117 / 323
狂乱
異変(エロ度☆☆☆☆☆)
しおりを挟む
舞鶴港への帰港は朝鮮出発から4日後のことだった。
すでに夕刻過ぎとなった海岸には紅い夕陽が沈み込む。
漕ぎ手達は明らかに無理をしながらも、何とか俺を早く返し、早く長男に逢わせてやろうと必死に漕ぎ続け、予定よりも1日早く到着することが出来た。
まぁ、半日早くなるごとに恩賞を1人一両出すと言ったのが原因かもしれないが。
おかげで戦闘速度と見紛うほどの速度を出し、日本海の波をものともせずに進んで来てくれた。
漕ぎ手の60人と交代手の60人合わせて240両。
上等だ、払ってやろうじゃないか。
とは言え、往路よりも2日以上長かった船旅は容赦なく俺をグロッキーにしてくれた。
「ぅっぷ。信繁、なんで山育ちのお前が大丈夫なんだよ?」
「ふむ。恐らくは馬に乗る時間が長く、揺れに対する免疫があるのかと」
むぅ、そう言うもんなのか?
ようやくと陸地に降り着いたというのに、失われた平衡感覚のせいでふらついてしまう。
「ぅぇ、信繁。悪いが今日は舞鶴で一泊しよう。耐えられん」
「ははっ! 舞鶴は細川殿の領内ですから、問題はないかと。今日はもう遅いですが、明日には天橋立などを見られるのもよろしいかと」
「む? ああ。観光名所だっけか? いやぁ、それより先に大阪に帰りたいや」
「御意に」
俺のいた第四軍は忠興の近畿勢も多い、忠興自身は釜山からの別海路での帰還のためここにはいないが、近い宿を知る者くらいはいるだろう。
早く休みたいから、とにかく近くてゆっくり休めればなんでもいい。
「桜、細川軍の者の中から、・・・・・・桜?」
何時もの様に秘書代わりに桜に宿探しを頼もうとすると、何時の間にやら現れた女性から何かの文を受け取り読んでいる。
真っ先に桜に近寄って行ったことから、相手も配下のくノ一だろうと予測は出来る。
だが、わざわざのこのタイミングでの連絡は普通じゃない。
先に早舟などで帰還の連絡はしているが、一日早い到着に加え、せいぜいが大阪の帰還まで馬を走らせて2日といった距離。
部隊を率いての盛大な出迎えならまだ分かるが、たった一人で待ち構えるようにしているのはおかしい。
それも、あちこちに擦り傷や切り傷を負っている。
まして、桜はその文を読んで肩を震わせている。
「・・・・・・桜、何があった?」
「前田茂勝殿、御謀反」
その言葉は確かに衝撃的だった。
信繁や義光を始めとした周囲の者もざわざわと騒ぎだす。
思えば家康を討伐してから初めての内乱。
大きな兵力を動かせば、その危険性は勿論あった。
しかも、俺の内政におけるもっとも重要な役割を占めた五奉行の中からの謀反。
数年前に玄以の跡を継ぎ、朝廷との折衝を取り仕切ってくれていた人材。
今まで五奉行としてしっかりと尽くしてくれていたのに。
しかし・・・・・・。
「茂勝が謀反を起こしたところで、何か意味があるのか?」
茂勝はたかが五万石の大名。
出せても兵力は1500人といったところだろう。
正直に言って、本当に謀反を起こしたというなら気が狂っているとしか思えない。
それがいくら朝鮮出兵により守りが薄くなっているとしても、だ。
腹は立つが、もしかしたら朝廷とのことで俺との間に不満を持ったのかもしれない。
朝廷との折衝を一手に引き受けるからこそ、自分の立場を危うく思ったのだろうか?
まぁ、茂勝だけの謀反なら城を包囲し、相手の言い分を聞いて――
「茂勝殿は・・・・・・、大阪城の内部で挙兵を・・・・・・」
「!? なに!?」
あそこには俺の大切な者のほとんどがいる。
先程までの余裕は一瞬で吹き飛んで行った。
すでに夕刻過ぎとなった海岸には紅い夕陽が沈み込む。
漕ぎ手達は明らかに無理をしながらも、何とか俺を早く返し、早く長男に逢わせてやろうと必死に漕ぎ続け、予定よりも1日早く到着することが出来た。
まぁ、半日早くなるごとに恩賞を1人一両出すと言ったのが原因かもしれないが。
おかげで戦闘速度と見紛うほどの速度を出し、日本海の波をものともせずに進んで来てくれた。
漕ぎ手の60人と交代手の60人合わせて240両。
上等だ、払ってやろうじゃないか。
とは言え、往路よりも2日以上長かった船旅は容赦なく俺をグロッキーにしてくれた。
「ぅっぷ。信繁、なんで山育ちのお前が大丈夫なんだよ?」
「ふむ。恐らくは馬に乗る時間が長く、揺れに対する免疫があるのかと」
むぅ、そう言うもんなのか?
ようやくと陸地に降り着いたというのに、失われた平衡感覚のせいでふらついてしまう。
「ぅぇ、信繁。悪いが今日は舞鶴で一泊しよう。耐えられん」
「ははっ! 舞鶴は細川殿の領内ですから、問題はないかと。今日はもう遅いですが、明日には天橋立などを見られるのもよろしいかと」
「む? ああ。観光名所だっけか? いやぁ、それより先に大阪に帰りたいや」
「御意に」
俺のいた第四軍は忠興の近畿勢も多い、忠興自身は釜山からの別海路での帰還のためここにはいないが、近い宿を知る者くらいはいるだろう。
早く休みたいから、とにかく近くてゆっくり休めればなんでもいい。
「桜、細川軍の者の中から、・・・・・・桜?」
何時もの様に秘書代わりに桜に宿探しを頼もうとすると、何時の間にやら現れた女性から何かの文を受け取り読んでいる。
真っ先に桜に近寄って行ったことから、相手も配下のくノ一だろうと予測は出来る。
だが、わざわざのこのタイミングでの連絡は普通じゃない。
先に早舟などで帰還の連絡はしているが、一日早い到着に加え、せいぜいが大阪の帰還まで馬を走らせて2日といった距離。
部隊を率いての盛大な出迎えならまだ分かるが、たった一人で待ち構えるようにしているのはおかしい。
それも、あちこちに擦り傷や切り傷を負っている。
まして、桜はその文を読んで肩を震わせている。
「・・・・・・桜、何があった?」
「前田茂勝殿、御謀反」
その言葉は確かに衝撃的だった。
信繁や義光を始めとした周囲の者もざわざわと騒ぎだす。
思えば家康を討伐してから初めての内乱。
大きな兵力を動かせば、その危険性は勿論あった。
しかも、俺の内政におけるもっとも重要な役割を占めた五奉行の中からの謀反。
数年前に玄以の跡を継ぎ、朝廷との折衝を取り仕切ってくれていた人材。
今まで五奉行としてしっかりと尽くしてくれていたのに。
しかし・・・・・・。
「茂勝が謀反を起こしたところで、何か意味があるのか?」
茂勝はたかが五万石の大名。
出せても兵力は1500人といったところだろう。
正直に言って、本当に謀反を起こしたというなら気が狂っているとしか思えない。
それがいくら朝鮮出兵により守りが薄くなっているとしても、だ。
腹は立つが、もしかしたら朝廷とのことで俺との間に不満を持ったのかもしれない。
朝廷との折衝を一手に引き受けるからこそ、自分の立場を危うく思ったのだろうか?
まぁ、茂勝だけの謀反なら城を包囲し、相手の言い分を聞いて――
「茂勝殿は・・・・・・、大阪城の内部で挙兵を・・・・・・」
「!? なに!?」
あそこには俺の大切な者のほとんどがいる。
先程までの余裕は一瞬で吹き飛んで行った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる