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7 ローレンス視点
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僕はジュリエッタを妻に迎えることができて本当によかったと思っている。彼女と新しい屋敷で生活を始めて二か月が経った。自分の結婚のために建てていた屋敷だったけど、彼女が妻でなかったら、これほど充実した屋敷にはならなかっただろう。
でも、気になる点がひとつある。
ジュリエッタがなかなか心を開いてくれないことだ。
ジュリエッタはとても気遣いができる人で、僕にはそんな彼女の気遣いがよくわかる。僕も人の気持ちを気にしがちな性格なので、同じ種類の人間の匂いがするというか、そういう点でも親近感が湧く。
だからかと思うが、ジュリエッタは僕に決して甘えない。おそらく、僕がジュリエッタを好きになりすぎないようにしてくれているか、あるいは気を遣いすぎる僕をセーブしてくれているのだ。気遣いをする人間は、気遣いをする人間が痛いほどわかる。加えて、本当のところ、この性格は世間で思われているほどよいものではなく、尽くしすぎるがゆえに精神がすり減ってしまうこともよくあるのだ。
昼食会で初めて会ったときから、僕はジュリエッタに夢中になっている。赤色が好きなのも共通していて、結婚してからは赤色のドレスも着てくれた。そのドレスは僕との結婚を考えて用意してくれたものらしく、これを運命と呼ばずしてなんと呼ぶだろう。
僕は彼女のためならどんなことでもしてあげたいと思っている。
でも、彼女はいまいち気が乗っていない。僕の愛情に応えてくれない。やはりしかたないことなのだろうか。彼女は僕と望んで結婚したわけでなく、父親に言われたからやむを得なく結婚したのだろう。結婚してくれただけでもよかったと思わなければならない。
思わなければならない……そう思っていたはずだった。
でも、僕の心のなかでモヤモヤが解けない。苦しいのだ。心ここにあらずという彼女の状態は、もしかして他に好きな男がいるからなのではないか。そうだとすると、彼女は無理して妻を演じてくれていることになる。お互い貴族の家に生まれた以上、家の都合で結婚するというのは理解しているはず。ただ……僕だって……望まない人ともし結婚したとするなら、耐えられないだろう。
彼女の気持ちを一番理解しているのは……リリアンに違いない。いつも彼女のそばで仕えていて、誰よりも彼女のことを知っている。
今日こそ……リリアンに聞いてみよう。明日はウィリアム様のところへ行かなければならない。このモヤモヤを抱えたまま、旅路へつくのは……つらすぎる。
「リリアン、ちょっといいかな?」
僕は庭でゲラニウムの花壇の手入れをしていたリリアンに話しかけた。落ちつつある陽の光は初夏の土を爽やかに照らし、心地よい風が庭を抜けている。リリアンは普段話しかけない僕に話しかけられて、ビクッとしていた。
「は、はい! ローレンス様。なんでしょう?」
でも、気になる点がひとつある。
ジュリエッタがなかなか心を開いてくれないことだ。
ジュリエッタはとても気遣いができる人で、僕にはそんな彼女の気遣いがよくわかる。僕も人の気持ちを気にしがちな性格なので、同じ種類の人間の匂いがするというか、そういう点でも親近感が湧く。
だからかと思うが、ジュリエッタは僕に決して甘えない。おそらく、僕がジュリエッタを好きになりすぎないようにしてくれているか、あるいは気を遣いすぎる僕をセーブしてくれているのだ。気遣いをする人間は、気遣いをする人間が痛いほどわかる。加えて、本当のところ、この性格は世間で思われているほどよいものではなく、尽くしすぎるがゆえに精神がすり減ってしまうこともよくあるのだ。
昼食会で初めて会ったときから、僕はジュリエッタに夢中になっている。赤色が好きなのも共通していて、結婚してからは赤色のドレスも着てくれた。そのドレスは僕との結婚を考えて用意してくれたものらしく、これを運命と呼ばずしてなんと呼ぶだろう。
僕は彼女のためならどんなことでもしてあげたいと思っている。
でも、彼女はいまいち気が乗っていない。僕の愛情に応えてくれない。やはりしかたないことなのだろうか。彼女は僕と望んで結婚したわけでなく、父親に言われたからやむを得なく結婚したのだろう。結婚してくれただけでもよかったと思わなければならない。
思わなければならない……そう思っていたはずだった。
でも、僕の心のなかでモヤモヤが解けない。苦しいのだ。心ここにあらずという彼女の状態は、もしかして他に好きな男がいるからなのではないか。そうだとすると、彼女は無理して妻を演じてくれていることになる。お互い貴族の家に生まれた以上、家の都合で結婚するというのは理解しているはず。ただ……僕だって……望まない人ともし結婚したとするなら、耐えられないだろう。
彼女の気持ちを一番理解しているのは……リリアンに違いない。いつも彼女のそばで仕えていて、誰よりも彼女のことを知っている。
今日こそ……リリアンに聞いてみよう。明日はウィリアム様のところへ行かなければならない。このモヤモヤを抱えたまま、旅路へつくのは……つらすぎる。
「リリアン、ちょっといいかな?」
僕は庭でゲラニウムの花壇の手入れをしていたリリアンに話しかけた。落ちつつある陽の光は初夏の土を爽やかに照らし、心地よい風が庭を抜けている。リリアンは普段話しかけない僕に話しかけられて、ビクッとしていた。
「は、はい! ローレンス様。なんでしょう?」
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