35 / 106
35.俺が話をつけるから
しおりを挟む
「これからよろしくね!! フィルロファル!!」
竜は嬉しそうに僕の周りを飛び回る。
騒がしい竜が砦に来ることになったなぁ……だけど、いいのかな? 宰相様の話では、彼は、たびたび王族を困らせている魔法使いの竜の仲間で、隣国の王家にも頼りにされるような竜なんだ。そんな彼がここの砦にいるなんて、王都にとっては不安なことだろう。
宰相様も、苦い顔で竜に言う。
「……許可はおりないと思う。魔法の道具なら、すぐに貸し出せるように、できるだけ早く許可を取るから。帰るんだ」
「なんで!!??」
「王都を憎む危険な竜を、あの砦にはおいて置けない。ただでさえ、あそこは戦力をほとんど置いてないんだ! 山の安全も管理しなくてはならないし、今回の横領で、フィルロファルを逆恨みしている奴らにまで狙われているっ……! これ以上のことを、フィルロファルに押し付けられるはずがないだろうっ……!! それなのに、お前みたいな最悪の竜まで置いておけるか!!」
「はあ!? なんなのお前! 偉そうに!! 何様!? 大体、何でお前が仕切ってるの!? 僕、フィルロファルには何もしないよ!!」
言って、竜は僕の肩に降りてくる。
「フィルロファルは、僕の魔力の暴走を抑えてくれる、僕には欠かせない人なんだから! お前なんかにとやかく言われたくありませーん!!」
「……お前みたいに危険なものを、彼のそばには置いておけないって言ってるんだ。お前が暴れ出したら、砦もそこにいる皆も、危険に晒される」
「僕はそんなことしないもん! だいたい、フィルロファルは一度、僕に勝ってるんだよ?」
「……………………え……?」
宰相様の目が丸くなる。
だけど、勝ったなんて、言い過ぎだ!
僕は、竜の暴走する魔法を抑えただけだし、あの時は、レオトウェルラレット様だっていたんだ。僕が竜に魔法で打ち勝ったわけじゃない。
「あっ……! ち、ちがっ……!! 違います!! 勝ったなんて、言い過ぎで…………レオトウェルラレット様が助けてくれて、竜さんも手加減してくれていたんです!! だからなんとかなっただけで…………で、でもっ……! 竜さんは昨日からずっと砦にいましたが、暴れたりなんてしてません!! 僕が渡した物でも、ずっと安定して魔力の暴走を抑えられるか分からないし、だから、あの……せめて道具がちゃんと機能するってはっきりするまでは……ぼ、僕の砦一緒にいたくて……あの……だ、だめですか?」
竜とは、暴走を抑えることに力を貸すって約束している。竜だって、僕らに手を貸してくれて、そのおかげで、僕らはこうして残党の捕縛だってできたんだ。それなのに、今になって出て行けとは言えない。
オフィセイール様もゆっくり口を開いた。
「宰相様……竜は砦で預かるべきです。暴走を抑える魔法の道具など、そう簡単に用意できません。砦で預かれば、この地とこの国を守ることもできます」
彼がそう言うと、一緒に砦を守ってくれている、ウィザリウィト様をはじめとする仲間の魔法使いたちも、賛成してくれる。
「宰相様……どうか、お願いします」
「私たちも、彼の意見に賛成です。今回の作戦が成功したのは、竜のおかげでもあります!」
「…………」
今度は、街の警備隊長が口を開く。
「このまま竜を追い帰して、街のそばで魔力が暴走しても困ります。今はそれしか、打つ手がないのではありませんか?」
みんなの視線が、宰相様に集まる。
宰相様は、やっぱり心配なのか、険しい顔をしていた。
「フィルロファル……その竜を砦に置くと、砦で暴走した際に、それを抑えなくてはならないんだよ?」
まっすぐ顔を合わせながら聞かれて、僕は頷いた。
「もちろんです。彼とは、暴走を抑える約束をしたし、中途半端な状態で彼を帰せば、それこそ、魔法使いの竜や隣国との争いに発展しかねません。それに、僕、彼のことを押し付けられたなんて、思いません! 僕は竜さんの力になりたいし、ここを守る任務だってこなしたいと思っているんです!」
「…………」
宰相様は俯いて、黙ってしまう。
悩んでいるんだろうな……
僕の砦には、普段、戦力なんてないし、王国としては、王都を滅ぼそうとした竜を戦力のない砦に放置しておくわけにはいかない。王国を守る宰相として、そう簡単には頷けないはずだ。
無理を言っているのは、僕にだって分かるんだけど……やっぱり、難しいのかな……
しばらく悩んで、宰相様は、「…………そうだね……」と言って、頷いてくれた。
「分かった……王城には、俺が話す」
「ほっ、本当ですか!?」
「ああ。もちろん、ここの防衛に関しても、最大限の援護をする……魔法の道具や武器も、十分な物を準備できるように、すぐに手続きを始めるよ」
「あっ……ありがとうございますっっ!!」
「いや……お礼を言うのはこっちの方だ。正直、助かる……彼の暴走を抑えられるのは、君だけだ。それに、横領で彼が道具を受け取れなかったのは、こちらの落ち度だ。隣国とも、彼に暴走を抑える道具を渡すことを、王族が魔法使いの竜を通して約束している。本心で言えば、君の力に縋るしかなかった……本当に、ありがとう……」
「そ、そんなっ……! 大袈裟なっ……! 僕はただっ……竜さんをこのまま帰したくないだけで……」
「王都の方でも、全力でここをサポートすると約束する。街の警備隊にも、協力を要請することがあると思う。その時は、頼む」
宰相様に言われて、街の警備隊長は、「もちろんです」と力強く答えた。
竜は嬉しそうに僕の周りを飛び回る。
騒がしい竜が砦に来ることになったなぁ……だけど、いいのかな? 宰相様の話では、彼は、たびたび王族を困らせている魔法使いの竜の仲間で、隣国の王家にも頼りにされるような竜なんだ。そんな彼がここの砦にいるなんて、王都にとっては不安なことだろう。
宰相様も、苦い顔で竜に言う。
「……許可はおりないと思う。魔法の道具なら、すぐに貸し出せるように、できるだけ早く許可を取るから。帰るんだ」
「なんで!!??」
「王都を憎む危険な竜を、あの砦にはおいて置けない。ただでさえ、あそこは戦力をほとんど置いてないんだ! 山の安全も管理しなくてはならないし、今回の横領で、フィルロファルを逆恨みしている奴らにまで狙われているっ……! これ以上のことを、フィルロファルに押し付けられるはずがないだろうっ……!! それなのに、お前みたいな最悪の竜まで置いておけるか!!」
「はあ!? なんなのお前! 偉そうに!! 何様!? 大体、何でお前が仕切ってるの!? 僕、フィルロファルには何もしないよ!!」
言って、竜は僕の肩に降りてくる。
「フィルロファルは、僕の魔力の暴走を抑えてくれる、僕には欠かせない人なんだから! お前なんかにとやかく言われたくありませーん!!」
「……お前みたいに危険なものを、彼のそばには置いておけないって言ってるんだ。お前が暴れ出したら、砦もそこにいる皆も、危険に晒される」
「僕はそんなことしないもん! だいたい、フィルロファルは一度、僕に勝ってるんだよ?」
「……………………え……?」
宰相様の目が丸くなる。
だけど、勝ったなんて、言い過ぎだ!
僕は、竜の暴走する魔法を抑えただけだし、あの時は、レオトウェルラレット様だっていたんだ。僕が竜に魔法で打ち勝ったわけじゃない。
「あっ……! ち、ちがっ……!! 違います!! 勝ったなんて、言い過ぎで…………レオトウェルラレット様が助けてくれて、竜さんも手加減してくれていたんです!! だからなんとかなっただけで…………で、でもっ……! 竜さんは昨日からずっと砦にいましたが、暴れたりなんてしてません!! 僕が渡した物でも、ずっと安定して魔力の暴走を抑えられるか分からないし、だから、あの……せめて道具がちゃんと機能するってはっきりするまでは……ぼ、僕の砦一緒にいたくて……あの……だ、だめですか?」
竜とは、暴走を抑えることに力を貸すって約束している。竜だって、僕らに手を貸してくれて、そのおかげで、僕らはこうして残党の捕縛だってできたんだ。それなのに、今になって出て行けとは言えない。
オフィセイール様もゆっくり口を開いた。
「宰相様……竜は砦で預かるべきです。暴走を抑える魔法の道具など、そう簡単に用意できません。砦で預かれば、この地とこの国を守ることもできます」
彼がそう言うと、一緒に砦を守ってくれている、ウィザリウィト様をはじめとする仲間の魔法使いたちも、賛成してくれる。
「宰相様……どうか、お願いします」
「私たちも、彼の意見に賛成です。今回の作戦が成功したのは、竜のおかげでもあります!」
「…………」
今度は、街の警備隊長が口を開く。
「このまま竜を追い帰して、街のそばで魔力が暴走しても困ります。今はそれしか、打つ手がないのではありませんか?」
みんなの視線が、宰相様に集まる。
宰相様は、やっぱり心配なのか、険しい顔をしていた。
「フィルロファル……その竜を砦に置くと、砦で暴走した際に、それを抑えなくてはならないんだよ?」
まっすぐ顔を合わせながら聞かれて、僕は頷いた。
「もちろんです。彼とは、暴走を抑える約束をしたし、中途半端な状態で彼を帰せば、それこそ、魔法使いの竜や隣国との争いに発展しかねません。それに、僕、彼のことを押し付けられたなんて、思いません! 僕は竜さんの力になりたいし、ここを守る任務だってこなしたいと思っているんです!」
「…………」
宰相様は俯いて、黙ってしまう。
悩んでいるんだろうな……
僕の砦には、普段、戦力なんてないし、王国としては、王都を滅ぼそうとした竜を戦力のない砦に放置しておくわけにはいかない。王国を守る宰相として、そう簡単には頷けないはずだ。
無理を言っているのは、僕にだって分かるんだけど……やっぱり、難しいのかな……
しばらく悩んで、宰相様は、「…………そうだね……」と言って、頷いてくれた。
「分かった……王城には、俺が話す」
「ほっ、本当ですか!?」
「ああ。もちろん、ここの防衛に関しても、最大限の援護をする……魔法の道具や武器も、十分な物を準備できるように、すぐに手続きを始めるよ」
「あっ……ありがとうございますっっ!!」
「いや……お礼を言うのはこっちの方だ。正直、助かる……彼の暴走を抑えられるのは、君だけだ。それに、横領で彼が道具を受け取れなかったのは、こちらの落ち度だ。隣国とも、彼に暴走を抑える道具を渡すことを、王族が魔法使いの竜を通して約束している。本心で言えば、君の力に縋るしかなかった……本当に、ありがとう……」
「そ、そんなっ……! 大袈裟なっ……! 僕はただっ……竜さんをこのまま帰したくないだけで……」
「王都の方でも、全力でここをサポートすると約束する。街の警備隊にも、協力を要請することがあると思う。その時は、頼む」
宰相様に言われて、街の警備隊長は、「もちろんです」と力強く答えた。
425
あなたにおすすめの小説
氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された
楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。
何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。
記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。
----------
※注)
かっこいい攻はいません。
タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意!
貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。
ハッピーエンドです。
激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします!
全16話 完結済み/現在毎日更新予定
他サイトにも同作品を投稿しています。
様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。
初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※短編です。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4800文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる
木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8)
和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。
この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか?
鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。
もうすぐ主人公が転校してくる。
僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。
これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。
片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。
転生モブは穏やかに過ごしたい
ゆき
BL
火事に巻き込まれそうになった瞬間、エヴァンは前世の記憶を思い出した。
前世で火事によって命を落としたこと、そして自分がBLゲームのモブキャラクターに転生していることを――。
せっかくの第二の人生。しかも物語に関わらないはずのモブ。それならば今世こそ穏やかに過ごしたい。
そう考えていたエヴァンだったが、なぜか登場人物たちが放っておいてくれない……?!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる