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4.美味しいご飯とのんびりした朝
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僕は、砦での生活を始めた。
最初はうまくいかないことも多かった。料理をしようとしたら、全部黒焦げになったり、全部生で、後でお腹壊してのたうちまわったり。
それでも、なんとか上手くやれていると思う。
広い砦を掃除するのは大変だけど、元は魔物退治の拠点になっていただけあって、壊れた武器がたくさんある。割れた魔法の薬の瓶や、破れた魔法の書物や、壊れた魔法の道具の数々も。なんだか、まるでゴミ捨て場みたいだ。僕がここに住むことも、誰も考えていなかったんだろう。
だけど、全部修理すれば使えそう! これだけあれば、なんとか生活できそうだ!
ここには、食料だってもちろんない。
こんなに落ち込んでいるのになんで腹が減るんだよって思ったけど、減るものは減る。
ふらふらな僕は森に出て、いくつも木の実やキノコをとってきた。割と食べられるものには詳しいんだ。王城に行く前は食事をとりあげられることも多くて、外に出て食べられる物を探していたから。
森では、魔法の道具の整備に必要な素材もあって、それも集めた。
砦には、普段から数人の魔法使いと兵士がいる。僕を見張る、王都から来た人たちだ。彼らはここにいる僕を完全に見下していて、僕はできるだけ話さないようにしている。彼らも僕の監視なんて嫌らしく、近くの街に行ってほぼ帰らない。
後は、たまに砦に王家に仕える魔法使いの人が来る。物資を運んだり、僕に関する報告を聞く他に、この辺りの地域の様子を王都に報告する役割も担っているらしい。その人に話したら、僕が持っている森で取ってきた素材の代わりに、野菜の種をもらえた。種くらいはいいと言ってくれたんだ。
おかげで、窓際は野菜の鉢植えでいっぱいだ。早く育たないかなと、毎日水をあげるのが日課になった。
そんなふうに毎日が過ぎて、一ヶ月が経った頃。
僕は、自分の部屋として使っている部屋のベッドで、なかなか起きれずにいた。
まだ眠い……
別に誰かが起こしに来るわけじゃない。起きたい時に起きて、言いつけられた仕事だけは計画的にこなす。これさえしておけば、王家だって何も言ってこないみたいだし、僕に無理難題を課すつもりはないみたい。
のろのろベッドから出た僕は、大きく伸びをした。
自分で繕ったカーテンを開けると、朝日が入ってくる。裁縫はしたことがなくて、しばらくは指先が穴だらけだった。服も、砦にあったものを洗って繕った。
部屋の端には、森の中で集めた食材が積んであって、窓辺には、そろそろ食べられそうな小さな野菜が生えた鉢植え。
やった……!! 今日は美味しいご飯が食べられそうだ!!
そばにあるカゴから、果物を一つ取ってかじる。これは、魔力も戻ったから、魔法で冷やしている。
甘くてひんやり冷たい……
砦の中に見張りはいるけど、僕は完全に放置されている。だから、好きに生活することにした。言われたことだけこなして、後は、素材を集めたり、食材を集めたり。砦の中を整備したり、壊れた物を修復したり。最近はそれが結構楽しい。
ここではずっと一人で、食事も身の回りのことも一人でやって、夜になったら、好きな時に眠る。監視はされているけど、ずっと誰かそばにいるわけじゃない。
ここに来るまでにあったことのせいで、僕はすっかり人が怖くなり、ここで一人で暮らしている方が気楽だ。
面倒だけど顔を洗った僕は、大きなカゴを背負って、それから武器になる杖も握って、砦を出た。
幽閉とは言うけれど、砦に幽閉されるわけではないらしい。この辺りの、結界が張られた地域の中から出ることを禁じられただけ。そこから出なければ、僕が幽閉を無視したことにはならない。
足枷は壊れたまま、僕の足についている。両手の自由を奪う手枷は、そのままにしている。どちらも、両足首や両手首に鉄の輪をとりつけ鎖でつなぐもので、護送の間、魔物に襲われた時のことを考えて、鎖は、戦うのに困らないくらいの長さがある。もしもの時は、その鎖が伸びて、僕の腕と体に強力に巻き付き、僕の体をぐるぐる巻きにしてしまうらしい。幽閉が決まった罪人のための、特別な拘束だ。
魔法で重さもそんな物が肌に触れる感触も感じないようにしているから、毎日生活するのにそんなに支障は来さないけど、邪魔なものは邪魔。もうしばらくしたら、はずしていいですか? って、相談してみよう。なかなか受け入れてはもらえないかもしれないけど。逃亡した際に動きを拘束するためと、誰から見ても幽閉から逃亡した者だと分かるようにするためのものだから。
砦から出たら、お気に入りの場所である、崩れた城壁の上に腰を下ろす。それから、持ってきたキノコを鉄の串に刺して、魔法の炎で炙った。美味しそうに焼けたところで、早速塩をかけて、一口かじる。
「おいしーーいっっ!!」
