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サンタさん、トレジャーハンターになる
11 ホッパー商会とアンタレス
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◇◇ ホッパー商会 商会長 ◇◇
「商会長、ファイト子爵様がご到着されました」と、店長が慌てて執務室に飛び込んできた。
そろそろ早馬便が届いた頃だから、明日には折り返しの返事が届くのではないかと考えていたら、返事ではなくファイト子爵自身がゲートルの町に夕方到着された。
恐らく早馬便を見て直ぐにファイト子爵領を出られたのだろう。この町までは馬車を飛ばせば4時間半だ。
元々ファイト子爵様とは、商売上の付き合いも長い。
これ程に行動が早かったのは、私がサンタさんを預かる者として役不足だと思われたのか、余程サンタさんが可愛いかのどちらかだろう。
聡明な孫が行方不明なのだ。早く無事を確認されたい気持ちは理解できる。
「ようこそいらっしゃいました」と、私はいつものように店の前でお迎えする。
「ホッパー殿、此度は世話になった。本当にありがたい。で、サンタナリアにケガなどは?」
……ああ、私が早馬便に命の危険を・・・って書いたから、ケガや事故を心配されたのかもしれない。
「サンタナリアさまは、お元気でケガなどありません。
詳しいお話は中でいたしましょう。今夜は我が商会にお泊りいただければと思います」
私は店長と侍女頭に準備をするよう指示を出し、応接室へと向かう。
「ありがたい、そうさせてもらおう」と、子爵様は安堵して頷かれた。
「此処へ来る途中、私は警備隊に寄ってきたが、隊長の話が真実なら、うちの嫁はサンタナリアを置き去りにしたということだな?」
「はい、サンタナリアさまは聡明でいらっしゃいます。ご自分の状況を正しく判断なさり、置き去りにされた噴水前でパンを売っていた者に、叔母と従姉に待っていろと命令されたが、戻ってこないと助けを求められたようです」
「ああ、あの捜索願いを見れば、探す気など無いことは一目瞭然だ。は~っ」
子爵様は身内の陰謀を愁い、深く息を吐かれた。
「しかし、私はそのお陰でサンタナリア様に命を救っていただきました」
私はそう言って、サンタさんとの出会いの一部始終と、それからの7日間のことを子爵様に詳しく話した。
「な、なんだと、サンタナリアが、あの子が魔術を?」
「はい、正確には魔術ではなく魔法だそうです」
私も大層驚いたが、孫が魔法を使えると知らなかった子爵様は、椅子から立ち上がり驚きの表情で確認された。
そこから私は、サンタさんから聞いた【過去・輪廻】について、子爵様に説明していった。
そして現在は、伸び伸びと魔法の練習をされ、トレジャーハンターになって母上のために家を買うのだと張り切っておられますと報告した。
「うむ、確かにトレジャーハンターになりたいと言っておったが、ただの夢かと思っていた。本気であったか・・・
しかも中位魔術レベルが使えて、超古代文明紀の天才魔法使いの知識を具現化するなど、荒唐無稽と言われる夢物語じゃ。
確かに子爵家に戻れば、命の危険を感じるであろうな・・・まさかの魔術師」
喜び半分、不安が半分という表情の子爵様は、どうしたものかと頭を抱えられた。
普通に考えれば、自分の家から魔術師が、しかも中位以上の魔術師が誕生するなんて誉れであり、間違いなく将来を嘱望されるだろう。
男、女に関わらず家督を継がせ、爵位を上げることも可能だ。
中位・魔術師の中には、ごく稀に高位になる者までいる。
「サンタナリアは、この町に残ることを希望しているのだな?」
「はい、そのようでございます。その件に関しまして、事前にお話ししておかねばならない重要な案件がございます。
ご本人からは了解をいただきましたが、サンタナリアさまには、魔法の師になっていただきたいのです。
子爵様に了承いただければ、サンタナリア様の以後の生活費及び学費等は、全てホッパー商会と私が責任を持って出すと約束いたします」
