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10.えっと……もしかして俺の話、全然聞いてない?
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焦って見上げると、宰相様は難しい顔をして言った。
「ラグトジャスのことは、王都に返すことにした。部隊も、一度引き上げるつもりだ」
「へ!?? あ……ラグトジャスを……」
そうだよな。こんなことになっちゃったし、魔法の道具や武器は壊れ、魔法の薬も、使えるものはもう少ないはず。怪我人も出たはずだ。一度王都に戻って、体制を整えた方がいい。暴走に関する報告も必要なはずだ。宰相殿だって、しばらくは部隊を離れたくないだろうし……
それなら早く部隊のみんなのところに戻った方がいいんじゃないかと思うのに、宰相様はやけに辛そうな顔をしている。
「本当に、悪かった……部隊を助けてくれて、ありがとう……」
「そんなっ……僕はレオトウェルラレット様を連れてきただけです。僕だけでは助けられなかったので…………むしろ、僕の方が助けていただきました。ありがとうございます!」
「……彼はもともと、公爵家に仕えていたんだ。俺が助けるのは当たり前だ。外で食事の用意をしている。食べて行かない?」
「え…………」
え、え!? え!!?? ええ!? 食事!!?? いいの!??
あ、食事の用意をしていたからか!! さっきから美味しそうな匂いがすると思っていたんだ!!
ちょうどお腹も空いていたし……もう、今すぐにでもこの美味しそうな匂いのご飯にありつきたい!!
で、でもっ……いいのか!?? 僕が一緒に食べて……
僕は一応、幽閉されている身だ。今だって手枷はそのまま、足枷だってつけてる。壊れてるけど。
でも、これって僕に対する罰が終わった訳ではないってことだよな?
今みんなと食事なんて…………それに、大勢と一緒に食事を取るのも、怖いような気がする。
だ、だけど、すごくいい匂いがする……うっとりしそうなくらいだ。
この匂いは……も、もしかして、肉?? 肉とソース?? た、食べたいっ……!! 今すぐにかぶりつきたい!!
い、いやっ……落ち着け僕っ……!! 宰相様の前じゃないかっ……!
「え……えっと……あ、あ、あのっ……あ、ありがとう、ございます……」
ダメだ……肉のことを考えたら、すっかり動揺してしまっている! 落ち着かないと、お肉! って、叫んでしまいそう!!
「え……えっと…………でっ、でも……な、なんで僕に……あのっ……僕も食べていいんですか?」
「君のおかげで、俺の部下も救われた。お礼をするのは当然だろ? ラグトジャスのしたこともお詫びしたいし」
「…………」
どうしよう…………
宰相様の気持ちは嬉しい。僕のしたことを認めてくれているようで。
だけど、ラグトジャスとのことを思い出すと……どうしても、恐ろしくなる。それに、僕と食事を取りたい人なんて、いるわけないし……
「あの……僕……やっぱり……と、砦に戻ろうかと……えっと……一応幽閉されている身ですし………………逃げ出したと思われても困るので…………」
答えづらいままでいると、テントを開いて、レオトウェルラレット様が中に入ってくる。
彼が持っている大きな皿には、串に刺さった焼きたての肉!!
すごい……大きな肉の塊をいくつも刺した串が来たことで、美味しそうな匂いがテントの中に広がる。
何あれ…………お肉……焼いた肉だっっ!!
無意識のうちに、よだれが垂れていた。
「これ……冷めないうちに……」
レオトウェルラレット様は、すぐに気まずそうに顔を背けてしまう。
だけど、僕にはもう、そんな彼の仕草すら、全く目に入らなくなっている。
さっきまで、あれだけ色々考えていたのに、もうそんなことどうだっていい!!
美味しそうに焼けた肉が僕の前に並んでいる。肉汁が輝いているようだ。
すでに、肉の串に勝手に手が向かっていた。
欲望のままに、肉に食らいつく。熱いはずなのに、そんなこと、全然気にならない!! 表面はまるで揚げたようにカリカリなのに、中には肉汁が溢れて……もう奇跡だ! 程よい塩味とスパイスまで重なって……こんなの食べたことない!
うまあああああい!!!! もう、肉以外のこと、考えられない!!
「うまっ……おいしいっ…………!! おいしいです!! この肉っ……!!」
「普段、食事もろくにとっていないだろ……」
そう僕を見下ろしながらレオトウェルラレット様が言うと、宰相様は眉を顰めて彼に尋ねた。
「ろくにとっていない? それはどういうこと?」
「…………それが……あんな極悪人には食事なんていらないって、デペンフィト様が……」
「……何…………? 食材は定期的に届けることになっているはずだ。それを……」
「…………確かに届けてはいたのですが、恐らく、あの砦を管理する奴らで使っています。俺から何度かどう使っているのか聞いたのですが、のらりくらりと言い訳をするばかりで……城でも、一度上司に話したのですが……」
「……俺は聞いていない……もみ消したな…………あいつ……」
「…………申し訳ございません…………砦の方々にも、俺以外で砦に物資を届けていた奴らにも、フィルロファルの様子を聞いたのですが、問題なくやっていると答えるばかりで……」
「……やはり、そうか……では、あの砦の維持に必要なものは、彼に届いていないのか?」
「お、俺も、よく知りません。砦の中のことまでは…………ただ、フィルロファルに届いているとは思えません!! 食事も……俺が見た時は、自分で用意を……」
「そうだったのか…………あの手枷と足枷はどうした? 砦についたら、逃亡を封じる首輪のみに変えるはずだっただろう!」
「それは、俺にも詳しくは分かりません……ただ、枷を外す許可は降りていないようです……デペンフィト様からも、外す必要ないと……王城はそう判断したと聞きました」
「許可が出るように手続きをしたのは俺だぞっ……! そんなはずがない。では、手枷を外す手続きもまだ完了していないのか? …………くそ……途中で握りつぶしたな………………すまない、フィルロファル。枷と、砦に送るもののことは、城に帰ったらすぐに確認する」
宰相様が僕に振り向いてそう言うけど、僕は美味しいご飯に夢中で、全然聞いていなかった。
「え……? ……えっと…………あの、な、何か……?」
「……もしかして、聞いてなかった?」
宰相様は驚いたような顔でそう言っているけど、全く聞いてなかった。
美味しい食事を前にして、話なんて聞ける状態じゃない。今の僕は、食べることに夢中なんだ。
このお肉……本当に美味しい……きのこも一緒に焼きたいなあ。スープも欲しい。砦に持って帰ってゆっくり食べたらだめかなあ……
「ラグトジャスのことは、王都に返すことにした。部隊も、一度引き上げるつもりだ」
「へ!?? あ……ラグトジャスを……」
そうだよな。こんなことになっちゃったし、魔法の道具や武器は壊れ、魔法の薬も、使えるものはもう少ないはず。怪我人も出たはずだ。一度王都に戻って、体制を整えた方がいい。暴走に関する報告も必要なはずだ。宰相殿だって、しばらくは部隊を離れたくないだろうし……
それなら早く部隊のみんなのところに戻った方がいいんじゃないかと思うのに、宰相様はやけに辛そうな顔をしている。
「本当に、悪かった……部隊を助けてくれて、ありがとう……」
「そんなっ……僕はレオトウェルラレット様を連れてきただけです。僕だけでは助けられなかったので…………むしろ、僕の方が助けていただきました。ありがとうございます!」
「……彼はもともと、公爵家に仕えていたんだ。俺が助けるのは当たり前だ。外で食事の用意をしている。食べて行かない?」
「え…………」
え、え!? え!!?? ええ!? 食事!!?? いいの!??
あ、食事の用意をしていたからか!! さっきから美味しそうな匂いがすると思っていたんだ!!
ちょうどお腹も空いていたし……もう、今すぐにでもこの美味しそうな匂いのご飯にありつきたい!!
で、でもっ……いいのか!?? 僕が一緒に食べて……
僕は一応、幽閉されている身だ。今だって手枷はそのまま、足枷だってつけてる。壊れてるけど。
でも、これって僕に対する罰が終わった訳ではないってことだよな?
今みんなと食事なんて…………それに、大勢と一緒に食事を取るのも、怖いような気がする。
だ、だけど、すごくいい匂いがする……うっとりしそうなくらいだ。
この匂いは……も、もしかして、肉?? 肉とソース?? た、食べたいっ……!! 今すぐにかぶりつきたい!!
い、いやっ……落ち着け僕っ……!! 宰相様の前じゃないかっ……!
「え……えっと……あ、あ、あのっ……あ、ありがとう、ございます……」
ダメだ……肉のことを考えたら、すっかり動揺してしまっている! 落ち着かないと、お肉! って、叫んでしまいそう!!
