転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。

山椒

文字の大きさ
47 / 56

47:三人目の来訪者

しおりを挟む
「お願いですか。話にもよります」
『そうだよね。でも話を聞いてほしいんだ』
「……聞きます」
『ありがとう!』

 前の二柱、特にフレイヤがひどかったからこうして話してくれるだけでも神としては好感が持てる。

『今からそっちに送ろうと思う子がいるんだ』
「ここに住ませろってことですか?」

 まあそんな話だとは思っていた。

『ううん、そうじゃないよ』
「違うんですか」

 それならお願いってなんだ。ここに来るのは追放された人以外にいないだろ。

『そっちに送ろうと思う子は、病気なんだ。しかもこの世界で治すことができない不治の病』
「えっ、病気ですか」
『そう。しかも感染症でその領地全体に広がっていて大変なんだ!』

 感染症か。それまた新しいな。

「それを俺のところで治せってことですか?」
『欲を言えば薬もほしい。その領地の子たちは正義のために動いていたのにこの仕打ちは許せないんだ』

 アストレアの声色は静かに怒っているように聞こえる。

『だからお願い! あの子たちを助けてほしい!』

 正義の女神がこんな怒るほどか。……まあ住まわせるわけじゃないのなら、お願いを聞くのもありだな。

「……わかりました。そのお願いを聞きます」
『っ! ありがとう! お礼になんでもするから今はその子を送るね!』
「分かりました」

 通話が切れ、とりあえずはエイルとリリスに今のことを伝える。

「エイル、リリス。今からアストレアから送られてくる人がいるけど、気にしないでくれ」
「アストレア様ですか!? 私も準備します!」
「いや、その人は病気らしいから俺一人でいくよ」
「なおさら私も行きます! リリスさん、少し待っていてください」
「まーそれなら仕方ないかー。あたしも行こっと」

 このチートな箱庭ならエイルとリリスが来ても問題はないか。

 ていうか薬か。いっぱい作らないといけないのか。それは問題ないからいいけど。

 エイルが準備している間に俺の箱庭が調律されているのを感じた。

 これで四度目だから大体の出てくる場所がつかめてきた。

「できました!」
「よし、行くか」

 エイルが聖女完全装備になったことで大体出てくる場所に俺たち三人が転移した。

 そこはエイルが入ってきた場所に近い多くの神秘果実が実っている木のエリアだった。

 こうしてお願いされていれば簡単に入らせるようにすればいいかと思ったが、まあ調律をして入ってこれるのなら問題ないか。

 むしろ無断で調律をする輩に対しては迎撃武器を備えた方がいいだろう。

 このチートな箱庭自体にはどうすることもできないがそれを行う輩に対しては対処できるからその方向で考えるべきか。

「懐かしいですね。この場所で優斗と出会いました」
「そうだな。いきなり人が来たんだから驚いたぞ」
「へー、ここなんだ」

 そう会話した瞬間、調律が完了してここに入ってくるのを感じた。

 すーっともやから人が出てくるような感じで歩いてくる人がいた。

「ハァ、ハァ……」

 おぼつかない足取りで入ってきたのはボサボサになった長い銀髪や肌が漆黒に侵食されているが真っすぐと強い瞳を持った女性だった。

 着ている服が高貴な女性が着るようなお金の匂いがする感じだ。どこかの令嬢か?

「まさか……魔神病!?」

 その姿を見たエイルが知っているような口ぶりでそう言った。

「魔神病ってまじか」

 リリスも魔神病とやらを知っているようでかなり焦った様子だった。

「こんなとんでもないものを引き込んだんだ」
「優斗、あの方の病気はとんでもないものです」
「それはアストレアから聞いているよ。大丈夫、ここは俺の空間でルールは俺が決める」

 かなり焦っている二人にそう言って魔神病とやらに侵された女性の中にいる病気をすべて女性の外に出した。

 そして漆黒の塊を結界の中に封じ込めた。

「これで魔神病は被害が及ばなくなったぞ」

 何ならここでは病気は広まらないようにルールが設定されているから魔神病がそのままでも全く問題はない。

「あれ……?」

 病気をすべて取り除かれた女性は不思議そうにしていた。

「ようこそ、俺の箱庭に」
「ち、近づいたら……!」

 さっきまでは周りの様子がよく分かっていなかったようだが今は分かり、すぐに俺から距離をとろうとする。

「大丈夫、魔神病の元はこの結界に入っている。だからもう完治しているよ」

 結界の中にある漆黒の塊を見て、さらに自身の体を見て、ふっと意識を失った女性。

 倒れそうになるところを俺が受け止めた。

「確認します」

 俺が受け止めた女性に近づいて女性の状態を確認するエイル。

「おー、これが魔神病か」

 そーっとこちらに来たリリスは俺の持っている魔神病をまじまじと見ている。

「……大丈夫ですね。今は体力が消耗して寝ているだけです。完全に魔神病は消えています」
「とりあえず家で休ませるか」

 不治の病と感染症とだけ聞いたが、さすがに大それたものだとは思っていなかったぞ。女神アストレア。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

【読切短編】転生したら辺境伯家の三男でした ~のんびり暮らしたいのに、なぜか領地が発展していく~

Lihito
ファンタジー
過労死したシステムエンジニアは、異世界の辺境伯家に転生した。 三男。継承権は遠い。期待もされない。 ——最高じゃないか。 「今度こそ、のんびり生きよう」 兄たちの継承争いに巻き込まれないよう、誰も欲しがらない荒れ地を引き受けた。 静かに暮らすつもりだった。 だが、彼には「構造把握」という能力があった。 物事の問題点が、図解のように見える力。 井戸が枯れた。見て見ぬふりができなかった。 作物が育たない。見て見ぬふりができなかった。 気づけば——領地が勝手に発展していた。 「俺ののんびりライフ、どこ行った……」 これは、静かに暮らしたかった男が、なぜか成り上がっていく物語。

{完結保証}規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜

Saioonji
ファンタジー
母に殴られ、命を奪われた――そのはずだった。 だが目を覚ました先は、白く豪奢な王城の一室。 赤子の身体、仕えるメイド、そして“皇子”という立場。 前世では愛されず、名前すら価値を持たなかった少年が、 今度は世界の中心に生まれ落ちてしまった。 記憶を失ったふりをしながら、 静かに、冷静に、この世界を観察する皇子。 しかし彼の中には、すでに常識外れの思考と力が芽生えていた。 ――これは復讐でも、救済でもない。 自由を求めただけの少年が、 やがて国を、歴史を、価値観そのものを揺るがしていく物語。 最強であることすら、彼にとってはただの前提条件だった。 重複投稿作品です 小説家になろうとカクヨムにも投稿しています。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

異世界のんびり放浪記

立花アルト
ファンタジー
異世界に転移した少女リノは森でサバイバルしながら素材を集め、商人オルソンと出会って街アイゼルトヘ到着。 冒険者ギルドで登録と新人訓練を受け、採取や戦闘、魔法の基礎を学びながら生活準備を整え、街で道具を買い揃えつつ、次の冒険へ向けて動き始めた--。 よくある異世界転移?です。のんびり進む予定です。 小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...