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【閑話】 オリビアとシャーク
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「もう、なんでなのよ!!」
地下牢内で響く私の声に返す人はいない。
地下牢、とは言ってもフォンデル公爵が手を回したのか、牢内には簡素な作りながらも清潔な寝台や暖かな寝具、書き物机と椅子まであった。
私、オリビア・ランドール男爵令嬢は革命軍に誘拐されていたが、そこで恐怖のあまり精神が壊れ、一時は革命軍に同調するようになった、という触れ込みらしい。
いや、それ違うし。
私があの別邸を抜け出したのも、革命軍に加担したのも全部自分の意思でやったことなんだけど。
『ほとぼりが冷めるまでここにいなさい』
そう言って、父――フォンデル公爵に連れて来られたのがこの地下牢だった。どうやら前回別邸を抜け出したことを用心しているのか、人の出入りは制限されているみたい。
それから、とっくに色が変わった――戻ったと言ったほうがいいかも――髪と瞳の色については特に言及されなかった。
それよりも。
『落ち着いたら君はフォンデル公爵家の養女として紹介されることになる』
はああああっ!?
どうやらあの女が女王になるため、フォンデル公爵家には跡継ぎがいなくなるので、私をそこへ押し込めたいらしい。
『君にはずいぶんと苦労を掛けてしまい申し訳なかった。これからはフォンデル公爵家の貴族として過不足のない生活を保障しよう』
いや、確かに贅沢はしたいわよ!!
だけど、この流れは違うのよ!!
あくまで私が望むのは悠々自適、おしゃれし放題、贅沢三昧の日々なのよ!!
誰がフォンデル公爵家へ入って仕事覚えろと!?
というか、公爵夫人だって何か仕事しなくちゃいけないんでしょ!?
冗談じゃないわよ!!
というか将来婿入りする令息に、元男爵令嬢、って馬鹿にされるの必至じゃない!!
いやだわ。そんな生活。
私はもっと楽しい生活送りたいのよ!!
とは言っても私にはここを抜け出す腕力も伝手もないのよね。
はあ、やだやだ。
やっぱり他の国に行ってた方がよかったかしら。
地方の領主の館にでも侍女として潜り込んで、そこで愛人の地位でも貰えたら、ラクできそうなのに。
うん。やっぱりいいわね。愛人生活。
適当におべっか使ってそこに一振りの我儘を仕込めば、ちょっと可愛くておねだり上手な愛人の出来上がりっと。
愛人なら責任ないし、きれいなドレスもおしゃれもし放題だし、それになにより無理に子供産まなくてもいいもんね。
やっぱり一度目の生で五人も産まされたのが、どこかに傷になって残ってるみたい。
絶対に今度は超楽しい生活送ってやるんだから!!
地下牢生活も二週間が過ぎた。この間私は差し入れられた本を読んだりしておとなしくすごしていた。
どうやらあの女は今は王宮に住んでいるみたい。
いいな、とは思うものの、きっといや絶対面倒くさい公務や書類仕事をやっつけているんだろうと思うと、喜べない。
何か楽して儲ける、なんて仕事ないかしら?
そんなことを思ったとき、地下牢の入り口が騒がしくなった。
何? と思っているうちにその音はどんどん近付いてくる。
力強い足音と共に現れたのはシャークだった。
「よお。こんなところで飼い殺しされてるとはな」
会えるとは思っていなかった相手の登場に声が上ずる。
「何よ、そっちこそ今までどうしてたのよ?」
シャークは革命軍のリーダーとして処刑されるはずだったのだけど、一部の人達と逃げたらしい。
あたしを残して。
無事だったということと、置いてけぼりにされた、という感情がせめぎ合って上手く言葉が見つからない。言葉に詰まる私の前でシャークが、はっと息を吐いた。
「ずいぶんな言い草だな。せっかく迎えに来てやったってのに」
「は?」
何それ。そんなの頼んでないわよ。
鉄格子を挟んで思わずそう言い返すとシャークの傍らから声がした。
「めんどくせぇ。こんなの連れてってもどうしようもないでしょ。もう帰りましょうよ」
そう言って心底めんどくさいという視線を向けて来るのは、何度か話したことがある――リッツだったかな――男だった。
「ちょっと、何よその言い草!!」
条件反射で叫び返すとしぃ、と諫められる。
「静かに。一応こっちはお尋ね者なんだ。それであんたはどうしたいんだ?」
「え?」
どこにでもある青い瞳が見透かすように私を見た。
「このまま公爵の言いなりになって生きるのか、ここを出て自分の意思で人生を決めるのか、ってことだよ」
確かに楽はしたいけれど、面倒くさい仕事をしたり、周囲の言いなりになるのは嫌だ。
かといってここを出ても私の稼ぎじゃ贅沢は――やっぱり他国で愛人生活かしら。
ひとまずここを出た方がいいかもしれない。
せっかく迎えに来てくれたんだし、国境までくらいまでならいいかな。
「ここを出るわ。言いなりになるなんてごめんだもの」
だけど物事はそう上手く運ぶものではなかった。
「しばらくぶりね。ランドール男爵令嬢。いえ、今はフォンデル公爵令嬢かしら?」
脱出に失敗して捕らえられた私達の前には上等な服を着たアレクシアがいた。
あの耳飾りは先々代の王妃様がつけていたものじゃない!!
それを身につけることが許されるということは、すでにアレクシアが王族の一員として認められていることになる。
くっ、以前は私が付けていたのに!!
口に出したら不敬罪じゃすまないので、黙っているとアレクシアが呆れたように口を開いた。
「せっかくフォンデル公爵が恩情を、と言うから大目に見てあげたのにこんなことをするなんて」
王城の中、こじんまりとした室内には捕らえられた私とシャーク、それにアレクシアとクラスター公爵――そう言えば家格を落とされた、とかで今は伯爵なんだっけ?――がいた。
衛兵たちは廊下で待機しているみたいだけど、なんかいかにも内緒話を始めます、みたいな空気って好きじゃないんだけど。
そう言ってやりたいけど、できない。
なぜなら今目の前にいるのは次期女王陛下で、私は貴族の令嬢だから。
こうして思い返してみると一度目の私ってずいぶん好き勝手してきたんだな、って思う。
たかが側妃の身で正妃に敬語なしで話すし、もっとはっきり言えば見下していた。
仕返しされるのかな。
まあ、仕方ないよね。これも身から出た錆、ってことで。
「フォンデル公爵によればあなたは革命軍に攫われ、その恐怖で心に傷を負っているために特別な静養が必要、とのことだったけれど。大丈夫そうね」
「……お心遣い痛み入ります」
うわ、すっごい嫌味にしか聞こえないんだけど。
「安心したわ。それであなたたちに頼みたいことがあるのだけれど、いいかしら?」
そう言われて否、など言えるはずもなく。
「なんなりとお申し付けください」
何言われるんだろう。やっぱりこれって仕返しだろうからやりたくないの来るんだろうな。
あれこれと不穏な想像で頭の中を一杯にしていると、思いがけないことを言われた。
「私は今回のことで、上に立てば立つほどその麓が見えなくなるということを実感させられました。まさか革命が起きるほど国の民が不安を抱えていたことすら気付けなかった。これから先はそのようなことがないようにしたいと思ったわ。だからあなたたちの力を借りたいの」
――は?
打診されたのはこの王国内をくまなく旅してそれぞれの領地の現状を報告する密偵になれ、ということだった。
そう言った役割をする者たちはいるはずだけど?
疑問に思ったのを悟られたのか、アレクシアが続けた。
「すでに密偵はいるわ。だけど彼らの範囲は主に王都や大きな派閥を持つ貴族に限られていて、地方の領主やその民までは手が回っていないのよ」
まあね。だから北のゴブル辺境伯たちを見逃したんだわよね。
うーん、でもそれってこっちの利益はあんましないような……。
あ、処罰はしない、ってことで来るのかな。
そう思っているとやはりそういうことだった。
その代わり、きちんと報酬は払われるし、それなりに予算もつくという話をされた。
なんかめちゃくちゃいい話なんだけど、これって裏があったりするの?
そう思っていると隣でシャークが、はっと、呆れたように息を吐く。
「発言失礼しますよ。これってこのお嬢ちゃんの父親が関係してたりしますか?」
あ、と気付いた時にはアレクシアとその後ろに控えていたクラスター伯爵が苦々し気に頷いていた。
「フォンデル公爵によるとあなたはどうも一カ所にいるのが苦手な性分のようね。だからあなたには行商人として働いて貰おうと思うの。そちらの男性と一緒にね」
は、とシャークの方を見るとやっぱりな、という顔をしていた。
「まあ、そうでしょうね。国内とはいえ、女性の一人旅は危険がある。その点俺は庶民の暮らしは分かるし、地理も入ってる。……夫婦ってことになるけど、どうせ閨事の対策とかはとっくに織り込み済みなんでしょう」
は、い? ねや?
話が飛んだように聞こえたけれど、その辺の気遣いも対策もばっちりで、贅沢し放題の生活の点を除けば充分な話だった。
私としては隣国かどっかでのんびりだらけた愛人生活したかったんだけどな。
今それを言ったらとんでもないことになるのは明白だったので黙っておく。
「……かしこまりました」
そう答える私の隣りからシャークのうろんげな視線が来たけど、いいじゃないの、ちゃんと了承したんだから!!
地下牢内で響く私の声に返す人はいない。
地下牢、とは言ってもフォンデル公爵が手を回したのか、牢内には簡素な作りながらも清潔な寝台や暖かな寝具、書き物机と椅子まであった。
私、オリビア・ランドール男爵令嬢は革命軍に誘拐されていたが、そこで恐怖のあまり精神が壊れ、一時は革命軍に同調するようになった、という触れ込みらしい。
いや、それ違うし。
私があの別邸を抜け出したのも、革命軍に加担したのも全部自分の意思でやったことなんだけど。
『ほとぼりが冷めるまでここにいなさい』
そう言って、父――フォンデル公爵に連れて来られたのがこの地下牢だった。どうやら前回別邸を抜け出したことを用心しているのか、人の出入りは制限されているみたい。
それから、とっくに色が変わった――戻ったと言ったほうがいいかも――髪と瞳の色については特に言及されなかった。
それよりも。
『落ち着いたら君はフォンデル公爵家の養女として紹介されることになる』
はああああっ!?
どうやらあの女が女王になるため、フォンデル公爵家には跡継ぎがいなくなるので、私をそこへ押し込めたいらしい。
『君にはずいぶんと苦労を掛けてしまい申し訳なかった。これからはフォンデル公爵家の貴族として過不足のない生活を保障しよう』
いや、確かに贅沢はしたいわよ!!
だけど、この流れは違うのよ!!
あくまで私が望むのは悠々自適、おしゃれし放題、贅沢三昧の日々なのよ!!
誰がフォンデル公爵家へ入って仕事覚えろと!?
というか、公爵夫人だって何か仕事しなくちゃいけないんでしょ!?
冗談じゃないわよ!!
というか将来婿入りする令息に、元男爵令嬢、って馬鹿にされるの必至じゃない!!
いやだわ。そんな生活。
私はもっと楽しい生活送りたいのよ!!
とは言っても私にはここを抜け出す腕力も伝手もないのよね。
はあ、やだやだ。
やっぱり他の国に行ってた方がよかったかしら。
地方の領主の館にでも侍女として潜り込んで、そこで愛人の地位でも貰えたら、ラクできそうなのに。
うん。やっぱりいいわね。愛人生活。
適当におべっか使ってそこに一振りの我儘を仕込めば、ちょっと可愛くておねだり上手な愛人の出来上がりっと。
愛人なら責任ないし、きれいなドレスもおしゃれもし放題だし、それになにより無理に子供産まなくてもいいもんね。
やっぱり一度目の生で五人も産まされたのが、どこかに傷になって残ってるみたい。
絶対に今度は超楽しい生活送ってやるんだから!!
地下牢生活も二週間が過ぎた。この間私は差し入れられた本を読んだりしておとなしくすごしていた。
どうやらあの女は今は王宮に住んでいるみたい。
いいな、とは思うものの、きっといや絶対面倒くさい公務や書類仕事をやっつけているんだろうと思うと、喜べない。
何か楽して儲ける、なんて仕事ないかしら?
そんなことを思ったとき、地下牢の入り口が騒がしくなった。
何? と思っているうちにその音はどんどん近付いてくる。
力強い足音と共に現れたのはシャークだった。
「よお。こんなところで飼い殺しされてるとはな」
会えるとは思っていなかった相手の登場に声が上ずる。
「何よ、そっちこそ今までどうしてたのよ?」
シャークは革命軍のリーダーとして処刑されるはずだったのだけど、一部の人達と逃げたらしい。
あたしを残して。
無事だったということと、置いてけぼりにされた、という感情がせめぎ合って上手く言葉が見つからない。言葉に詰まる私の前でシャークが、はっと息を吐いた。
「ずいぶんな言い草だな。せっかく迎えに来てやったってのに」
「は?」
何それ。そんなの頼んでないわよ。
鉄格子を挟んで思わずそう言い返すとシャークの傍らから声がした。
「めんどくせぇ。こんなの連れてってもどうしようもないでしょ。もう帰りましょうよ」
そう言って心底めんどくさいという視線を向けて来るのは、何度か話したことがある――リッツだったかな――男だった。
「ちょっと、何よその言い草!!」
条件反射で叫び返すとしぃ、と諫められる。
「静かに。一応こっちはお尋ね者なんだ。それであんたはどうしたいんだ?」
「え?」
どこにでもある青い瞳が見透かすように私を見た。
「このまま公爵の言いなりになって生きるのか、ここを出て自分の意思で人生を決めるのか、ってことだよ」
確かに楽はしたいけれど、面倒くさい仕事をしたり、周囲の言いなりになるのは嫌だ。
かといってここを出ても私の稼ぎじゃ贅沢は――やっぱり他国で愛人生活かしら。
ひとまずここを出た方がいいかもしれない。
せっかく迎えに来てくれたんだし、国境までくらいまでならいいかな。
「ここを出るわ。言いなりになるなんてごめんだもの」
だけど物事はそう上手く運ぶものではなかった。
「しばらくぶりね。ランドール男爵令嬢。いえ、今はフォンデル公爵令嬢かしら?」
脱出に失敗して捕らえられた私達の前には上等な服を着たアレクシアがいた。
あの耳飾りは先々代の王妃様がつけていたものじゃない!!
それを身につけることが許されるということは、すでにアレクシアが王族の一員として認められていることになる。
くっ、以前は私が付けていたのに!!
口に出したら不敬罪じゃすまないので、黙っているとアレクシアが呆れたように口を開いた。
「せっかくフォンデル公爵が恩情を、と言うから大目に見てあげたのにこんなことをするなんて」
王城の中、こじんまりとした室内には捕らえられた私とシャーク、それにアレクシアとクラスター公爵――そう言えば家格を落とされた、とかで今は伯爵なんだっけ?――がいた。
衛兵たちは廊下で待機しているみたいだけど、なんかいかにも内緒話を始めます、みたいな空気って好きじゃないんだけど。
そう言ってやりたいけど、できない。
なぜなら今目の前にいるのは次期女王陛下で、私は貴族の令嬢だから。
こうして思い返してみると一度目の私ってずいぶん好き勝手してきたんだな、って思う。
たかが側妃の身で正妃に敬語なしで話すし、もっとはっきり言えば見下していた。
仕返しされるのかな。
まあ、仕方ないよね。これも身から出た錆、ってことで。
「フォンデル公爵によればあなたは革命軍に攫われ、その恐怖で心に傷を負っているために特別な静養が必要、とのことだったけれど。大丈夫そうね」
「……お心遣い痛み入ります」
うわ、すっごい嫌味にしか聞こえないんだけど。
「安心したわ。それであなたたちに頼みたいことがあるのだけれど、いいかしら?」
そう言われて否、など言えるはずもなく。
「なんなりとお申し付けください」
何言われるんだろう。やっぱりこれって仕返しだろうからやりたくないの来るんだろうな。
あれこれと不穏な想像で頭の中を一杯にしていると、思いがけないことを言われた。
「私は今回のことで、上に立てば立つほどその麓が見えなくなるということを実感させられました。まさか革命が起きるほど国の民が不安を抱えていたことすら気付けなかった。これから先はそのようなことがないようにしたいと思ったわ。だからあなたたちの力を借りたいの」
――は?
打診されたのはこの王国内をくまなく旅してそれぞれの領地の現状を報告する密偵になれ、ということだった。
そう言った役割をする者たちはいるはずだけど?
疑問に思ったのを悟られたのか、アレクシアが続けた。
「すでに密偵はいるわ。だけど彼らの範囲は主に王都や大きな派閥を持つ貴族に限られていて、地方の領主やその民までは手が回っていないのよ」
まあね。だから北のゴブル辺境伯たちを見逃したんだわよね。
うーん、でもそれってこっちの利益はあんましないような……。
あ、処罰はしない、ってことで来るのかな。
そう思っているとやはりそういうことだった。
その代わり、きちんと報酬は払われるし、それなりに予算もつくという話をされた。
なんかめちゃくちゃいい話なんだけど、これって裏があったりするの?
そう思っていると隣でシャークが、はっと、呆れたように息を吐く。
「発言失礼しますよ。これってこのお嬢ちゃんの父親が関係してたりしますか?」
あ、と気付いた時にはアレクシアとその後ろに控えていたクラスター伯爵が苦々し気に頷いていた。
「フォンデル公爵によるとあなたはどうも一カ所にいるのが苦手な性分のようね。だからあなたには行商人として働いて貰おうと思うの。そちらの男性と一緒にね」
は、とシャークの方を見るとやっぱりな、という顔をしていた。
「まあ、そうでしょうね。国内とはいえ、女性の一人旅は危険がある。その点俺は庶民の暮らしは分かるし、地理も入ってる。……夫婦ってことになるけど、どうせ閨事の対策とかはとっくに織り込み済みなんでしょう」
は、い? ねや?
話が飛んだように聞こえたけれど、その辺の気遣いも対策もばっちりで、贅沢し放題の生活の点を除けば充分な話だった。
私としては隣国かどっかでのんびりだらけた愛人生活したかったんだけどな。
今それを言ったらとんでもないことになるのは明白だったので黙っておく。
「……かしこまりました」
そう答える私の隣りからシャークのうろんげな視線が来たけど、いいじゃないの、ちゃんと了承したんだから!!
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