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第一章 ゲームの世界へ
第34話 限界突破
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「到着しましたランカ様」
「ありがとうリトル。レッド、降りて大丈夫だよ」
リトルの背中から降りてお礼を言う。
レイドック城からそそくさと逃げ帰ってきた。抱き着くレッドを惜しみながら離す。もっと抱き着いててくれてもいいんだけどね。
「師匠! 本当に遺灰でレベルが上がるようになるんですか?」
「ああ、なるぞ~。20袋だから僕だけしかできないけどね」
アスノ君が抱き着いてきて質問してくる。これだけの量を無料で、なおかつ戦闘をしないで得られたのは大きい。ゲームではこれを集めるのが一番大変だったからな~。戦利品っていうのは落とさない可能性もあって、20個集めないといけないから時間かかった。今思えばいい思い出だけどね。
「ランカ、私もできるの?」
「レッドは最上位職の【近衛騎士】の75レベルだったよね。それはまた別のアイテムが必要なんだよね」
限界突破クエストはレベルでアイテムが変わる。50レベルの限界突破は【吸血鬼の遺灰】75レベルのアイテムは【地獄の番犬の骨】だ。地獄の番犬ケルベロスは別次元の【地獄】に行かないと会えない。リトルのようなことが出来るなら会いたいんだけどな。仲間にして背に乗って、夢がかなう。
「ランカ? ランカ!」
「え? ああ、ごめんごめん色々と考え事してた」
「もう、話してる最中に考え込まないでよ。じゃあ、私は強くなれないんだね。残念」
考え事をしていた僕に頬を膨らませて怒るレッド。強くなれないというのを聞くと残念そうに俯いてしまう。彼女は僕らの倍以上も強いからそんな必要ないんだけどな。
「さて。少しの間留守にするからみんなをよろしくねレッド」
「え? 留守にする? どこかへいくの?」
「あれ? 説明してなかったっけ? 限界突破の為に一人でボスと戦わないといけないんだ」
驚くレッドに首を傾げる。そう言えば言ってなかったっけかな。
「一人で!?」
「え? あ~うん。そうだけど」
「聞いてない! 大丈夫なの?」
「だ、大丈夫だよ。アスノ君の武器があるから」
心配するレッドに軽く答える。すると彼女は更に肩を落としていく。
「私は役に立たない……」
僕らに背中を見せて呟くレッド。
「何言ってんのレッド? 役に立ってるよ」
「だって、リトルのように移動を早くしたりアンナ達みたいに採掘をしたり……、アスノ君とルドマンみたいに武具を作ったり」
涙をこぼしながら本気で悔しがってるレッド。彼女がいるから色々無茶出来てるんだけどな。
「レッド。君がいてくれたからセリスから逃げてこれたんだよ」
「え?」
「セリスは君がいたから追いかけてこなかったんだよ。僕らだけだったら掴まってた」
レッドはセリスと戦っても持ちこたえられる存在だ。むやみに追いかけてレッドにやられるリスクは負えなかっただろう。もちろん、僕らの戦力も無視はできなかっただろうからね。なんて言っても攻撃力3倍の武器を持ってるからな。
「そういってくれると少し自信が持てた。ありがとうランカ。本当にあなたは優しい」
「え!? あ、ははは。どういたしましてレッド」
素直にお礼を言ってくるレッドに見惚れてしまった。涙目で頬が赤いなんて反則だ。ついつい抱きしめたくなってしまった。
「ランカ、留守にするのは分かったんだが、どこへ行くんだ?」
「行くと言うか飛ぶと言うか」
「飛ぶ?」
遺灰をインベントリから取り出してレッドに答える。遺灰を一か所に集めて。
「師匠? それで上がるんですか?」
「まあ見てて」
アスノ君に答えながら遺灰の前で目を瞑る。
「【限界へとたどり着き我が身を、さらなる高みへと上らせよ】」
僕の声と共に遺灰が輝き、光り輝く階段へと形を変えていく。
「師匠凄い! 綺麗な階段!」
「ふむ、遺灰が作る物質化、興味がわくの~」
アスノ君が語彙力のない声をあげるとルドマンさんも楽しそうに声をあげる。確かに不思議物質だよな。吸血鬼の遺灰は普通のものと違うのかもしれないな。
「さて、行ってくるね」
「行ってらっしゃい気をつけてきてね」
「行ってらっしゃい師匠!」
「油断するんじゃないぞ」
みんなに挨拶して光る階段を上がる。13段の階段を上がりきると光る壁が目の前に現れる。この演出はゲームと同じだな。
光る壁に入っていく、水に入るような感触のあと、目の前に真っ白な空間が広がる。
「ボスフィールドも一緒だな」
ここまで一緒って事はボスも同じかもな。それなら余裕だ。
「え!? 一緒だけど! でかい!」
少し待っていると少し遠くに見覚えのある魔物が現れた。ミノタウロスだ。牛人と言われる魔物で普通のミノタウロスでもAランクの強さだ。
ゲームでの大きさは普通の魔物と変わらなかった。それなのに現れたのは倍以上の大きさ。アスノ君の武器なら大丈夫だったはずなんだけど、流石の大きさにたじろぐ。
「こ、こっちに気付いた!?」
怖気ついていると魔物が僕に気が付いて走ってくる。二足歩行だったミノタウロスが四足歩行で走ってくる姿は恐怖そのものだ。この恐怖に打ち勝たないと限界突破はならない。
決意で剣を握る手に力を込める。みんなが心配して待ってる。すぐに済ませるぞ!
「ありがとうリトル。レッド、降りて大丈夫だよ」
リトルの背中から降りてお礼を言う。
レイドック城からそそくさと逃げ帰ってきた。抱き着くレッドを惜しみながら離す。もっと抱き着いててくれてもいいんだけどね。
「師匠! 本当に遺灰でレベルが上がるようになるんですか?」
「ああ、なるぞ~。20袋だから僕だけしかできないけどね」
アスノ君が抱き着いてきて質問してくる。これだけの量を無料で、なおかつ戦闘をしないで得られたのは大きい。ゲームではこれを集めるのが一番大変だったからな~。戦利品っていうのは落とさない可能性もあって、20個集めないといけないから時間かかった。今思えばいい思い出だけどね。
「ランカ、私もできるの?」
「レッドは最上位職の【近衛騎士】の75レベルだったよね。それはまた別のアイテムが必要なんだよね」
限界突破クエストはレベルでアイテムが変わる。50レベルの限界突破は【吸血鬼の遺灰】75レベルのアイテムは【地獄の番犬の骨】だ。地獄の番犬ケルベロスは別次元の【地獄】に行かないと会えない。リトルのようなことが出来るなら会いたいんだけどな。仲間にして背に乗って、夢がかなう。
「ランカ? ランカ!」
「え? ああ、ごめんごめん色々と考え事してた」
「もう、話してる最中に考え込まないでよ。じゃあ、私は強くなれないんだね。残念」
考え事をしていた僕に頬を膨らませて怒るレッド。強くなれないというのを聞くと残念そうに俯いてしまう。彼女は僕らの倍以上も強いからそんな必要ないんだけどな。
「さて。少しの間留守にするからみんなをよろしくねレッド」
「え? 留守にする? どこかへいくの?」
「あれ? 説明してなかったっけ? 限界突破の為に一人でボスと戦わないといけないんだ」
驚くレッドに首を傾げる。そう言えば言ってなかったっけかな。
「一人で!?」
「え? あ~うん。そうだけど」
「聞いてない! 大丈夫なの?」
「だ、大丈夫だよ。アスノ君の武器があるから」
心配するレッドに軽く答える。すると彼女は更に肩を落としていく。
「私は役に立たない……」
僕らに背中を見せて呟くレッド。
「何言ってんのレッド? 役に立ってるよ」
「だって、リトルのように移動を早くしたりアンナ達みたいに採掘をしたり……、アスノ君とルドマンみたいに武具を作ったり」
涙をこぼしながら本気で悔しがってるレッド。彼女がいるから色々無茶出来てるんだけどな。
「レッド。君がいてくれたからセリスから逃げてこれたんだよ」
「え?」
「セリスは君がいたから追いかけてこなかったんだよ。僕らだけだったら掴まってた」
レッドはセリスと戦っても持ちこたえられる存在だ。むやみに追いかけてレッドにやられるリスクは負えなかっただろう。もちろん、僕らの戦力も無視はできなかっただろうからね。なんて言っても攻撃力3倍の武器を持ってるからな。
「そういってくれると少し自信が持てた。ありがとうランカ。本当にあなたは優しい」
「え!? あ、ははは。どういたしましてレッド」
素直にお礼を言ってくるレッドに見惚れてしまった。涙目で頬が赤いなんて反則だ。ついつい抱きしめたくなってしまった。
「ランカ、留守にするのは分かったんだが、どこへ行くんだ?」
「行くと言うか飛ぶと言うか」
「飛ぶ?」
遺灰をインベントリから取り出してレッドに答える。遺灰を一か所に集めて。
「師匠? それで上がるんですか?」
「まあ見てて」
アスノ君に答えながら遺灰の前で目を瞑る。
「【限界へとたどり着き我が身を、さらなる高みへと上らせよ】」
僕の声と共に遺灰が輝き、光り輝く階段へと形を変えていく。
「師匠凄い! 綺麗な階段!」
「ふむ、遺灰が作る物質化、興味がわくの~」
アスノ君が語彙力のない声をあげるとルドマンさんも楽しそうに声をあげる。確かに不思議物質だよな。吸血鬼の遺灰は普通のものと違うのかもしれないな。
「さて、行ってくるね」
「行ってらっしゃい気をつけてきてね」
「行ってらっしゃい師匠!」
「油断するんじゃないぞ」
みんなに挨拶して光る階段を上がる。13段の階段を上がりきると光る壁が目の前に現れる。この演出はゲームと同じだな。
光る壁に入っていく、水に入るような感触のあと、目の前に真っ白な空間が広がる。
「ボスフィールドも一緒だな」
ここまで一緒って事はボスも同じかもな。それなら余裕だ。
「え!? 一緒だけど! でかい!」
少し待っていると少し遠くに見覚えのある魔物が現れた。ミノタウロスだ。牛人と言われる魔物で普通のミノタウロスでもAランクの強さだ。
ゲームでの大きさは普通の魔物と変わらなかった。それなのに現れたのは倍以上の大きさ。アスノ君の武器なら大丈夫だったはずなんだけど、流石の大きさにたじろぐ。
「こ、こっちに気付いた!?」
怖気ついていると魔物が僕に気が付いて走ってくる。二足歩行だったミノタウロスが四足歩行で走ってくる姿は恐怖そのものだ。この恐怖に打ち勝たないと限界突破はならない。
決意で剣を握る手に力を込める。みんなが心配して待ってる。すぐに済ませるぞ!
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