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15.ルール
しおりを挟むお昼ご飯はいつも中庭で食べる。夕ととらと一緒だ。とらは初めて誘った時面倒くさそうな顔になったが、黙ってついてきた。ベンチに3人横に並ぶのだが、何故か毎回俺が真ん中だ。というのも、脇に座ろうとするといつの間にか2人に真ん中にさせられている。なぜかは知らないが。
最近よく話すのは、学園のルールについてだ。俺と夕は外部生なので細かいルールが分からない。そこで内部生であるとらが教えてくれ、それをメモしていく。この学園、謎の暗黙の了解が多すぎるのだ。ローカルルールとでも呼ぼうか。
初めは素っ気なかったとらだけど、仲良くなると世話焼きなことに気づいた。はじめこそうんとかすんとかそんな感じだったけど、今じゃ結構仲良くなれたと思っている。
「いいか。絶対に生徒会には近づくなよ」
とらの言葉に首を傾げる。
「生徒会?なんで?」
「あー、そうだな、まず、生徒会役員がどうやって選ばれてるか知ってるか?」
「?知らない、何」
「顔」
は?顔?
「抱きたい、抱かれたいランキングってやつがあってな、そのトップが選ばれるんだ」
は?なんと?
「そんで、役員それぞれに親衛隊ってものがあって、そいつらに目をつけられたら殺されるから気をつけろ」
唖然とする俺の顔をとらと夕はどこか安心した目で見つめた。
「翠の反応見て安心した。やっぱ普通はそうなるよな」
とらはほっとしたような顔で呟く。
お義母さんお義父さん、お義兄さんお義姉さん、義弟に義妹よ。...長いな。俺は来るところを間違えたかもしれません。今からでも帰宅していいですか。
「っていうかなんで夕は驚かないの!?」
「噂は聞いてたからね」
「噂?」
「この学園、八十パーセントがゲイらしいって噂」
「う、え、は?」
五人に四人がゲイじゃないか。異性愛に偏見も差別意識も持ち合わせていないが、流石に自分の通う学校がそうだだとは知らなかった。
「...2人もそうなの?」
恐る恐る尋ねると、とらはニヤ、と笑った。
「さ、どーかな」
「この間までそうだと思ったことはないな」
まじか。...この間までって。自分が知らない世界に紛れ込んでしまった気分。
「ちな俺にも親衛隊いるぜ」
「は?」
「まぁ、俺のは舎弟みたいなもんだけどな」
舎弟。とらの家はヤクザらしいからなんか納得できる。
「ってか日暮にも出来んじゃね?」
夕もとてつもないイケメンだから絶対できる。断言出来る。
あれ、...ってことは?
親衛隊持ちの2人と毎日一緒にいる外部生の俺って...。
「え、お、俺、し、死ぬ...?」
「落ち着いて翠。親衛隊なんてつくらせない」
「だから言ったろ、俺のは舎弟だって」
「そ、そそそうだよねうん、...え、舎弟...やばい、どつかれる、しばかれるー...」
舎弟という言葉で一瞬安心したものの、次に頭に浮かんだ舎弟のイメージ(筋肉ムキムキかつ図体がでかくて大声)にその安心は破壊された。完全な偏見なんだけど。
「大丈夫だって翠になんかする前に俺がシバくし」
「全然安心できないよとら」
もぐもぐとお弁当を頬張る俺の顔をじーと見つめてくるとらを俺も見つめ返す。
「なに」
「いや。...お前、前髪上げてみれば」
その言葉に、俺と夕は同時にビクッとした。
「いや、いやいや、別にいいよ」
「絶対あげた方がモテんぞ」
「モ、モテとか考えてないし」
「...ちょっと見せろ」
「いや、ダ、ダメダメ、ダメだって」
する、と俺の前髪に伸びてくるとらの手を避けようとするが、絶対腕力ではかなわないことはわかる。やばい。反射で目を瞑ってしまった。
「...お前、何する」
とらの声が聞こえ、恐る恐る目を開けると、とらの手首を掴む夕の腕が見えた。
「...翠は今、おでこにでっかいニキビあるから見られたくないんだよ」
「...へー、悪かった。ま、できやすい年齢なんだから気にすんな」
「な、慰められた」
他に良い誤魔化し方がなかったのかと思うが、助けてくれた夕には純粋に感謝をしよう。いやでもニキビって ...。しかもでっかいニキビ...。結構恥ずかしいんだが。
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