ドジで惨殺されそうな悪役の僕、平穏と領地を守ろうとしたら暴虐だったはずの領主様に迫られている気がする……僕がいらないなら詰め寄らないでくれ!

迷路を跳ぶ狐

文字の大きさ
44 / 45

44.懲りない奴だ

しおりを挟む
 僕は誰かを庇ったつもりなんてない。それなのに、領主様を怒らせてしまったらしい。

「…………俺の前で別の男に気を取られるとは、いい度胸だ…………無様にイカせてやる」
「や、やだっ…………待ってっ……!」

 制止なんて、結局無駄。我慢の限界だったところに、さらに強い快楽を与えられて、僕は、溜まったものを噴き出した。着ていた服が濡れていく。

 僕が快楽に夢中になった顔で吊るされたままイく姿を、領主様は満足げに見下ろしていた。

 恥ずかしくて溜まらない。
 僕、ベリレフェク様を探しに行こうとしただけなのに……なんでこんなことされてるんだ……

 もう限界なのに、イったばかりで汚れた体のまま抱き寄せられてしまう。

「うあ…………あっ……!!」

 その時、部屋の外から大きな悲鳴が聞こえてきた。オフィガタス様の声だ。何かあったんだ。

「領主様……あのっ…………」
「放っておけ」
「でもっ…………」
「後でなんとかしてやる」
「え……? わっ……!!」

 ついに僕の服を剥ぎ取ってしまう領主様。そして、僕を見下ろし、ニヤリと笑った。

「もう少し、楽しませろ」
「も、もう……少し……? …………ま、待って…………ひっ!!」

 怯える僕の背中に、領主様の手が回る。そして、尻にゆっくり彼の手が触れた。

「あっ…………! いやっ……ま、待って……待ってくださいっ………!! 領主様っ……!」
「………………そんなに怯えた顔をするな……」
「…………だって…………領主様に触れてもらえて…………嬉しくて…………っ!!」

 話している間にも、またキスされてしまう。こんなのしたことない。震えていたら、気づいたら涙が滲んでいて、領主様は、僕の鎖を消してくれた。

「わっ…………」

 急に鎖が消えて、倒れそうになる僕を、領主様が抱き止めてくれる。もう力が入らないまま、またキスされて、領主様は、くすぐるように言った。

「ふらふらじゃないか」
「だ、だって…………」

 あんなことされて、立っていられるわけがない。だけど領主様の腕の中が気持ちよくて、僕はずっと、彼に身を委ねていた。

 そしたら、部屋の外からまた大きな声がする。それに、何度か爆発のような音も。

 ……大丈夫か? オフィガタス様も、ベリレフェク様も。

「あ、あの……領主様…………や、やっぱり、オフィガタス様を探しに行きましょう!」
「…………なんだ? また他の男を気にかけているのか?」
「へっ…………!? ぁっ……!!」

 やっと離してもらえたのに、また触れられてしまう。もう限界なのにっ……

「そうじゃなくてっ…………ふ、二人だって心配ですっ……! 魔物退治にも手を貸してくれていたのにっ…………!」
「…………安心しろ。ベリレフェクのところには、使い魔を飛ばしてある」
「え!? じゃあ、二人が今何してるか、分かるんですか!?」
「ああ」

 よかった……それなら安心だ。

 そう思ったら、そんなの甘かったみたいで、領主様は平然と言う。

「オフィガタスが倒れているな」
「は!?? いっ……急ぎましょう!! 早くっっ!」







 それから、数日が経った。ベリレフェク様と一緒にいたオフィガタス様は気絶していただけで、領主様が回復の魔法をかけて、一日くらい寝ていたら、何事もなかったように目を覚ました。

 オフィガタス様が無事でホッとしたけど、だからと言って、まだ完全にここが取られてしまうことを回避できたわけではない。気の抜けない毎日になるはずなのに、あの日から、領主様はずっと僕をそばに置くようになって、離してくれない。

 今日だって、僕は魔法の道具の整理があるって言ったのに、領主様まで倉庫に来てしまった。そして、テーブルに置いた書類に魔法をかけて、魔物に関する報告の書類を書きながら、僕に迫ってくる。

「終わりそうか? キャトラズイル」
「は、はい……あと少し……です」
「終わったら触れていいか?」
「…………っ!」

 すぐ背後に領主様がいて、そんなふうに甘く囁かれたら、僕は緊張してどうしていいか分からない。ただ棚に魔法の道具を戻しているだけなのに、ひどく心臓が高鳴っている。
 だって背中に何度も領主様の体が触れて、そんなにそばに領主様がいると思ったら、領主様のことばっかり考えちゃう。

「あ、あの…………領主様……」
「婚約の話だが……」
「こ、婚約!!??」
「……そうすると言っただろう……? 今更、撤回する気か?」
「い、いえっ…………そ、そんなっ…………!!」

 まずい……変なことを言って、また怒らせてしまったらしい。領主様は、僕を抱き止め囁いた。

「懲りない奴だ……」
「ぁっ……!!」

 倉庫の棚に追い詰められた僕の背後から領主様の手が伸びてきて、僕の胸の辺りを撫で回す。くすぐったいのに、そんなことされたら、もっと触れられたくなっちゃう。

 領主様は最近どこでも構わずに僕に触れてくる。この前なんか、僕が少し他の魔法使いと話していただけで、立てなくなるまでその場でたくさんキスされた。

「り、領主様っ…………あ、あのっ……もう少しで終わるのでっ……!」
「……もう少しか…………だったら、終わるのを待つか」

 言って、領主様は離れてくれるかと思いきや、ずっと背後から僕を抱き寄せたまま。体を撫でることはやめてくれたけど、それだけやめられても、意味がない! せめて体が擦れ合わないくらいに離れてくれないとっ……!!

「あ、あのっ……待ってくださるのは嬉しいのですがっ…………っ!!」

 領主様、僕の話、聞くつもりある!? なんで服の中に手を入れてくるの!??

 そんなふうに肌に触れられたら、またドキドキしてしまう。だけど、領主様は言っても聞いてくれないし……

「それと、午後からは会議に出ろ」
「え…………? 僕がそんなのに出て、いいんですか?」
「キャトラズイルは、何度も俺の魔法を打ち破っている。魔法の道具でさらに制御できるようにしたら、今より強力な魔法を使えるようになるかもしれない」
「ほ、本当ですか……!?」
「ああ」
「あ、ありがとうございます!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)

子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ 喰われるなんて聞いてないんだが(?) 俺はただ、 いちご狩りに誘われただけだが。 なのに── 誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に なぜか俺が捕まって食われる展開に? ちょっと待てい。 意味がわからないんだが! いちご狩りから始まる ケンカップルいちゃらぶBL ※大人描写のある話はタイトルに『※』あり

「呪いを解くには毎日可愛いと言ってください」と嘘をついたら、氷の聖騎士様が本気で口説きにかかってきました

たら昆布
BL
間違って呪われた青年と呪いを解除したい騎士の話 番外編はその友達たちの話

薄幸な子爵は捻くれて傲慢な公爵に溺愛されて逃げられない

くまだった
BL
アーノルド公爵公子に気に入られようと常に周囲に人がいたが、没落しかけているレイモンドは興味がないようだった。アーノルドはそのことが、面白くなかった。ついにレイモンドが学校を辞めてしまって・・・ 捻くれ傲慢公爵→→→→→貧困薄幸没落子爵 最後のほうに主人公では、ないですが人が亡くなるシーンがあります。 地雷の方はお気をつけください。 ムーンライトさんで、先行投稿しています。 感想いただけたら嬉しいです。

王子様との婚約回避のために友達と形だけの結婚をしたつもりが溺愛されました

竜鳴躍
BL
アレックス=コンフォートはコンフォート公爵の長男でオメガである! これは、見た目は磨けば美人で優秀だが中身は残念な主人公が大嫌いな王子との婚約を回避するため、友達と形だけの結婚をしたつもりが、あれよあれよと溺愛されて満更ではなくなる話である。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1/10から5日くらいBL1位、ありがとうございました。 番外編が2つあるのですが、Rな閑話の番外編と子どもの話の番外編が章分けされています。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ※僕はわがまま 時系列修正 ※ヤード×サンドル終わったのでラブラブ番外編を末尾に移動 2023.1.20

その首輪は、弟の牙でしか外せない。

ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。 第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。 初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。 「今すぐ部屋から出ろ!」 独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。 翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。 「俺以外に触らせるな」 そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。 弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。 本当にこのままでもいいのか。 ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。 その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。 どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。 リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24) ※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。 三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。

【朗報】無能と蔑まれ追放された俺、実は「聖獣に愛されすぎる体質」でした ~最強の騎士団長が毎日モフモフを口実に抱きついてくるんだが?~

たら昆布
BL
鉄血の重執着ストーカー騎士団長×無自覚もふもふ(聖獣使い)な元雑用係

政略結婚のはずが恋して拗れて離縁を申し出る話

BL
聞いたことのない侯爵家から釣書が届いた。僕のことを求めてくれるなら政略結婚でもいいかな。そう考えた伯爵家四男のフィリベルトは『お受けします』と父へ答える。 ところがなかなか侯爵閣下とお会いすることができない。婚姻式の準備は着々と進み、数カ月後ようやく対面してみれば金髪碧眼の美丈夫。徐々に二人の距離は近づいて…いたはずなのに。『え、僕ってばやっぱり政略結婚の代用品!?』政略結婚でもいいと思っていたがいつの間にか恋してしまいやっぱり無理だから離縁しよ!とするフィリベルトの話。

不遇の第七王子は愛され不慣れで困惑気味です

新川はじめ
BL
 国王とシスターの間に生まれたフィル・ディーンテ。五歳で母を亡くし第七王子として王宮へ迎え入れられたのだが、そこは針の筵だった。唯一優しくしてくれたのは王太子である兄セガールとその友人オーティスで、二人の存在が幼いフィルにとって心の支えだった。  フィルが十八歳になった頃、王宮内で生霊事件が発生。セガールの寝所に夜な夜な現れる生霊を退治するため、彼と容姿のよく似たフィルが囮になることに。指揮を取るのは大魔法師になったオーティスで「生霊が現れたら直ちに捉えます」と言ってたはずなのに何やら様子がおかしい。  生霊はベッドに潜り込んでお触りを始めるし。想い人のオーティスはなぜか黙ってガン見してるし。どうしちゃったの、話が違うじゃん!頼むからしっかりしてくれよぉー!

処理中です...