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第53話 放置ダンジョンの調査結果
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岩の鎧を砕く作業の途中で、ユミが声をかけてきたので昼食を取った。
おにぎりは鮭と昆布、味噌汁の具は大根だった。自生していたからなのか、大根は少し辛めだったけど、しっかりと熱が通っていて柔らかく、食べやすい。
すぐに昼食が終わったので、俺は作業を再開した。
ユミは畑の手入れだ。昆虫を避難させつつ雑草を抜いて、小さな石を畑から排除している。また独特のオリジナル歌を口ずさんでいて、楽しそうだ。作業は順調で、俺が手伝わなくても今日中に整地は終わりそう。
クロちゃんは簀巻きにしたインセクトイーターを木にぶら下げ、一匹目を食べていた。糸にくるまれているので中身は見えないけど、ドロドロになった肉をジュースのように飲んでいるんじゃないかな。一日に必要な食事量は不明だけど、しばらく困らないだろう。
こうして俺たちはのんびりと作業を続け、夕方近くになると誠が帰ってきた。
髪をキッチリ分けていてスーツは汚れていない。出て行く前と変わらない姿から、トラブルは起こらなかったのと同時に成果は得られなかったとわかる。
「お帰り。空振りだったみたいだね」
「まあな。魔物の種類は変わらず、数だけが増えて面倒だった」
探索者ギルドからもらった資料には、放置ダンジョンの情報も含まれていた。
東京ダンジョンとは違って、自然フィールド型となっていて地下なのに、擬似的な青空がある平原らしい。広大が故に全域は調べ切れておらず、地下2階へ向かう階段すら未発見らしい。
現在判明している魔物は狼、トレント、鳥といったのがメインだ。沼地にはカエルなどの両生類も出るらしい。探索者から聞いた話では、非常に強いとのこと。
魔物の素材は錬金術に使えず、また武具の素材としては超低品質で、市販で売られているプロテクターの方が優秀なぐらいだ。戦っても魔石代ぐらいしか稼げないクセに、山奥という辺鄙な場所にある。
うん、誰も来たがらない。放置されるべくして生まれたダンジョンだ。
「そっちはどうだった?」
「インセクトイーターが二匹、ダンジョンから出ていたから討伐したよ」
「密猟者か」
「多分ね」
階層移動して脱走なんてことはあり得ない。誠はそう思っているんだろうし、俺も同意見だ。
今回ばかりは、特別な事情である可能性は低いだろう。
「誠はこれからどうするつもり?」
「泊まりがけで、未開拓エリアを調査する予定だ。ポーションと携帯食料、水を用意してくれないか?」
「お、気合い入っているね。すぐに用意するから待っていて」
誠は山小屋のダイニングに入ってもらい、俺はマジックバッグから回復、マナ、解毒ポーションを20本ずつ取り出す。さらに、盗んだドラゴンの鱗から作った肉体強化ポーションも2つほどテーブルに置いた。
「肉体強化ポーションは、使わなかったら返してね」
「わかった。いざというときのお守りにさせてもらうよ」
貴重なものだからね。本当に頼んだよ。
錬金術系の道具はこの程度にして、今度はマジックバッグから探索者用のレーションを取り出す。軍事用と似ていて真空パックの中には、ハンバーグやカレー、丼物も入っている。温めれば美味しく食べられるだろう。
レーションは結構高いけど、今回は経費がギルド持ちなので遠慮なく購入している。
後は探索者バーを30本ほど取り出した。これは安くてマズいんだけど栄養満点なので、最終手段として残しておくことが多い。
後は水だ。これがかさばる。誠たちは水筒を持っているので、補給用に2Lペットボトルを数十本テーブルに置いた。数本はスポーツドリンクにしているので、汗をかきすぎたときに飲んでもらえればと思っている。他にも塩タブレットも用意してあるので、熱中症対策としても十分だろう。
「ダンジョン内に水場はあった?」
「地図によると、未開拓エリア一歩手前に沼地はあるらしい」
「だったら、これが使えるから持って行きなよ」
置いたのは半円の白い錠剤だ。
誠は見たことがないみたいで、怪訝な顔をしている。
「薬か?」
「うん。ダンジョンの水を飲用量にできる浄化薬だよ」
ダンジョンの水には寄生虫の他、エーテルが含まれすぎているので、人体に害がある。飲んで腹を壊しただけならマシな方で、体の一部が壊死する場合もあるのだ。
だから数年前までダンジョン内の飲むなと言われていたんだけど、ばーちゃんが開発した浄化薬の登場によって状況は一変した。
水筒にダンジョンの水と浄化薬を入れれば、飲料用に使えるのだ。
どんなに濁っていても澄んだ水になり、エーテルや寄生虫は消えるほどの便利品である。
最大のネックはレシピが公開されてないため、非常に貴重なことだろうか。俺は弟子だから教えてもらえたけど、一般の錬金術師は錬成できない。
ばーちゃんは過去、ギルドに対して不義理を働かれたため、一切のレシピは公開しない方針らしいんだよね。
「これが噂の浄化薬か……確か湖に投げて入れても効果があるんだよな?」
「大きさ次第だけどね。小さい場所なら一個で十分で、少し大きめなところだと五個ぐらい投げ込めば大丈夫だよ」
マジックバッグから、浄化薬が50個入った瓶を取り出してテーブルに置いた。
「これで準備は十分かな?」
「思っていた以上の物だ。助かるよ。これなら地図を大きく更新できるぞ」
「それはよかった。貴重な素材が見つかったら教えてね~」
「ああ! 期待しててくれ!」
荷物を受け取った誠は、休むことなくダンジョンへ戻ってしまった。
一日ぐらい休めばいいのに。タフだよなぁ。
おにぎりは鮭と昆布、味噌汁の具は大根だった。自生していたからなのか、大根は少し辛めだったけど、しっかりと熱が通っていて柔らかく、食べやすい。
すぐに昼食が終わったので、俺は作業を再開した。
ユミは畑の手入れだ。昆虫を避難させつつ雑草を抜いて、小さな石を畑から排除している。また独特のオリジナル歌を口ずさんでいて、楽しそうだ。作業は順調で、俺が手伝わなくても今日中に整地は終わりそう。
クロちゃんは簀巻きにしたインセクトイーターを木にぶら下げ、一匹目を食べていた。糸にくるまれているので中身は見えないけど、ドロドロになった肉をジュースのように飲んでいるんじゃないかな。一日に必要な食事量は不明だけど、しばらく困らないだろう。
こうして俺たちはのんびりと作業を続け、夕方近くになると誠が帰ってきた。
髪をキッチリ分けていてスーツは汚れていない。出て行く前と変わらない姿から、トラブルは起こらなかったのと同時に成果は得られなかったとわかる。
「お帰り。空振りだったみたいだね」
「まあな。魔物の種類は変わらず、数だけが増えて面倒だった」
探索者ギルドからもらった資料には、放置ダンジョンの情報も含まれていた。
東京ダンジョンとは違って、自然フィールド型となっていて地下なのに、擬似的な青空がある平原らしい。広大が故に全域は調べ切れておらず、地下2階へ向かう階段すら未発見らしい。
現在判明している魔物は狼、トレント、鳥といったのがメインだ。沼地にはカエルなどの両生類も出るらしい。探索者から聞いた話では、非常に強いとのこと。
魔物の素材は錬金術に使えず、また武具の素材としては超低品質で、市販で売られているプロテクターの方が優秀なぐらいだ。戦っても魔石代ぐらいしか稼げないクセに、山奥という辺鄙な場所にある。
うん、誰も来たがらない。放置されるべくして生まれたダンジョンだ。
「そっちはどうだった?」
「インセクトイーターが二匹、ダンジョンから出ていたから討伐したよ」
「密猟者か」
「多分ね」
階層移動して脱走なんてことはあり得ない。誠はそう思っているんだろうし、俺も同意見だ。
今回ばかりは、特別な事情である可能性は低いだろう。
「誠はこれからどうするつもり?」
「泊まりがけで、未開拓エリアを調査する予定だ。ポーションと携帯食料、水を用意してくれないか?」
「お、気合い入っているね。すぐに用意するから待っていて」
誠は山小屋のダイニングに入ってもらい、俺はマジックバッグから回復、マナ、解毒ポーションを20本ずつ取り出す。さらに、盗んだドラゴンの鱗から作った肉体強化ポーションも2つほどテーブルに置いた。
「肉体強化ポーションは、使わなかったら返してね」
「わかった。いざというときのお守りにさせてもらうよ」
貴重なものだからね。本当に頼んだよ。
錬金術系の道具はこの程度にして、今度はマジックバッグから探索者用のレーションを取り出す。軍事用と似ていて真空パックの中には、ハンバーグやカレー、丼物も入っている。温めれば美味しく食べられるだろう。
レーションは結構高いけど、今回は経費がギルド持ちなので遠慮なく購入している。
後は探索者バーを30本ほど取り出した。これは安くてマズいんだけど栄養満点なので、最終手段として残しておくことが多い。
後は水だ。これがかさばる。誠たちは水筒を持っているので、補給用に2Lペットボトルを数十本テーブルに置いた。数本はスポーツドリンクにしているので、汗をかきすぎたときに飲んでもらえればと思っている。他にも塩タブレットも用意してあるので、熱中症対策としても十分だろう。
「ダンジョン内に水場はあった?」
「地図によると、未開拓エリア一歩手前に沼地はあるらしい」
「だったら、これが使えるから持って行きなよ」
置いたのは半円の白い錠剤だ。
誠は見たことがないみたいで、怪訝な顔をしている。
「薬か?」
「うん。ダンジョンの水を飲用量にできる浄化薬だよ」
ダンジョンの水には寄生虫の他、エーテルが含まれすぎているので、人体に害がある。飲んで腹を壊しただけならマシな方で、体の一部が壊死する場合もあるのだ。
だから数年前までダンジョン内の飲むなと言われていたんだけど、ばーちゃんが開発した浄化薬の登場によって状況は一変した。
水筒にダンジョンの水と浄化薬を入れれば、飲料用に使えるのだ。
どんなに濁っていても澄んだ水になり、エーテルや寄生虫は消えるほどの便利品である。
最大のネックはレシピが公開されてないため、非常に貴重なことだろうか。俺は弟子だから教えてもらえたけど、一般の錬金術師は錬成できない。
ばーちゃんは過去、ギルドに対して不義理を働かれたため、一切のレシピは公開しない方針らしいんだよね。
「これが噂の浄化薬か……確か湖に投げて入れても効果があるんだよな?」
「大きさ次第だけどね。小さい場所なら一個で十分で、少し大きめなところだと五個ぐらい投げ込めば大丈夫だよ」
マジックバッグから、浄化薬が50個入った瓶を取り出してテーブルに置いた。
「これで準備は十分かな?」
「思っていた以上の物だ。助かるよ。これなら地図を大きく更新できるぞ」
「それはよかった。貴重な素材が見つかったら教えてね~」
「ああ! 期待しててくれ!」
荷物を受け取った誠は、休むことなくダンジョンへ戻ってしまった。
一日ぐらい休めばいいのに。タフだよなぁ。
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