33 / 33
33.多分ない
しおりを挟む
殿下に繰り返しキスされていたら、もう逃げられないような気がしてくる。僕だってもう、殿下を離したくない。
僕は、ほんの少しだけ首を動かして頷いた。
「ダスフィレト?」
「婚約っ……するっ…………」
「嬉しいっっ…………約束だよ!?」
「んっ…………あぁっっ……!」
強く握られて、欲望が溢れていく。一度にそれが噴き出したら、もうそのまま気を失いそうなくらい気持ちいい。
殿下は、そんな僕を見下ろしている。
「可愛い……」
そんな風に勝ち誇って言われたら、くやしくなる。
僕はベッドから起き上がった。
「ダスフィレト…………?」
「殿下だって、そろそろ我慢できないですよね?」
だって、殿下のそれだって、すでに膨らんでいるじゃないか。彼だって、もう我慢できなくなっているはずだ。
「僕だって……殿下に触れたいです。僕も触れて、いいですか?」
「ダスフィレト……」
僕だって、殿下に触れたい。されてばっかりなんて、嫌だ。
だけど起き上がったら、コンコンとドアを叩く音がした。
「ヴェイロクッド。いるか? どうせここだろう」
誰……?
僕には聞きなれない声だ。
だけど殿下は、ひどく嫌そうな顔で振り向く。
「兄上だ……」
「え……兄っ?!! お、王子殿下!!??」
「そんなにびっくりしなくていいよ。扉の外にいるのは兄上の使い魔だけだ。朝の会議に現れない俺を呼びにきたんだろ……」
「ええっっ!!??」
そうだ。忘れていた。今、朝なんだ!!
もうとっくに起きなきゃいけない時間じゃないか!
「はっ……! 早く行かなきゃっ……!」
僕が言うと、殿下は苛立った様子で言う。
「俺、絶対に……この国を率いていけるようになるから。貴族どもも黙らせて……それから、俺とダスフィレトがエッチなことしてる時に会議開く奴は死罪にするから」
「そんなのダメですっっ!!!!」
力一杯言うけど、殿下は聞いてくれない。仕方なく僕もビクビクしながらキスをすると、今度は殿下の方から、また深くて夢中になれそうなキスをしてくれた。
*
こうして殿下と婚約することになってしまった僕は、昼を過ぎた頃に帰りの馬車に乗った。
殿下まで上機嫌で馬車に乗ってくる。
馬車の中でも襲われたらたまらないから、僕は一人で行くと言ったが、殿下は全然聞いてない。
こいつが僕の話を聞くことはあるのか?? 多分、ないような気がする。
だけど、殿下が見送ってくれることが嬉しくて、つい頷いてしまった。
「ねえ。屋敷についたらやっていい?」
さっきから、殿下はこんなことばっかり聞くし……
キスだって、歩いている最中にしてくるから、恥ずかしくて堪らないのに。
「だ、ダメですっ……みんな待ってるし…………そんなのっ……!」
「そうか……じゃあ、今のうちにやろうかな?」
「やるな!! ばか!!」
強く言ってやると、殿下は楽しげに笑い出す。
「俺は一度城に戻るけど、また来るから。結界の魔法の道具、一緒に探してくれるんだろう?」
「あ……うん……それは、もちろん」
そう答えたら、ありがとうと言って殿下が微笑む。
僕も彼に「ありがとう」と言うと、そいつは、ますます嬉しそうな顔をして笑った。
*嫌われた暴虐な僕と喧嘩をしに来たはずの王子は、僕を甘くみているようだ。手を握って迫ってくるし、聞いてることもやってることもおかしいだろ!*完
僕は、ほんの少しだけ首を動かして頷いた。
「ダスフィレト?」
「婚約っ……するっ…………」
「嬉しいっっ…………約束だよ!?」
「んっ…………あぁっっ……!」
強く握られて、欲望が溢れていく。一度にそれが噴き出したら、もうそのまま気を失いそうなくらい気持ちいい。
殿下は、そんな僕を見下ろしている。
「可愛い……」
そんな風に勝ち誇って言われたら、くやしくなる。
僕はベッドから起き上がった。
「ダスフィレト…………?」
「殿下だって、そろそろ我慢できないですよね?」
だって、殿下のそれだって、すでに膨らんでいるじゃないか。彼だって、もう我慢できなくなっているはずだ。
「僕だって……殿下に触れたいです。僕も触れて、いいですか?」
「ダスフィレト……」
僕だって、殿下に触れたい。されてばっかりなんて、嫌だ。
だけど起き上がったら、コンコンとドアを叩く音がした。
「ヴェイロクッド。いるか? どうせここだろう」
誰……?
僕には聞きなれない声だ。
だけど殿下は、ひどく嫌そうな顔で振り向く。
「兄上だ……」
「え……兄っ?!! お、王子殿下!!??」
「そんなにびっくりしなくていいよ。扉の外にいるのは兄上の使い魔だけだ。朝の会議に現れない俺を呼びにきたんだろ……」
「ええっっ!!??」
そうだ。忘れていた。今、朝なんだ!!
もうとっくに起きなきゃいけない時間じゃないか!
「はっ……! 早く行かなきゃっ……!」
僕が言うと、殿下は苛立った様子で言う。
「俺、絶対に……この国を率いていけるようになるから。貴族どもも黙らせて……それから、俺とダスフィレトがエッチなことしてる時に会議開く奴は死罪にするから」
「そんなのダメですっっ!!!!」
力一杯言うけど、殿下は聞いてくれない。仕方なく僕もビクビクしながらキスをすると、今度は殿下の方から、また深くて夢中になれそうなキスをしてくれた。
*
こうして殿下と婚約することになってしまった僕は、昼を過ぎた頃に帰りの馬車に乗った。
殿下まで上機嫌で馬車に乗ってくる。
馬車の中でも襲われたらたまらないから、僕は一人で行くと言ったが、殿下は全然聞いてない。
こいつが僕の話を聞くことはあるのか?? 多分、ないような気がする。
だけど、殿下が見送ってくれることが嬉しくて、つい頷いてしまった。
「ねえ。屋敷についたらやっていい?」
さっきから、殿下はこんなことばっかり聞くし……
キスだって、歩いている最中にしてくるから、恥ずかしくて堪らないのに。
「だ、ダメですっ……みんな待ってるし…………そんなのっ……!」
「そうか……じゃあ、今のうちにやろうかな?」
「やるな!! ばか!!」
強く言ってやると、殿下は楽しげに笑い出す。
「俺は一度城に戻るけど、また来るから。結界の魔法の道具、一緒に探してくれるんだろう?」
「あ……うん……それは、もちろん」
そう答えたら、ありがとうと言って殿下が微笑む。
僕も彼に「ありがとう」と言うと、そいつは、ますます嬉しそうな顔をして笑った。
*嫌われた暴虐な僕と喧嘩をしに来たはずの王子は、僕を甘くみているようだ。手を握って迫ってくるし、聞いてることもやってることもおかしいだろ!*完
64
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
魔力ゼロの無能オメガのはずが嫁ぎ先の氷狼騎士団長に執着溺愛されて逃げられません!
松原硝子
BL
これは魔法とバース性のある異世界でのおはなし――。
15歳の魔力&バース判定で、神官から「魔力のほとんどないオメガ」と言い渡されたエリス・ラムズデール。
その途端、それまで可愛がってくれた両親や兄弟から「無能」「家の恥」と罵られて使用人のように扱われ、虐げられる生活を送ることに。
そんな中、エリスが21歳を迎える年に隣国の軍事大国ベリンガム帝国のヴァンダービルト公爵家の令息とアイルズベリー王国のラムズデール家の婚姻の話が持ち上がる。
だがヴァンダービルト公爵家の令息レヴィはベリンガム帝国の軍事のトップにしてその冷酷さと恐ろしいほどの頭脳から常勝の氷の狼と恐れられる騎士団長。しかもレヴィは戦場や公的な場でも常に顔をマスクで覆っているため、「傷で顔が崩れている」「二目と見ることができないほど醜い」という恐ろしい噂の持ち主だった。
そんな恐ろしい相手に子どもを嫁がせるわけにはいかない。ラムズデール公爵夫妻は無能のオメガであるエリスを差し出すことに決める。
「自分の使い道があるなら嬉しい」と考え、婚姻を大人しく受け入れたエリスだが、ベリンガム帝国へ嫁ぐ1週間前に階段から転げ落ち、前世――23年前に大陸の大戦で命を落とした帝国の第五王子、アラン・ベリンガムとしての記憶――を取り戻す。
前世では戦いに明け暮れ、今世では虐げられて生きてきたエリスは前世の祖国で平和でのんびりした幸せな人生を手に入れることを目標にする。
だが結婚相手のレヴィには驚きの秘密があった――!?
「きみとの結婚は数年で解消する。俺には心に決めた人がいるから」
初めて顔を合わせた日にレヴィにそう言い渡されたエリスは彼の「心に決めた人」を知り、自分の正体を知られてはいけないと誓うのだが……!?
銀髪×碧眼(33歳)の超絶美形の執着騎士団長に気が強いけど鈍感なピンク髪×蜂蜜色の目(20歳)が執着されて溺愛されるお話です。
ガラスの靴を作ったのは俺ですが、執着されるなんて聞いてません!
或波夏
BL
「探せ!この靴を作った者を!」
***
日々、大量注文に追われるガラス職人、リヨ。
疲労の末倒れた彼が目を開くと、そこには見知らぬ世界が広がっていた。
彼が転移した世界は《ガラス》がキーアイテムになる『シンデレラ』の世界!
リヨは魔女から童話通りの結末に導くため、ガラスの靴を作ってくれと依頼される。
しかし、王子様はなぜかシンデレラではなく、リヨの作ったガラスの靴に夢中になってしまった?!
さらにシンデレラも魔女も何やらリヨに特別な感情を抱いていているようで……?
執着系王子様+訳ありシンデレラ+謎だらけの魔女?×夢に真っ直ぐな職人
ガラス職人リヨによって、童話の歯車が狂い出すーー
※素人調べ、知識のためガラス細工描写は現実とは異なる場合があります。あたたかく見守って頂けると嬉しいです🙇♀️
※受けと女性キャラのカップリングはありません。シンデレラも魔女もワケありです
※執着王子様攻めがメインですが、総受け、愛され要素多分に含みます
隔日更新予定に変更させていただきます。
♡、お気に入り、しおり、エールありがとうございます!とても励みになっております!
感想も頂けると泣いて喜びます!
第13回BL大賞55位!応援ありがとうございました!
のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした
こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
【完結】「奥さまは旦那さまに恋をしました」〜紫瞠柳(♂)。学生と奥さまやってます
天白
BL
誰もが想像できるような典型的な日本庭園。
広大なそれを見渡せるどこか古めかしいお座敷内で、僕は誰もが想像できないような命令を、ある日突然下された。
「は?」
「嫁に行って来い」
そうして嫁いだ先は高級マンションの最上階だった。
現役高校生の僕と旦那さまとの、ちょっぴり不思議で、ちょっぴり甘く、時々はちゃめちゃな新婚生活が今始まる!
……って、言ったら大袈裟かな?
※他サイト(フジョッシーさん、ムーンライトノベルズさん他)にて公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる