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25.やっぱり……すごい
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殿下は、こちらを睨んでいるコレリイジャイン様に振り向いた。
「…………さすがは大貴族。王家でも、お前の罪を追求することは、そう簡単なことではないらしい。兄上たちを説得できるようになるまで、俺がどれだけ苦労したか…………一年だよ? 一年」
ヴェイロクッド殿下の目が怖い…………
あれは、怒っている。
兄上たちを説得したってことは、多分、第一王子殿下たちには反対されたんだろう。
僕でも反対するだろうな……
だって、相手は有力貴族のコレリイジャイン様だ。もちろん盗まれた道具は回収するが、彼らが相手なら交渉を選ぶべきだ。そうでないと、ヴェイロクッド殿下まで危険な目に遭う。
それなのに、準備までしっかり整えてきている。僕を傷つけた奴らを断罪しにいくって言ってたけど…………それ以外でも、よほど腹を立てていたんだ。
コレリイジャイン様は彼の兄たちのことまで邪魔者扱いしていたようだし、当然か……
驚く僕の前で、殿下はニヤリと笑う。
「兄上たちは、みんな賛成してくれたよ。俺、お前の仲間の貴族たちや、彼の屋敷やウィクレンクトの砦でも、色々証拠集めちゃった。ほら、これとか。あっ…………違う。これじゃない……えーーっと…………」
…………おい、ちょっと待て!
今魔法で取り出したものは、僕のローブだろう! なんでそんなもの持ってるんだよ!! あげた覚えないぞ!
そんな風にますます驚く僕を置き去りにして、殿下は魔法でいくつかの魔法の道具を取り出して見せた。もちろん、僕のローブはすでに魔法で消している。
後で絶対に追求してやる…………
殿下が魔法で取り出したものの中には、僕が用意した魔法の道具があって、僕の屋敷を訪れた貴族が強引に奪っていったものもある。壊れた使い魔もあるし、それ以外に、僕の屋敷を訪れた、僕をよく思わない貴族の従者が持っていた魔法の道具まであった。あれは、物を勝手に別の場所に送るためのものだ。どうせ貴族達からの嫌がらせだろうと思って、僕の屋敷では使えないよう、結界を張っていたけど。
殿下は彼らを睨みつけて言う。
「彼の屋敷にどんな道具があるか、使い魔や手駒を使って調べていただろ? そんなこと、俺が許すと思った?」
「…………」
たずねられても、コレリイジャイン様は何も答えない。
早く話したほうがいいぞ…………
殿下の顔がだんだん、ひどく冷徹になっていることに気づいてないのか。
「……お前、ずっと俺をみくびっていただろう? あまりものの王子だって。王位から逃げた、役立たずだって。残念だけど、それは違う。だって…………王位なんて面倒なもの継いじゃったら、貴族達に気を遣わなきゃならないし、こう言うこと、できないだろ?」
そう言ったヴェイロクッド殿下の魔法の鎖が、貴族達を縛り上げてしまう。
コレリイジャイン様が悲鳴を上げた。
「なんだっ……この鎖はっ!」
どれだけ暴れようが、魔法を使おうが、鎖は解けない。
焦る彼らを見て、ヴェイロクッド殿下は笑い出す。
「ははっ……最高…………」
笑う彼に恐れをなしたのか、縛られたコレリイジャイン様の従者の魔法使い達が、焦って口を開いた。
「で、殿下っ……!! 私たちはコレリイジャイン様に従っていただけです! 他のことは何もっ…………何も知りません!!」
「大丈夫。ちゃんと分かっているから」
「え…………?」
「兄上たちは、見捨てられた俺のことを庇ってくれてたんだ。そんな兄上たちを道具扱いするような奴ら、兄上が許しても、俺が許さないから」
殿下がそう言うと、彼らは、小さな声で悲鳴を上げていた。
それから殿下は、急に僕の方に振り向く。
「ありがとう。ダスフィレトが協力してくれたおかげだよ」
「はっ!?」
「だって、まさかこんなに簡単に、こいつらが閉ざした部屋に入れるなんて、思ってなかった。最初はダスフィレトには断罪の場に付き合ってもらうだけのつもりだったんだけど…………協力してくれるなんて、あんなに可愛い顔言うから、連れてきた」
「可愛いって……そんな顔っ……!! してないぞ!!」
「彼らの戦力だって削いでくれたし…………やっぱりすごいよ。ダスフィレトは」
「お、お世辞か!? ふざけるなっっ!!
と言いつつ、また顔を隠してしまう。
可愛いって…………なんの話だ!
だけど、僕がそうやって照れている間に、殿下は恐ろしい笑みを浮かべ、コレリイジャイン様のもとに、ゆっくりと近づいていく。
「お前は、俺たちのことを舐めすぎだ。俺たち兄弟のことだって、ずっと馬鹿にしてただろ?」
縛り付けられて動けないコレリイジャイン様は、すでに真っ青だ。
そんな中で、殿下は、魔法であの斧を取り出した。
おいおいおいっっ……!!
「じゃあ、断罪を始めようか?」
「おっ……おいっっ!! やめろ!!!! 馬鹿!!」
慌てて止めに入る僕。こいつ、状況が分かっていないだろう!! キョトンとして僕に振り返っている。
「え? なんで??」
「なんでだと!? まだ魔法の道具を全て探し出していないだろう! その男から証言が取れるまでは、殺したらダメだ!!」
慌てる僕に、殿下はあくまで不満そうな顔をして言う。
「えーー…………いいじゃん。証言は聞けるように魔法をかけるから」
「魔法の道具と国の結界が最優先だ!!!!」
騒いでいると、僕らの方に殿下の従者が走ってくる。
僕は、彼らに向かって叫んだ。
「おいっ…………!! 手伝ってくれ!!」
「ご心配なく……すでに彼らの断罪は決まっています。第一王子殿下も第二王子殿下も、早く殺してこいとおっしゃるほど腹を立てていましたし、第三王子殿下は、魔法の研究のために死霊の魔法を試したいから死体さえあればいいと……他の王子殿下たちも、止めろとはおっしゃらないので…………いいんじゃないですか?」
「よくない! 魔法の道具の回収が優先だ! 早く手伝え!」
*
こうして、コレリイジャイン様とその従者たちは、駆けつけてきた兵士たちに連れて行かれた。斬首になることはなかったが、しばらく国の結界を維持するために働くことになったらしい。
お陰で、全ての道具を回収すると大口を叩いた僕は、肩透かしを食らったような気分だ。
その日は殿下が王城に部屋を用意してくれて、僕はそこで眠った。殿下は今回のことを他の王子殿下に報告したりで忙しいらしい。
朝が来て、せっかく眠れたのに落ち着かない僕は、部屋で一人で腕を組んでいた。
殿下は何をしているんだろう……
コレリイジャイン様のしていたことが明らかになったことはよかった。なんでそんなことをしたのかと思ったが、おそらく、王子殿下が早々に王位につくのを邪魔したかったんだろう。
くだらない真似をしてくれたな……そんなことを、あの王子たちが許すはずがない。
……さすがは、ヴェイロクッド殿下だ…………
「…………さすがは大貴族。王家でも、お前の罪を追求することは、そう簡単なことではないらしい。兄上たちを説得できるようになるまで、俺がどれだけ苦労したか…………一年だよ? 一年」
ヴェイロクッド殿下の目が怖い…………
あれは、怒っている。
兄上たちを説得したってことは、多分、第一王子殿下たちには反対されたんだろう。
僕でも反対するだろうな……
だって、相手は有力貴族のコレリイジャイン様だ。もちろん盗まれた道具は回収するが、彼らが相手なら交渉を選ぶべきだ。そうでないと、ヴェイロクッド殿下まで危険な目に遭う。
それなのに、準備までしっかり整えてきている。僕を傷つけた奴らを断罪しにいくって言ってたけど…………それ以外でも、よほど腹を立てていたんだ。
コレリイジャイン様は彼の兄たちのことまで邪魔者扱いしていたようだし、当然か……
驚く僕の前で、殿下はニヤリと笑う。
「兄上たちは、みんな賛成してくれたよ。俺、お前の仲間の貴族たちや、彼の屋敷やウィクレンクトの砦でも、色々証拠集めちゃった。ほら、これとか。あっ…………違う。これじゃない……えーーっと…………」
…………おい、ちょっと待て!
今魔法で取り出したものは、僕のローブだろう! なんでそんなもの持ってるんだよ!! あげた覚えないぞ!
そんな風にますます驚く僕を置き去りにして、殿下は魔法でいくつかの魔法の道具を取り出して見せた。もちろん、僕のローブはすでに魔法で消している。
後で絶対に追求してやる…………
殿下が魔法で取り出したものの中には、僕が用意した魔法の道具があって、僕の屋敷を訪れた貴族が強引に奪っていったものもある。壊れた使い魔もあるし、それ以外に、僕の屋敷を訪れた、僕をよく思わない貴族の従者が持っていた魔法の道具まであった。あれは、物を勝手に別の場所に送るためのものだ。どうせ貴族達からの嫌がらせだろうと思って、僕の屋敷では使えないよう、結界を張っていたけど。
殿下は彼らを睨みつけて言う。
「彼の屋敷にどんな道具があるか、使い魔や手駒を使って調べていただろ? そんなこと、俺が許すと思った?」
「…………」
たずねられても、コレリイジャイン様は何も答えない。
早く話したほうがいいぞ…………
殿下の顔がだんだん、ひどく冷徹になっていることに気づいてないのか。
「……お前、ずっと俺をみくびっていただろう? あまりものの王子だって。王位から逃げた、役立たずだって。残念だけど、それは違う。だって…………王位なんて面倒なもの継いじゃったら、貴族達に気を遣わなきゃならないし、こう言うこと、できないだろ?」
そう言ったヴェイロクッド殿下の魔法の鎖が、貴族達を縛り上げてしまう。
コレリイジャイン様が悲鳴を上げた。
「なんだっ……この鎖はっ!」
どれだけ暴れようが、魔法を使おうが、鎖は解けない。
焦る彼らを見て、ヴェイロクッド殿下は笑い出す。
「ははっ……最高…………」
笑う彼に恐れをなしたのか、縛られたコレリイジャイン様の従者の魔法使い達が、焦って口を開いた。
「で、殿下っ……!! 私たちはコレリイジャイン様に従っていただけです! 他のことは何もっ…………何も知りません!!」
「大丈夫。ちゃんと分かっているから」
「え…………?」
「兄上たちは、見捨てられた俺のことを庇ってくれてたんだ。そんな兄上たちを道具扱いするような奴ら、兄上が許しても、俺が許さないから」
殿下がそう言うと、彼らは、小さな声で悲鳴を上げていた。
それから殿下は、急に僕の方に振り向く。
「ありがとう。ダスフィレトが協力してくれたおかげだよ」
「はっ!?」
「だって、まさかこんなに簡単に、こいつらが閉ざした部屋に入れるなんて、思ってなかった。最初はダスフィレトには断罪の場に付き合ってもらうだけのつもりだったんだけど…………協力してくれるなんて、あんなに可愛い顔言うから、連れてきた」
「可愛いって……そんな顔っ……!! してないぞ!!」
「彼らの戦力だって削いでくれたし…………やっぱりすごいよ。ダスフィレトは」
「お、お世辞か!? ふざけるなっっ!!
と言いつつ、また顔を隠してしまう。
可愛いって…………なんの話だ!
だけど、僕がそうやって照れている間に、殿下は恐ろしい笑みを浮かべ、コレリイジャイン様のもとに、ゆっくりと近づいていく。
「お前は、俺たちのことを舐めすぎだ。俺たち兄弟のことだって、ずっと馬鹿にしてただろ?」
縛り付けられて動けないコレリイジャイン様は、すでに真っ青だ。
そんな中で、殿下は、魔法であの斧を取り出した。
おいおいおいっっ……!!
「じゃあ、断罪を始めようか?」
「おっ……おいっっ!! やめろ!!!! 馬鹿!!」
慌てて止めに入る僕。こいつ、状況が分かっていないだろう!! キョトンとして僕に振り返っている。
「え? なんで??」
「なんでだと!? まだ魔法の道具を全て探し出していないだろう! その男から証言が取れるまでは、殺したらダメだ!!」
慌てる僕に、殿下はあくまで不満そうな顔をして言う。
「えーー…………いいじゃん。証言は聞けるように魔法をかけるから」
「魔法の道具と国の結界が最優先だ!!!!」
騒いでいると、僕らの方に殿下の従者が走ってくる。
僕は、彼らに向かって叫んだ。
「おいっ…………!! 手伝ってくれ!!」
「ご心配なく……すでに彼らの断罪は決まっています。第一王子殿下も第二王子殿下も、早く殺してこいとおっしゃるほど腹を立てていましたし、第三王子殿下は、魔法の研究のために死霊の魔法を試したいから死体さえあればいいと……他の王子殿下たちも、止めろとはおっしゃらないので…………いいんじゃないですか?」
「よくない! 魔法の道具の回収が優先だ! 早く手伝え!」
*
こうして、コレリイジャイン様とその従者たちは、駆けつけてきた兵士たちに連れて行かれた。斬首になることはなかったが、しばらく国の結界を維持するために働くことになったらしい。
お陰で、全ての道具を回収すると大口を叩いた僕は、肩透かしを食らったような気分だ。
その日は殿下が王城に部屋を用意してくれて、僕はそこで眠った。殿下は今回のことを他の王子殿下に報告したりで忙しいらしい。
朝が来て、せっかく眠れたのに落ち着かない僕は、部屋で一人で腕を組んでいた。
殿下は何をしているんだろう……
コレリイジャイン様のしていたことが明らかになったことはよかった。なんでそんなことをしたのかと思ったが、おそらく、王子殿下が早々に王位につくのを邪魔したかったんだろう。
くだらない真似をしてくれたな……そんなことを、あの王子たちが許すはずがない。
……さすがは、ヴェイロクッド殿下だ…………
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