もふもふ子犬の恩返し・獣人王子は子犬になっても愛しの王女を助けたい

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
38 / 85

丘の上で夕日の中言い寄ってきたフェルディナントにころちゃんが噛みついてくれました

しおりを挟む
 丘への道は石畳の上り坂だった。私には坂道は結構大変だった。

 フェルディナントはゆっくりと歩いてくれたが、私は靴がハイヒールだったので、登りにくかった。

「きゃっ」
 思わず躓いてフェルデイナントにしがみついてしまった。

「も、申し訳ありません」
 私が謝るも、
「大丈夫ですよ。カーラ様。何なら私が手を繋ぎましょう」
 そう言ってフェルディナントが手を差し出してくれた。

「えっ、でも……」
「この坂はあなたには結構大変そうです。ただ、私もここまで来たら絶対にカーラ様に見ていただきたいので、もう少しだけ私に付き合ってもらえませんか?」
 そう言われると断れなかった。

 差し出されたフェルディナントの手は思ったよりも厚くがっしりしていて、剣だこがあって堅かった。思ったよりも鍛えているのが判って私はドキドキした。そういえば異性に手を繋いでもらうのは初めてかもしれない。白い騎士様には抱き留められて私が抱きついただけで、手を繋いではいなかった。なんか白い騎士様に悪いような気がした。

 でも、今更手を離してくれとは言えなかった。私はフェルディナントに引っ張られて、なんとか丘を登ったのだ。

 丘の上に登ると、そこにはあちこちにカップルがいた。

 そして、彼らを暮れゆく太陽が赤く照らしていた。
 そこからは王都が一望できて、町並みが赤く染まり出す所だった。

「きれい!」
 私はその景色に感激した。

 網の目のようにきっちりと碁盤状に張り巡らされた道があり、その先には丘の上に立つ王宮がはっきりと見えた。そして、地上の道を多くの人々がせわしく歩いている。先程みて歩いた小間物屋の商店もはっきりとここからは見えた。

「カーラ様。あそこが大聖堂です」
「本当だ、ここからはあの大きな大聖堂も小さく見えますね」
「人があんなに小さく見えますよ」
「あっ本当だ」
「あの左手にあるのがお昼を食べて頂いたカリー専門店です」
「あ、こんなに離れているんですね」
「結構歩きましたからね」
 フエルディナントは町並みを私に一生懸命説明してくれた。

「もうじき、太陽が赤く染まるんです。そうしたら全体が真っ赤になりますからね。私がこの国にきて一番きれいだと思える景色なんです。一度その景色をあなたにお見せしたくて」
 フエルディナントの説明している間に太陽が赤く輝きだした。

「あわあ、きれい!」
 私はその美しさに思わず感激した。
 真っ赤に染まる町並みがとても美しかった。

 こんな景色を白い騎士様と一緒に見れればどれだけ良いんだろう!
 とフェルディナントには悪いが思わず思ってしまった。
 白い騎士様が私をエスコートしてここまで連れてきてくれて、そして、二人して、肩を並べてこの景色を見るのだ。
 そして、私の伸ばした手に白い騎士様の手が重ねられてってあれ、手が重ねられている?

 自然とフエルディナントの手が重ねられているんだけど、偶然だろうか? ちらっとフェルディナントを伺い見ると、熱心に夕焼けを見ていた。
 わざとじゃないんだろう。私は指摘した方が良いかどうか悩んだ。

「カーラ様」
「はい」
 私はフェルディナントに声をかけられて思わず少し緊張した。

「私はこの景色を初めて見た時に、あなたと見たいと思ったのです」
 そう言って熱い視線で私を見てくれるんだけど……

「本当に、こんなきれいな景色を見せて頂いてありがとうございます」
 私はなんとか手を引っ込めようとしたが、フェルディナントの手から逃れられなかった。

 失敗した。こんなのだったらころちゃんを連れてきたら良かった。ころちゃんがいればフエルディナントに吠えてくれて、なんとかなったのに。ころちゃんはフェルディナントに言われて丘の麓にリードで繋いで置いてきてしまった。

 お父様からはフェルディナントの機嫌をとって、関心を自分に向けるようにと言われいたけれど、私には白い騎士様がいるのだ。でも、フェルディナントをむげにも出来ない。ここでフェルディナントに嫌われたら決定的に我が王家の立場が悪くなる。でも、フェルディナントに手を重ねられているのは嫌だ。どうしよう?

 そう思った時だ。
「わんわん!」
 突然犬の鳴き声がして
 ガブっ
 という音とともに
「ギャッ」
 フエルディナントが叫んで、私の手を離してくれた。

「痛い!」
 フエルディナントはころちゃんにお尻に噛みつかれていた。

「ころちゃん、だめでしょ。離しなさい」
「痛い、痛いから」
 フェルディナントが手を伸ばして必死にころちゃんを離そうとする。
 私が必死にころちゃんをフェルディナントから離したら

「うーーーー。わんわんわんわん」
 ころちゃんが怒って吠えてくれた。

「痛たたた」
 フエルディナントがお尻を押さえている。

「フェルデイナント様、大丈夫ですか?」
 私が心配して聞くと
「大丈夫ですよ。噛まれたのは高々子犬ですから」
 そう言ってフェルディナントは笑ってくれたが、目は怒っていた。

 その後、私は平謝りにフェルディナントに謝ったのだ。

 でも、後でころちゃんにはころちゃんの大好きなお肉を上げた。
「よくやってくれたわ、ころちゃん。あなたは私のヒーローよ!」
 私はそう言ってころちゃんのほっぺたにキスしたのだった。
********************************************
頑張ったころちゃんでした。
お気に入り登録、感想等をして頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

捨てられ聖女は、王太子殿下の契約花嫁。彼の呪いを解けるのは、わたしだけでした。

鷹凪きら
恋愛
「力を失いかけた聖女を、いつまでも生かしておくと思ったか?」 聖女の力を使い果たしたヴェータ国の王女シェラは、王となった兄から廃棄宣告を受ける。 死を覚悟したが、一人の男によって強引に連れ去られたことにより、命を繋ぎとめた。 シェラをさらったのは、敵国であるアレストリアの王太子ルディオ。 「君が生きたいと願うなら、ひとつだけ方法がある」 それは彼と結婚し、敵国アレストリアの王太子妃となること。 生き延びるために、シェラは提案を受け入れる。 これは互いの利益のための契約結婚。 初めから分かっていたはずなのに、彼の優しさに惹かれていってしまう。 しかしある事件をきっかけに、ルディオはシェラと距離をとり始めて……? ……分かりました。 この際ですから、いっそあたって砕けてみましょう。 夫を好きになったっていいですよね? シェラはひっそりと決意を固める。 彼が恐ろしい呪いを抱えているとも知らずに…… ※『ネコ科王子の手なずけ方』シリーズの三作目、王太子編となります。 主人公が変わっているので、単体で読めます。

お見合いに代理出席したら花嫁になっちゃいました

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
綾美は平日派遣の事務仕事をしているが、暇な土日に便利屋のバイトをしている。ある日、お見合いの代理出席をする為にホテルへ向かったのだが、そこにいたのは!?

え?わたくしは通りすがりの元病弱令嬢ですので修羅場に巻き込まないでくたさい。

ネコフク
恋愛
わたくしリィナ=ユグノアは小さな頃から病弱でしたが今は健康になり学園に通えるほどになりました。しかし殆ど屋敷で過ごしていたわたくしには学園は迷路のような場所。入学して半年、未だに迷子になってしまいます。今日も侍従のハルにニヤニヤされながら遠回り(迷子)して出た場所では何やら不穏な集団が・・・ 強制的に修羅場に巻き込まれたリィナがちょっとだけざまぁするお話です。そして修羅場とは関係ないトコで婚約者に溺愛されています。

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。 しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。 フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。 クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。 ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。 番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。 ご感想ありがとうございます!! 誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。 小説家になろう様に掲載済みです。

わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
※完結しました。 離婚約――それは離婚を約束した結婚のこと。 王太子アルバートの婚約披露パーティーで目にあまる行動をした、社交界でも噂の毒女クラリスは、辺境伯ユージーンと結婚するようにと国王から命じられる。 アルバートの側にいたかったクラリスであるが、国王からの命令である以上、この結婚は断れない。 断れないのはユージーンも同じだったようで、二人は二年後の離婚を前提として結婚を受け入れた――はずなのだが。 毒女令嬢クラリスと女に縁のない辺境伯ユージーンの、離婚前提の結婚による空回り恋愛物語。 ※以前、短編で書いたものを長編にしたものです。 ※蛇が出てきますので、苦手な方はお気をつけください。

婚約破棄された辺境伯令嬢ノアは、冷血と呼ばれた帝国大提督に一瞬で溺愛されました〜政略結婚のはずが、なぜか甘やかされまくってます!?〜

夜桜
恋愛
辺境の地を治めるクレメンタイン辺境伯家の令嬢ノアは、帝国元老院から突然の召喚を受ける。 帝都で待っていたのは、婚約者である若きエリート議員、マグヌス・ローレンス。――しかし彼は、帝国中枢の面前でノアとの婚約を一方的に破棄する。 「君のような“辺境育ち”では、帝国の未来にふさわしくない」 誰もがノアを笑い、見下し、軽んじる中、ひとりの男が静かに立ち上がった。 「その令嬢が不要なら、私がもらおう」 そう言ったのは、“冷血の大提督”と恐れられる帝国軍最高司令官――レックス・エヴァンス。 冷たく厳しい眼差しの奥に宿る、深い誠実さとあたたかさ。 彼の隣で、ノアは帝都の陰謀に立ち向かい、誇りと未来を取り戻していく。 これは、婚約破棄された辺境伯令嬢が、帝国最強の大提督に“一瞬で”溺愛され、 やがて帝国そのものを揺るがす人生逆転の物語。

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される

風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。 しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。 そんな時、隣国から王太子がやって来た。 王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。 すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。 アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。 そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。 アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。 そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。

処理中です...