双葉病院小児病棟

moa

文字の大きさ
9 / 26

黒崎先生2

しおりを挟む
由来side



なんでまた注射なの?



さっき点滴頑張ったばっかりなのに。



痛いのは嫌だって言ったけど、どうやっても注射する気らしい。



確かに熱下げるために必要かもしれないけど痛いのは…やっぱり嫌じゃん?



腕は分かるけど、なんでお尻なんだ…?



黒「選ばないならお尻にするよ。
うつ伏せになって。
腕より痛み少ないから。」



え、お尻の方が痛くないの?



黒「なるべく痛くない方がいいんでしょ。
なら早くうつ伏せになって。」



「……はい。」



確かに痛くない方がいい。



怖いけど…逆らわない方がいい気がする。



大人しく言われたとおりにうつ伏せになった。



うつ伏せになるとズボンと下着を少し下げられて消毒をされた。



消毒が冷たくて身体がビクッと跳ねた。



黒「ここ病室だから大きな声出したら他の人に聞こえるから。
ちょっと痛いよ。」



そう言いながら私の膝の裏辺りに馬乗りになって黒崎先生は注射器を構えていた。



待って待って、針太いし長くない!?



「え、待っ…ビクッ)んんっ!!(涙)」



待ってって言おうとしたのに言葉を遮られてブスっと針を刺された。



黒「動かない。
今から痛いよ。」



「んんーっ!!(泣)」



液が入り始めると、幅広い範囲にズシンとくる激痛が走った。



あまりの痛みに上半身を起こそうとしたけど、黒崎先生にもう片方の手で背中をグイッと押されてまた戻されてしまった。



黒「声出したら聞こえるよ?」



「っ……ぅぅ……(泣)」



痛いのに黒崎先生に押さえられて動けないし声も出すに出せず、必死に耐えた。



刺す時より薬入れる時の方が痛いとか聞いてないよ(泣)



黒「はい、おしまい。」



その言葉とともに黒崎先生から解放された。



注射したところを揉まれてるのもまた痛いし、涙がポロポロ出てきた。



うわ、ベッドのシーツ涙で濡れちゃった。



それなのにまた視界が滲んで……



あれ…先生……?



気付いたら先生が私の涙を優しく拭いてくれていた。



黒「頑張ったな(撫)」



黒崎先生に褒められて頭優しくポンポンされて……



ほら…優しくするからまた涙出てきちゃったじゃん……(泣)



黒「なんでまた泣くの(笑)
ほら、もう泣かない。
また熱上がるぞ?」



さっきすごい怖かったのに今は優しいし。



ずるい…先生ずるいよ……( ˘•ω•˘ )



「先生って……怖いの?優しいの…?」



黒「さぁどうだろうね(笑)」



うわ、悪い顔(--;)



「黒崎先生のいじわる……」



黒「はいはい(笑)
じゃあ先生戻るから、安静にね。」



あーあ、行っちゃった。



痛かったのに、怖かったのに。



なぜか最後優しく笑っていた黒崎先生の顔が脳裏に焼き付いていた。



しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

月弥総合病院

僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

ふたなり治験棟

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

【光陵学園大学附属病院】鏡野ゆう短編集

鏡野ゆう
ライト文芸
長編ではない【光陵学園大学附属病院】関連のお話をまとめました。 ※小説家になろう、自サイトでも公開中※

医者兄と病院脱出の妹(フリー台本)

ライト文芸
生まれて初めて大病を患い入院中の妹 退院が決まり、試しの外出と称して病院を抜け出し友達と脱走 行きたかったカフェへ それが、主治医の兄に見つかり、その後体調急変

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

処理中です...