11 / 41
11.ご飯に夢中です。何か問題ありますか?
しおりを挟む
ど、どうしよう……や、焼きたてお肉の虜になっていて、宰相様の話、全く聞いてなかった!
「…………も……申し訳ございません…………」
「いや……構わないよ。それより食事の……いや、物資のことと枷のことは、王城に戻ったらすぐに確認して、改善できるようにする」
「あ、はい……ありがとうございます…………」
話している間、肉を口元から離していたら、肉のことばかり気になる。
これ、本当に美味しい。このスパイスで、僕のきのこも焼いてほしいなぁ……スパイス、分けてもらえないかな??
思い切って言ってみるか? もしかしたら、いいよって言ってくれるかもしれない。大事に使うから、ほんの少しでいいんだ。
だけど……幽閉されている僕のわがままなんて聞いていられないかな……
ロステウィス様は、これから王都に戻って、今回の暴走についての調査や部隊の再編成、必要があればこの周辺の調査をしなくてはならないんだ。スパイス一つでも手続きはいるだろうし、宰相様の迷惑になるかもしれない。幽閉が終わった後の楽しみにするか……
そんなことばかり考えて、串焼きの肉を見下ろす。
すると見かねたのか、ロステウィス様は僕に、食べながらでいいよと言ってくれた。
そして、どこか難しい顔をして言う。
「その前に……」
「え? あっ……!」
彼は、僕の手首を握り、魔法をかけた。すると手枷はひどく軽くなって、鎖はそのままあるのに自由に手を動かせるようになった。まるで、両手を繋ぐ鎖がなくなってしまったかのようだ。壊れた足枷も、もうそこにはないように感じる。
「え…………あ、あの……宰相様? い、いいんですか?」
「……もともと、砦についたら外すはずだった。デペンフィトたちにはそう言いつけたんだけど、聞いていなかったようだ……恐らく、手枷を外すための手続きもされていないだろう」
「…………」
多分、されていないんじゃなくて、誰も外す気がないんじゃないかな? 外す気だったのは宰相様だけで、誰も最初から、僕を解放する気なんてまるでなくて、僕の言葉を信じる気もなかったんだろう。
「あ、ありがとうございます……あの…………」
「なに?」
「そんなに追い詰められたような顔をなさらないでください……公爵家として、動きたくても動けないこともあるでしょうから」
「フィルロファル……」
彼はそう僕の名前を呟いて、どこか苦しいように笑う。
「……君はいつもそうやって、俺や公爵家のことを考えてくれていたな……」
「え……? そうでしたか?」
「うん……思い出した」
「…………」
そうだったかな……あんまり覚えてない。
公爵家のために、公爵家に気に入られてこい、僕は自分の一族からそう言いつけられながら生きてきたんだ。そうでなければ、価値のなくなった僕は、恐らく用なしと見限られて捨てられていたし、普段からそう怒鳴られ続けていた。
もう僕には利用価値がないどころか一族の面汚しになってしまったし、一族のところには帰れないなーー。
帰りたくないからいいけど!!
幽閉が終わったら、僕は好きに生きるんだから!!
もうそろそろ砦に帰って、今日夜食べるご飯のことを考えないと……明日もこなさなきゃならない任務があるし……
「……さ、宰相様……僕、そろそろ失礼してもよろしいですか?」
「あの砦に帰らなくても、もう少しここにいればいい。部隊のことだって、助けてくれたんだから」
「ほ、本当に、いいんです! 王国のために集められた部隊がいて、彼らが危機に陥っていれば、貴族として、手を貸すのは当然のことです! 宰相様だって、それはご存じですよね?」
「それは……」
「あ……えっと、か、帰ったら、あの暴走に関する報告書を作って送ります!」
「ありがとう…………助かるよ」
「いえ…………そんな……僕だって、お肉をもらいましたし……」
「……食事や待遇のことは、手枷の件も含めて、俺の方から手続きをしておく。ごめん……しばらく不自由を強いることになるけど、その間、考えられる限りのフォローはする」
「あ、ありがとうございます……」
「……君には、本当に悪いことをしてしまった。今度は俺が確認に来るよ」
「……え…………?」
ここに?
砦にってことか?
宰相様が来るなんて、緊張する……だけど、宰相様がすることに、僕が口を出すこともできないし……
それに、砦の状態を確認することは、この地域の安全を確保するために必要なことだ。それなのに、僕の感情で返事はできない。
戸惑っていると、宰相様は微笑んだ。
「……そうだ。お弁当も持ってくるよ。たくさん肉を詰めて」
「お、お弁当っ……!?? い、いいんですか!?」
「もちろん……今回のことは、俺のミスだ。こんなことになるはずじゃ、なかったのに…………」
「……宰相様……?」
「……なんでもない。またね」
そう言った彼の様子は、いつもと違って、ずっと朗らかで柔らかい。こんな顔をすることもあるんだ……またね、なんて……そんな気軽な挨拶をされたのは初めてだ。
疑われなくて済んだし、食事もできたし……! ホッとしたし、嬉しかった。
「…………も……申し訳ございません…………」
「いや……構わないよ。それより食事の……いや、物資のことと枷のことは、王城に戻ったらすぐに確認して、改善できるようにする」
「あ、はい……ありがとうございます…………」
話している間、肉を口元から離していたら、肉のことばかり気になる。
これ、本当に美味しい。このスパイスで、僕のきのこも焼いてほしいなぁ……スパイス、分けてもらえないかな??
思い切って言ってみるか? もしかしたら、いいよって言ってくれるかもしれない。大事に使うから、ほんの少しでいいんだ。
だけど……幽閉されている僕のわがままなんて聞いていられないかな……
ロステウィス様は、これから王都に戻って、今回の暴走についての調査や部隊の再編成、必要があればこの周辺の調査をしなくてはならないんだ。スパイス一つでも手続きはいるだろうし、宰相様の迷惑になるかもしれない。幽閉が終わった後の楽しみにするか……
そんなことばかり考えて、串焼きの肉を見下ろす。
すると見かねたのか、ロステウィス様は僕に、食べながらでいいよと言ってくれた。
そして、どこか難しい顔をして言う。
「その前に……」
「え? あっ……!」
彼は、僕の手首を握り、魔法をかけた。すると手枷はひどく軽くなって、鎖はそのままあるのに自由に手を動かせるようになった。まるで、両手を繋ぐ鎖がなくなってしまったかのようだ。壊れた足枷も、もうそこにはないように感じる。
「え…………あ、あの……宰相様? い、いいんですか?」
「……もともと、砦についたら外すはずだった。デペンフィトたちにはそう言いつけたんだけど、聞いていなかったようだ……恐らく、手枷を外すための手続きもされていないだろう」
「…………」
多分、されていないんじゃなくて、誰も外す気がないんじゃないかな? 外す気だったのは宰相様だけで、誰も最初から、僕を解放する気なんてまるでなくて、僕の言葉を信じる気もなかったんだろう。
「あ、ありがとうございます……あの…………」
「なに?」
「そんなに追い詰められたような顔をなさらないでください……公爵家として、動きたくても動けないこともあるでしょうから」
「フィルロファル……」
彼はそう僕の名前を呟いて、どこか苦しいように笑う。
「……君はいつもそうやって、俺や公爵家のことを考えてくれていたな……」
「え……? そうでしたか?」
「うん……思い出した」
「…………」
そうだったかな……あんまり覚えてない。
公爵家のために、公爵家に気に入られてこい、僕は自分の一族からそう言いつけられながら生きてきたんだ。そうでなければ、価値のなくなった僕は、恐らく用なしと見限られて捨てられていたし、普段からそう怒鳴られ続けていた。
もう僕には利用価値がないどころか一族の面汚しになってしまったし、一族のところには帰れないなーー。
帰りたくないからいいけど!!
幽閉が終わったら、僕は好きに生きるんだから!!