「え……えっと…………でっ、でも……な、なんで僕に……あのっ……僕も食べていいんですか?」
「君のおかげで、俺の部下も救われた。お礼をするのは当然だろ? ラグトジャスのしたこともお詫びしたいし」
「…………」
どうしよう…………
宰相様の気持ちは嬉しい。僕のしたことを認めてくれているようで。
だけど、ラグトジャスとのことを思い出すと……どうしても、恐ろしくなる。それに、僕と食事を取りたい人なんて、いるわけないし……
「あの……僕……やっぱり……と、砦に戻ろうかと……えっと……一応幽閉されている身ですし………………逃げ出したと思われても困るので…………」
答えづらいままでいると、テントを開いて、レオトウェルラレット様が中に入ってくる。
彼が持っている大きな皿には、串に刺さった焼きたての肉!!
すごい……大きな肉の塊をいくつも刺した串が来たことで、美味しそうな匂いがテントの中に広がる。
何あれ…………お肉……焼いた肉だっっ!!
無意識のうちに、よだれが垂れていた。
「これ……冷めないうちに……」
レオトウェルラレット様は、すぐに気まずそうに顔を背けてしまう。
だけど、僕にはもう、そんな彼の仕草すら、全く目に入らなくなっている。
さっきまで、あれだけ色々考えていたのに、もうそんなことどうだっていい!!
美味しそうに焼けた肉が僕の前に並んでいる。肉汁が輝いているようだ。
すでに、肉の串に勝手に手が向かっていた。
欲望のままに、肉に食らいつく。熱いはずなのに、そんなこと、全然気にならない!! 表面はまるで揚げたようにカリカリなのに、中には肉汁が溢れて……もう奇跡だ! 程よい塩味とスパイスまで重なって……こんなの食べたことない!
うまあああああい!!!! もう、肉以外のこと、考えられない!!
「うまっ……おいしいっ…………!! おいしいです!! この肉っ……!!」
「普段、食事もろくにとっていないだろ……」
そう僕を見下ろしながらレオトウェルラレット様が言うと、宰相様は眉を顰めて彼に尋ねた。
「ろくにとっていない? それはどういうこと?」
「…………それが……あんな極悪人には食事なんていらないって、デペンフィト様が……」
「……何…………? 食材は定期的に届けることになっているはずだ。それを……」
「…………確かに届けてはいたのですが、恐らく、あの砦を管理する奴らで使っています。俺から何度かどう使っているのか聞いたのですが、のらりくらりと言い訳をするばかりで……城でも、一度上司に話したのですが……」
「……俺は聞いていない……もみ消したな…………あいつ……」
「…………申し訳ございません…………砦の方々にも、俺以外で砦に物資を届けていた奴らにも、フィルロファルの様子を聞いたのですが、問題なくやっていると答えるばかりで……」
「……やはり、そうか……では、あの砦の維持に必要なものは、彼に届いていないのか?」
「お、俺も、よく知りません。砦の中のことまでは…………ただ、フィルロファルに届いているとは思えません!! 食事も……俺が見た時は、自分で用意を……」
「そうだったのか…………あの手枷と足枷はどうした? 砦についたら、逃亡を封じる首輪のみに変えるはずだっただろう!」
「それは、俺にも詳しくは分かりません……ただ、枷を外す許可は降りていないようです……デペンフィト様からも、外す必要ないと……王城はそう判断したと聞きました」
「許可が出るように手続きをしたのは俺だぞっ……! そんなはずがない。では、手枷を外す手続きもまだ完了していないのか? …………くそ……途中で握りつぶしたな………………すまない、フィルロファル。枷と、砦に送るもののことは、城に帰ったらすぐに確認する」
宰相様が僕に振り向いてそう言うけど、僕は美味しいご飯に夢中で、全然聞いていなかった。
「え……? ……えっと…………あの、な、何か……?」
「……もしかして、聞いてなかった?」
宰相様は驚いたような顔でそう言っているけど、全く聞いてなかった。
美味しい食事を前にして、話なんて聞ける状態じゃない。今の僕は、食べることに夢中なんだ。
このお肉……本当に美味しい……きのこも一緒に焼きたいなあ。スープも欲しい。砦に持って帰ってゆっくり食べたらだめかなあ……
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