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第43話 お揃いがいいもんね
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出発前に必要な道具を買うため、渋谷を歩いている。ミスラムは転移門を盗まれないよう警備してもらっているため、今回はお留守番をしてもらっている。
俺たちは夏の陽差しを受けながら畑仕事に向いた物を選ぶため、何でも売っているんじゃないかというお店のビルに入った。
「マスター、アウトドア系は地下にあるみたいですよ! 早く行きましょう! 売り切れちゃいます!」
テンションがいつもより高いユミに手を引かれて、エスカレーターに乗り、地下一階のフロアに来た。
展示用の小さいテントやタープがフロアの中心に設置されていて、棚の中にはキャンプに使うバーナー、折りたたみの椅子、電気ランタン、マット、焚き火台、料理道具などが並べられている。
薪割り用のナイフや斧といったのもあって、魔物討伐にも使えそうだ。
「畑仕事用の道具が欲しいんだよね?」
「はい! 買いたいのは長靴と軍手、帽子、あとは……作業用のつなぎですね」
全部畑仕事に使うものだ。放置ダンジョンの調査には必要ないんだけど、ユミにとっては最優先事項らしい。
俺から手を離すと、長靴が置いてあるエリアで立ち止まり、商品を吟味している。
気に入ったデザインは複数あるみたいで、ベースがピンクの白い水玉模様が付いた長靴、真っ黒で地味な長靴、水色とカエルの絵が描かれた長靴を見比べていた。
「気に入ったなら全部買うよ?」
「そんなお金、どこにあるんですか! 一つに絞るので、マスターは待ってください」
これは時間がかかりそうだ。
近くに寄りかかれそうな柱があったので、腕を組みながら体重を預けて視線を上げると、ちょうどユミの死角に緑色の長靴があった。クワガタとカブトムシのシルエットが描かれていて、虫好きにはピッタリだ。
高いところにあるので、ユミは届かない。
柱から離れてテントウムシの長靴を取ると、ユミの前に置いた。
「これはどうだ?」
「マスター、可愛いです!! 最高のデザインですねっ!」
手に取って値札を見ると五千円もした。ユミの笑顔が凍り付く。
次の言葉は予想できたので、勝手に奪い取ってレジに向かう。
「高いですよ?」
「必要経費だからギルドに請求する。問題ないよ」
長靴が経費になるかは分からないけど、何としてもギルドに支払ってもらおう。
知晴さんに土下座をすれば、許可は出そうな気がする。
ダメだったら最悪借金をして解決だ。うん、完璧なプランである。
「マスターの長靴は、これでどうですか?」
届かない場所にあるらしく、ユミが指をさした場所を見ると、おそろいの長靴が置いてあった。男性用らしく、サイズは大きい。
「同じのでいいの?」
「え……マスターは嫌なんですか…………」
確認しただけなのに、絶望したような顔をされてしまった。
信じられない、みたいな言葉をつぶやいていて、酷い勘違いをされている。
「確認しただけだから! お揃いにしよう!」
「マスター、無理してません?」
「してない! してないって!」
必死に言ったら、ようやく気持ちが伝わったようだ。
ほっと一安心していると、ユミが近くに置いてあった帽子を手に持った。花のあしらいが付いた、つばの広いサファリハットだ。色は薄いピンクで、店は女性向けのデザインとして置いている。
ユミには似合いそうだ。どうやって褒めようかな。
「でしたら、全部お揃いにしましょう! いいですよね?」
ええ! 俺もその帽子をつけるの?
悪気なんて一切なさそうだから恐ろしい。
断ったら、「私とのお揃いは嫌なんですね」って、悲しむのは目に見えている。でも俺はピンクの帽子なんて似合わないぞ。
「後はですね。作業用のつなぎは帽子に合わせた色で、軍手は普通の白が良いですね。それと帽子には虫のワッペンを付けて、可愛く仕上げたいんですけど、全部経費でいけそうでしょうか?」
問題はそこじゃない! なんて、口が裂けてもいえない。
俺はこの笑顔を守るため、羞恥心を捨てるんだ!
「全部経費でいけるよ。知晴さんにごり押しするから、ユミは気にせずお揃いの物を買っちゃおう」
「マスター! ありがとうございます!」
手に持っていた商品を俺に預けると、ユミは小走りで他のエリアに行って、軍手や作業用つなぎまで持ってきてしまった。
しかも狙い通りのデザインが置いてあったので、完全に女性向けの物ばかり。
最後に見つけたワッペンがカマキリだったのは、俺への配慮だったのだろうか。
「マスター、いい買い物ができましたね」
「そうだね」
ビルを出て買った商品を抱えているユミを見ていたら、女性向けのデザインを着ることなんて、どうでも良く思えた。
ユミが幸せなら俺は文句ないからね。
同行する探索者に笑われるぐらい、甘んじて受け入れよう。
「この後はどうします?」
「ブルーボルド草の種を買いたいんだけど、その前に家へ帰る?」
盗難防止のため、一般の店だとマジックバッグの持ち込みは禁止されている。
大荷物になったら一度帰った方がよいかもと思って提案した。
「いえ。このまま行きましょう」
「疲れない?」
「これでも精霊です。問題ありませんよ」
魔物と戦えるぐらい頑丈だもんね。
そこら辺にいる探索者よりも強いんだから、気にするほうが失礼ってやつか。
俺たちは夏の陽差しを受けながら畑仕事に向いた物を選ぶため、何でも売っているんじゃないかというお店のビルに入った。
「マスター、アウトドア系は地下にあるみたいですよ! 早く行きましょう! 売り切れちゃいます!」
テンションがいつもより高いユミに手を引かれて、エスカレーターに乗り、地下一階のフロアに来た。
展示用の小さいテントやタープがフロアの中心に設置されていて、棚の中にはキャンプに使うバーナー、折りたたみの椅子、電気ランタン、マット、焚き火台、料理道具などが並べられている。
薪割り用のナイフや斧といったのもあって、魔物討伐にも使えそうだ。
「畑仕事用の道具が欲しいんだよね?」
「はい! 買いたいのは長靴と軍手、帽子、あとは……作業用のつなぎですね」
全部畑仕事に使うものだ。放置ダンジョンの調査には必要ないんだけど、ユミにとっては最優先事項らしい。
俺から手を離すと、長靴が置いてあるエリアで立ち止まり、商品を吟味している。
気に入ったデザインは複数あるみたいで、ベースがピンクの白い水玉模様が付いた長靴、真っ黒で地味な長靴、水色とカエルの絵が描かれた長靴を見比べていた。
「気に入ったなら全部買うよ?」
「そんなお金、どこにあるんですか! 一つに絞るので、マスターは待ってください」
これは時間がかかりそうだ。
近くに寄りかかれそうな柱があったので、腕を組みながら体重を預けて視線を上げると、ちょうどユミの死角に緑色の長靴があった。クワガタとカブトムシのシルエットが描かれていて、虫好きにはピッタリだ。
高いところにあるので、ユミは届かない。
柱から離れてテントウムシの長靴を取ると、ユミの前に置いた。
「これはどうだ?」
「マスター、可愛いです!! 最高のデザインですねっ!」
手に取って値札を見ると五千円もした。ユミの笑顔が凍り付く。
次の言葉は予想できたので、勝手に奪い取ってレジに向かう。
「高いですよ?」
「必要経費だからギルドに請求する。問題ないよ」
長靴が経費になるかは分からないけど、何としてもギルドに支払ってもらおう。
知晴さんに土下座をすれば、許可は出そうな気がする。
ダメだったら最悪借金をして解決だ。うん、完璧なプランである。
「マスターの長靴は、これでどうですか?」
届かない場所にあるらしく、ユミが指をさした場所を見ると、おそろいの長靴が置いてあった。男性用らしく、サイズは大きい。
「同じのでいいの?」
「え……マスターは嫌なんですか…………」
確認しただけなのに、絶望したような顔をされてしまった。
信じられない、みたいな言葉をつぶやいていて、酷い勘違いをされている。
「確認しただけだから! お揃いにしよう!」
「マスター、無理してません?」
「してない! してないって!」
必死に言ったら、ようやく気持ちが伝わったようだ。
ほっと一安心していると、ユミが近くに置いてあった帽子を手に持った。花のあしらいが付いた、つばの広いサファリハットだ。色は薄いピンクで、店は女性向けのデザインとして置いている。
ユミには似合いそうだ。どうやって褒めようかな。
「でしたら、全部お揃いにしましょう! いいですよね?」
ええ! 俺もその帽子をつけるの?
悪気なんて一切なさそうだから恐ろしい。
断ったら、「私とのお揃いは嫌なんですね」って、悲しむのは目に見えている。でも俺はピンクの帽子なんて似合わないぞ。
「後はですね。作業用のつなぎは帽子に合わせた色で、軍手は普通の白が良いですね。それと帽子には虫のワッペンを付けて、可愛く仕上げたいんですけど、全部経費でいけそうでしょうか?」
問題はそこじゃない! なんて、口が裂けてもいえない。
俺はこの笑顔を守るため、羞恥心を捨てるんだ!
「全部経費でいけるよ。知晴さんにごり押しするから、ユミは気にせずお揃いの物を買っちゃおう」
「マスター! ありがとうございます!」
手に持っていた商品を俺に預けると、ユミは小走りで他のエリアに行って、軍手や作業用つなぎまで持ってきてしまった。
しかも狙い通りのデザインが置いてあったので、完全に女性向けの物ばかり。
最後に見つけたワッペンがカマキリだったのは、俺への配慮だったのだろうか。
「マスター、いい買い物ができましたね」
「そうだね」
ビルを出て買った商品を抱えているユミを見ていたら、女性向けのデザインを着ることなんて、どうでも良く思えた。
ユミが幸せなら俺は文句ないからね。
同行する探索者に笑われるぐらい、甘んじて受け入れよう。
「この後はどうします?」
「ブルーボルド草の種を買いたいんだけど、その前に家へ帰る?」
盗難防止のため、一般の店だとマジックバッグの持ち込みは禁止されている。
大荷物になったら一度帰った方がよいかもと思って提案した。
「いえ。このまま行きましょう」
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