もうそろそろ砦に帰って、今日夜食べるご飯のことを考えないと……明日もこなさなきゃならない任務があるし……
「……さ、宰相様……僕、そろそろ失礼してもよろしいですか?」
「あの砦に帰らなくても、もう少しここにいればいい。部隊のことだって、助けてくれたんだから」
「ほ、本当に、いいんです! 王国のために集められた部隊がいて、彼らが危機に陥っていれば、貴族として、手を貸すのは当然のことです! 宰相様だって、それはご存じですよね?」
「それは……」
「あ……えっと、か、帰ったら、あの暴走に関する報告書を作って送ります!」
「ありがとう…………助かるよ」
「いえ…………そんな……僕だって、お肉をもらいましたし……」
「……食事や待遇のことは、手枷の件も含めて、俺の方から手続きをしておく。ごめん……しばらく不自由を強いることになるけど、その間、考えられる限りのフォローはする」
「あ、ありがとうございます……」
「……君には、本当に悪いことをしてしまった。今度は俺が確認に来るよ」
「……え…………?」
ここに?
砦にってことか?
宰相様が来るなんて、緊張する……だけど、宰相様がすることに、僕が口を出すこともできないし……
それに、砦の状態を確認することは、この地域の安全を確保するために必要なことだ。それなのに、僕の感情で返事はできない。
戸惑っていると、宰相様は微笑んだ。
「……そうだ。お弁当も持ってくるよ。たくさん肉を詰めて」
「お、お弁当っ……!?? い、いいんですか!?」
「もちろん……今回のことは、俺のミスだ。こんなことになるはずじゃ、なかったのに…………」
「……宰相様……?」
「……なんでもない。またね」
そう言った彼の様子は、いつもと違って、ずっと朗らかで柔らかい。こんな顔をすることもあるんだ……またね、なんて……そんな気軽な挨拶をされたのは初めてだ。
疑われなくて済んだし、食事もできたし……! ホッとしたし、嬉しかった。
453
あなたにおすすめの小説
薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~
黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。
─── からの~数年後 ────
俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。
ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。
「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」
そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か?
まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。
この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。
多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。
普通は……。
異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。
勇者?そんな物ロベルトには関係無い。
魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。
とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。
はてさて一体どうなるの?
と、言う話。ここに開幕!
● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。
● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。
【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる
木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8)
和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。
この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか?
鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。
もうすぐ主人公が転校してくる。
僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。
これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。
片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。
運命よりも先に、愛してしまった
AzureHaru
BL
幼馴染で番同士の受けと攻め。2人は運命の番ではなかったが、相思相愛だった。そんな時、攻めに運命の番が現れる。それを知った受けは身籠もっていたが、運命の番同士の子供の方が優秀な者が生まれることも知っており、身を引く事を決め姿を消す。
しかし、攻めと運命の番の相手にはそれぞれに別の愛する人がいる事をしり、
2人は運命の番としてではなく、友人として付き合っていけたらと話し合ってわかれた。
その後、攻めは受けが勘違いしていなくなってしまったことを両親達から聞かされるのであった。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
一人、辺境の地に置いていかれたので、迎えが来るまで生き延びたいと思います
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
大きなスタンビートが来るため、領民全てを引き連れ避難する事になった。
しかし、着替えを手伝っていたメイドが別のメイドに駆り出された後、光を避けるためにクローゼットの奥に行き、朝早く起こされ、まだまだ眠かった僕はそのまま寝てしまった。用事を済ませたメイドが部屋に戻ってきた時、目に付く場所に僕が居なかったので先に行ったと思い、開けっ放しだったクローゼットを閉めて、メイドも急いで外へ向かった。
全員が揃ったと思った一行はそのまま領地を後にした。
クローゼットの中に幼い子供が一人、取り残されている事を知らないまま
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
お前が結婚した日、俺も結婚した。
jun
BL
十年付き合った慎吾に、「子供が出来た」と告げられた俺は、翌日同棲していたマンションを出た。
新しい引っ越し先を見つける為に入った不動産屋は、やたらとフレンドリー。
年下の直人、中学の同級生で妻となった志帆、そして別れた恋人の慎吾と妻の美咲、絡まりまくった糸を解すことは出来るのか。そして本田 蓮こと俺が最後に選んだのは・・・。
*現代日本のようでも架空の世界のお話しです。気になる箇所が多々あると思いますが、さら〜っと読んで頂けると有り難いです。
*初回2話、本編書き終わるまでは1日1話、10時投稿となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる