僕を振った奴がストーカー気味に口説いてきて面倒臭いので早く追い返したい。執着されても城に戻りたくなんてないんです!

迷路を跳ぶ狐

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34.僕はここにいるって決めたんでーす!

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 山の中で残党たちを捕縛して、街に戻った僕たちは、捕縛した奴らと保護した人を、一度警備隊に引き渡すことになった。

 町外れにある、山と街の周辺の魔物の状況を監視するために設けられた砦に向かうと、街の警備隊長と、王都から今回の横領の残党の捕縛のために呼ばれた部隊の隊長が迎えてくれて、丁寧にお礼を言ってくれた。

 山に逃げた残党たちを捕縛できたことを、街の警備隊の人たちも喜んでくれているみたいだ。警備隊も、街にとどまっていた残党の捕縛に成功したらしい。

 警備隊のみんなは、僕らと一緒に宰相様がいることにはとても驚いていて、警備隊の隊長は、丁寧に宰相様にお礼を言った。

「ロステウィス様……今回の作戦に力を貸していただき、本当にありがとうございました……」
「いいや。作戦が成功したのは、山の中の砦の皆が力を貸してくれたからだ。俺はただ、彼らのことを勝手に心配して飛んできただけだよ。まさか、王都を狙っていた竜の協力まで取り付けていたなんて、夢にも思わなかった」
「竜の協力っ……!? そんなこと……か、可能なのですか!?」

 警備隊長は驚いて、僕に振り向く。

「フィルロファル……君は…………すごいな……」
「えっ……!? そんなっ……僕は……」
「本当に……ありがとう。君のおかげで、今回の計画は成功した」
「いっ、いえ!! そんな……僕じゃなくて、残党たちを取り抑えてくれたのは、オフィセイール様たちで…………僕はオフィセイール様の計画通りにしただけです……あ、あのっ……!」
「どうした?」
「その……さっきから話している、王都を狙っていた竜って……」

 恐る恐る聞くと、宰相様が、「君と一緒にいる竜だよ」って教えてくれた。

 だけど………………え?

 この竜が?

「え…………う、うそ…………そんな……まさか……」

 この竜が、王都を潰そうとしていた凶悪な敵!? 僕と一緒にきのこ食べて、昨日は一緒に夕飯も食べていたのに!??

 僕らのことも助けてくれて、魔力だって貸してくれて、おかげで魔法の暴走も抑えられたのに……この竜が、王都を狙ってた??

 震えながら言う僕に、宰相様は苦笑いをしながら答えた。

「本当だよ……俺も驚いたけど…………その竜は、以前にも王都で暴れたことがある、ヴァルウィトフェル……今回のことで、随分腹を立てているって聞いたから、急いでここまで飛んで来たんだけど……」

 宰相様が振り向くと、竜は、僕の周りをパタパタ飛んで言う。

「腹なら立ててるよー? 今も! だって、僕が受け取るはずだった物を横取りしたんだよ? 許せるはずがないじゃん!! 王都ごと殲滅されなかっただけ、ありがたいと思ってもらわなきゃ!!」
「り、竜さん……殲滅なんて、やめてください……」

 僕が言うと、竜は僕の目の前に降りてくる。

「フィルロファルは甘いなー!! 甘すぎてダメだよ! 王都は僕を馬鹿にしてるんだよ!?」
「……ば、馬鹿にしているわけではありませんっ!! その……ど、道具の件は、申し訳ありません……でも、あのっ……必ずお渡ししますからっ……! 手続きが終われば、必ずっ……だから、その……お、王都を潰すなんて言わないで、手続きが終わるまで、あの砦にいてもらえませんか?」
「……もう、それはいらないよ!」
「えっ…………!!??」
「僕はあの砦から離れないし、お前の、そばにいれば、道具の整備もしてもらえるし! 僕はお前のそばにいるよー!!」

 言って竜は、僕の周りをぐるぐる飛び回って、楽しそうにしてる。

 よ、よく分からないけど……それは、許してくれるってことなのかな??

 ……やっぱり、そんなに悪い竜には思えない。宰相様のきのこまで食べられた時は困ったけど……

「あの……それなら、もう殲滅の件はやめてもらえるんですか?」
「うん! 早く帰って夕飯にしようよ!! 僕、今日は肉が食べたいっっ!! 果物も美味しかったし、あのスープも、また食べたい!」
「それはレオトウェルラレット様にお願いしないと……」

 竜とご飯の話をしていたら、僕までお腹が空いてきた……あの砦のこれから先のことについて話すはずが、いつのまにか、夕飯の話になってるじゃないか。
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