 母上が諦めてくれれば良いが。
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