【完結】初恋は檸檬の味 ―後輩と臆病な僕の、恋の記録―

夢鴉

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三章 少年共、夏を謳歌せよ

三十四話 夢 ※甘利視点<抜けていた為、追加しました。9/30>

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 熱で茹る中、俺は夢を見ていた。

 熱いグラウンド。広々としたそこは、春先輩と初めて会った競技場だった。
(またここ……)
 もう何度も繰り返し見て来たグラウンド。物の配置なんてとっくに覚えていて、空気も色も、全部覚えていた。だからだろうか。
(今日は、日差しが強い)
 まるで全身を焼くような陽射しの中、俺は目を細めて空を見上げる。どこまでも高い空は太陽のせいか真っ白に染まっていて、よく見えない。

 俺は視線を下げ、自分の身体を見る。ズキズキと足が痛むが、以前のように血は出ていない。
(いつもの夢なら足から血が出てて、先輩が心配してくれるのに)
 これじゃあ先輩が来てくれないじゃないか。

 ズキズキと体が痛む。でもそれは目に見えるものじゃない。まるで成長痛みたいで、だからこそ先輩には気づかれない。
(気づいてもらえないと、話しかけても貰えない)
 俺はベンチに座り込み、足を抱えた。ズキズキと痛む膝や脹脛に、眉を寄せた。

「……痛い」

 痛い。熱い。体が焼けそうだ。喉も、目も、全部焼けて、落ちてしまいそうだ。
(助けて、先輩――)

「お前、こんなところでなにしてんの?」
「……先輩?」

 待ち望んでいた声に、俺はゆっくりと顔を上げた。
 帽子を被った春先輩が驚いたように俺を見下げている。

「先輩こそ、何して……」
「お前が蹲ってるから、声かけたんだけど。つーかお前大丈夫か? すげー顔色悪いけど」

 先輩の手が俺の頬に触れる。
 冷たくて気持ちのいい手に、俺は無意識にほっと息を吐いた。

「大丈夫、です」
「ばーか。そんな顔して言われても信じられるかよ」

 先輩の手が今度は俺の頭を撫でる。くしゃくしゃと髪を掻き乱すように撫でる手は、いつもより少しだけ優しい気がする。
(あ、頭の痛みが無くなった……)
 先輩が撫でてくれたからだろうか。それとも、気が逸れただけ?
(……どっちでもいい。先輩が一緒に居るなら)

 俺は手を伸ばして、先輩の手を取った。
 冷たい体温に、俺は縋るように力を込める。「こら、いてーっつーの」と笑う春先輩に、ドキリと心臓が高鳴る。
(……今も、あの時も)
 先輩はいつだって俺を助けてくれる。優しくしてくれる。一緒に、いてくれる。
 それがどれだけ嬉しい事なのか、先輩はきっとわかっていないんだろうな。

 先輩は俺の隣に腰を下ろすと、俺の頭にかぶっていた帽子を乗せた。
「少しは日よけになるだろ」と言われ、俺は小さく頷く。

「なぁ、甘利」
「はい」
「お粥、美味かったか?」
「はい。すごく」
「そっか」

「よかった」と先輩が笑う。太陽の光が先輩の後ろで輝いていて……眩しい。

「先輩」
「んー?」
「体熱いです」
「だろうなー」
「膝とか、足の筋肉が痛くて」
「うん」
「頭も、痛かったです」

「そっか」と先輩が呟く。

「でも、先輩が撫でてくれて、そしたら治りました」
「ははっ、なんだそれ。俺の手って治癒の力とかあったっけ? ゲームみたいに」
「あると思います」
「ははっ! 真面目な顔で何言ってんだよ」

(本当に、俺は痛くなくなったのに)
 信じてくれない先輩にやきもきする。でも、腹を抱えておかしそうに笑う先輩の笑顔に、だんだんどうでもよくなってきてしまう。

「先輩」
「今度は何?」
「好きです」

 先輩は目を見開く。
 笑い過ぎて浮かんだ涙が、先輩の指の上で光っていた。

「……ああ。知ってる」
「好きです、先輩」
「だから知ってるって」

 くすくすと笑う先輩。いつもより控えめで、穏やかな笑顔に俺は『そんな顔もすのか』と心臓が握りしめられた。まあ、俺の夢の中だから、本当はどうなのかわからないけど。
(どうせ夢なら、「俺も」って返してくれればいいのに)
 それをしないところが春先輩らしいと思いつつも、やっぱり足りない。もっと欲しいと思ってしまう。
(こんなに欲張りじゃ、先輩にいつ愛想尽かされても何も言えないな……)

「先輩……春先輩」
「んー?」
「抱きしめても、いいですか?」

 俺は先輩を正面から見た。先輩は少し考える素振りをすると、「暑いから、駄目」と笑った。

「ダメですか」
「駄目でーす」
「なんでですか」
「だってお前、熱出してあちーんだもん」
「下げますから」
「ばーか。すぐに出来ないことは言うもんじゃねーよ」

 ピン、と先輩の指先で額を弾かれる。俺はむっと口を尖らせた。
(もっとくっつきたいだけなのに)
 どうせ目が覚めたら現実に戻ってしまう。俺なんか眼中にない先輩に戻ってしまう。
 なら、寝ている間だけでも先輩が俺の都合がいいように動いてくれればいいのに、と思う反面、そんなことをされたら起きた時に罪悪感と絶望感に襲われてしまうのではないかと不安が過る。
(でも、少しくらい……)

 俺も、先輩に愛されてみたい。
 ――先輩の、気持ちが欲しい。


「ちょ、甘利ッ!?」

 繋いでいた手を強く引き寄せる。先輩の身体が俺にぶつかる。
 瞬間、全身に痛みが走った。俺はぐっと歯を噛み締めると、春先輩の身体を掻き抱く。

「おいこら! 甘利!」
「先輩。さっきので体が余計に痛くなりました」
「はあ!? んなの自業自得だろ!」
「はい。でも、先輩が触ってくれたら治るかもしれません。さっきの頭痛みたいに」
「なっ……!?」

 ぼっと先輩の耳が赤くなる。
(かわいい……)
 ぎゅうっと抱きしめれば、先輩の小さな唸り声が聞こえる。体を蝕んでいた痛みがじわじわとなくなっていくのを感じる。
(やっぱり、先輩に触ってると痛みが消えてく)
 安心もするし、癒されもする。先輩セラピーは俺にとってかなり有効だ。

「おいっ、甘利お前っ」
「先輩、これ以上暴れたらキスしちゃいますよ」
「うっ」

 先輩は暴れるのを止めた。力なく垂れる先輩の手が、俺の裾を小さく掴んだ。
(そんなにされたくないのか)
 ちょっとがっかりする反面、大人しく身を預けてくれるのは嬉しい。先輩の頭を撫でれば、「撫でんなっ」と恥じらった声で言われた。

「っ、絶対に、あとで怒るっ」
「はい」
「本当にわかってんのかよ」
「わかってますよ」

 俺はにやけそうになる口元を必死に結んだ。気を抜いたらとんでもない顔を先輩に見せることになってしまう。それは夢の中だとしても嫌だった。
(先輩、かわいい)
 先輩を抱き締めていると、熱さも痛みも、全部忘れそうになる。
 実際は全部痛いし、熱だって体に籠ったまま抜けないけど。それでも先輩がいると思うと気持ちが楽になる。
(……ずっと、こうして居られればいいのに)

 出来ないことはわかっているけれど、それでも願ってしまう。
 俺が付きまとうことで、先輩を困らせるのはわかっている。それでも、期待することを止められない。先輩を好きだと言わずにはいられない。
(先輩の一番になりたい。先輩の一番近くに居たい)