そこから私は、先日預かったばかりのアンタレス君のことを説明していく。
「アロー公爵家嫡男の婚外子とは・・・それはまた面倒なことだな。
アロー公爵家といえば、代々当主は【高位・魔術師】。嫡男の他には3人の娘がおられたと記憶している」
子爵の渋い顔が一段と渋くなったが、う~んと唸って思案されている。
これ以降の話は、絶対に口外できない公爵家の極秘事項となりますと前置きし、アンタレス君の現状を詳しく話していく。
「アロー公爵家の嫡男様は、職業選別で【高位・魔術師】でした。
次期公爵は嫡男様と決まっていますが、問題は次の世代です。
職業選別で【魔術師】を授かったのは、嫡男様のご側室が産んだ男児1人だけで、しかも【中位】でした。その子は病弱で、中級学校に通うことさえままならないようです。
しかも先日、嫡男様が突然倒れられ、婚外子であるアンタレス君の存在を知った公爵様は、急いでご嫡男の養子として迎え入れるよう命じられました。
ですが、その直後アンタレス君は刺客に襲われ、母親は亡くなりました。
私は、アンタレス君の養子入りを反対している、公爵様の末弟であるヒバド伯爵様が犯人だと思っています。
ヒバド伯爵は、自分の息子は【中位・魔術師】で将来有望だからと、体の弱い直系や婚外子の孫より、公爵家の後継に相応しいと親族に根回しを。
結局親族会議で、後継者は未定だと公爵様は言わざるを得ませんでした。
しかし公爵様は、アンタレス君を極秘でご自分の養子として王宮に届け出て、先日受理されました」
「なんだと、それではアンタレス君は、現在アロー公爵の息子になっているのだな? 嫡男の子ではなく自分の息子に・・・」
「はい、その上で私の妻の実家に養子入りさせ、守って欲しいと託されました。
ヒバド伯爵には、いろいろと黒い噂もございますし、嫡男様は毒を盛られたようで、公爵様が調査させた結果、ヒバド伯爵配下のメイドが2人潜り込んでおりました。
サンタナリアさまの才能は本物です。どうか、アロー公爵様にお力をお貸しください」
私は深く頭を下げ、この縁には必ず意味があると思うと付け加え、このままサンタナリアさまに魔法を教えてもらいたいと懇願した。
「商会長、ファイト子爵様がご到着されました」と、店長が慌てて執務室に飛び込んできた。
そろそろ早馬便が届いた頃だから、明日には折り返しの返事が届くのではないかと考えていたら、返事ではなくファイト子爵自身がゲートルの町に夕方到着された。
恐らく早馬便を見て直ぐにファイト子爵領を出られたのだろう。この町までは馬車を飛ばせば4時間半だ。
元々ファイト子爵様とは、商売上の付き合いも長い。
これ程に行動が早かったのは、私がサンタさんを預かる者として役不足だと思われたのか、余程サンタさんが可愛いかのどちらかだろう。
聡明な孫が行方不明なのだ。早く無事を確認されたい気持ちは理解できる。
「ようこそいらっしゃいました」と、私はいつものように店の前でお迎えする。
「ホッパー殿、此度は世話になった。本当にありがたい。で、サンタナリアにケガなどは?」
……ああ、私が早馬便に命の危険を・・・って書いたから、ケガや事故を心配されたのかもしれない。
「サンタナリアさまは、お元気でケガなどありません。
詳しいお話は中でいたしましょう。今夜は我が商会にお泊りいただければと思います」
私は店長と侍女頭に準備をするよう指示を出し、応接室へと向かう。
「ありがたい、そうさせてもらおう」と、子爵様は安堵して頷かれた。
「此処へ来る途中、私は警備隊に寄ってきたが、隊長の話が真実なら、うちの嫁はサンタナリアを置き去りにしたということだな?」
「はい、サンタナリアさまは聡明でいらっしゃいます。ご自分の状況を正しく判断なさり、置き去りにされた噴水前でパンを売っていた者に、叔母と従姉に待っていろと命令されたが、戻ってこないと助けを求められたようです」
「ああ、あの捜索願いを見れば、探す気など無いことは一目瞭然だ。は~っ」
子爵様は身内の陰謀を愁い、深く息を吐かれた。
「しかし、私はそのお陰でサンタナリア様に命を救っていただきました」
私はそう言って、サンタさんとの出会いの一部始終と、それからの7日間のことを子爵様に詳しく話した。
「な、なんだと、サンタナリアが、あの子が魔術を?」
「はい、正確には魔術ではなく魔法だそうです」
私も大層驚いたが、孫が魔法を使えると知らなかった子爵様は、椅子から立ち上がり驚きの表情で確認された。
そこから私は、サンタさんから聞いた【過去・輪廻】について、子爵様に説明していった。
そして現在は、伸び伸びと魔法の練習をされ、トレジャーハンターになって母上のために家を買うのだと張り切っておられますと報告した。
「うむ、確かにトレジャーハンターになりたいと言っておったが、ただの夢かと思っていた。本気であったか・・・
しかも中位魔術レベルが使えて、超古代文明紀の天才魔法使いの知識を具現化するなど、荒唐無稽と言われる夢物語じゃ。
確かに子爵家に戻れば、命の危険を感じるであろうな・・・まさかの魔術師」
喜び半分、不安が半分という表情の子爵様は、どうしたものかと頭を抱えられた。
普通に考えれば、自分の家から魔術師が、しかも中位以上の魔術師が誕生するなんて誉れであり、間違いなく将来を嘱望されるだろう。
男、女に関わらず家督を継がせ、爵位を上げることも可能だ。
中位・魔術師の中には、ごく稀に高位になる者までいる。
「サンタナリアは、この町に残ることを希望しているのだな?」
「はい、そのようでございます。その件に関しまして、事前にお話ししておかねばならない重要な案件がございます。
ご本人からは了解をいただきましたが、サンタナリアさまには、魔法の師になっていただきたいのです。
子爵様に了承いただければ、サンタナリア様の以後の生活費及び学費等は、全てホッパー商会と私が責任を持って出すと約束いたします」
そこから私は、先日預かったばかりのアンタレス君のことを説明していく。
「アロー公爵家嫡男の婚外子とは・・・それはまた面倒なことだな。
アロー公爵家といえば、代々当主は【高位・魔術師】。嫡男の他には3人の娘がおられたと記憶している」
子爵の渋い顔が一段と渋くなったが、う~んと唸って思案されている。
これ以降の話は、絶対に口外できない公爵家の極秘事項となりますと前置きし、アンタレス君の現状を詳しく話していく。
「アロー公爵家の嫡男様は、職業選別で【高位・魔術師】でした。
次期公爵は嫡男様と決まっていますが、問題は次の世代です。
職業選別で【魔術師】を授かったのは、嫡男様のご側室が産んだ男児1人だけで、しかも【中位】でした。その子は病弱で、中級学校に通うことさえままならないようです。
しかも先日、嫡男様が突然倒れられ、婚外子であるアンタレス君の存在を知った公爵様は、急いでご嫡男の養子として迎え入れるよう命じられました。
ですが、その直後アンタレス君は刺客に襲われ、母親は亡くなりました。
私は、アンタレス君の養子入りを反対している、公爵様の末弟であるヒバド伯爵様が犯人だと思っています。
ヒバド伯爵は、自分の息子は【中位・魔術師】で将来有望だからと、体の弱い直系や婚外子の孫より、公爵家の後継に相応しいと親族に根回しを。
結局親族会議で、後継者は未定だと公爵様は言わざるを得ませんでした。
しかし公爵様は、アンタレス君を極秘でご自分の養子として王宮に届け出て、先日受理されました」
「なんだと、それではアンタレス君は、現在アロー公爵の息子になっているのだな? 嫡男の子ではなく自分の息子に・・・」
「はい、その上で私の妻の実家に養子入りさせ、守って欲しいと託されました。
ヒバド伯爵には、いろいろと黒い噂もございますし、嫡男様は毒を盛られたようで、公爵様が調査させた結果、ヒバド伯爵配下のメイドが2人潜り込んでおりました。
サンタナリアさまの才能は本物です。どうか、アロー公爵様にお力をお貸しください」
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