ふわふわ柔らかくて香ばしくてジューシー……最高だ。
早速その場にゴロンと仰向けに横になる。ゴロゴロしながら、またキノコを一口。それから、空を見上げた。
王都にいた頃は、こんなこと絶対にできなかったな……
こんなにのんびり朝食を食べることができるなんて……
食べながら、石の上でまたゴロンとする。
今日は、森にでも行ってみるかー。また魚を取りたいし、果物も欲しい。素材を集めれば、パンと交換してもらえるし。
ここしばらくの間に、森の中を歩くことも好きになってきたんだ。
朝食を終えてから、大きなカゴを担いで、山の中を歩く。山の幸を取りに来た人にしか見えないが、これでも一応、僕は任務に向かう途中。ここで魔物が増えないか監視して、依頼されたことをこなして、報告することが、今の僕の役目。
この山を降りたところには街がいくつかあって、砦はそれらの街をつなぐ街道からは少し離れている。けれど、ここで魔物が増えたり魔獣が暴れたりすれば、当然街道や街にも影響が出る可能性がある。実際、たまにだけど、街ではこの山に関する困りごとの相談が警備隊に寄せられるらしい。
「あ!! 夕飯!!」
僕は、周りにあったきのこを、せっせとカゴに入れた。
夕飯の材料を見ると、嬉しくなる。お腹空いたし、食事が一品増えるのは楽しい。
僕がこなさなくてはならない仕事は、近くの街の安全を管理している部隊の人が、リストにして持ってきてくれる。
もらったリストの書類を開いてみると、この辺りに現れる正体不明のものの調査と書かれていた。詳細を書く欄には、川辺に現れる、光と水が固まって魔獣みたいにも見えるようなものを調べろ、だって! なんだよ、それ!!
魔物なのかな? それとも、魔獣? もしかしたら、どちらでもなく魔法や魔法の道具の一種かもしれない。
もう少し詳しく書いて教えて欲しい。
これ……警備隊が街から頼まれた厄介ごとを、そのまま僕のところに持ってきたなーー!!
投げ出してしまいたくなるけど、そんなことして罪が重くなったら、今度こそ地下牢に監禁かもしれない。
二度と王都には戻りたくないなーー……
ここでの生活は、王都にいた頃より、ずっと穏やかだ。
いつか許されたら、どこか好きなところに行って、自由気ままに暮らしたい。できるだけ山奥の、誰もいないようなところで、素材を集める冒険者、なんていいなぁ。
お弁当がわりのキノコを魔法の炎で焼いてはかじり、食材を集めながら、僕は、リストに書いてあった川の方に歩き出した。
最初はうまくいかないことも多かった。料理をしようとしたら、全部黒焦げになったり、全部生で、後でお腹壊してのたうちまわったり。
それでも、なんとか上手くやれていると思う。
広い砦を掃除するのは大変だけど、元は魔物退治の拠点になっていただけあって、壊れた武器がたくさんある。割れた魔法の薬の瓶や、破れた魔法の書物や、壊れた魔法の道具の数々も。なんだか、まるでゴミ捨て場みたいだ。僕がここに住むことも、誰も考えていなかったんだろう。
だけど、全部修理すれば使えそう! これだけあれば、なんとか生活できそうだ!
ここには、食料だってもちろんない。
こんなに落ち込んでいるのになんで腹が減るんだよって思ったけど、減るものは減る。
ふらふらな僕は森に出て、いくつも木の実やキノコをとってきた。割と食べられるものには詳しいんだ。王城に行く前は食事をとりあげられることも多くて、外に出て食べられる物を探していたから。
森では、魔法の道具の整備に必要な素材もあって、それも集めた。
砦には、普段から数人の魔法使いと兵士がいる。僕を見張る、王都から来た人たちだ。彼らはここにいる僕を完全に見下していて、僕はできるだけ話さないようにしている。彼らも僕の監視なんて嫌らしく、近くの街に行ってほぼ帰らない。
後は、たまに砦に王家に仕える魔法使いの人が来る。物資を運んだり、僕に関する報告を聞く他に、この辺りの地域の様子を王都に報告する役割も担っているらしい。その人に話したら、僕が持っている森で取ってきた素材の代わりに、野菜の種をもらえた。種くらいはいいと言ってくれたんだ。
おかげで、窓際は野菜の鉢植えでいっぱいだ。早く育たないかなと、毎日水をあげるのが日課になった。
そんなふうに毎日が過ぎて、一ヶ月が経った頃。
僕は、自分の部屋として使っている部屋のベッドで、なかなか起きれずにいた。
まだ眠い……
別に誰かが起こしに来るわけじゃない。起きたい時に起きて、言いつけられた仕事だけは計画的にこなす。これさえしておけば、王家だって何も言ってこないみたいだし、僕に無理難題を課すつもりはないみたい。
のろのろベッドから出た僕は、大きく伸びをした。
自分で繕ったカーテンを開けると、朝日が入ってくる。裁縫はしたことがなくて、しばらくは指先が穴だらけだった。服も、砦にあったものを洗って繕った。
部屋の端には、森の中で集めた食材が積んであって、窓辺には、そろそろ食べられそうな小さな野菜が生えた鉢植え。
やった……!! 今日は美味しいご飯が食べられそうだ!!