 楽しそうな顔も、嬉しそうな顔も、怒った顔も、泣きそうな顔も。
 自分が一番多く見ていたい。知っていたい。分かち合いたい。

「先輩、好きです」
「わ、かってるって」
「好きなんです」

 何度言っても足りない。もっと、もっと先輩に伝えたい。
(でも、きっと俺の気持ちは重いんだろうな)
 だから、先輩が絶対に潰れてしまわないように、少しずつ、少しずつ分け与えて。
(……絶対に、逃したくない)
 先輩の首元に鼻先を埋める。大きく息を吸い込めば、太陽のような香りがした。ツンと鼻の奥が痛む。悲しくないのに、何だか泣きそうだった。


「先輩……俺、先輩とずっとこうしていたいです」

 じりじりと焼けるような熱が、先輩に触れていないところを焦がしていく。
 それが鬱陶しくて、先輩を抱き締める腕に力を込めた。

 俺の言葉に、先輩は何も返さなかった。
 それが先輩らしいと思う反面、俺はもどかしくてたまらなかった。
 静かな時間。先輩と、俺だけの空間。きっと心の距離はそんなに遠くは無くて、でも近くもない、もどかしい距離。


「……なあ、甘利」
「はい」
「お前さ、こんな奴に捕まってないで、逃げるなら早く逃げろよ?」
「え?」

 先輩の顔を見る。泣きそうな顔で笑みを浮かべる先輩に、俺はドクリと心臓が脈を打った。嫌な音だ。

「どういうことですか。先輩」
「甘利」
「先輩っ」
「ごめんな」

 ――――待って、春先輩!!







「ッ……!」

 勢いよく起き上がる。は、は、と息を切らせて周囲を見回した。
(俺の、部屋……?)
 ぼうっとする頭がだんだんクリアになり、視界が開けていく。
(ああ、そうか……俺、寝てたのか)

 ゆっくりと体を起こせば、重かった体が随分軽くなっているのを感じる。寝ている間、下にしていた肩を回して解せば、血流が一気に流れていった。
(なんだろう、すごい嫌な夢を見たような気もするんだけど)
 幸せな夢だった気もする。どっちだっけ、と記憶を探るが、思い出せなかった。

「……まあいいか」と俺はベッドを出ようと布団を捲った。――瞬間、見えた光景に心臓が飛び出しかけた。

「せんぱ……っ!?」

 声を上げかけて、咄嗟に口を押える。
 バクバクと心臓がうるさい。何かの見間違いかと周囲を見回してみるが、間違いなくここは俺の部屋で、ここは俺のベッドの上だ。
(な、なんでここに、春先輩が……?)

 ――待て。待て待て待て。
 一旦、一旦整理をしよう。
(えっと、確か俺は夢を見ていて……)
 ああそうだ。そこに先輩も来てくれたんだ。
 優しく声をかけてくれて、けど遠い距離が切なくて。つい抱きしめたらいつも通り怒られたけど、最後には甘えるように服の裾を掴んでくれて――――って違う! そうじゃない!
(ハッ! もしかして、ここは夢……?)

 俺は頬を抓った。痛い。すごく痛い。
 あとなんかパリパリしたものが額に張り付いているし、いつの間にかマスクまでしていた。半分外れかけてるけど。
 マスクを外し、額に触れれば、むにゅっと嫌な感触が指越しに伝わる。『気持ち悪い』と眉をしかめて、俺は手探りでそれを剥がした。

「熱さまシート……?」

 それはカラカラに乾ききった熱さまシートだった。
(なんでこんなもの……)
 ふと時間を見れば、時計は九時を示していた。
(そんなに寝てない……?)

