転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら、訳アリの女性たちが迷い込んできました。

山椒

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疎まれた正義の令嬢

48:魔神病

 銀髪の女性を今は使っていないエイルのベッドで寝かし、俺たちはリビングで話し合うことにした。

「とりあえず、魔神病っていうのはなんだ? 不治の病で感染症ということしか聞いていない」

 2人は知っている様子だったからまずは聞く。

「あたしは魔神病には詳しくないからエイルよろしく」
「はい。魔神病は人間がかかりやすいものですから私の方が詳しいです」
「魔族はかからないのか?」
「かかるよ。ていうか魔神病の軽いバージョンが魔族だからね」
「は?」

 どういうことだ。

「魔族とは人間が軽度の魔神病にかかり、変質した種族のことです。そのため魔神病には少なからず耐性はあるわけです」
「えっ、そうなのか!?」

 そんな進化に関係するすごいものだったのか! ていうかそれならリリスは知っていろよ。

「ですが魔神病を患った者が近くにいた場合は魔族であろうと感染します。一説には魔神病を極限まで希釈して進化しようとした種族が魔族とも言われています。魔神病を患えば魔力があがりますから」
「……一体魔神病っていうのは何なんだ」
「それは分かりません。しかも魔神病の元は大地から溢れてきます。その大地は太古の昔より人が住めない大地になっているほどに世界の生物にとって危険なものです」
「魔族はその近くにいたからそれに適応するしかなかったっていうのを聞いたことがある」

 まじでヤバいものなのは分かった。でもそういうのを聞いていると少しだけ歴史を感じてワクワクするが口には出さない。

「それでは魔神病の説明をします」
「あぁ、頼む」
「魔神病にかかった者はもれなく治ることはありません」
「治る可能性はないのか? 魔族は軽度とは言え克服して進化しているんだよな」
「可能性はゼロに近いです。魔族は人間の中でも魔神病の耐性があったことで進化に耐えることができました。耐性があったとしても本格的な魔神病にかかればその進化もできず、形を変えていきます」
「形を?」
「魔神病はすべての生物をもれなく魔物へと変質させる病気です。魔神病に極端に弱ければドロドロになり、魔神病に少しでも強ければ人型のままキメラのような形になります」

 ……まじでヤバい病気だな。思っていた以上だ。

「しかも魔神病によって魔物になれば増えることを目的とします。誰かを食べるのではなく魔神病を広めることを重点に置き動きます。隠れ、逃げ、集団行動をするなど知能がある生物がなるほど魔神病はひどく広まります」
「……それの対処法は?」
「広範囲魔法にて遠くから確実に消す。それが今の人類ができる最大の対処法です。生物に入り込んだ魔神病は人が死ねば同様に死ぬことになっていますから」
「とんでもない病原体だな。アストレアは領地全体に広がっているって言っていたから、かなりまずい状況なのか」

 俺の言葉にエイルもリリスも驚いた顔をした。

「それは本当ですか!?」
「……ここにいてよかったぁ」
「アストレアはそう言っていたな。そんなにまずいか」
「……そこまで魔神病が広まっているのなら、人類が滅亡する可能性が出てきました」
「え……でもそこをすべて消せばいいだけじゃないのか?」
「数人規模なら十分な火力で消せます。ですが領地全体では魔神病が少しでも残ってしまう可能性があります。しかも魔神病にかかり魔物になった者たちは少しでも残っていれば足りないものを補うように合体し始めます。そうなれば魔王と呼ばれる個体が誕生してしまいます」

 それはまあ……うん? もしかして、俺たちが異世界に呼ばれた理由ってこれなのか? 世界を救うっていうのはそういう……? 分からんけど。

「アストレアのお願いは魔神病を治す薬が欲しいと。人類が滅亡する前に薬を生み出さないといけないってわけか」
「そのお願いを聞くつもり? ここにいるのなら関係なくない?」

 確かにリリスの言う通りだ。でもその世界はエイルとリリスの故郷なんだ。

 2人の故郷を消すわけにはいかないよな。帰りたい時が来るかもしれないんだから。

「関係なくてもやるよ。もしかしたらいいことがあるかもしれないしな」
「ふーん、そっか」
「さすがは優斗です。私もお手伝いします」
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