性悪のお義母様をどうしても許せないので、ざまぁします。

Hibah

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嫁いで早々にお義母様にかまされた私は、生返事しかできませんでした。こういう未来が見えていた気もしますし、とうとう始まるのだなと。


「は、はあ……?」


いちいち言われなくても、郷に入れば郷に従えだと思っています。あえて険悪になろうなんて考えているわけないじゃないですか。

性格の悪い人って、どうして最初から突っかかってくるのでしょうか? おおよそ、小さい頃からどうしようもない子どもとして育ち、それが取り返しのつかない大人になり、化け物みたいなオバサンになった経緯があるのでしょう。生まれた家がよくても天性のゴミみたいな性格が、人間としての格を底辺に押しつぶしているようです。


「まずはこの屋敷の掃除から覚えてもらいます。次は炊事洗濯。わたしが出かけるときには身の回りの世話をしなさい」


「????」私は首を傾げました。


「文句があるわけ? 生意気な小娘ね。女というのはね、嫁いだ以上は嫁ぎ先の家のために身を粉にして働くべきなのよ。そうやって教育されなかったの? 嫌ね、最近の若い子は。甘やかされて育ってるから」


「いえ……文句というほどのことではありません。ただ、恐れながら、掃除や炊事洗濯などは使用人の仕事で、私の本分ではないと言いましょうか……。もちろん家のことなのでお手伝いはさせてもらいますが、まるで私の仕事のようにおっしゃるのは……どのようなお考えなのかなと……」


「じゃああんた、この家に来て何もしないつもりなの? オーギュストの嫁なのをいいことに、ただ飯を食らって、贅沢しようっていうの? わたしや夫は奴隷のように働けと? いいご身分ですね、呆れたわ。もし教育を受けていないなら、生まれる前からやり直してくれないとダメね」


「そんなこと言っていません! 決めつけないでください!」


「ふんっ……どうだか。ま、あんたがこれからこの家で何をするのか、細かく見させていただきますからね。それがオーギュストの母としてのわたしの務め。あの子のお嫁さんになるんだから、ちゃらんぽらんな嫁では困るのよ。はーあ、めんどくさい。嫁の教育なんて本当はしたくないんだから」


こうして私はオーギュスト様の家の家事も担うようになりました。毎日毎日、私の仕事をお義母様に監視され、小言を言われます。私の受け持ちじゃないような場所の埃まで「掃除できていないじゃない?」と指摘され、何度ぶん殴ってやろうと思ったかしれません。

もちろん、オーギュスト様に相談したこともあります。しかしオーギュスト様は「母上は昔からああいう性格だから……ごめんね」と謝るばかりです。


「お義母様が……個性の強い性格であることはわかっています。ただ、たまにはあなたが私の味方をしてくれませんか。たまにでいいんです。私たちはもう夫婦ですよね? お義母様に責められ続けていると、頭がどうかしてしまいそうです」


「そう言われてもね……。僕だって母上が苦手なんだ。僕たちの屋敷ができるまでの辛抱だから、なんとかうまくやり過ごしてよ。新居が建てば、自由に暮らしていいからね」


「そんな先のことなんて考えられません! 今が限界なんです。私のこと、お嫌いですか? 私よりお義母様が大切ですか?」


「アンナ……君のことも大切に決まってるじゃないか。どっちが好きかなんて、比較できない。僕は母上も君も……傷つけたくない」


結婚してみてわかりましたが、オーギュスト様は温厚というより気弱なのです。気弱で他人に対して意見することもできないから、”温厚”だと思われるだけ。いざというときに必要な指摘をする勇気のない男に”優しい”とか”温厚”とか言っても、その言葉たちが泣くように思います。穏やかな気質を示す言葉は、臆病の裏返しではなく、鋭利な刃物を収める鞘であってほしい……。



   ***



耐え忍ぶ結婚生活が続いていましたが、そんな日々も終わりに近づきます。やっと夫婦の屋敷を建てる土地が見つかったのです! 引っ越しの見通しが立ったとき、私は背負っていた荷物の9割くらいがなくなったような気がしました。それくらい心が軽くなったのです。暗闇の中の苦しみというのが一番辛くて、ひとすじの光さえ差せば、同じ量の困難でも違って感じるのだと学びました。




さて、いよいよ引っ越しが来月に迫ったある日のこと。

お義母様は庭で掃除をしていた私に近づいてきて、甲高い声で言いました。

「来週、お花のコンテストがあるから、あんたは晩餐の準備をしなさい。盛大にね。またわたしが一番になるに決まってる……いや、一番じゃなきゃダメなのよ!」
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