関白の息子!

アイム

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天下人

神算鬼謀の士(エロ度☆☆☆☆☆)

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「黒田如水にございます。本日よりこの大阪に住まわせていただきます」

 如水が平伏したままで声を張る。
 父上の覇業を支えた名軍師。

「よく来てくれた。これからよろしく頼むぞ!」

「・・・・・・はて、某は何をすればよろしいのでしょう?」

「何を言っている。俺の相談役といっただろう?」

「ふむ、しかし既に日の本は統一されております。また明を目指すおつもりか? それとも蝦夷を?」

 成る程、目指すところを示さなければならぬと言うのか。
 だが、俺は欲深い。
 答えは・・・・・・。

「どちらもだ」

 ほとんど間を置けずに俺が答えると如水は眉をピクリと上げ、一拍間を空けてから答える。

「・・・・・・蝦夷はどうとでもなりましょうが、明は無理でしょうな」

「戦力、か?」

「いいえ」

 戦力ではない?
 ・・・・・・もしかして。

「如水は国内の問題のことを言っているのか?」

「はっ! 朝鮮での大名同士の仲違い。恐らくこのままでは終わりますまい」

 それは前世の知識からも知っている。

「・・・・・・如水。どう考える?」

「福島殿や加藤殿が石田殿を討つ、でしょうな」

 やはり石田三成襲撃事件、か。
 慶長の役が無くなっても、文禄の役で既に両者の関係は最悪だ。
 そもそもが考え方も違い過ぎる。

「前田殿が今は取り持ってくださっていますが、どうやら病を患われている様子。残念ながら長くはないのかもしれませぬ。そうなった時、頼れるのは徳川だけでございましょう」

「・・・・・・如水。どうすれば良い?」

 早速如水に助言を求める。

「フム。先ず、殿はどうしたいのかをお教えください」

「これからまた戦が始まるのだ。仲間内で争ってなどいられぬだろう?」

「仲間、ですか。共通の敵として明を立てるのは構いませぬ。ですが、相手が明なら前回の記憶が蘇って参りましょう。対峙を早めるだけにございます」

 そう、慶長の役は明征伐の前哨戦でしかなかったのだから・・・・・・。

「・・・・・・まずは先の朝鮮の戦功の見直しから、だな」

「それがよろしいかと存じます」

「如水も朝鮮に行っていたな? 一体何があったのだ?」

「下らぬことでございます。そもそもあの戦の始まりからして・・・・・・」

 確かに文禄・慶長の役は交渉を担当した両陣営の者達が事実を捻じ曲げて伝えたがために起こったともいえる。
 更に偏った戦功の評価が、大名達にシコリを残した。

「如水、皆を集めよ。全員から話を聞きたい」

「おやめになった方が良いでしょうな」

「・・・・・・なに?」

「恐れながら申し上げます。今の殿には誰も心から臣従しておりませぬ」

「はっきり言うな」

 いっそ心地良いくらいにずばりと言われてしまった。

 清正や正則達が三成を嫌うのは戦働きの有無が大きい。
 命を懸け、豊臣家のために戦場に立ち続けた武断派の武将達からすれば、口先だけで三成が大名になったように見えるのだろう。

 そこを言うと、俺は何もしないで天下人。
 しかもまだ7歳。
 幾ら父上への恩が在ろうと、皆含むところがあるはずだ。

「如水、どうすれば皆が臣従すると思う?」

「ふむ。先ず、殿はまだ子供です。これはどうしようもございません。力を示そうにも無理。結局は知恵では諸将が納得せぬでしょう。某の入れ知恵と思うでしょうしな」

「では?」

 如水の言葉を素直に受け入れ、その上で先を促す。

「・・・・・・いっそ暴発させてしまうと言うのはいかがでしょう? そしてそれを殿が見事に収めて見せ、度量を示すのでございます」

「だとすれば先ずは情報が重要だな。桜!」

 一声かけると、さっきまで誰もいなかったところに霞のように桜が現れる。

「伊賀の忍びで使える者を10人ほど連れて来い」

「ははっ!」

 そう言うとまた霞のように消え去る。
 一体どうやっているのやら。

「・・・・・・忍、ですか。驚きましたな」

 如水の方もその鮮やかな技に驚嘆していた。

 まぁ、これも父上のおかげだが・・・・・・
 しかもどちらかというとエロ目的だし。

「如水、情報は力だろう?」

「仰る通りです。ですがそれだけでは意味を成しませぬ」

「何時それが起きるかはこれで測れる。場所は恐らく、聚楽第だろうか?」

「そうでしょうな城を攻めるわけには参りませんから。襲撃は聚楽第の石田殿の別邸にて行われるでしょう。主犯は加藤殿、かと。明との講和の際のいざこざを考えればもっとも石田殿を憎んでいるでしょうからな」

 小西行長や石田三成等のもともと開戦に反対していた将達が、父上の出した講話の条件7カ条を捻じ曲げたまま交渉を進めたのだ。
 その動きに気付いた清正が7カ条を絶対の条件として別ルートで交渉を行った。
 これにより自分達の交渉の邪魔をしたと父上に告げ口をし、朝鮮にいた清正が父上に呼び戻されるという事態に至った。
 
「・・・・・・でも、そもそも父上の言葉を曲げた行長や三成に問題がある。俺はそう思う」

「それも確かにその通り。ですが、戦を止める必要もあったのです」

「どういうことだ?」

 朝鮮では押せ押せムードだったはずだ。
 兵糧の問題などが浮き彫りになりつつあったのは知っているが、講和の時点では特に大きな問題は無かったはずだ。

「朝鮮では戦勝を重ねておりましたが、現地の民の抵抗により戦線の維持が困難になっていました」

「如水、また攻めても同じことになるのか?」

「恐らくは」

 そうなっては至る所に兵を配す必要が出て来て、どれだけの兵が必要になるか分かったものではない。

「どうすれば現地人の協力が得られる?」

「やりようは幾らかあります。恐怖で縛る。甘言で惑わす。物資・金品で釣る。どれがお好みですかな?」

 言葉を隠さない如水の言い様に、少し食あたりを起こしそうだ。

「嫌な言い方だな。出来れば物資・金品で釣る、かな」

「お止めなさいませ。金がいくらあっても足りませぬ。税を押さえるなどして最終的に暮らしが楽になったと感じさせれば良いのです」

「しかし、それでは時間がかかるのではないか?」

「ですから先ずは恐怖で縛ります」

 他に方法は無いものか・・・・・・

「如水、朝鮮に叛心を起こせないか?」

「ほう。それは上手くいく可能性は高いですぞ。明も朝鮮への援軍のために莫大な出費が強いられました。当然、朝鮮のためだったわけですから支払いを求めるでしょう。そして、朝鮮は各地の復興とその支払いのために――」

「税が重くなる。そうすれば民の不満は大きくなるということだな。ともすればもう何年か不満が溜まるのを待った方が良いな?」

「ははっ、仰る通りかと」

「如水、これからもいろいろと相談に乗ってくれ」

「ははっ!!」

 如水はやはり恐ろしい。
 俺のことを値踏みするようなその視線に耐えきり、如水が出て行った後には盛大にため息を漏らしてしまった。

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