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35.俺が話をつけるから
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「これからよろしくね!! フィルロファル!!」
竜は嬉しそうに僕の周りを飛び回る。
騒がしい竜が砦に来ることになったなぁ……だけど、いいのかな? 宰相様の話では、彼は、たびたび王族を困らせている魔法使いの竜の仲間で、隣国の王家にも頼りにされるような竜なんだ。そんな彼がここの砦にいるなんて、王都にとっては不安なことだろう。
宰相様も、苦い顔で竜に言う。
「……許可はおりないと思う。魔法の道具なら、すぐに貸し出せるように、できるだけ早く許可を取るから。帰るんだ」
「なんで!!??」
「王都を憎む危険な竜を、あの砦にはおいて置けない。ただでさえ、あそこは戦力をほとんど置いてないんだ! 山の安全も管理しなくてはならないし、今回の横領で、フィルロファルを逆恨みしている奴らにまで狙われているっ……! これ以上のことを、フィルロファルに押し付けられるはずがないだろうっ……!! それなのに、お前みたいな最悪の竜まで置いておけるか!!」
「はあ!? なんなのお前! 偉そうに!! 何様!? 大体、何でお前が仕切ってるの!? 僕、フィルロファルには何もしないよ!!」
言って、竜は僕の肩に降りてくる。
「フィルロファルは、僕の魔力の暴走を抑えてくれる、僕には欠かせない人なんだから! お前なんかにとやかく言われたくありませーん!!」
「……お前みたいに危険なものを、彼のそばには置いておけないって言ってるんだ。お前が暴れ出したら、砦もそこにいる皆も、危険に晒される」
「僕はそんなことしないもん! だいたい、フィルロファルは一度、僕に勝ってるんだよ?」
「……………………え……?」
宰相様の目が丸くなる。
だけど、勝ったなんて、言い過ぎだ!
僕は、竜の暴走する魔法を抑えただけだし、あの時は、レオトウェルラレット様だっていたんだ。僕が竜に魔法で打ち勝ったわけじゃない。
「あっ……! ち、ちがっ……!! 違います!! 勝ったなんて、言い過ぎで…………レオトウェルラレット様が助けてくれて、竜さんも手加減してくれていたんです!! だからなんとかなっただけで…………で、でもっ……! 竜さんは昨日からずっと砦にいましたが、暴れたりなんてしてません!! 僕が渡した物でも、ずっと安定して魔力の暴走を抑えられるか分からないし、だから、あの……せめて道具がちゃんと機能するってはっきりするまでは……ぼ、僕の砦一緒にいたくて……あの……だ、だめですか?」
竜とは、暴走を抑えることに力を貸すって約束している。竜だって、僕らに手を貸してくれて、そのおかげで、僕らはこうして残党の捕縛だってできたんだ。それなのに、今になって出て行けとは言えない。
オフィセイール様もゆっくり口を開いた。
「宰相様……竜は砦で預かるべきです。暴走を抑える魔法の道具など、そう簡単に用意できません。砦で預かれば、この地とこの国を守ることもできます」
彼がそう言うと、一緒に砦を守ってくれている、ウィザリウィト様をはじめとする仲間の魔法使いたちも、賛成してくれる。
「宰相様……どうか、お願いします」
「私たちも、彼の意見に賛成です。今回の作戦が成功したのは、竜のおかげでもあります!」
「…………」
今度は、街の警備隊長が口を開く。
「このまま竜を追い帰して、街のそばで魔力が暴走しても困ります。今はそれしか、打つ手がないのではありませんか?」
みんなの視線が、宰相様に集まる。
宰相様は、やっぱり心配なのか、険しい顔をしていた。
「フィルロファル……その竜を砦に置くと、砦で暴走した際に、それを抑えなくてはならないんだよ?」
まっすぐ顔を合わせながら聞かれて、僕は頷いた。
「もちろんです。彼とは、暴走を抑える約束をしたし、中途半端な状態で彼を帰せば、それこそ、魔法使いの竜や隣国との争いに発展しかねません。それに、僕、彼のことを押し付けられたなんて、思いません! 僕は竜さんの力になりたいし、ここを守る任務だってこなしたいと思っているんです!」
「…………」
宰相様は俯いて、黙ってしまう。
悩んでいるんだろうな……
僕の砦には、普段、戦力なんてないし、王国としては、王都を滅ぼそうとした竜を戦力のない砦に放置しておくわけにはいかない。王国を守る宰相として、そう簡単には頷けないはずだ。
無理を言っているのは、僕にだって分かるんだけど……やっぱり、難しいのかな……
しばらく悩んで、宰相様は、「…………そうだね……」と言って、頷いてくれた。
「分かった……王城には、俺が話す」
「ほっ、本当ですか!?」
「ああ。もちろん、ここの防衛に関しても、最大限の援護をする……魔法の道具や武器も、十分な物を準備できるように、すぐに手続きを始めるよ」
「あっ……ありがとうございますっっ!!」
「いや……お礼を言うのはこっちの方だ。正直、助かる……彼の暴走を抑えられるのは、君だけだ。それに、横領で彼が道具を受け取れなかったのは、こちらの落ち度だ。隣国とも、彼に暴走を抑える道具を渡すことを、王族が魔法使いの竜を通して約束している。本心で言えば、君の力に縋るしかなかった……本当に、ありがとう……」
「そ、そんなっ……! 大袈裟なっ……! 僕はただっ……竜さんをこのまま帰したくないだけで……」
「王都の方でも、全力でここをサポートすると約束する。街の警備隊にも、協力を要請することがあると思う。その時は、頼む」
宰相様に言われて、街の警備隊長は、「もちろんです」と力強く答えた。
竜は嬉しそうに僕の周りを飛び回る。
騒がしい竜が砦に来ることになったなぁ……だけど、いいのかな? 宰相様の話では、彼は、たびたび王族を困らせている魔法使いの竜の仲間で、隣国の王家にも頼りにされるような竜なんだ。そんな彼がここの砦にいるなんて、王都にとっては不安なことだろう。
宰相様も、苦い顔で竜に言う。
「……許可はおりないと思う。魔法の道具なら、すぐに貸し出せるように、できるだけ早く許可を取るから。帰るんだ」
「なんで!!??」
「王都を憎む危険な竜を、あの砦にはおいて置けない。ただでさえ、あそこは戦力をほとんど置いてないんだ! 山の安全も管理しなくてはならないし、今回の横領で、フィルロファルを逆恨みしている奴らにまで狙われているっ……! これ以上のことを、フィルロファルに押し付けられるはずがないだろうっ……!! それなのに、お前みたいな最悪の竜まで置いておけるか!!」
「はあ!? なんなのお前! 偉そうに!! 何様!? 大体、何でお前が仕切ってるの!? 僕、フィルロファルには何もしないよ!!」
言って、竜は僕の肩に降りてくる。
「フィルロファルは、僕の魔力の暴走を抑えてくれる、僕には欠かせない人なんだから! お前なんかにとやかく言われたくありませーん!!」
「……お前みたいに危険なものを、彼のそばには置いておけないって言ってるんだ。お前が暴れ出したら、砦もそこにいる皆も、危険に晒される」
「僕はそんなことしないもん! だいたい、フィルロファルは一度、僕に勝ってるんだよ?」
「……………………え……?」
宰相様の目が丸くなる。
だけど、勝ったなんて、言い過ぎだ!
僕は、竜の暴走する魔法を抑えただけだし、あの時は、レオトウェルラレット様だっていたんだ。僕が竜に魔法で打ち勝ったわけじゃない。
「あっ……! ち、ちがっ……!! 違います!! 勝ったなんて、言い過ぎで…………レオトウェルラレット様が助けてくれて、竜さんも手加減してくれていたんです!! だからなんとかなっただけで…………で、でもっ……! 竜さんは昨日からずっと砦にいましたが、暴れたりなんてしてません!! 僕が渡した物でも、ずっと安定して魔力の暴走を抑えられるか分からないし、だから、あの……せめて道具がちゃんと機能するってはっきりするまでは……ぼ、僕の砦一緒にいたくて……あの……だ、だめですか?」
竜とは、暴走を抑えることに力を貸すって約束している。竜だって、僕らに手を貸してくれて、そのおかげで、僕らはこうして残党の捕縛だってできたんだ。それなのに、今になって出て行けとは言えない。
オフィセイール様もゆっくり口を開いた。
「宰相様……竜は砦で預かるべきです。暴走を抑える魔法の道具など、そう簡単に用意できません。砦で預かれば、この地とこの国を守ることもできます」
彼がそう言うと、一緒に砦を守ってくれている、ウィザリウィト様をはじめとする仲間の魔法使いたちも、賛成してくれる。
「宰相様……どうか、お願いします」
「私たちも、彼の意見に賛成です。今回の作戦が成功したのは、竜のおかげでもあります!」
「…………」
今度は、街の警備隊長が口を開く。
「このまま竜を追い帰して、街のそばで魔力が暴走しても困ります。今はそれしか、打つ手がないのではありませんか?」
みんなの視線が、宰相様に集まる。
宰相様は、やっぱり心配なのか、険しい顔をしていた。
「フィルロファル……その竜を砦に置くと、砦で暴走した際に、それを抑えなくてはならないんだよ?」
まっすぐ顔を合わせながら聞かれて、僕は頷いた。
「もちろんです。彼とは、暴走を抑える約束をしたし、中途半端な状態で彼を帰せば、それこそ、魔法使いの竜や隣国との争いに発展しかねません。それに、僕、彼のことを押し付けられたなんて、思いません! 僕は竜さんの力になりたいし、ここを守る任務だってこなしたいと思っているんです!」
「…………」
宰相様は俯いて、黙ってしまう。
悩んでいるんだろうな……
僕の砦には、普段、戦力なんてないし、王国としては、王都を滅ぼそうとした竜を戦力のない砦に放置しておくわけにはいかない。王国を守る宰相として、そう簡単には頷けないはずだ。
無理を言っているのは、僕にだって分かるんだけど……やっぱり、難しいのかな……
しばらく悩んで、宰相様は、「…………そうだね……」と言って、頷いてくれた。
「分かった……王城には、俺が話す」
「ほっ、本当ですか!?」
「ああ。もちろん、ここの防衛に関しても、最大限の援護をする……魔法の道具や武器も、十分な物を準備できるように、すぐに手続きを始めるよ」
「あっ……ありがとうございますっっ!!」
「いや……お礼を言うのはこっちの方だ。正直、助かる……彼の暴走を抑えられるのは、君だけだ。それに、横領で彼が道具を受け取れなかったのは、こちらの落ち度だ。隣国とも、彼に暴走を抑える道具を渡すことを、王族が魔法使いの竜を通して約束している。本心で言えば、君の力に縋るしかなかった……本当に、ありがとう……」
「そ、そんなっ……! 大袈裟なっ……! 僕はただっ……竜さんをこのまま帰したくないだけで……」
「王都の方でも、全力でここをサポートすると約束する。街の警備隊にも、協力を要請することがあると思う。その時は、頼む」
宰相様に言われて、街の警備隊長は、「もちろんです」と力強く答えた。
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