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43.また俺の前で
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僕が少し強く言うと、領主様の目がまた少し、凶悪なものを含む。
「……オフィガタスめ……あの男が何か…………妙なことを吹き込んだだろう?」
そう言った領主様の手が、僕の両足の間に入ってくる。
「あっ……!!」
微かに触れられただけなのに、怖いくらいの快感だった。領主様にそんなことをされて、争う術なんて当然持たない僕は、無意識にその手を求め、追うように腰を振っていた。
気持ちいい……もっとされたい……
それなのに、浸っていた快楽は唐突にお預けされてしまう。領主様が、手を止めてしまったんだ。
「あっ……やだっ…………な、なんでっ…………っ!!」
「…………そう言えば……妙な話をしていたな? 俺とベリレフェクがどうとか……」
「そ、それは………………」
だって、絶対にそうだと思った。最後までグズの僕が、愛される訳ない。
それなのに……吊るされてこんなことされるなんて、聞いてないぞ!!
焦るばかりの僕に、領主様は今にも噛み付いてきそうな顔を近づけてくる。
顎に触れられて、顔を無理やり上げられて、首筋を差し出すように領主様の前に晒されて、怖くなりそうだった。だってこのまま首を食いちぎられてしまいそう。
「……ぁ…………」
唇が、微かに震えている。そんな僕に、領主様はニヤリと笑って言った。
「聞き出しておくか……」
本物の領主様は……妄想の領主様より……ずっと迫力がある。
「あっ…………や、やだっ……領主様っ…………!!」
喘いでも、領主様はもう、僕にさっきの快楽をくれなかった。お預けするみたいに手を離されて、中途半端に放置されたら、もどかしくてたまらない。せめて自分で触りたいのに、僕の両手を鎖が止めてしまう。
「領主様っ……!! あ、あのっ…………」
また、ほんの少しだけ僕に触れて逃げていく手に向かって、腰を振る。だけど、領主様はその手を僕の届かないところに上げて、もがく僕を、ニヤニヤ笑って見下ろしていた。
「領主様っ…………あ……く、鎖を外してください!!」
「鎖を? そんなことをされたいのか?」
「…………」
もちろん、一番されたいのはそれじゃない。もっと触れてほしい。そうしてもらえるなら、鎖なんてこのままでいい。
だけど、そんなこと言えるかっっ…………!!
恥ずかしすぎる!! もうすっかり触れられることに夢中になってるみたいじゃないかっ……!!
そんなんじゃないのに……
こんな風にお預けされているのに気持ちよくて、嬉しくて堪らない。だって、領主様が僕に触れてくれてるんだ。だけど、初めての快楽を感じることを、僕はもう覚えてしまっている。それが欲しくて我慢できない。このままじゃ、放り出された僕自身が、ずっと満たされない。
「領主っ……さまっ…………あ、あのっ……」
「……何を吹き込まれた?」
「へっ……!? ひゃぁっ…………!!」
待ち望んだ感触を、一瞬だけ与えてもらえて、腰が激しく揺れた。ほんの少しなのに、怖いくらい気持ちいい。それなのに、すぐにまたお預け。あんまりだ。
「…………ぁっ……! あっ……領主様っ……あのっ……や、やめたら嫌です!」
「……オフィガタスに、何を吹き込まれた?」
「…………」
それは言いたくない…………というか、絶対に言えない!! こんなこと知られたら、僕、死にたくなる!!
僕は、こっそり顔を背けた。
「…………な、なにもぉ? な、なんでもないですよ…………」
「……おい、まさか、それは誤魔化しているつもりなのか?」
「…………」
や、やっぱり無理があったかな…………だけど言えないものは言えないのに!!
それなのに、領主様は怖い目をして、僕を睨みつけた。
「…………いい度胸だ……」
「え…………あぁぁっっっ!!」
さっきまでずっとお預けされていたところを、強く握られた。
ひどい……もうすっかり敏感になっているところなのに!!
それどころか、領主様は僕のそろそろ限界を迎えそうなそれを、強く揉んでくる。なのにイこうとするとお預けなんて、あんまりだ。
「やっ……やだっ…………!! 領主様っ……お預け、嫌ですっ……!」
「だったらさっさと吐け」
「…………んあぁ…………ち、ちょっと、か、勘違いしただけですっっ!! 領主様がっ……ベリレフェク様に気があるんじゃないかって………………」
「ふん。そんなことだろうと思った。オフィガタスめ…………ベリレフェクが殺し損ねたら、俺が殺してやる」
「ダメですっっ……!! そんなことしたら、絶対に後で後悔しますっっ!!」
「……また俺の前で、別の男を庇ったな?」
「あ…………」
庇ったって…………そんなつもりないのにっ!!
だって、そうしなかったら領地が盗られてしまうかもしれないんだ。そんなことになったら大変だろ!! だからこう言ってるだけなのにっ……!!
「……オフィガタスめ……あの男が何か…………妙なことを吹き込んだだろう?」
そう言った領主様の手が、僕の両足の間に入ってくる。
「あっ……!!」
微かに触れられただけなのに、怖いくらいの快感だった。領主様にそんなことをされて、争う術なんて当然持たない僕は、無意識にその手を求め、追うように腰を振っていた。
気持ちいい……もっとされたい……
それなのに、浸っていた快楽は唐突にお預けされてしまう。領主様が、手を止めてしまったんだ。
「あっ……やだっ…………な、なんでっ…………っ!!」
「…………そう言えば……妙な話をしていたな? 俺とベリレフェクがどうとか……」
「そ、それは………………」
だって、絶対にそうだと思った。最後までグズの僕が、愛される訳ない。
それなのに……吊るされてこんなことされるなんて、聞いてないぞ!!
焦るばかりの僕に、領主様は今にも噛み付いてきそうな顔を近づけてくる。
顎に触れられて、顔を無理やり上げられて、首筋を差し出すように領主様の前に晒されて、怖くなりそうだった。だってこのまま首を食いちぎられてしまいそう。
「……ぁ…………」
唇が、微かに震えている。そんな僕に、領主様はニヤリと笑って言った。
「聞き出しておくか……」
本物の領主様は……妄想の領主様より……ずっと迫力がある。
「あっ…………や、やだっ……領主様っ…………!!」
喘いでも、領主様はもう、僕にさっきの快楽をくれなかった。お預けするみたいに手を離されて、中途半端に放置されたら、もどかしくてたまらない。せめて自分で触りたいのに、僕の両手を鎖が止めてしまう。
「領主様っ……!! あ、あのっ…………」
また、ほんの少しだけ僕に触れて逃げていく手に向かって、腰を振る。だけど、領主様はその手を僕の届かないところに上げて、もがく僕を、ニヤニヤ笑って見下ろしていた。
「領主様っ…………あ……く、鎖を外してください!!」
「鎖を? そんなことをされたいのか?」
「…………」
もちろん、一番されたいのはそれじゃない。もっと触れてほしい。そうしてもらえるなら、鎖なんてこのままでいい。
だけど、そんなこと言えるかっっ…………!!
恥ずかしすぎる!! もうすっかり触れられることに夢中になってるみたいじゃないかっ……!!
そんなんじゃないのに……
こんな風にお預けされているのに気持ちよくて、嬉しくて堪らない。だって、領主様が僕に触れてくれてるんだ。だけど、初めての快楽を感じることを、僕はもう覚えてしまっている。それが欲しくて我慢できない。このままじゃ、放り出された僕自身が、ずっと満たされない。
「領主っ……さまっ…………あ、あのっ……」
「……何を吹き込まれた?」
「へっ……!? ひゃぁっ…………!!」
待ち望んだ感触を、一瞬だけ与えてもらえて、腰が激しく揺れた。ほんの少しなのに、怖いくらい気持ちいい。それなのに、すぐにまたお預け。あんまりだ。
「…………ぁっ……! あっ……領主様っ……あのっ……や、やめたら嫌です!」
「……オフィガタスに、何を吹き込まれた?」
「…………」
それは言いたくない…………というか、絶対に言えない!! こんなこと知られたら、僕、死にたくなる!!
僕は、こっそり顔を背けた。
「…………な、なにもぉ? な、なんでもないですよ…………」
「……おい、まさか、それは誤魔化しているつもりなのか?」
「…………」
や、やっぱり無理があったかな…………だけど言えないものは言えないのに!!
それなのに、領主様は怖い目をして、僕を睨みつけた。
「…………いい度胸だ……」
「え…………あぁぁっっっ!!」
さっきまでずっとお預けされていたところを、強く握られた。
ひどい……もうすっかり敏感になっているところなのに!!
それどころか、領主様は僕のそろそろ限界を迎えそうなそれを、強く揉んでくる。なのにイこうとするとお預けなんて、あんまりだ。
「やっ……やだっ…………!! 領主様っ……お預け、嫌ですっ……!」
「だったらさっさと吐け」
「…………んあぁ…………ち、ちょっと、か、勘違いしただけですっっ!! 領主様がっ……ベリレフェク様に気があるんじゃないかって………………」
「ふん。そんなことだろうと思った。オフィガタスめ…………ベリレフェクが殺し損ねたら、俺が殺してやる」
「ダメですっっ……!! そんなことしたら、絶対に後で後悔しますっっ!!」
「……また俺の前で、別の男を庇ったな?」
「あ…………」
庇ったって…………そんなつもりないのにっ!!
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