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第4話 未来人
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「ん~~~っ!!」
ひっさしぶりによく寝れた~
というか家豪華過ぎだろ!わざわざ使用人(一応神様)もつけてくれてるし…
だが…
遅すぎだろあいつ。
もう約束の時間から30分過ぎているんだが…
いくら超ホワイトでも雇用主が30分遅刻ってどうなんだ?
「噂をすれば…」
遠くから、バタバタと品のない足音が近づいてきた。
「お待たせ―!ごめん寝坊しちゃって…」
「はぁ? 寝坊? 自分から来いって言っておいて三十分遅刻とか……お前、さてはモテないだろ」
「ひどっ! 意外とこれでもモテててるんだよ! 多分!」
…ん?待てよ?
「何で瞬間移動使わないんだよ。できるだろ?」
「まぁ…気分?」
駄目だこいつ。
無能上司の香りしかしない!
「ま、そんなことより――」
そんなこと?
「今日の仕事は職場見学で~す!」
「職場見学?」
「そうそう。ここ神界ってさ広さ基本無限だから迷ったら人間なんて、あっという間に餓死しちゃうよ」
「急に怖いこと言うなよ…」
気を付けよ…
「ま、そういうことで死なないためにもちゃんと覚えといてよ!」
「ハイ…」
「それじゃ張り切っていきまっショーう!」
――――――――――――――――――――
2分ほど歩くと家のより数倍は大きい噴水が見えてきた。
天を突くほど高く吹き上がった水柱は輝く光を浴び、七色のプリズムを撒きまき散らしている。
その飛沫ひとつひとつが宝石のように輝く。
「……これほんとに全部水なの?」
「そーだよ。神界の魔力を循環させる浄化装置も兼ねてるんだよ!すごいでしょ。特にこだわったのはこの逆浸透膜の魔力フィルターで――」
クソガキの早口な説明を背に、大噴水のさらに奥へと目を向ける。
そこには、純白の大理石と黄金の装飾で彩られた、まるで一枚の絵のような壮麗な建築群が連なっていた。
どの建物も、世界中どこを探してもないような美しい彫刻があり青空とちょうどいい感じにマッチする。その風景はあえて一言で言うなら八方美人ならぬ「八方美建築」だ。
建物の間を繋ぐ渡り廊下は透き通ったクリスタルのようなものがはめ込まれ空中に浮いているように見えた。そこを色鮮やかな装束に身を包んだ神々が、優雅に、あるいは急ぎ足で行き来している。
ただ豪華なだけじゃない。
空気に混じる微かな花の香りと、どこからともなく聞こえるハープのような美しい音色が、ここが楽園だということを示していた。
つい立ち止まってハープの音色と誰かの美声に聞き惚れる。
ポロポロン、ポロロロン
ラーララララー
カタカタカタカタ
美声とハープの音色が重なり合い体いっぱいに吸収される。
目を閉じるとそこはもうどこまでも広い青空の元、花が咲き乱れる美しい草原とな――
カタカタカタカタ、カチッ
…カタカタカタカタ、カチッ?!
優雅な幻想をぶち壊す、あまりにも聞き慣れた「音」に我に返る。
音のする方を見ると広い事務所でPCと見つめ合っている神様が大勢いた。
…神界にてPCあったの?…
「すごいでしょーこれ!」
「うわっ!!!」
急に肩をつかまれたので誰かと思いきやクソガキだった。
「これパソコンって言ってね神界のデータはここで管理してるんだよ」
「へー」
意外と親しみやすいなこれ。職場の装飾と風景は楽園って感じだけどこの神様たちだけ見てれば現代とほぼ変わらない…いや、待てよ…
「お前、何でパソコンのこと知ってるんだ?」
「あ、これは僕の生まれた国で…って…え?もしかしてパソコンのこと知ってた?…」
「そうだけど…もしかして…」
「「もしかして地球人?」」
俺たちの声が綺麗に重なった。
「すごーい!!!初めてこの世界で地球人見た!!!」
「まさか…お前と一緒なんて…」
やはりうっかりで人の家を吹っ飛ばす子を育てた親を見てみたいものだ。
「何で残念そうなのさ!」
「何でもない」
「何でもない。……それより、どこの国出身だ?」
「日本だけど」
「うわっ…」
「今、一瞬『うわ』って言ったよね!? …じゃあ、好きな漫画とかある?」
「じゃあ好きな漫画とかある?」
「ん~…フリーレ〇とか転ス〇とか?」
俺の答えを聞いた瞬間、クソガキの顔が不思議なものを見るような目になった。
「あ~だいぶ古いやつだ!渋い趣味だな~」
「……いや、言うて数年前だろ。完結してないやつだってあるぞ」
「え?…それ少なくとも900年は前のものでしょ」
「…は?」
「君が生まれた年西暦何年?」
「2000年だけど…」
「僕3008年生まれ…」
一瞬思考がフリーズした。
「未来人!!!!」
「君タイムスリップ&転生したの?」
「転生はそうだけど、タイムスリップはしてない……はずだ。そうか…お前、未来の日本人だったのかよ……」
「あ、そっか。二〇〇〇年頃だと、まだ量子コンピュータすら普及してないもんね。そりゃ知らないかぁ」
リュクスはニカッと、これまでで一番楽しそうな、そしてどこか自信満々の笑みを浮かべた。
「いいよ、じゃあ特別に創造神自ら教えてあげよう! 君が知ってる『二〇〇〇年代』が、その後どうなって、どうやってこの世界が作られたのか――その創造物語をね!」
ひっさしぶりによく寝れた~
というか家豪華過ぎだろ!わざわざ使用人(一応神様)もつけてくれてるし…
だが…
遅すぎだろあいつ。
もう約束の時間から30分過ぎているんだが…
いくら超ホワイトでも雇用主が30分遅刻ってどうなんだ?
「噂をすれば…」
遠くから、バタバタと品のない足音が近づいてきた。
「お待たせ―!ごめん寝坊しちゃって…」
「はぁ? 寝坊? 自分から来いって言っておいて三十分遅刻とか……お前、さてはモテないだろ」
「ひどっ! 意外とこれでもモテててるんだよ! 多分!」
…ん?待てよ?
「何で瞬間移動使わないんだよ。できるだろ?」
「まぁ…気分?」
駄目だこいつ。
無能上司の香りしかしない!
「ま、そんなことより――」
そんなこと?
「今日の仕事は職場見学で~す!」
「職場見学?」
「そうそう。ここ神界ってさ広さ基本無限だから迷ったら人間なんて、あっという間に餓死しちゃうよ」
「急に怖いこと言うなよ…」
気を付けよ…
「ま、そういうことで死なないためにもちゃんと覚えといてよ!」
「ハイ…」
「それじゃ張り切っていきまっショーう!」
――――――――――――――――――――
2分ほど歩くと家のより数倍は大きい噴水が見えてきた。
天を突くほど高く吹き上がった水柱は輝く光を浴び、七色のプリズムを撒きまき散らしている。
その飛沫ひとつひとつが宝石のように輝く。
「……これほんとに全部水なの?」
「そーだよ。神界の魔力を循環させる浄化装置も兼ねてるんだよ!すごいでしょ。特にこだわったのはこの逆浸透膜の魔力フィルターで――」
クソガキの早口な説明を背に、大噴水のさらに奥へと目を向ける。
そこには、純白の大理石と黄金の装飾で彩られた、まるで一枚の絵のような壮麗な建築群が連なっていた。
どの建物も、世界中どこを探してもないような美しい彫刻があり青空とちょうどいい感じにマッチする。その風景はあえて一言で言うなら八方美人ならぬ「八方美建築」だ。
建物の間を繋ぐ渡り廊下は透き通ったクリスタルのようなものがはめ込まれ空中に浮いているように見えた。そこを色鮮やかな装束に身を包んだ神々が、優雅に、あるいは急ぎ足で行き来している。
ただ豪華なだけじゃない。
空気に混じる微かな花の香りと、どこからともなく聞こえるハープのような美しい音色が、ここが楽園だということを示していた。
つい立ち止まってハープの音色と誰かの美声に聞き惚れる。
ポロポロン、ポロロロン
ラーララララー
カタカタカタカタ
美声とハープの音色が重なり合い体いっぱいに吸収される。
目を閉じるとそこはもうどこまでも広い青空の元、花が咲き乱れる美しい草原とな――
カタカタカタカタ、カチッ
…カタカタカタカタ、カチッ?!
優雅な幻想をぶち壊す、あまりにも聞き慣れた「音」に我に返る。
音のする方を見ると広い事務所でPCと見つめ合っている神様が大勢いた。
…神界にてPCあったの?…
「すごいでしょーこれ!」
「うわっ!!!」
急に肩をつかまれたので誰かと思いきやクソガキだった。
「これパソコンって言ってね神界のデータはここで管理してるんだよ」
「へー」
意外と親しみやすいなこれ。職場の装飾と風景は楽園って感じだけどこの神様たちだけ見てれば現代とほぼ変わらない…いや、待てよ…
「お前、何でパソコンのこと知ってるんだ?」
「あ、これは僕の生まれた国で…って…え?もしかしてパソコンのこと知ってた?…」
「そうだけど…もしかして…」
「「もしかして地球人?」」
俺たちの声が綺麗に重なった。
「すごーい!!!初めてこの世界で地球人見た!!!」
「まさか…お前と一緒なんて…」
やはりうっかりで人の家を吹っ飛ばす子を育てた親を見てみたいものだ。
「何で残念そうなのさ!」
「何でもない」
「何でもない。……それより、どこの国出身だ?」
「日本だけど」
「うわっ…」
「今、一瞬『うわ』って言ったよね!? …じゃあ、好きな漫画とかある?」
「じゃあ好きな漫画とかある?」
「ん~…フリーレ〇とか転ス〇とか?」
俺の答えを聞いた瞬間、クソガキの顔が不思議なものを見るような目になった。
「あ~だいぶ古いやつだ!渋い趣味だな~」
「……いや、言うて数年前だろ。完結してないやつだってあるぞ」
「え?…それ少なくとも900年は前のものでしょ」
「…は?」
「君が生まれた年西暦何年?」
「2000年だけど…」
「僕3008年生まれ…」
一瞬思考がフリーズした。
「未来人!!!!」
「君タイムスリップ&転生したの?」
「転生はそうだけど、タイムスリップはしてない……はずだ。そうか…お前、未来の日本人だったのかよ……」
「あ、そっか。二〇〇〇年頃だと、まだ量子コンピュータすら普及してないもんね。そりゃ知らないかぁ」
リュクスはニカッと、これまでで一番楽しそうな、そしてどこか自信満々の笑みを浮かべた。
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