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5.今日はきのこがたくさんとれたからな
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一日森を回って、小さな魔物を退治した僕は、カゴにキノコと果物と野草を入れて、砦への帰路についていた。
リストにあったものは見つけられなかったな……また明日、探してみよう。
お腹空いたぁ……
砦に帰ったら夕飯にしようと思っていたんだけど……せっかくだから一つ味見してみよう!!
「うまっ……!」
焼いたキノコを一人で食べると、疲れも消えていきそう。
美味しい……帰って夕飯のキノコも焼こう!
普段言い付けられる仕事は、多分近くの街の警備隊が対処することをやめてしまったようなもの。魔法の力を持つ植物や魔獣も多いこの辺りでは、訳の分からない事件もよく起こる。その多くは、魔力が破裂して木々が粉々になったとか、川の水が魔力で浮き上がったとか、ここからかなり離れた街にまでは危険が及んだりはしないもの。それの原因追求まで全部していたら、警備隊は街のことに対処できなくなる。街の治安維持が、彼らの最優先事項。そうでないものを、僕に頼みたいようだ。どれもこれも、急ぐような依頼ではないから、のんびりしていていいんだけど、訳の分からない依頼を引き受けて、それをこなすのは大変。
なんだか、ろくに生活できない場所で閑職に追いやられた気分……
だけど、思ったより快適だから、それでもいい!
野菜作りももっと学びたい。そしたら今よりたくさん野菜が食べられそう。それに必要な魔法も覚えたい。魚釣りもしてみたけど、魚にはあっさり逃げられた。稀にまぐれで成功するんだけど……もう少し練習するしかないな……
川が近くなってきたらしい。水の音がする。
本当に、この辺りはのんびりしていていいなー……
だけど、そんな時に、頭に刺さるような大きな声が聞こえた。
「ぎゃあああああああーーーーーーっっ!!」
なんだっ……?! 今の……悲鳴みたいだった。
誰か、人がいるのか!?
普段、こんなところまで来る人はいない。今は枯れ木や枯れ葉で埋まるここも、後少ししたら、雪で埋まる。寒いし、魔物もいるから、いつもは全く人気のない山奥なのに。
それなのに、なんでこんなところに人が……
もしかして、僕の砦に出入りしている人か?
聞き間違いかもしれないけど、もしも本当に悲鳴だったら大変だ。
声が聞こえた方に走ると、森の中に、光る雪のような物がふわふわ浮いていた。
なんだ……これ…………?
魔物の仕業かな?
いや……多分、魔法だ。それも、制御できていない。魔法の暴走かもしれない。結構あるんだ。ちゃんと整備されていない魔法の道具でも使ったのかな?
僕が近づいたことで、暴走した魔法の光は、僕の魔力に引き寄せられたらしく集まって、まるで竜のような姿になって、僕の方に向かって飛んでくる。
うわあああ! 面倒なことになった!
僕は、手枷にも構わず、竜に向かって魔法を撃った。
魔力を水に変えて、光の竜の周りに纏わせる。すると、竜はすぐに細くなり、空に向かって飛んでいって消えた。そして、中から小さな、小鳥くらいの大きさの竜が出てくる。竜は一目散に山の奥に飛んでいった。
竜がいたのか……魔法の暴走に巻き込まれたんだろう。
びっくりしただろうな……気の毒に。無事でよかったー……
そして、さっきまで光が浮いていたところに、何か倒れている。
人……? 人が倒れてる!
僕は、慌ててその人に駆け寄った。
「だっ……大丈夫ですか!?」
え……? この人…………僕の砦に物資を届けてくれている、レオトウェルラレット様だ。普段は王城で素材や道具の警備、管理をしていたはず。たまに僕の砦に食料や生活に必要な魔法の道具を運んできてくれる。警備隊からの依頼を持って来てくれているのも彼。赤く短い髪の精悍な男性で、魔法も剣術も使えるらしい。砦まで来る時も、いつも一人で飛んでくる。
この人も、さっきの魔法の暴走に巻き込まれたのか!?
あちこち服が破れて焦げて、血が流れている。ひどい怪我だ……早く回復しないと、命が危ない。
「回復の魔法、かけますね!」
すぐに回復の魔法をかける。
だけど、ダメだ……魔力が全然足りない!!
