【完結済み】妹の婚約者に、恋をした

鈴蘭

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妹は、嘘つきだったわね

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 アーノルド様が伯爵家に来てから、一年が過ぎた。
 今日はお父様が言っていた、世継ぎを決める日。
 私は憂鬱な気持ちになったけれど、今更どうしようもないので、リビングで侯爵夫妻がお越しになるのを待っていた。
 
 「マーガレット、貴方が何故ここに居るの?関係ないのだから、部屋に戻りなさい」
 「お母様、私もリビングで待つようにと、言われたのです」
 「お母様、お姉様の事なんてどうでも良いわ。それより私を見て下さい、今日も可愛いかしら。アーノルド様は、このドレスを気に入って下さるかしら?」
 「勿論よ、私が見立てたドレスですもの、心配はいらないわ」
 「そうよね…忘れていたわ。お姉様、私にハンカチを返してくださる?それは、アーノルド様に差し上げる物なのよ」
 刺繍をしてある事が前提なのね…
 悪いけれど、アーノルド様に渡す事を知っているのに、出来ないわ。
 私は刺繍の施していないハンカチを返した。

 「ちょっと、お姉様、これは何」
 「昨日、貴方から渡されたハンカチよ」
 「刺繍が無いじゃない」
 「そうね」
 「マーガレット貴方って子は、意地悪をしないで、デイジーにハンカチを返しなさい」
 「返しましたわ、お母様」
 「刺繍を施した、ハンカチの事を言っているのよ」
 「そのようなハンカチは、渡されておりません」
 「嘘仰い。デイジーを困らせて、何が楽しいの?本当に卑しい娘だわ」
 お母様の後ろで、不敵な笑みを浮かべている妹を見て、幼い頃の事を思い出していた。

 「そうだったわ、デイジーは何時も、嘘付きだったわね。もう騙されませんわ、刺繍は自分で施しなさい」
 「マーガレット!!!」
 お母様が腕を振り上げたので、思わず身を竦めたけれど、衝撃はこなかった。
 「いい加減にしなさい」
 「お父様」
 「サイラス、離して。本当に、親子そっくりで、気持ちの悪い目だわ」
 お父様は、お母様の事を一瞥しただけで、何も言わなかった。
 私を庇って下さったの?
 考えてみたら、お父様の目の前で暴力を振るわれた事は、一度も無かったわね。
 何時もさり気なく、庇われていた事を思い出して、目頭が熱くなった。
 お父様には、嫌われていないのかもしれない。

 執事が、侯爵家の到着を告げた。

 私達が客間に来ると、侯爵夫妻とアーノルド様が待っていた。
 半年振りに会うアーノルド様は、とても眩しく見える。
 抑えていた感情が、溢れて来た。
 
 長い時間離れていたけれど、私の心の中には、アーノルド様がいた。
 平民として生活を始めてから、いろんな男性とお話をする機会もあったけれど、どうしても彼を忘れる事が出来なかったの。
 この思いを抑えきれなくなってしまったら、どうしよう。
 早く今日が終わって欲しい。

 

 

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