 起きた時は確か、六時くらいだったと思う。
 それから母さんが送ってくれた浴衣を段ボールから取り出して、袋に入っていたのを開けてベッドに並べて。
(そうだ、浴衣)
 浴衣を着せるための動画を見て、先輩との約束の時間になったから外に……――。

(あ、ああ。そうだ。そうだった)
 俺、熱を出していたんだっけ。立ち上がったらフラフラするからなんだと思ったら、歩いている間に世界がグルグルと回り出して大変だったんだ。
 なんとか先輩を迎えに行って、そしたら先輩が血相を変えて俺の手を引っ張って

「……俺、先輩に迷惑かけてしまったんですね」

 俺は静かに眠る先輩を見下げる。
 穏やかな顔にはマスクが引っ掛かっている。寝ている間に乱れたのだろう。ほとんど付けている意味がなさそうだ。
(抱きしめたら、怒られるだろうか)
 先輩の髪を指に引っ掛ける。さらりと落ちていく色素の薄い髪は、俺とは全然違う。そこもすごく可愛らしい。


 結局なんで先輩がここにいるのかはわからないけれど、記憶を追っていくごとに先輩が部屋まで連れて来てくれたり、お粥を作ってくれたりしたことを思い出した。
(シートも確か先輩が張ってくれたんだった)
 俺は熱さまシートを綺麗に畳むと、先輩を避けてベッドを抜け出した。……正直、先輩とベッドの組み合わせは、見ていて目に毒だった。このまま見ていたらどうにかしてやりたくなってしまうくらいには。

 俺は先輩にかけ布団をかけてやる。心地よく寝息を立てる先輩は、いつもの可愛さに拍車をかけて可愛い。
(先輩が、俺のベッドに寝てる)
 その事実に心が歓喜に震える。ヤバい。夢だと思っていた光景が本当は現実で、何なら現実よりもすごいシチュエーションになっていたなんて、頭が爆発しそうだ。

 俺は伸ばしかけた手を引っ込め、部屋の中を見渡す。
 薬と熱さまシートの残りが机に置かれている。ノートは綺麗に避けられ、汚れている様子もない。

 ふと、良い匂いがして視線を向ける。匂いの元の袋を覗き見れば、中に透明のパックに入ったたこ焼きが入っていた。

「たこ焼き?」
「ん……何だ、甘利。起きたのか?」
「!」

 ビクッと肩を震わせ、振り返る。
 目を擦りながら起き上がった春先輩が、のっそりと起き上がる。

「は、春先輩、すみません。起こしましたか?」
「んーん。ちょっと、うとうとしてただけだから、気にすんな」

 先輩はそういうと、布団から抜け出した。
 俺の前に来ると、じっと俺を見上げる。緊張に体を強張らせていれば、先輩の手が俺の額に触れた。

「ん。熱は下がったみてーだな」
「あ、はい。すみません……その、ご迷惑おかけしてしまって」
「別にいーけど、体調悪いなら起きた時にでもちゃんと連絡しろよなー。来てびっくりしたんだから」
「は、はい」

「すみません」と口にすれば、「謝んな」と頭を撫でられた。
(夢の時より、雑だ)
 でも、先輩らしくて好きだ。
 俺は口走りそうになる気持ちを飲み込んだ。此処は夢じゃない。
 夢じゃないから、好き勝手言ったら先輩を困らせてしまう。
(それは、ダメだ)

「つーか、早速食い気かよ」
「へ?」
「これ」

 先輩が俺の手元を指差した。

「先輩、祭りに行けたんですか?」
「んや。これは秋人と夏生からの差し入れだよ」
「え?」
「お前が楽しみにしてたって言ったら、買ってきてくれたんだよ」

 先輩は嬉しそうに笑った。
(雲井先輩と、木葉先輩が……)
 俺は内心申し訳ない気持ちになりつつ、たこ焼きを見た。「食うか?」と言われ、こくりと頷く。

「んじゃ、あっためて来るわ」
「あ、それくらい俺が――」
「病人は大人しく座っとけ」
「でも……」
「キッチンの場所なら教えてもらったから大丈夫だって」

「ついでに熱計っとけよ」と言われ、俺は頷くしかなかった。
 先輩が袋を手に、部屋を出て行く。
(先輩、いつの間に寮のこと、知ったんだろう)
 誰かに案内してもらったのかな。……俺が案内したかったのに。

「……熱、計ろう」

 俺は机の上に置かれた体温計を手に取って、脇に差した。熱を計っている間、ぼうっと窓の外を見つめる。
(外、暗くなり始めてる)
 そういえば、部屋はいつの間にか電機が付けられていた。これも先輩がやってくれたのだろうか。
(先輩は……祭り、行けなかったんだよな)
 きっと……いや、絶対俺のせいだ。
 俺が熱を出して、優しい先輩は放っておけなかったんだ。きっと。

「っ、優しすぎますって、本当……」

 俺は大きく息を吐き出した。
 ……先輩が優しいと、期待してしまいそうになる。
 先輩はそんな気はないってわかっているのに。

 再び落ちそうになる思考を、体温計の音が遮った。表示された体温は三十七度五分。
(微熱)
 そりゃあ体が軽くなるわけだ。
 体温計を戻して居れば、ガチャリと扉が開く。

「お待たせー。熱計ったか?」
「あ、はい。三十七度五分でした」
「おお、随分下がったな。よかったよかった」

 そう言いながら、先輩は温めたたこ焼きを俺に手渡してくれる。それを受け取り、先輩と並んでベッドに腰かけた。
「熱いから気を付けろよ」と言われ、頷く。封を開ければ、さっきまでは控えめだったソースの良い匂いが一気に部屋中に広がった。
 ぐぅぅううう、と腹の虫が声を上げる。

「ふはっ! 今の音、動物の鳴き声みてぇ」
「っ、笑わないでくださいっ」
「いやぁ、元気そうで本当よかったわー」

 あははは、と笑いながら背中を叩かれる。容赦のない力に、俺の身体は衝撃に前後に揺れる。

「痛いです、先輩」
「悪い悪い」

 悪びれもせず笑う先輩に、俺は眉を寄せる。
(く……先輩が、可愛い)
 たこ焼きを頬張りながら、俺は横目で先輩を盗み見る。
 恥ずかしがり屋ですぐに手が出るところも可愛いし、容赦がないところも好きだ。落ち着かないのか、喋り倒しているところも可愛い。
(好きだ)
 好き。好きだ。きっと、前よりもずっと。

「……あー、甘利?」
「はい」
「ちょーっと視線が痛ぇなーなんて……」

 ちらっと向けられる視線。戸惑いがちに向けられるそれは、まるで小動物が飼い主に伺いを立てているようで。
(抱きしめたい)
 俺は込み上げて来る感情を必死に押さえつけた。

「す、すみません」
「いや、別に……」
「……」
「……」

 沈黙が落ちる。
 先輩はもぐもぐと咀嚼しながらも、気まずそうに視線を彷徨わせていた。その頬が僅かに赤く染まっている。

「……先輩は、どうしてあそこで寝ていたんですか?」
「へっ?」
「起きた時、俺、先輩のこと抱きしめていた? みたいなので」

 俺は先輩を見る。
 先輩がいる理由も、自分が寝ていた理由もわかった。しかし、先輩が一緒に寝てくれていた理由は未だにわからない。
 俺は隣に寝ていた先輩の顔を思い出す。
(やっぱり、俺が引っ張り込んだのか?)
 そうだったとしたら申し訳ない。謝りたいと思う。ちらりと先輩を見れば、みるみるうちに赤くなっていく頬。キッとつり上がった目が、俺を睨みつけた。

「っ、おっまえがッ!! 悪いんだからなッ!!!」
「えっ!?」

 先輩の指が突き付けられる。
 プルプルと怒りに震える先輩は、まさに威嚇する小動物のようで。

「先輩、好きです」
「はあ!? 今そんなこと言える状況かッ!? 空気読めッ! 馬鹿ッ!」
「キレた先輩も可愛いです」
「話聞けッ!」

 両頬を先輩に摘ままれる。俺は痛みに悶えながらも、にやけるのを止められなかった。

「コイツ、頬っぺた引っ張られながら笑ってやがる……! キモ……ッ!?」
「それは流石に傷つきます、先輩」
「あ、悪い」
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