ひみつのモデルくん

おにぎり

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14.月城くんの話

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「...なんか最近光ぼーてしてること多くない?」


生徒会室で副会長として仕事にいそしんでいた私は同じく生徒会役員である会計の浅霧に話しかけられた。

...自覚はある。入学式の日から、私の心はある人物のことでいっぱいだ。

入学式の前に持病が悪化し倒れ込んでいた私を助けてくれた彼が、頭から離れない。






「あの、具合が悪そうですけど、大丈夫ですか?」

そう声をかけられた時、しまったと思った。弱みを握られた、と。
生徒会副会長という役職につく私に憧れる生徒は多い。助けた見返りに何を要求されるかわかったものではないし、病気だと噂を流されると全校生徒に伝わるのは一瞬だろう。
そんな私の頭の中など露知らず、彼は走ってラムネと飴を買ってきてくれた。去り際に名前を聞いたが、彼は答えなかった。ただ、私のことを心配して行動してくれた。それがどれだけ嬉しかったか、彼は知らないだろう。



正直、具合が悪く自分のことで精一杯だったため顔は覚えていない。黒髪だったと思うが。彼のことを考えると何故か胸が痛むのだ。
浅霧は無言になった私をじっと見つめた。

「なんか悩み事ー?」

「...いや、その」

言おうか迷って結局口を開いた。こいつは下半身はだらしない。が、相談相手にはなる男だ。口も堅い。

「ん?」

「...人を探しているんですが」

つぶやくように言うと、浅霧はパチ、と目を瞬かせた。

「え?あの光が?え!!」

「うるさいですよ」

「...なんで?なんで探してんの?」

「...秘密です」

そう言うと浅霧は残念そうな顔をして机に突っ伏した。明るい金髪が机に散らばる。太陽に反射してキラキラを輝いた。

「恋ってこと?」

そう問われ、再び仕事に取り掛かろうとしていた私はフリーズした。

恋?...これが?

「その子のこと、もっと知りたいとか、思ったりしないの」

もっと知りたいとは、思う。

「話したいとか思ったり」

たくさん話したい。

「考えると胸が痛くなるとかぁ」

考えると、胸がズキズキする。



「...その症状が、恋なのですか?」

「症状って笑。そうじゃない?」

「...それならこの感情は、恋、かもしれません」

「ふーん。明日は雪かなぁ。どんな子なの」

「優しくて、謙虚で、声が心地いい子、です」

「ほーーん」


顔も覚えていない。
どのクラスかも知らない。
名前も知らない。


手がかりは、声と髪色、のみ。
全校生徒約1000人。絶対に見つけてみせる。
もしも見つけたら、お礼を言おう。仲良くなろう。連絡先を交換して。いつかこの想いを伝えられたら。


いつも浮かべている作り笑いとは異なった花の咲くような美しい笑みを浮かべた副会長を浅霧は驚いた顔で見つめていた。この男と出会って二年、一度も見たことがない表情だった。






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