301 / 323
大戦1
事後
しおりを挟む
「また、随分と励まれましたね」
取り敢えず二発出し、満足したところでお麟の入室を許可する。
一応はお千の侍女でもあるので、身体を拭いてやろうというのだろう。手には湯の入った桶と手ぬぐいもしっかり用意してある。
「お麟。お千が寝ている間にお前にだけは伝えておくことがある」
「はい?」
せっせと俺の精液を拭う手を止めず、何だと言わんばかりに振り返る。
「また、歴史から外れた」
明国に立った岳鶯と言う将軍。その名を俺は全く知らない。もっとも、心当たりがないわけでもない。
「今、明の軍を率いているのは岳飛の子孫を名乗る岳鶯と言う将軍だ。こいつが瀋陽の西でヌルハチの金軍を破った」
その内容に驚いたのだろう。お麟も手に持っていた手拭いを落とし、目を見開いている。
「宋の時代、前の金軍を苦しめたのが岳飛。そして、今その子孫を名乗る男が金軍を討って見せた。笑えるだろう?」
「・・・・・・我らが戦った明軍はさほどの精強さはもっていませんでした。とても金の、女真の強兵を相手に出来るはずが」
女真族はずっと戦続きだったため、かなりの強兵だ。おまけにヌルハチは間違いなく中華の歴史でも十指に上がる英雄。だが、岳飛は中国史上最も民に愛される将。今回金を打ち破ったことで、民も岳鶯を岳飛の再来と讃えだすだろう。
「しかも、半数の兵力で、それも野戦で破ったらしい。はっきり言おう、俺はこの岳鶯を、岳飛を相手にするつもりで戦う。先日、そのために国家総動員体制を命じた」
「・・・・・・陛下?」
俺の顔を見てお麟が訝しむ。はたして俺は震えているのか、それとも笑っているのか。
「俺自身が南京に入り、明を討ち滅ぼす。お麟、お前達がやるべきことは多い。先ずは硝石の確保のため、明の内陸を攻める。そして、北上を続け、北京を獲る」
「・・・・・・陛下、その前に一つ戦がございます」
お千の身体を拭き終えたお麟が、脱ぎ捨ててあった服を着させていく。
「おい、着せる必要ないぞ。このまま一緒に明日まで寝ようと・・・・・・戦って何のことだ?」
先程のお麟の発言を思い出し、疑問を投げかける。
「このお部屋の外で、大政所様が大変ご立腹で待たれています。それはそうでしょうね、ろくすっぽ皇后様とお話も出来ないまま待ち惚けですから。それも、皇后様は寝てしまいましたし、フフ。どうするんでしょうねぇ?」
随分と楽しそうに、笑っている。
「お麟、性格が悪くなったか?」
「いえ? 昔からです」
何かが吹っ切れた様な感じがするし、もしかしたら明で良いことでもあったのかもしれない。
そんな事を考えていると、お千に服を着せ終えてお麟が立ち上がる。
「大政所様に中に入っていただきますか?」
「・・・・・・いや、可哀想だがお千を起こして広間に連れて行く。裏内の者に集まる様に言っておけ。それと、お麟。お前は井頼と共に三成と情報のすり合わせを行っておけ。今後の対明政策もな。方針は変えないが南京が無傷と言うのはデカい。南京に新たな城を建ててそこを拠点にじっくり攻める予定だったが、一年は前倒しできるかもしれない」
「しかし、そうなると」
「ああ、明は広い。幾つかに軍を分ける必要がある。七将軍とは別に、何人か選出する必要があるだろう」
政宗もそうだが、立花宗茂や島津義弘など、日本にはまだまだ強力な将が生きている。彼等を軸にして戦略を練るのも良いだろう。
「・・・・・・皇后様にその一翼を任せ――
「馬鹿言うな。もう二度と俺の下から離さん。お麟、もう行け」
シッシッと手を振り部屋から追い出してやれば不満そうな顔だが渋々と従う。
改めてお千の寝顔を見れば、その穏やかな顔は満足そうに笑っている。
「フゥ、お千。可哀想だけど起きろ。残念だが、俺が独占して良い時間は終わったらしい」
お麟と入れ替わりに勝手に入って来た母上の怒り顔に、やむなくお千の肩を揺すり起こす。
「ん、むにゃ、兄上? フフ、一緒に寝ましょう?」
気を抜くと直ぐ兄上と言う呼称に戻ってしまうのは何時ものことだ。眠気眼のまま、添い寝を希望してくるが、母上のことになどはまだ気付いていないようだ。
「ん~、それは魅力的な提案だなぁ」
何が良いって、母上に怒られるより全然良い。
「秀頼、お千、そこに直りなさい!!」
ところがやはりそうは問屋が卸さないそうだ。お千も久しぶりに聞いた雷に飛び起き、慌てて正座してしばらくはお説教の時間。
まぁ、これはこれでようやく戻って来た平穏を感じられる。後は桜がいれば完璧だ。
・・・・・・早く、帰ってこい。
取り敢えず二発出し、満足したところでお麟の入室を許可する。
一応はお千の侍女でもあるので、身体を拭いてやろうというのだろう。手には湯の入った桶と手ぬぐいもしっかり用意してある。
「お麟。お千が寝ている間にお前にだけは伝えておくことがある」
「はい?」
せっせと俺の精液を拭う手を止めず、何だと言わんばかりに振り返る。
「また、歴史から外れた」
明国に立った岳鶯と言う将軍。その名を俺は全く知らない。もっとも、心当たりがないわけでもない。
「今、明の軍を率いているのは岳飛の子孫を名乗る岳鶯と言う将軍だ。こいつが瀋陽の西でヌルハチの金軍を破った」
その内容に驚いたのだろう。お麟も手に持っていた手拭いを落とし、目を見開いている。
「宋の時代、前の金軍を苦しめたのが岳飛。そして、今その子孫を名乗る男が金軍を討って見せた。笑えるだろう?」
「・・・・・・我らが戦った明軍はさほどの精強さはもっていませんでした。とても金の、女真の強兵を相手に出来るはずが」
女真族はずっと戦続きだったため、かなりの強兵だ。おまけにヌルハチは間違いなく中華の歴史でも十指に上がる英雄。だが、岳飛は中国史上最も民に愛される将。今回金を打ち破ったことで、民も岳鶯を岳飛の再来と讃えだすだろう。
「しかも、半数の兵力で、それも野戦で破ったらしい。はっきり言おう、俺はこの岳鶯を、岳飛を相手にするつもりで戦う。先日、そのために国家総動員体制を命じた」
「・・・・・・陛下?」
俺の顔を見てお麟が訝しむ。はたして俺は震えているのか、それとも笑っているのか。
「俺自身が南京に入り、明を討ち滅ぼす。お麟、お前達がやるべきことは多い。先ずは硝石の確保のため、明の内陸を攻める。そして、北上を続け、北京を獲る」
「・・・・・・陛下、その前に一つ戦がございます」
お千の身体を拭き終えたお麟が、脱ぎ捨ててあった服を着させていく。
「おい、着せる必要ないぞ。このまま一緒に明日まで寝ようと・・・・・・戦って何のことだ?」
先程のお麟の発言を思い出し、疑問を投げかける。
「このお部屋の外で、大政所様が大変ご立腹で待たれています。それはそうでしょうね、ろくすっぽ皇后様とお話も出来ないまま待ち惚けですから。それも、皇后様は寝てしまいましたし、フフ。どうするんでしょうねぇ?」
随分と楽しそうに、笑っている。
「お麟、性格が悪くなったか?」
「いえ? 昔からです」
何かが吹っ切れた様な感じがするし、もしかしたら明で良いことでもあったのかもしれない。
そんな事を考えていると、お千に服を着せ終えてお麟が立ち上がる。
「大政所様に中に入っていただきますか?」
「・・・・・・いや、可哀想だがお千を起こして広間に連れて行く。裏内の者に集まる様に言っておけ。それと、お麟。お前は井頼と共に三成と情報のすり合わせを行っておけ。今後の対明政策もな。方針は変えないが南京が無傷と言うのはデカい。南京に新たな城を建ててそこを拠点にじっくり攻める予定だったが、一年は前倒しできるかもしれない」
「しかし、そうなると」
「ああ、明は広い。幾つかに軍を分ける必要がある。七将軍とは別に、何人か選出する必要があるだろう」
政宗もそうだが、立花宗茂や島津義弘など、日本にはまだまだ強力な将が生きている。彼等を軸にして戦略を練るのも良いだろう。
「・・・・・・皇后様にその一翼を任せ――
「馬鹿言うな。もう二度と俺の下から離さん。お麟、もう行け」
シッシッと手を振り部屋から追い出してやれば不満そうな顔だが渋々と従う。
改めてお千の寝顔を見れば、その穏やかな顔は満足そうに笑っている。
「フゥ、お千。可哀想だけど起きろ。残念だが、俺が独占して良い時間は終わったらしい」
お麟と入れ替わりに勝手に入って来た母上の怒り顔に、やむなくお千の肩を揺すり起こす。
「ん、むにゃ、兄上? フフ、一緒に寝ましょう?」
気を抜くと直ぐ兄上と言う呼称に戻ってしまうのは何時ものことだ。眠気眼のまま、添い寝を希望してくるが、母上のことになどはまだ気付いていないようだ。
「ん~、それは魅力的な提案だなぁ」
何が良いって、母上に怒られるより全然良い。
「秀頼、お千、そこに直りなさい!!」
ところがやはりそうは問屋が卸さないそうだ。お千も久しぶりに聞いた雷に飛び起き、慌てて正座してしばらくはお説教の時間。
まぁ、これはこれでようやく戻って来た平穏を感じられる。後は桜がいれば完璧だ。
・・・・・・早く、帰ってこい。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる