三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~

杵築しゅん

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サンタさん、魔術師になる

68 魔術具の謎(2)

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 調査団の魔術師チーム、工学者チーム、鑑定士チーム、そしてうちのリーダーが集まるのを、ゲートル支部の大会議室で待つことになった。
 私はお茶が入った水筒と買ったばかりのパンをリュックから取り出し、お偉いさんの前で遠慮なく朝ご飯を食べる。

「あぁ、お茶の爽やかな香りが落ち着くわ~」

「どこのオバサンだよ! この幼児はホントにもう」

 協会長の前で緊張しているサブチーフに、何故か文句を言われた。理不尽!

 20分もすると、わいわい騒ぎながら調査団のメンバーが集まってきた。
 何も聞かされていなかったらしいリーダーは、隣に座って「俺、また何かした?」って、すっかり怯えた様子で私に質問する。

「大変だったねリーダー。今回は私が発見した魔術具の件だから安心して」

 私は気の毒なリーダーを労いながら、集められた用件を教える。


「皆さんご苦労様です。トレジャーハンター協会長のハウエンです。
 本日は、ここに居るサンタさんが発見した魔術具の、最終鑑定をするために集まってもらいました。
 魔術師チームの皆さんには発表していませんでしたが、この魔術具、なんと魔術師の、いえ、魔力を持つ者全ての属性を判定する魔術具の可能性があります」

「なんだと!」

 協会長の挨拶と用件を聞いた魔術師チームの皆さんは、驚きのあまり皆が椅子から立ち上がり叫んだ。

「だが、その魔術具には7色のパネルがある。我々が知る属性は6つだ」

「えっ?」

 エバル教授の属性6つ発言に、つい、えっ?って声を出してしまい、直ぐに両手で口を塞いだ。
 魔術師の皆さんが、疑るような探るような視線を私に向けてくるけど、ここで視線を合わせちゃダメ。

 ……よし、セ、セーフ?


 そこからは副団長であり高位・鑑定士のボルロさんが、鑑定士チームと工学者チームが魔術具を起動させようとして発見したことを、黒板に書きながら説明していく。
 途中、工学者チームのリーダーであるツクルデ教授が補足を入れる。

「もしもサンタさんから、魔核を充填する時の色の違いが、属性の違いによる可能性があると聞いてなかったら、また、魔力は誰にでもあるんじゃないかという仮説を聞いてなかったら、この魔術具の凄さは分からなかっただろう」

 なんて、魔術具専門のツクルデ教授がしみじみと言う。

「これから魔術師チームの皆さんには、自分の持つ属性を申告してもらい、本当に属性を判別する魔術具なのかを検証するため、協力をお願いしたい。
 もちろん、この場にいる全員のデーターを取り、信憑性を高めてから王様に報告することになる」

 協会長は、この魔術具が属性を判別するためのものだと確信しているみたいで、今から行う検証データーを添えて王様に報告すると断言している。

 ……う~ん、魔術具の採掘代金って貰えるのかなぁ?
 ……大発見で大金持ち、一攫千金よー!って夢は? 国に献上しなきゃダメ?

 隣に座るリーダーをチラリと見たら、リーダーも困った顔をして私の方を見ていた。
 お互い首を捻りながら、ガッカリした表情で溜息を吐く。



 説明を聞いた後は、全員が魔術具に手を当て属性を確認していく。
 最初に名乗りを上げたのは団長であるアロー公爵だった。
 本人の申告では【炎・水・土・動力】の4つだったが、魔術具は【赤】【青】【緑】【オレンジ】【黄】の5色のパネルが反応した。

 次は王立能力学園のエバル教授で、申告は【炎・水・風・動力・光】の5つ。パネルが反応したのも5色だった。
 魔術師協会のミエハール部長の申告も5つで、パネルはやはり5色が反応した。
 唯一の女性ニンターイ課長の申告は4つで、パネルは4色が反応した。

「驚いたな、魔術師以外でも【オレンジ】が反応するとは」

 工学者チームは4人の内2人が、鑑定士チームは全員が、うちのリーダーまでもがオレンジのパネルを光らせていた。
 光らなかったサブチーフは、「俺は小さな魔核にも充填できないのかー!」って落胆し、ちょっと可哀そうになった。

「サブチーフ、訓練したら魔力が生えるかもよ」って慰めたら、同じようにパネルが反応しなかった皆さんが、私の方を向いて拝み始めたから、「もしかしたらだよ」って慌てて逃げ道をつくっておいた。

『サンタや?』
『はい、すみません。お口チャックしときます』 


「それでは私は、もう1つ属性を持っているということだな。
 検証結果から推測されるのは【光】属性だが、持っていないとばかり思っていた。誰か魔核付きの杖を持参していないか?」

 アロー公爵は、属性が増えるなんて聞いたこともないがと言いながらも、嬉しそうに杖を貸して欲しいと頼む。
 誰も手を上げないので、私は自分のウエストポーチから無言でスッと、魔核付き幼児用の小型杖を差しだした。

「な、なんだ今のは! サンタさん、今、ウエストポーチから杖を出したのか?」

 ……ああ、またやっちゃったよ。

「協会長、サンタさんのウエストポーチの件は後程説明します」

 ボルロさんがフォローしてくれるけど、協会長の視線は私のウエストポーチに向いたままだ。

「ハウエン殿、サンタさんの異能にいちいち驚いていては、心臓に負担がかかるぞ。サンタさん関連のことは全て極秘で頼む。私はサンタさんの正式な後見人だ」

 アロー公爵は軽く協会長を脅しながら、口外無用と念を押した。

『異能? 心臓に負担がかかるって何?』

『深く考えなくていいわサンタさん。勝手に言わせときなさい』

『うん、分かったパトリシアさん』

 笑いながら変なことを言うアロー公爵は、私の魔核付き杖に魔力を流し、見事に【光】能力を発現させ、魔核を光らせた。
 まあ、私やファーズさんが光らせる明りの半分くらいの明るさだけど。


 これまでの検証で分かったことは、間違いなく7色のパネルは属性を表すものであり、パネルの明るさで属性の強さまで分かるってことだった。

 ……私? 嫌な予感しかしないから検証には参加してないよ。

「7色・・・この紫色は何の能力でしょうか?」

 ニンターイ課長、そこで余計なことを言っちゃダメ!
 ほらほら、全員の視線が私に向いちゃったじゃない。

 ギャーッ! 
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