もふもふ子犬の恩返し・獣人王子は子犬になっても愛しの王女を助けたい

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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ころちゃんを麓においてフェルディナントと二人きりで丘に登ることにしました

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 カリーの美味しい食事の後は、私達は王都の一番の繁華街に来た。
 こちらはいろんなお店が出ているのだ。

「あっ」
 私は可愛い小物を置いている雑貨屋を見つけた。でも今はフェルディナントを案内している所だし、男の人は可愛い雑貨なんか興味がないだろうと私が他の店に行こうとした時だ。

「カーラ様。興味があるのならば見ていきましょうか?」
 フエルディナントが申し出てくれた。

「えっ、でも、男の方はあまりそういう物は興味がないかと」
 私が言うと、
「そんなことはないですよ。モルガンの雑貨屋さんにどんな物があるかとても興味があります」
 そう言ってフェルディナントが先頭でお店に私を伴って入ってくれた。これは入りたそうにした私にフェルディナントが合わせてくれたんだと思う。

「まあ、いろんな可愛いのがあるのですね」
 私はお菓子の形をした小物入れとか、可愛いウサギのペンだとかに魅入られてしまった。
 その中でも一番可愛いと思ったのはころちゃんに似た青い犬の顔のブローチだった。これをつけたらころちゃんはとてもかわいらしくなるかなと思ったのだ。
 でも、今はフェルディナントを案内しているのだ。これ以上フェルディナントに気を使わせる訳にはいかないと私は思ったのに、
「この犬のブローチが気に入ったのですか」
 フエルディナントが聞いてくれたのだ。フエルディナントはとても気がつく紳士みたいだった。

「えっ、判りました。可愛いかなと思ったのです」
「なんなら、つけてみればいかがですか。きっとよくお似合いになると思います。良ければ案内して頂いたお礼に私から贈りますよ」
 フェルディナントが言ってくれたんだけど、
「でも、そこまでして頂く訳には」
「いや、このような安物をカーラ様に贈るのは心苦しいのですが、宜しければ是非」
 まあ金額的には本当にたいした額じゃないし、ころちゃんも喜ぶだろうと思ってしまった。

「じゃあ、つけてみますね」
 私はそう言うところちゃんの首輪にその青い犬のブローチをつけてみたのだ。
「えっ?」
 フェルデイナントがそれを見て驚いた顔をした。
「そんなに変ですか?」
 私がフエルディナントに聞くと
「いやいや、そうですね。とてもお似合いですよ」
 フェルディナントが愛想笑いをして言ってくれたんだけど。
 その顔がどこか引きつっているように見えたのは気のせいだろうか?
 私はフェルディナントにお礼を言ってそのブローチをころちゃんにつけたのだ。

「良かったわね。ころちゃん、フェルディナント様にブローチ買ってもらって」
「うー」
 私がころちゃんに言うところちゃんも何故か少し不満そうなんだけど……何でだろう? 可愛いのに!

「まあ、ころちゃん、とても可愛いわよ」
 私がそう言ってぎゅっと抱きしめるとさすがにころちゃんも機嫌を直したみたいだったけれど……

「なんか、子犬が羨ましいです。私も子犬になりたい気分です」
 フェルディナントが目をうるうるさせて訳のわからないことを言ってくれた。
 私に首輪をつけられて飼われたいんだろうか?
 でも、私に人間に首輪をつけて飼う趣味はないのだけれど……

「わん」
 何故かころちゃんは良いだろう! と自慢するように吠えてくれた。

 私達はそのまま、店を冷やかして歩いて、その後、フェルディナントの希望で中央公園に行った。
 中央公園には丘があって、その丘からの景色がきれいなのだ。
 ころちゃんは首輪をつけたまま駆けだしたのだ。
 でも、あまりに急だから追いかけようとした私は思わず足をもつれさせて転けそうになった。

「おっと」
 横からフエルディナントが手を出してぎゅっと私を抱いて支えてくれたのだ。
 そして、そのまま私を起こしてくれた。

「おけがはありませんか」
「はい、ありがとうございます」
 フェルディナントの心配そうな問いかけに私は答えたが、フエルディナントに抱きかかえられるようにされていたので、とてもドキドキした。

「フェルディナント様、とても近いです」
 私が悲鳴のように言うと
「あっ失礼しました」
 フェルディナントが私を離してくれて私はほっとした。

 そこへ、帰ってきたころちゃんが
「わんわんわんわん」
 とフェルディナントに吠えだしたのだ。

「これ、ころちゃん。あなたがいきなり駆けだしたから私が転けそうになった所をフェルディナント様に助けて頂いたのよ。元はころちゃんが悪いんでしょ」
 私が叱責すると、
「くうん」
 ころちゃんは途端に静かになってくれた。
 反省したみたいだった。

「カーラ様。出来ればあなたに見せた異風景があるんです」
 フェルディナントが言い出した。

「この子犬が又いきなり走り出したら危ないですし、いなくなると探すのも大変です。だからここに繋いでおけば良いのではないですか。他の犬たちもたくさんいるみたいですし」
 フエルディナントはそう提案してきた。見ると皆木に繋いで丘の上に行っているみたいで、たくさんの犬が木にリードで繋がれていた。
 確かにころちゃんが又駆けだしていなくなったら大変だ。ここなら護衛の騎士が見ていてくれるだろう。

「すぐに帰って来るからね」
「わんわん」
 私は吠えるころちゃんを繋いだのだ。
 私は鳴きわめくころちゃんをその場においてフェルディナントにエスコートされてその丘に登ったのだった。
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