今は一日中、山を歩いてきた帰りだ。今日は小さな魔物がたくさんいたし、何より僕は、砦に来た際に、デペンフィトに魔力の回復を助ける杖を奪われてしまっている。それでも回復できないことはないんだけど、回復のスピードが全然違うんだ。
いつも僕は、最低限砦に帰れるくらいの魔力しか残さない。今日だってそうだ。砦に帰れば魔法の道具を使って、砦を襲う魔物対策ができる。だからいつも魔力が尽きそうになるまで、つい食材探しをしちゃうんだ。
今日は美味しそうなキノコが生えていたからなーー。これ、キノコのスープにしよう! ……って、キノコのこと考えてる場合じゃない!
誰かがこんなところに倒れていたこと、これまでなかったのに……
彼は倒れたまま目を覚さない。十分とは言えないけど、回復の魔法はかけたのに!
他に何か理由があるのかもしれない。
魔法を使って、彼の体を調べる。
すると、彼が魔物の毒にやられていることがわかった。正確に言うと、魔物の魔力が体内に入り込んで、彼の体に食いついて回っている。
普通に魔物で戦ってこんなことなることは、まずない。おそらく、魔物の毒を使って作った攻撃のための武器が暴走するか、破壊されて彼に襲い掛かるかしたんだろう。
このままじゃ、この人は毒に体を食い破られて、内臓を破壊された後に死ぬ。
助けなきゃ……
彼は、僕の砦に物資を運んでくれていた。だったら、僕が幽閉されることがなかったら、ここに派遣されることもなかったかもしれない。
食料を持って来てくれのも彼だ。彼がいたから、僕は飢え死にしなくて済んだ。そんな人を、今ここで殺すわけにはいかない。
だけど、僕の今の魔力だけじゃ、この人を救えない。
もしかしたら、彼自身が何か持っているかもしれないと思って探ると、魔力を回復する魔法の薬を持っていたから、魔力だけは回復させたけど、彼は目を覚さない。目を覚さなきゃ、自分で解毒の魔法を使うことも無理だろう。そもそも、今の彼に毒を消し去る魔法が使えるとも限らない。
このままじゃ……
魔力を回復させる薬は、あと一つある。
これで僕が魔力を回復して、さらに彼に回復の魔法を使って、砦まで運ぶか? もしくは空を飛んで助けを呼ぶか……
砦まで戻ることはできる。だけど、帰ったところで、おそらく見張りの魔法使いたちはいない。回復の薬なんかも備えていない。
かといって、今の僕の魔力で回復の魔法を使っても、彼は目を覚さないだろう。毒だって消さなきゃ。
幽閉されている範囲内なら、僕は魔法を使えるけど、僕はここから出られないから、街までは運べない。
くそ……手詰まりか?
そもそもこの人、なんでこんなところにいるんだ? 今日は砦には来ていなかったはず。砦に行く途中には見えないし……
もしかしたら、周辺で活動中の部隊に会いに行ったのかもしれない。僕への伝令役もしてくれていたし、よくそんな任務を任されていたはずだ。だとしたら、そっちに連れて行ったほうが、助かる可能性が高いのかもしれない。
悩んでいると、レオトウェルラレット様のまぶたが、微かに動いた。
「うっ…………」
「あっ…………! よ、よかったっ……! あのっ……大丈夫ですか!? 何があったんですか!?」
「た、助け……たすけ、て……くれ……」
苦しそうに言いながら彼は、魔力を回復する魔法の薬の瓶を出して、僕にそれを渡す。まだ回復の薬、持っていたのか!?
「……は、やく……たす、け、て……」
「分かりました!」
瓶の蓋を開けると、中から魔力の光が現れる。それを使うと、少しだけ僕の魔力が回復した。
もう一度彼に魔法をかけると、傷は塞がっていった。完全には治せていないけど、怪我はこれで大丈夫だろう。だけど、毒は消せない。毒が回る前に、なんとかしなきゃ……だけど、
迷っていると、彼は苦しそうに言う。
「む、向こうに…………部隊が……」
「えっ……!?」
「部隊がっ……来ているんだ…………! 早くっ……助けてっ……!」
部隊が? そんなものが来ているなら、そこに回復の魔法の薬もあるはず……彼は、王城から派遣された魔法使いだ。だったら、きっと助けてくれるはずだ!
「行きましょう!!」
僕は、レオトウェルラレット様を担いだ。強力な回復の魔法をかけた後だから、魔力も残り少なくなっちゃったし……急ごうっっ!!
リストにあったものは見つけられなかったな……また明日、探してみよう。
お腹空いたぁ……
砦に帰ったら夕飯にしようと思っていたんだけど……せっかくだから一つ味見してみよう!!
「うまっ……!」
焼いたキノコを一人で食べると、疲れも消えていきそう。
美味しい……帰って夕飯のキノコも焼こう!
普段言い付けられる仕事は、多分近くの街の警備隊が対処することをやめてしまったようなもの。魔法の力を持つ植物や魔獣も多いこの辺りでは、訳の分からない事件もよく起こる。その多くは、魔力が破裂して木々が粉々になったとか、川の水が魔力で浮き上がったとか、ここからかなり離れた街にまでは危険が及んだりはしないもの。それの原因追求まで全部していたら、警備隊は街のことに対処できなくなる。街の治安維持が、彼らの最優先事項。そうでないものを、僕に頼みたいようだ。どれもこれも、急ぐような依頼ではないから、のんびりしていていいんだけど、訳の分からない依頼を引き受けて、それをこなすのは大変。
なんだか、ろくに生活できない場所で閑職に追いやられた気分……
だけど、思ったより快適だから、それでもいい!
野菜作りももっと学びたい。そしたら今よりたくさん野菜が食べられそう。それに必要な魔法も覚えたい。魚釣りもしてみたけど、魚にはあっさり逃げられた。稀にまぐれで成功するんだけど……もう少し練習するしかないな……
川が近くなってきたらしい。水の音がする。
本当に、この辺りはのんびりしていていいなー……
だけど、そんな時に、頭に刺さるような大きな声が聞こえた。
「ぎゃあああああああーーーーーーっっ!!」
なんだっ……?! 今の……悲鳴みたいだった。
誰か、人がいるのか!?
普段、こんなところまで来る人はいない。今は枯れ木や枯れ葉で埋まるここも、後少ししたら、雪で埋まる。寒いし、魔物もいるから、いつもは全く人気のない山奥なのに。
それなのに、なんでこんなところに人が……
もしかして、僕の砦に出入りしている人か?
聞き間違いかもしれないけど、もしも本当に悲鳴だったら大変だ。
声が聞こえた方に走ると、森の中に、光る雪のような物がふわふわ浮いていた。
なんだ……これ…………?
魔物の仕業かな?
いや……多分、魔法だ。それも、制御できていない。魔法の暴走かもしれない。結構あるんだ。ちゃんと整備されていない魔法の道具でも使ったのかな?
僕が近づいたことで、暴走した魔法の光は、僕の魔力に引き寄せられたらしく集まって、まるで竜のような姿になって、僕の方に向かって飛んでくる。
うわあああ! 面倒なことになった!
僕は、手枷にも構わず、竜に向かって魔法を撃った。
魔力を水に変えて、光の竜の周りに纏わせる。すると、竜はすぐに細くなり、空に向かって飛んでいって消えた。そして、中から小さな、小鳥くらいの大きさの竜が出てくる。竜は一目散に山の奥に飛んでいった。
竜がいたのか……魔法の暴走に巻き込まれたんだろう。
びっくりしただろうな……気の毒に。無事でよかったー……
そして、さっきまで光が浮いていたところに、何か倒れている。
人……? 人が倒れてる!
僕は、慌ててその人に駆け寄った。
「だっ……大丈夫ですか!?」
え……? この人…………僕の砦に物資を届けてくれている、レオトウェルラレット様だ。普段は王城で素材や道具の警備、管理をしていたはず。たまに僕の砦に食料や生活に必要な魔法の道具を運んできてくれる。警備隊からの依頼を持って来てくれているのも彼。赤く短い髪の精悍な男性で、魔法も剣術も使えるらしい。砦まで来る時も、いつも一人で飛んでくる。
この人も、さっきの魔法の暴走に巻き込まれたのか!?
あちこち服が破れて焦げて、血が流れている。ひどい怪我だ……早く回復しないと、命が危ない。
「回復の魔法、かけますね!」
すぐに回復の魔法をかける。
だけど、ダメだ……魔力が全然足りない!!
今は一日中、山を歩いてきた帰りだ。今日は小さな魔物がたくさんいたし、何より僕は、砦に来た際に、デペンフィトに魔力の回復を助ける杖を奪われてしまっている。それでも回復できないことはないんだけど、回復のスピードが全然違うんだ。
いつも僕は、最低限砦に帰れるくらいの魔力しか残さない。今日だってそうだ。砦に帰れば魔法の道具を使って、砦を襲う魔物対策ができる。だからいつも魔力が尽きそうになるまで、つい食材探しをしちゃうんだ。
今日は美味しそうなキノコが生えていたからなーー。これ、キノコのスープにしよう! ……って、キノコのこと考えてる場合じゃない!
誰かがこんなところに倒れていたこと、これまでなかったのに……
彼は倒れたまま目を覚さない。十分とは言えないけど、回復の魔法はかけたのに!
他に何か理由があるのかもしれない。
魔法を使って、彼の体を調べる。
すると、彼が魔物の毒にやられていることがわかった。正確に言うと、魔物の魔力が体内に入り込んで、彼の体に食いついて回っている。
普通に魔物で戦ってこんなことなることは、まずない。おそらく、魔物の毒を使って作った攻撃のための武器が暴走するか、破壊されて彼に襲い掛かるかしたんだろう。
このままじゃ、この人は毒に体を食い破られて、内臓を破壊された後に死ぬ。
助けなきゃ……
彼は、僕の砦に物資を運んでくれていた。だったら、僕が幽閉されることがなかったら、ここに派遣されることもなかったかもしれない。
食料を持って来てくれのも彼だ。彼がいたから、僕は飢え死にしなくて済んだ。そんな人を、今ここで殺すわけにはいかない。
だけど、僕の今の魔力だけじゃ、この人を救えない。
もしかしたら、彼自身が何か持っているかもしれないと思って探ると、魔力を回復する魔法の薬を持っていたから、魔力だけは回復させたけど、彼は目を覚さない。目を覚さなきゃ、自分で解毒の魔法を使うことも無理だろう。そもそも、今の彼に毒を消し去る魔法が使えるとも限らない。
このままじゃ……
魔力を回復させる薬は、あと一つある。
これで僕が魔力を回復して、さらに彼に回復の魔法を使って、砦まで運ぶか? もしくは空を飛んで助けを呼ぶか……
砦まで戻ることはできる。だけど、帰ったところで、おそらく見張りの魔法使いたちはいない。回復の薬なんかも備えていない。
かといって、今の僕の魔力で回復の魔法を使っても、彼は目を覚さないだろう。毒だって消さなきゃ。
幽閉されている範囲内なら、僕は魔法を使えるけど、僕はここから出られないから、街までは運べない。
くそ……手詰まりか?
そもそもこの人、なんでこんなところにいるんだ? 今日は砦には来ていなかったはず。砦に行く途中には見えないし……
もしかしたら、周辺で活動中の部隊に会いに行ったのかもしれない。僕への伝令役もしてくれていたし、よくそんな任務を任されていたはずだ。だとしたら、そっちに連れて行ったほうが、助かる可能性が高いのかもしれない。
悩んでいると、レオトウェルラレット様のまぶたが、微かに動いた。
「うっ…………」
「あっ…………! よ、よかったっ……! あのっ……大丈夫ですか!? 何があったんですか!?」
「た、助け……たすけ、て……くれ……」
苦しそうに言いながら彼は、魔力を回復する魔法の薬の瓶を出して、僕にそれを渡す。まだ回復の薬、持っていたのか!?
「……は、やく……たす、け、て……」
「分かりました!」
瓶の蓋を開けると、中から魔力の光が現れる。それを使うと、少しだけ僕の魔力が回復した。
もう一度彼に魔法をかけると、傷は塞がっていった。完全には治せていないけど、怪我はこれで大丈夫だろう。だけど、毒は消せない。毒が回る前に、なんとかしなきゃ……だけど、
迷っていると、彼は苦しそうに言う。
「む、向こうに…………部隊が……」
「えっ……!?」
「部隊がっ……来ているんだ…………! 早くっ……助けてっ……!」
部隊が? そんなものが来ているなら、そこに回復の魔法の薬もあるはず……彼は、王城から派遣された魔法使いだ。だったら、きっと助けてくれるはずだ!
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