そばにあるカゴから、果物を一つ取ってかじる。これは、魔力も戻ったから、魔法で冷やしている。
甘くてひんやり冷たい……
砦の中に見張りはいるけど、僕は完全に放置されている。だから、好きに生活することにした。言われたことだけこなして、後は、素材を集めたり、食材を集めたり。砦の中を整備したり、壊れた物を修復したり。最近はそれが結構楽しい。
ここではずっと一人で、食事も身の回りのことも一人でやって、夜になったら、好きな時に眠る。監視はされているけど、ずっと誰かそばにいるわけじゃない。
ここに来るまでにあったことのせいで、僕はすっかり人が怖くなり、ここで一人で暮らしている方が気楽だ。
面倒だけど顔を洗った僕は、大きなカゴを背負って、それから武器になる杖も握って、砦を出た。
幽閉とは言うけれど、砦に幽閉されるわけではないらしい。この辺りの、結界が張られた地域の中から出ることを禁じられただけ。そこから出なければ、僕が幽閉を無視したことにはならない。
足枷は壊れたまま、僕の足についている。両手の自由を奪う手枷は、そのままにしている。どちらも、両足首や両手首に鉄の輪をとりつけ鎖でつなぐもので、護送の間、魔物に襲われた時のことを考えて、鎖は、戦うのに困らないくらいの長さがある。もしもの時は、その鎖が伸びて、僕の腕と体に強力に巻き付き、僕の体をぐるぐる巻きにしてしまうらしい。幽閉が決まった罪人のための、特別な拘束だ。
魔法で重さもそんな物が肌に触れる感触も感じないようにしているから、毎日生活するのにそんなに支障は来さないけど、邪魔なものは邪魔。もうしばらくしたら、はずしていいですか? って、相談してみよう。なかなか受け入れてはもらえないかもしれないけど。逃亡した際に動きを拘束するためと、誰から見ても幽閉から逃亡した者だと分かるようにするためのものだから。
砦から出たら、お気に入りの場所である、崩れた城壁の上に腰を下ろす。それから、持ってきたキノコを鉄の串に刺して、魔法の炎で炙った。美味しそうに焼けたところで、早速塩をかけて、一口かじる。
「おいしーーいっっ!!」
ふわふわ柔らかくて香ばしくてジューシー……最高だ。
早速その場にゴロンと仰向けに横になる。ゴロゴロしながら、またキノコを一口。それから、空を見上げた。
王都にいた頃は、こんなこと絶対にできなかったな……
こんなにのんびり朝食を食べることができるなんて……
食べながら、石の上でまたゴロンとする。
今日は、森にでも行ってみるかー。また魚を取りたいし、果物も欲しい。素材を集めれば、パンと交換してもらえるし。
ここしばらくの間に、森の中を歩くことも好きになってきたんだ。
朝食を終えてから、大きなカゴを担いで、山の中を歩く。山の幸を取りに来た人にしか見えないが、これでも一応、僕は任務に向かう途中。ここで魔物が増えないか監視して、依頼されたことをこなして、報告することが、今の僕の役目。
この山を降りたところには街がいくつかあって、砦はそれらの街をつなぐ街道からは少し離れている。けれど、ここで魔物が増えたり魔獣が暴れたりすれば、当然街道や街にも影響が出る可能性がある。実際、たまにだけど、街ではこの山に関する困りごとの相談が警備隊に寄せられるらしい。
「あ!! 夕飯!!」
僕は、周りにあったきのこを、せっせとカゴに入れた。
夕飯の材料を見ると、嬉しくなる。お腹空いたし、食事が一品増えるのは楽しい。
僕がこなさなくてはならない仕事は、近くの街の安全を管理している部隊の人が、リストにして持ってきてくれる。
もらったリストの書類を開いてみると、この辺りに現れる正体不明のものの調査と書かれていた。詳細を書く欄には、川辺に現れる、光と水が固まって魔獣みたいにも見えるようなものを調べろ、だって! なんだよ、それ!!
魔物なのかな? それとも、魔獣? もしかしたら、どちらでもなく魔法や魔法の道具の一種かもしれない。
もう少し詳しく書いて教えて欲しい。
これ……警備隊が街から頼まれた厄介ごとを、そのまま僕のところに持ってきたなーー!!
投げ出してしまいたくなるけど、そんなことして罪が重くなったら、今度こそ地下牢に監禁かもしれない。
二度と王都には戻りたくないなーー……
ここでの生活は、王都にいた頃より、ずっと穏やかだ。
いつか許されたら、どこか好きなところに行って、自由気ままに暮らしたい。できるだけ山奥の、誰もいないようなところで、素材を集める冒険者、なんていいなぁ。
お弁当がわりのキノコを魔法の炎で焼いてはかじり、食材を集めながら、僕は、リストに書いてあった川の方に歩き出した。
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