僕を振った奴がストーカー気味に口説いてきて面倒臭いので早く追い返したい。執着されても城に戻りたくなんてないんです!

迷路を跳ぶ狐

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39.なんで僕にそんなことを!?

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 いつでも魔法の道具の確認を欠かさないなんて、さすが宰相様だ。

 それならと、僕もちゃんと報告書を仕上げたくて、魔法の道具と、魔法の薬のリストも見ながら、報告書の用意を始めた。

 少し離れたところでは、宰相様がここにある魔法の道具の確認をしている。なんだか元気がないように見えたし、「ここは全て僕に任せて、宰相様はどうか休んでいてください!」って言ったのに、「大丈夫だよ…………」と断られてしまった。

 僕だけじゃ頼りにならないのかな……ここまで砦を守るために飛んで来てくれたんだし、休んでいて欲しいのに。

 ずっと役立たずだった僕だからなー……

 僕に任せるなんて、そう簡単にはできないよな。宰相様が飛んで来ちゃうのも、きっとそういうところが不安だからだ!

「熱心だねー」

 そう言って、竜が僕に渡された道具を棚に戻してくれる。

「宰相様には、安心して王都に帰っていただきたいので……」
「帰って欲しいなら、僕が追い返すよ!」
「そうじゃなくて、いつまでもここのことを案じていたら、宰相様だってやりにくいでしょうし、宰相様には、ご自身の任務に集中していただきたいだけです。せっかく編成された部隊を置いて飛んで来ちゃうくらい心配だなんて……僕、そんなの嫌です! 僕じゃ頼りにならないのは分かるけど……」
「…………うーん……あいつ、そんな感じじゃないような気がするけどーー……」
「え…………?」
「まあ、いいや!! 報告書? だっけ? 僕も手伝うから、早く終わらせよう!」
「……ありがとうございます。助かります……」

 二人で話しながら作業を続けていると、レオトウェルラレット様とオフィセイール様が部屋に入って来た。

 レオトウェルラレット様は、僕を見つけるなり、すぐに駆け寄って来てくれる。

「フィルロファル、食事の用意は、俺がする」
「え…………でも、部隊と王城への報告があるんじゃないんですか?」
「それなら、もう終わった。部隊を迎える用意もしないとならないだろうし、そっちは俺がするから、お前は部隊の方を頼む」
「は、はい! ありがとうございます!」

 すると今度は、オフィセイール様が口を開く。

「砦の警備には、俺たちがつく。見回りの方は……今は人数がいない。砦周辺だけになるだろうから、結界を強化しておくか……」
「そ、それならっ……!」

 僕は、使い魔を作って見せた。小さな蝙蝠のような姿をしていて、一晩中でも飛び続けられる上に、分裂して一気に大勢になれるものだ。
 使い魔の魔法はレオトウェルラレット様が得意だったし、彼にも手伝ってもらって魔法の道具も使って用意したもので、試運転も、さっきしておいた。結界の強化に加えて、これがあれば安心だろう。

「これも使って、警戒を強めましょう……砦の中の整備と、回復の魔法の薬の準備は、僕がします」

 オフィセイール様は、頷いてくれた。

「ああ。頼む。何か、足りないものがあれば言ってくれ」
「あ、ありがとうございますっ……!」

 僕が言うと、レオトウェルラレット様が微笑んだ。

「いいんだよ! 俺らだって、お前と砦を守れて嬉しいんだからな!」

 そんな話をしていたら、宰相様が僕に声をかけてくれる。

「…………部隊を迎える用意なら、俺がするよ」
「さ、宰相様!??」

 びっくりした……宰相様の部隊を迎える話をしているのに、宰相様にそんなことをさせるなんて……いいのか!??

「と、とんでもございません……どうか僕にお任せください!」
「急に飛んで来たのは、俺の方だから。俺がするのは当然だろ?」
「そうでしょうか……通常なら、砦を管理する僕が……」
「フィルロファル……」
「え…………?」
「頼むよ」
「…………」

 頼むって……宰相様が、僕に??

 なんで宰相様が、僕にそんなことを……??

 宰相様……砦の防衛に、すごく熱心だ。部隊の方がいらしたら、きっと調査の続きもあるだろうし、それでそんな風に言うのかな??

 宰相様は、真剣な顔をして言う。

「残党たちも、王都の方へ連れて行くつもりだ。例の横領の調査もある。しばらく、砦を使わせてもらうことになるから、俺も、できるだけの手助けをしたいんだ」
「…………えっ……と……あ、ありがとうございます……」
「………………君が礼を言うことはないよ……無理を強いているのは、俺の方だ……」
「……??? そ、そんなこと……ありませんよ?? ここはもともと、この地を守るために用意された砦です。それに僕だって、この事件が解決して欲しいんです」

 言うと、また宰相様は申し訳なさそうにする。

 ……宰相様…………ここに来てから、やっぱり様子がおかしい。どうしたんだろう。いつも僕の横を素通りしていた人とは、別人みたいだ。あの時はずっとロステウィス様は、常にこの国の宰相様としての役目を果たすために動いているように見えた。

 僕だって、ここを守るためにいるんだし、それは、宰相様が気にするようなことではない。

 だから、そんなふうに僕に気を遣わなくていいのに……ロステウィス様は、ここに横領の事件を解決するために来たんだし、僕はこの砦を管理しているんだから、それには協力する。それぞれ役目を果たしているだけだ。

「ありがとう……フィルロファル……」
「は、はい……」

 やっぱり、不思議なくらいに気遣われている気がする。
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