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96.大丈夫ですか?
しおりを挟むロウィフを連れて走りだそうとしたら、急に頭がくらくらしてきた。すぐに立っていることもできなくなって、その場に膝をついてしまう。
一体、どうしたんだ??
ラックトラートさんが、僕に駆け寄ってきた。
「こ、コフィレ……!? 大丈夫ですか?」
「……う……うん……」
ロウィフを抱っこしたまま、立ち上がろうとする。だけど、すぐに限界は来た。体が熱い。火で炙られているみたいだ。立っていられない。
「僕、レヴェリルイン様を呼んできます!」
ラックトラートさんがそう言って走り出そうとした時には、すでに、倒れかけの僕を、レヴェリルインが支えてくれていた。
「大丈夫か……? コフィレ」
「マスター……」
嘘……来てくれたのか?
ラックトラートさんが、びっくりして言った。
「れ、レヴェリルイン様!? 気づいてたんですか!?」
「お前がコフィレを呼んで叫んでいたからな……コフィレはどうしたんだ?」
レヴェリルインが、僕のすぐそばで焦った顔してる。そんな顔して、僕のところに走ってきてくれたんだ。
その姿を見ただけで、僕は嬉しい。
それに、またコフィレって呼んでくれた。嬉しい……
レヴェリルインは、僕に触れてくれるけど、すぐに離しちゃうし、少し寂しく感じていたんだ。二人きりの時間が増えて、僕は嬉しかったはずなのに、もっと触れて欲しくなる。
駆け寄ってきてくれたレヴェリルインが、僕の体に触れると、熱かった体が気持ちいいくらいに冷えていく。
それでもまだぼんやりしていたら、僕の体が急に浮き上がった。レヴェリルインに抱き上げられたんだ。
う、嘘っ……! 何されてるんだ、僕!!
すぐに降りようとしたけど、暴れたりしたら、レヴェリルインに手や足が当たってしまうかもしれない。レヴェリルインだって怪我をするかもしれないし……ど、どうしよう!
おろおろしながら見上げたら、レヴェリルインに「じっとしていろ」って言われてしまった。
じっと、なんて無理。こんなふうに抱き上げられてじっとしてるなんて、できるはずない!!
だけど彼は僕を抱き上げたまま、宿の玄関に入っていく。
そばを歩くロウィフが、疑うような目でレヴェリルインを見上げていた。
「なんでそんなにすぐ来るんだよ……キモい……まさか、こいつのことまで監視してたの?」
「するか。触れることすら我慢しているというのに、そんなことをして、ずっとコフィレを見ながら我慢するなど、拷問以外の何ものでもないだろう」
「……しない理由それかよ……やっぱりキモ……」
そんなことを言いながらも、彼はレヴェリルインについてくる。ラックトラートさんもついてきてくれて、僕に「大丈夫ですか?」って、言ってくれた。
僕は、レヴェリルインの腕の中にいるなんて夢みたいで、だけど落ち着かなくて、どうしていいかわからない。もう一回小さい声で「下ろしてください」って言ったけど、レヴェリルインは、全く聞いてない。宿の中を、彼の部屋を目指して歩いていく。
どうしよう……こ、こんなの、ドキドキしすぎて、無理だ。じっとなんてしていられない。
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