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45.まだ慣れない
しおりを挟むレヴェリルインって、なんでこんなに、僕に良くしてくれるんだろう…………僕の魔力のこと、まだ気にしてるのかな……? そんなの、どうでもいいのに……
むしろ、今はレヴェリルインのそばに置いてもらえることが嬉しい。彼は、僕が思っていたよりずっといい人だ。そんな人が、僕のそばにいてくれるなんて……
あっ……! でも……待って!! レヴェリルインは……寝ないのか!?
テントから出ていったレヴェリルインを、僕は慌てて追いかけた。
彼は、焚き火の前で僕に気づいて振り向いてくれる。
「あ、あのっ……! あの……ま、マスター……は? ……ね……寝ない……んですか?」
「俺は見張る。クリウールトが来るかもしれない」
「そ、そんなことなら……僕がっ……!」
……って、待て、僕。僕に何ができるんだ。魔法も使えないくせに。僕のくせに。図々しい。
レヴェリルインにも、あっさり断られてしまう。
「お前はテントにいろ」
そうだよな……そう言うよな。
だけど。
僕だって、レヴェリルインの力になりたい。何かしたい。何か少しだけでも……
「で、でもっ……!! あのっ……!! あ、ぼ、僕っ……従者で……それなのにっ……! 寝てるなんて……変っ……だし…………」
「だが……」
……ダメだ……レヴェリルインを困らせている。何にもできないくせに、食い下がって。休めって言われてるんだから、休まなきゃ。
「……も……申し訳……ございまっ……せん……」
「……ここへ来い」
「へ!?」
「隣へ来い。お前も一緒にいろ」
「え…………」
い、いいのか……?
レヴェリルインは、僕を見つめて、僕が動くのを待ってくれている。
いいんだ……そばに行っても。
「は、はい!!」
僕が返事をすると、レヴェリルインは、焚き火の近くに座って、僕を呼んでくれた。
早速、彼の隣に座る僕。
周りに人はいない。伯爵やドルニテットはどこかへ行っているみたいだ。
あ、どうしよう……苦手な二人きり状態を自分から作り出して、僕は馬鹿なのか。
だけど、今は見張りだ。クリウールト殿下の送り込んだ人が来るかもしれないんだから。だから、隣にいて、周囲の状況に気を張っていなきゃ。
それに、こうしてレヴェリルインの隣にいること、これまでは怖かったのに、今は、少しだけ嬉しい。
これまでと僕はなんら変わらなくて、相変わらずレヴェリルインといても緊張するのに、やっぱり、嬉しい。
ちらっと、隣に座ったレヴェリルインを見上げる。
すると彼は、尻尾で体を包んで、大きな狼に姿を変えてしまう。
「わっ……!!」
びっくりした……こっちの姿のレヴェリルインは、まだ慣れない。
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