【完結済み】妹の婚約者に、恋をした

鈴蘭

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妹は相変わらずだった

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 お父様が何を考えているのかは、分からないけれど、アーノルド様は立派な方だもの。
 世継ぎとして、伯爵家を支えてくれるなら、私が消えた所で問題は無い筈よ。
 毎日刺繍をしていたお蔭で手職が付いたから、雑貨店か用品店で働かせて貰おう。
 そう考えた後の、私の行動は早かった。

 休日にはあちこち周り、従業員を募集しているお店を探して、面接を受けた。
 二人部屋だけれど住む場所もあって、食事も三食付けてくれる雑貨屋で、働かせて貰う事になった。
 気付かれないに様一人でこっそり準備を整えて、お使いへ行く振りをして屋敷を出た。
 御者には、お父様への手紙を持たせて帰らせた。

 「ごめんなさい、お父様。さようなら、アーノルド様。デイジーと、お幸せに…」

 きっと、苦しいのは最初だけ、平民として働けば、直ぐに忘れられるわ。
 それから私は雑貨店の作業部屋で、毎日刺繍を施して働いていた。
 同室の女の子も、私と同じく採用された子で、直ぐに打ち解ける事が出来た。
 店主は、私の事情を聞かないから、私も話していない。
 何事もなく平穏な生活を送っていると、あっという間に半年が過ぎていった。

 店が終わって同室の子と一緒に外へ出ると、見慣れない馬車が止まっている。
 中から、紳士が降りて来た。

 「お、お父様」
 「気は済んだか?屋敷に戻るぞ」
 「え…でも」
 「馬車に、乗りなさい」
 「はい、お父様」

 今の私は平民だもの。
 貴族のお父様には逆らえないので、素直に馬車へ乗ったのだけれど…
 お父様は、同室の女の子と話をしていた。
 そして話が終わると、彼女は御者の隣に座った。

 「え、どうして…」
 「彼女は、お前に付けていた護衛だ。娘を一人で、平民街に放置する訳がないだろう。私が何も気付かないと、思っていたのか?」
 「申し訳ございません、お父様」

 全く気付いていなかったわ。
 お父様には家を出る事、貴族籍から抜いて欲しい事を、手紙で伝えた筈なのだけれど…
 どうして?
 屋敷に戻ると、お母様と妹が、怒鳴り込んで来た。

 「領地で静養なんて、何様のつもりなの?こんなに長い間家を空けるなんて、我が儘も大概にして頂戴」
 領地で静養って、お母様は何を仰っているの?
 「お姉様、ちょっとお部屋で話がありますの」

 腕を掴まれて、妹の部屋に来てみると、いきなり打たれたわ。
 驚いて妹を見上げたら、鬼の様な形相で睨んでいる。
 「何度も手紙を出したのに、返事を返さないなんて、非常識ですわ。私にどれ程苦労を掛けたら、気が済むの」

 「何を言っているの?」

 「お姉様が急に、領地に引き籠ってしまったから。アーノルド様に、刺繍のプレゼントが渡せなくなってしまったのよ。雑貨屋で見つけた刺繍小物をプレゼントしたら、直ぐに私の刺繍じゃないと分かってしまったのだもの」

 「それは、デイジーが悪いのでしょう。何故嘘を付いて迄、私の刺繍をアーノルド様に渡したの?どうして自分で刺繍をしないの」

 「私が不器用だからって、馬鹿にしないで。お姉様の癖に、生意気よ!そんなの…誰もが憧れるアーノルド様を、お姉様に取られたくなかったのよ。分かり切った事を、聞かないで。本当に馬鹿で愚図ね。明日までに、そのハンカチに刺繍しなさい、分かったわね」
 デイジーが不器用だったなんて…刺繍が得意だと、言っていたのは、嘘だったの?

 私の行動は、全て見透かされていたもめ。
 それでもお父様は知らない振りをしていたなんて、何を考えているのかしら。
 明日は、約束の一年だったわね。
 憂鬱だわ…
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