9 / 190
サンタさん、トレジャーハンターになる
9 運命の出会い(4)
しおりを挟む
ゴトゴトとゆっくり進む馬車の中で、兄さまと同じ5歳の可哀想な男の子のことを考えてみる。
うちの従兄たちみたいに粗暴で威張っていたら嫌だけど、優しくて賢かったらいいなぁ。この際、顔は全く期待しないし問題じゃない。
『庶子だから、父親と同じ屋敷で暮らしてはいなかっただろうけど、本妻や側室は彼の存在を知っていて、何か嫌がらせをしてきたんだろうなぁ。
他家に養子に出してでも、命だけは助けたいって感じかぁ・・・』
『昔も後継者争いはあったが、わしは家に縛られるのも嫌じゃったし、面倒な統治とか政治には興味も持てなかった。
王になった兄は病死したが、次の王には弟がなったくらいじゃ。
サンタと同じように、素直なまま育っておれば良いが、世を恨んでいるような者には、魔法を伝授する気はないぞ』
サーク爺が心配しているのは、その子の性格と資質らしい。
悪意で魔法を使えば多くの人が死ぬ可能性もあるし、魔法使いは危険だと敵視されることになりかねないって心配してる。
それと、私ほどじゃなくても、かなりの魔力量がなければ、サーク爺と私の指導についてこれないだろうって。
……う~ん、私もまだ魔術師に会ったことがないから、中位魔術師の魔力量が分からない。いや、そもそも私の魔力量ってどのくらい?
「ホッパーさん、魔術師の魔力量って、何処かで測ることができるの?」
「さあ・・・どうでしょう。魔術師学校や王立能力学園になら、専用の魔術具が有るかもしれません。
うちの商会には魔術師がいませんから、耳にしたことがないんです」
そうなんだ。物知りのホッパーさんでも、魔術師には詳しくないんだ。
そう言えば、魔術師の大半は高位貴族家に生まれてくるらしい。
職業適性は遺伝しないとお爺様が言っていたけど、魔力量は遺伝するのかもしれない。だから高位貴族の方が多いのかも。
『ところでサンタよ、わしらは魔術じゃなくて魔法を使っておるが、そこは大丈夫なのか? わしが思うに魔術は、魔法陣とか長い詠唱が必要じゃった気がするぞ』
『ええぇーっ! そうなの? どうしよう・・・』
ここで問題が発生した。
かなり大きな問題だと思うけど、私は魔術師として王宮で働きたい訳でも、上位貴族家のお抱えになる気もない。
トレジャーハンターだったら、魔術でも魔法でも気にしないと思うんだけど、確認は必要よね。
私って見た目は3歳の幼児だけど、サーク爺の超古代の知識と、現代とは少しずれた常識を持っているから、その子が私を拒絶しないかが心配。
そもそも、私の職業は【魔術師】じゃないんだけど、教えるのってアリ?
「え~っと、まだ言ってなかったんだけど、私の職業ランクは中位で【過去・輪廻】なんだ。
教会でも詳しい仕事内容が不明っていう怪奇な職業だけど、本人がそれでもいいって言えば引き受けるよ」
「えっ? サンタさんは中位職の【魔術師】ではないのですか?
【過去・輪廻】? 聞いたことがない職業ですね。
そう言えば何故、サンタさんは魔術が使えるのでしょう?」
ホッパーさんは本当に驚いたって顔をして、不思議なものを見るような目で私を凝視して首を捻る。
「そもそも、私が使っているのは魔術ではなく【魔法】です。
私の職業【過去・輪廻】は、遠い遠い昔に生きた人の記憶や技術を伝承し、それらを具現化する能力なんです。
私が使っている魔法は、1万年前の高度文明紀よりも前の、超古代文明紀に生きていた天才魔法使いの技術です」
「・・・超古代文明・・・天才魔法使い・・・?」
……あっ、ホッパーさんが固まった。
街道の休憩所で待つこと2時間、ごく普通の馬車に乗って輝くような美少年がやってきた。
きちんと切り揃えられた金髪を風に靡かせ、高位貴族でございます的なブルーの澄んだ瞳。身長は兄さまと同じくらいだけど、隠せない上品さが滲み出ている。
……あかん、これはアカンよ。やんごとない感が全然隠せてないやん。
……私なんて、何処から見ても野生児よ? 誰も貴族のお嬢様って気付かないんだけど?
「はじめましてアンタレスです。これからお世話になります。
いろいろご迷惑をお掛けすると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします」
……あぁ、声も貴公子って感じ。ちゃんと挨拶もできるし威張ってない。
「ようこそゲートルへ。ホッパー商会の商会長をしているホッパーです。
これからは我が家だと思って、気楽にお過ごしください。
こちらは、私がさる貴族家からお預かりしているサンタさんです。
詳しい話は、商会に到着してからでいいでしょう。どうぞ、私の馬車にお乗りください」
ホッパーさんは、貴公子を送ってきた御者に銀貨を握らせ、お疲れさまでしたと言って労った。
さり気無い気遣いが素敵。こういうところが大商人って感じよね。
『どうやら心は腐っておらんようじゃ』
『あの澄んだ瞳をみれば、私の身内のバカ従兄たちとは全く違うって分かる。
どこか緊張していて、不安を一生懸命に隠そうとしているっぽいのも良い』
『サンタや、おぬし本当に3歳か? 本当は30歳くらいじゃろう』
『誰のせいでこんな幼女になったと思ってるの? みんなサーク爺のせいじゃん』
サーク爺と念話でやり合っていると、アンタレスくんが不思議そうに私を見ていた。
あぁ~、一人百面相してたんだ。顔に出てましたか? そうですか。赤面。
「サンタさんもよろしくね」と、アンタレスくんが爽やかに微笑む。
「はい、よろしくします」
……いかーん、間違えたー! うちの兄さまも貴公子風だけど、こっちは本物。なんだか眩しい・・・とりあえず笑っとこ。
馬車の中でホッパーさんとアンタレスくんの会話を聞いていたけど、兄さま同様に頭の回転もいいし、受け答えも丁寧だった。
これが演技だったらガッカリだけど、見た目通りだったら嬉しい。
『ふむ、この者は呪われておるみたいじゃぞ。この時代にも、呪術を使う者がおるようじゃな』
『はい?』
うちの従兄たちみたいに粗暴で威張っていたら嫌だけど、優しくて賢かったらいいなぁ。この際、顔は全く期待しないし問題じゃない。
『庶子だから、父親と同じ屋敷で暮らしてはいなかっただろうけど、本妻や側室は彼の存在を知っていて、何か嫌がらせをしてきたんだろうなぁ。
他家に養子に出してでも、命だけは助けたいって感じかぁ・・・』
『昔も後継者争いはあったが、わしは家に縛られるのも嫌じゃったし、面倒な統治とか政治には興味も持てなかった。
王になった兄は病死したが、次の王には弟がなったくらいじゃ。
サンタと同じように、素直なまま育っておれば良いが、世を恨んでいるような者には、魔法を伝授する気はないぞ』
サーク爺が心配しているのは、その子の性格と資質らしい。
悪意で魔法を使えば多くの人が死ぬ可能性もあるし、魔法使いは危険だと敵視されることになりかねないって心配してる。
それと、私ほどじゃなくても、かなりの魔力量がなければ、サーク爺と私の指導についてこれないだろうって。
……う~ん、私もまだ魔術師に会ったことがないから、中位魔術師の魔力量が分からない。いや、そもそも私の魔力量ってどのくらい?
「ホッパーさん、魔術師の魔力量って、何処かで測ることができるの?」
「さあ・・・どうでしょう。魔術師学校や王立能力学園になら、専用の魔術具が有るかもしれません。
うちの商会には魔術師がいませんから、耳にしたことがないんです」
そうなんだ。物知りのホッパーさんでも、魔術師には詳しくないんだ。
そう言えば、魔術師の大半は高位貴族家に生まれてくるらしい。
職業適性は遺伝しないとお爺様が言っていたけど、魔力量は遺伝するのかもしれない。だから高位貴族の方が多いのかも。
『ところでサンタよ、わしらは魔術じゃなくて魔法を使っておるが、そこは大丈夫なのか? わしが思うに魔術は、魔法陣とか長い詠唱が必要じゃった気がするぞ』
『ええぇーっ! そうなの? どうしよう・・・』
ここで問題が発生した。
かなり大きな問題だと思うけど、私は魔術師として王宮で働きたい訳でも、上位貴族家のお抱えになる気もない。
トレジャーハンターだったら、魔術でも魔法でも気にしないと思うんだけど、確認は必要よね。
私って見た目は3歳の幼児だけど、サーク爺の超古代の知識と、現代とは少しずれた常識を持っているから、その子が私を拒絶しないかが心配。
そもそも、私の職業は【魔術師】じゃないんだけど、教えるのってアリ?
「え~っと、まだ言ってなかったんだけど、私の職業ランクは中位で【過去・輪廻】なんだ。
教会でも詳しい仕事内容が不明っていう怪奇な職業だけど、本人がそれでもいいって言えば引き受けるよ」
「えっ? サンタさんは中位職の【魔術師】ではないのですか?
【過去・輪廻】? 聞いたことがない職業ですね。
そう言えば何故、サンタさんは魔術が使えるのでしょう?」
ホッパーさんは本当に驚いたって顔をして、不思議なものを見るような目で私を凝視して首を捻る。
「そもそも、私が使っているのは魔術ではなく【魔法】です。
私の職業【過去・輪廻】は、遠い遠い昔に生きた人の記憶や技術を伝承し、それらを具現化する能力なんです。
私が使っている魔法は、1万年前の高度文明紀よりも前の、超古代文明紀に生きていた天才魔法使いの技術です」
「・・・超古代文明・・・天才魔法使い・・・?」
……あっ、ホッパーさんが固まった。
街道の休憩所で待つこと2時間、ごく普通の馬車に乗って輝くような美少年がやってきた。
きちんと切り揃えられた金髪を風に靡かせ、高位貴族でございます的なブルーの澄んだ瞳。身長は兄さまと同じくらいだけど、隠せない上品さが滲み出ている。
……あかん、これはアカンよ。やんごとない感が全然隠せてないやん。
……私なんて、何処から見ても野生児よ? 誰も貴族のお嬢様って気付かないんだけど?
「はじめましてアンタレスです。これからお世話になります。
いろいろご迷惑をお掛けすると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします」
……あぁ、声も貴公子って感じ。ちゃんと挨拶もできるし威張ってない。
「ようこそゲートルへ。ホッパー商会の商会長をしているホッパーです。
これからは我が家だと思って、気楽にお過ごしください。
こちらは、私がさる貴族家からお預かりしているサンタさんです。
詳しい話は、商会に到着してからでいいでしょう。どうぞ、私の馬車にお乗りください」
ホッパーさんは、貴公子を送ってきた御者に銀貨を握らせ、お疲れさまでしたと言って労った。
さり気無い気遣いが素敵。こういうところが大商人って感じよね。
『どうやら心は腐っておらんようじゃ』
『あの澄んだ瞳をみれば、私の身内のバカ従兄たちとは全く違うって分かる。
どこか緊張していて、不安を一生懸命に隠そうとしているっぽいのも良い』
『サンタや、おぬし本当に3歳か? 本当は30歳くらいじゃろう』
『誰のせいでこんな幼女になったと思ってるの? みんなサーク爺のせいじゃん』
サーク爺と念話でやり合っていると、アンタレスくんが不思議そうに私を見ていた。
あぁ~、一人百面相してたんだ。顔に出てましたか? そうですか。赤面。
「サンタさんもよろしくね」と、アンタレスくんが爽やかに微笑む。
「はい、よろしくします」
……いかーん、間違えたー! うちの兄さまも貴公子風だけど、こっちは本物。なんだか眩しい・・・とりあえず笑っとこ。
馬車の中でホッパーさんとアンタレスくんの会話を聞いていたけど、兄さま同様に頭の回転もいいし、受け答えも丁寧だった。
これが演技だったらガッカリだけど、見た目通りだったら嬉しい。
『ふむ、この者は呪われておるみたいじゃぞ。この時代にも、呪術を使う者がおるようじゃな』
『はい?』
152
あなたにおすすめの小説
スラム街の幼女、魔導書を拾う。
海夏世もみじ
ファンタジー
スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。
それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。
これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。
悪女の針仕事〜そのほころび、見逃しません!〜
陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)
ファンタジー
公爵令嬢として生まれながら、子ども時代からメイドや周囲の陰謀で、次々と濡れ衣を着せられ、「悪女」扱いされてきたミリアム。
第3王子との婚約を聖女に奪われ、聖女への嫌がらせの冤罪で国外追放された後、平民として生き延びる中で、何度も5年前へのロールバック(逆行)を繰り返すことに。
生計をたてる為に、追放後の平民生活で極めた針仕事が、ロールバックが繰り返されることで、針仕事の能力だけは引き継がれ、天才的な実力を手に入れる。
その時女神「アテナ」の加護を得て、2つの力を手にすることに。
「加護縫い」
(縫った布に強力な祝福を込められる)
「嘘のほころびを見抜く力」
(相手の嘘を布のほころびとして視覚的に捉え、引き抜く、または繕うことで、真実を暴いたり修正したりする)
を手にしたミリアムは、5歳の幼女時代まで遡り、2つの力で悪評をぬりかえ、仲違いしていた家族も、加護の力を与えることで協力な味方へと変貌。
さらに、女神から可愛いしもべ「アリアドネ」を授かり、元婚約者と聖女にザマァを狙う中、加護縫いの能力が最も高い人間を王太子妃に迎える決まりのある大国、ルーパート王国の王太子が近付いて来て……?
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
領主にならないとダメかなぁ。冒険者が良いんです本当は。
さっちさん
ファンタジー
アズベリー領のミーナはとある事情により両親と旅をしてきた。
しかし、事故で両親を亡くし、実は領主だった両親の意志を幼いながらに受け継ぐため、一人旅を続ける事に。
7歳になると同時に叔父様を通して王都を拠点に領地の事ととある事情の為に学園に通い、知識と情報を得る様に言われた。
ミーナも仕方なく、王都に向かい、コレからの事を叔父と話をしようと動き出したところから始まります。
★作品を読んでくださった方ありがとうございます。不定期投稿とはなりますが一生懸命進めていく予定です。
皆様応援よろしくお願いします
幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について
いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。
実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。
ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。
誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。
「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」
彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。
現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。
それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる