借金まみれの錬金術師、趣味で作ったポーションがダンジョンで飛ぶように売れる~探索者の間で【伝説のエリクサー】として話題に~

わんた

文字の大きさ
47 / 64

第47話 不法侵入者は誰だ

しおりを挟む
 目が覚めたら夕方だった。十分休めたので気持ち悪さは消えている。

 体を起こすと腕を上げて体を伸ばす。

「う~~ん。よく寝た」

 掃除をしていたユミの姿はない。畑でも見に行ったのかな。

 外に出てみると、誠たち4人がユミと話していた。

 山小屋にいないと思ったら、出迎えてたみたいだ。

「やあ。遅かったね」

 声をかけると、ユミが駆け寄ってきた。

「マスター、気分は良くなったのですか?」
「休んだおかげでね。何か変わったことはあったかな」
「少しだけあったようです。私はベッドメイキングをしてくるので、詳細は誠さんに聞いてください」

 清掃が途中だったみたいで、ユミは山小屋の中へ入っていった。

 俺は残った誠に声をかける。

「何があったの?」
「放置ダンジョンの入り口には、ドアが取り付けられているのを知っているか?」
「うん」

 放置と言っても最低限の管理はしていて、一般人が迷い込んで入らないよう、頑丈なドアを付けて鍵までかけている。

 探索者が入りたい場合は、管理者に連絡をして解錠してもらうのがルールだ。
 
 免許を取るときに必ず教えてもらうことなんだけど、なんで今確認されたんだろう。

「鍵が開いていたんだ。誰かが侵入したかもしれない」
「冗談や見間違いじゃないよね?」
「ああ、間違いない。既にギルドへは報告していて、慎重に調査をしろと言われている」

 魔物の討伐に加えて、侵入者の調査もしなければならないなら、長期戦は避けられない。

 一ヶ月では終わらない気がしてきたぞ。

 俺は転移門があるからいいけど、誠はどうするんだろう。ずっと山の奥に滞在するつもりかな。

「侵入者が見つからなかったら、調査は打ち切る感じになる?」
「そうはならないみたいだ。侵入者の正体がわかるまで、この山小屋に監視員を置くみたいだぞ」
「へ~。大変そうだね」
「他人事のように言っているが、裕真が担当するんじゃないのか?」
「え? そんな話、聞いてないよ?」

 監視員になるなら錬金術師じゃなく、戦闘能力を持った探索者であるべきだ。

 そうじゃないと不審者を捕まえられないからね。

 だから4級辺りの探索者が派遣されると思っていたんだけど……。

「連絡はいっているはずなんだが……スマホの電源入っているか?」

 ユミが充電してくれたから大丈夫なはず。

 ポケットからスマホを取り出すと、ディスプレイは真っ黒だった。寝ている間に充電が切れちゃったみたいだ。

 誠からモバイルバッテリーを借りて充電すると、しばらくして電源が入る。

 メールのアプリを立ち上げ、新着を確認する。一件来ていた。

 探索者ギルドからだ。

 内容は誠が言ったとおり、監視員に指名するとのことで、期間は不明だ。便利だから探索者の免許を取得したけど、まさか俺が選ばれるとは思わなかった。

「確かにギルドから連絡が来ていたよ」
「分かっていると思うが、拒否すれば免許剥奪だから気をつけろ」

 依頼を辞退したければどうぞ。代わりはいくらでもいる。

 そういったスタンスであるため、罰則が重いんだよね……。

 俺の肩に手をポンと乗せてから、誠は山小屋の方に行ってしまった。パーティメンバーの圭子さん、光輝さんも軽く頭を下げてから、後を追っていく。

 残ったのは、スパイクの付いた大盾を持つ信也さんだ。

「俺らはできる限り調査するが……気をつけろよ」
「忠告するぐらいなら一緒に残ってくれないかな?」
「そういう図々しい所、嫌いじゃないぜ。多少は予定を長引かせるつもりだから、俺たちがいる間に犯人が分かることを祈っていてくれ」

 最後に頼もしいことを言って、信也さんも山小屋に行ってしまった。

 残された俺はダンジョンがある方を見る。

 侵入してきたのは人工神霊を錬成した錬金術師だろうか。もしそうなら、意見交換会ができるので今回の仕事も悪くはないと思える。

「しばらくは山ごもりか~~」

 言葉に出してみたら、意外と悪くないんじゃないかと思い始めた。静かだから錬金術に専念できるし、ユミも昆虫と交流できて嬉しい。必要な物はさくっと買ってこれるし、不便は感じない。

 今度は振り返り、山小屋の方を見る。

 屋根にクロちゃんがいた。糸が地面に向かって放射状に広がっている。

 蜘蛛の糸に触れると振動で獲物が引っかかったとわかるらしいから、警戒網を敷いてくれたのだろう。俺を見る目は気になるけど、ユミに懐いているし、役に立つ魔物だ。

 手を振って、ありがとうの合図を送ると、クロちゃんは前足を上げて応えてくれた。

 知能が高いね!?

 魔物って賢かったんだ。出会ったら即退治していたから、初めて知ったよ。

「近くに敵がいるかもしれないから、監視よろしく~」

 言葉が通じるかは分からないけど、仲間なので連絡事項は伝えておくと、今度は両腕を振って任せろみたいな合図を送ってくれた。

 頼もしい仲間だ。

 害虫駆除もしてくれるし、ユミのサポート役としては十分だろう。

 クロちゃんは高かったからクレジットカードで買ったんだけど、支払いは大丈夫かな。ダメだったら知晴さんに泣きつこう。なんとかしてくれるはずだ。

 交換条件としてレシピの提出を求められるかもしれないけど、俺は錬金術の研究さえできればいいので喜んで応じる。

 実質タダでお金が引っ張ってこれるなら最高だよね。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。 彼はその日から探索者――シーカーを目指した。 そして遂に訪れた覚醒の日。 「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」 スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。 「幸運の強化って……」 幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。 そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。 そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。 だが彼は知らない。 ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。 しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。 これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

処理中です...