家を建てたら創造神に壊されたので、神界に就職しました

猫吉

文字の大きさ
3 / 7

第3話 初仕事

しおりを挟む
結局、欲望に負けて即決してしまったが…本当に大丈夫なのか?…

というかこの俺が神様と話したりしていいのか?クソガキは「大丈夫、大丈夫なんとかなるって」とか言ってたけど…

それはそうと早速1時間後に仕事があるらしい。クソガキも案外多忙なのかもしれない。

クソガキは私服でいいとか言ってたけど、スーツを頼んだ。
そりゃ自分で決めた仕事だ。せめて初めくらいキッチリとしたい。それが社会人の意地というものだ。

鏡と向き合い襟を整える。ネクタイも無性にキツめにしていた。
ネクタイを上げた手のひらを見るとじんわりと汗をかいている。

この感覚懐かしいなぁ…
会社に入って初めての会議…確かこんな感じだった気がする。
そういえばその時焦って部長のスーツにコーヒーぶち撒けたんだっけ…おっと嫌な思い出が蘇ってきた。忘れよう。そんなこと神界でしたら絶対クビじゃ済まない。

「おーい!出番だよー。えーと…」
「あ、俺篠宮恒一って言います」
「コーイチかぁ…じゃあ僕のことは好きなように呼んでよ」
好きなようにと言われても…
「リュっくん」
「…」
あ…さすがにまずかったか?…
「あ、いや別にいいけド…好きなように呼んでいいよって言って本当に好きなように呼ぶ人初めて見たなぁって…」
ま、そりゃそうか…

で・も・

「俺はあんたを神だと認めないからな!一回家壊されてんだし!!!!」
「わ―何にも聞こえなくなっちゃったよー(棒)」
両耳を手で覆って叫ぶ。
「あ?ふざけんな!クソガキ!いくらいい家にいい職もらっても恨みは絶対消えないからな!!!」
「うっワーこれだけ神の慈悲をかけてもらっておいてまだ望むとか終わってるわー。だから、人間は…」
「うるせー黙れ!!!!」
「ほらほら捕まえられるなら捕まえてみなよ~!!!」
容赦なく瞬間移動を使ってくる。
「それチートだろが!!!!」
この鬼ごっこはしばらく続いた。

――――――――――――――――――――
威圧感が半端ない…とにかく半端ない。
クソガキはともかく7人の神様から見つめられるのはさすがに弱る…
というか全員美男美女過ぎでしょ!眩しすぎて目がやられそうだ…

「お待たせ―」
クソガキが入ってくると神様たちの視線は一気にそちらに向きすっと立ち。
そして胸に手を当てお辞儀をする。
とりあえず真似てみる。

全員席に着くとクソガキが話し始める。
「さて、今日の議題だけど…」
初めてクソガキが真面目な顔になる。
すると先ほどまで収まっていた威圧感が再び解き放たれる。
ホントのホントに新人社員ならこの雰囲気に押されてコーヒーをぶち撒けるだろうが…俺はこう見えても一応ちゃんとした企業の会社の会議で…

ダメダこれ。
心臓が持たない。
無理だ。
これ死ぬかも。

まるで戦時中の敵領内での野営(知らんけど)のような緊迫した空気が会議場に満ちる。

「今日の夕食なににする?…」

…は?

「絶対焼肉だ!!!!リュクス様だって食べた――」
「いいえ、健康第一です!昨日だって肉料理を――」
「別に死なないしよくないっすか?」」
「わ、私野菜炒め食べたい…」
「甘味は欠かせないです!」
「そうじゃそうじゃ!」
「合理性がありません…」

やっぱ先ほどの多忙らしいというのは訂正しよう。
明らかにこの人たち暇だ…

「ほらコーイチ!出番だよ!」
全員がこちらを向く。

え?丸投げ?!俺に?!
すると左からガタイのいい男が勢いよく肩を組んでくる。
「お前も焼きにくく痛いよなぁ、人間!」
「ま、まぁ…」
今度は右から美女が…
「でもね人間くん…そんな不摂生な食生活をとってたら彼女もできないわよ」
「まぁ、確かに…」
「いや男なら焼肉だよな!」
「それどういう原理ですか!これだから脳筋は…」
「あ゛?やんのか?」

「ストーーップ!!」
あ…俺のバカぁ!!!なんでわざわざ首突っ込むんだよ!!
いや、落ち着け。
ここは勘に任せよう。
今日に気分、今日の気分…

「あ、えっと…じゃあ、焼肉で…」

女性陣が崩れ落ちた。
「っしゃあ!!!!さすが人間!!分かってるぅ」
「お前には見込みがあるな!弟子にしてやってもいいぞ」
「いや、たまたま今日の気分が…」
女性陣が恐ろしい形相で睨んでくる。
これ、やっぱ死ぬのかな?
女神様たちと夕食の気分が合わなくて殺されるとかやなんだけど…

「まぁまぁいいじゃないの。コーイチは初仕事なんだし」
クソガ――リュクス様!…
「リュクス様がおっしゃるなら…」
先ほどの女性が手こちらに手をかざす。

すると次の瞬間体が引っ張られる感覚がした。
振り返るといつの間にか柱に縛り上げられていた。
「え!っちょ待ってくださいよ!!!!」
「この程度で許しますわ」
笑顔でうなずくなクソガキ!…
まぁこれで済んだだけましか…

「あら、そういえば自己紹介がまだだったわね」
柱に張り付けたまま、女性が優雅に微笑んだ。
その姿はまるでどこかの雑誌のモデルのようだ。
「私は大地の女神ガイアよ。よろしくね」

「ガハハハ!戦の神ヴァルドだ。よろしくなぁ、人間!」 
 次に大声をかけてきたのは、あのガタイのいい男。 
道理でガタイがいいわけだ……
背負っている大剣は、建物の柱より太い。
笑うたびに会議室のシャンデリアが地震のように揺れる。 
うるさい……っていうか、このままじゃ鼓膜が物理的に死ぬ…

「……静かに。この人間は不死じゃありませんよ」 
銀髪を揺らし、氷のように冷ややかな声を響かせたのは、透き通るような肌の美女だった。
「水の女神リリアです。よろしく」

「そうですよ。ヴァルド様。この前も笑い声でリュクス様愛用のティーカップを割ったのはどなたです?」 
ヴァルドが黙り込む。
っていうか笑い声でティーカップって割れるの?!
「知恵の女神ソフィアです。シノミヤ、あなたの採用により神界の業務効率が0.15%向上することを期待します」
随分と具体的だな…まぁ0.15%と言われてもよくわからんが…

すると他の神々をお構いなしにテーブルの上に上半身を乗せる青年がいた。
「俺は炎の神イグニスだ! よろしくな!」

「あ……あ、あの……」
イグニスの背後に隠れるようにして、おどおどとこちらを伺う小柄な少女(?)が見える。
「わ、私…農業の女神メレアって言います…よ、よろしくお願いします…」

「まぁそこまで気張るな! 歓迎するのじゃ」 
最後に、すらりとした背丈の美女なのだが、雰囲気はまさに無邪気そのものである。
「風の女神フィーネじゃ! よろしくなぁコーイチ!」

そして、このカオスな面々の中央で、 
「ま、そういうわけだから。改めてよろしくな、コーイチ」
 と言って、紅茶を呑気に飲む少年――創造神リュクス。

「皆さんよろしくお願いします!」

「よし、定時にもなったし夕飯食べに行こ―」
「久しぶりの焼肉だぜ!!!!」
「もう今回だけですからね――」


「あれ?もしかして俺…このまま?…」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。 二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。 けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。 ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。 だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。 グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。 そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません? せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」 不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。 実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。 あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね? なのに周りの反応は正反対! なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。 勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

わたし、不正なんて一切しておりませんけど!!

頭フェアリータイプ
ファンタジー
書類偽装の罪でヒーローに断罪されるはずの侍女に転生したことに就職初日に気がついた!断罪なんてされてたまるか!!!

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

戦えない魔法で追放された俺、家電の知識で異世界の生存率を塗り替える

yukataka
ファンタジー
安全を無視したコスト削減に反対した結果、 家電メーカーの開発エンジニア・三浦恒一は「価値がない」と切り捨てられた。 降格先の倉庫で事故に巻き込まれ、彼が辿り着いたのは――魔法がすべてを決める異世界だった。 この世界では、魔法は一人一つが常識。 そんな中で恒一が与えられたのは、 元の世界の“家電”しか召喚できない外れ魔法〈異界家電召喚〉。 戦えない。派手じゃない。評価もされない。 だが、召喚した家電に応じて発現する魔法は、 戦闘ではなく「生き延びるための正しい使い方」に特化していた。 保存、浄化、環境制御―― 誰も見向きもしなかった力は、やがて人々の生活と命を静かに支え始める。 理解されず、切り捨てられてきた男が選ぶのは、 英雄になることではない。 事故を起こさず、仲間を死なせず、 “必要とされる仕事”を積み上げること。 これは、 才能ではなく使い方で世界を変える男の、 静かな成り上がりの物語。

祝☆聖女召喚!そして国が滅びました☆

ラララキヲ
ファンタジー
 魔物の被害に疲れた国は異世界の少女に救いを求めた。 『聖女召喚』  そして世界で始めてその召喚は成功する。呼び出された少女を見て呼び出した者たちは……  そして呼び出された聖女は考える。彼女には彼女の求めるものがあったのだ……── ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇なろうにも上げてます。

スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~

白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」 マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。 そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。 だが、この世には例外というものがある。 ストロング家の次女であるアールマティだ。 実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。 そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】 戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。 「仰せのままに」 父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。 「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」 脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。 アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃 ストロング領は大飢饉となっていた。 農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。 主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。 短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。

処理中です...