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第一章 ゲームの世界へ
第36話 よりよい関係
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「ふむふむ、限界突破と言うものがあるのですね」
僕が何してきたかを教えると、取り巻きの吸血鬼を椅子とテーブルにさせて書き物を始めるセリス。ペンで背中をなぞられるのはこそばゆそうだけど、恍惚な表情になってるな。彼らからしたらご褒美なのかもな。
「そんなことを知っているとはランカ様は卓越した知恵をお持ちの様ですね。ではお約束通り、吸血鬼の遺灰を40っと」
セリスは約束通りの遺灰を手渡してくれる。その際、僕の手を握ると手の甲にキスをしてきた。取り巻きの吸血鬼達がすっごい睨んできてるんだけど、これは?
「あなたをマークしました。わらわの助けが欲しい時、わらわに会いたい時、わらわの名を呼びなさい。すぐにあなたの元に参上いたします。では近いうちに」
セリスはそれだけ言って取り巻きと共に飛んでいく。片翼の蝙蝠の羽根が印象的な彼女は心なしか嬉しそうにしてるな。
「もう! また鼻の下が伸びてる!」
「え? そ、そんなことないよ!」
レッドが失礼なことを言ってくる。少女姿のセリスに目を奪われたりはしないさ。まあ、悪い気はしないけれど。
「師匠はモテモテですね……」
「ふむ、儂の若い頃にそっくりだ! がっはっは」
アスノ君がジト目で話すとルドマンさんが豪快に笑ってる。
とりあえず、セリスと争いにならなくてよかった。あんなにふざけている吸血鬼達だったけど、ミノタウロスよりも強いはずだからね。あの人数に勝てる未来は見えない。下手に知識のある魔物は厄介だな。徒党を組まれたらレベル上げもあったもんじゃない。
「師匠! 限界突破というのはできたんですね!」
「バッチリだよアスノ君」
ジト目だった表情を笑顔に変えて抱き着いてくるアスノ君。僕も笑顔で答えると僕の胸に顔をうずめて喜んでくれる。
「はいはい。アスノ君は油断するとすぐにランカに甘えるんだから、疲れてるんだから休ませてあげなさい」
「あ~、もう少し~」
レッドがアスノ君の首根っこを掴んで吊り下げる。まるで猫を捕まえるようにしててなんだか可愛いな。
「次はアスノ君がやる番だよ。敵は同じだろうから攻略法を教えます」
「は、はい!」
僕らのステータスならば簡単に倒せることはわかってる。攻撃されても蚊に刺されたくらいのダメージだ。アスノ君は戦闘の方も結構才能があるからね、簡単に倒して見せてくれるだろう。
「なるほど、走るのが好きなんですね」
ミノタウロスの戦い方を教えるとそんな感想を話す。少年らしい感想で思わず頭を撫でてしまう。少し甘やかしすぎだな。
「じゃあ行ってきます!」
「頑張るんだぞ~」
アスノ君が遺灰の前で呪文を唱えると僕と同じように光る階段が現れて壁が現れる。壁に入るときも元気でピクニックに行くかのようだ。油断しなければいいんだけどな。
「僕らはアスノ君が帰ってくるまでルドマンさんのレベルをあげようか」
「了解」
僕が声をあげるとレッドが答えてくれる。心配してても仕方ない。次に控えているルドマンさんの準備をしてあげないと。
◇
「セリス様! なぜあのようなことをしたのですか!」
「わらわが気に入ったからに決まっているだろ」
わらわの名はセリス。ランカという可笑しな人間に会った帰り道。
側近であるウランが歯ぎしりをして意見してくる。わらわの答えを聞くと更に激しく歯ぎしりをし始める。
「ウラン。わらわは平和に暮らしたいと思って居る。それは知っているだろ?」
「そ、それは知っています。しかし!」
わらわの考えを知っていて意見を述べるウラン。少し甘やかしすぎたか?
「わらわに意見を述べるとは、ウラン。お前は偉くなったものだな」
「う!?」
口うるさいウランの首を掴み少し力を加える。苦しみ爪をわらわの腕に食い込ませるウラン。
「次はないぞ」
「うっ……ありがとうございます!」
気が済んで首を離すとやつは瞳をハートにしてお礼を言ってくる。まったく、わらわの魅了が効いているとは言え変態が多すぎる。
「皆、忘れるでないぞ。わらわは人間と仲良く暮らしていきたいと思っているのだ。お前達の前の主人のサデスに言ったようにな」
わらわが目覚めて尖塔から出ると、レイドック城に住み着いていた吸血鬼がいた、それはこやつらの前の主人サデスだった。
わらわの城に無断で住んでいたサデスと会話を交わすと人間を滅ぼすと息まいていた。わらわは説得をしたが聞く耳を持たずオルコッドへと出立しようとしていたのじゃ。それを止めるためにやつの部下を魅了し、言い聞かせようと思ったがそれでも止まらず滅した。サデスは魔物そのものになっていたようだった。わらわのように理性を持っていればよかったのだが。
「ランカという人を好いてしまわれたのですか?」
「好きという事か? それとは大きく違う。やつは何かを知っているのだ。その何かが気になってしょうがない。わらわの存在そのものの価値を決めるものやもしれぬ」
ウランの疑問に首を横に振ってこたえる。ランカのわらわを見つめる瞳には何か特別な何かがあった。絶望と恐怖が交じり合うあの瞳の様子の奥深くに何か特別な……。
「ランカと仲良くなっていたあの者達のようになれれば、その特別を教えてくれるのではないだろうか……」
「セリス様! 私はずっと反対いたします!」
「好きにせよ。しかし、人間を傷つけることは許さんぞ。山賊や盗賊の類の人間はいいがな」
わらわの言葉に意見を述べるウラン。話ながら街道を進んでいると馬に乗る不届きもの達が目を光らせる。わらわ達を獲物と見据えたか。
わらわ達は吸血鬼。人や動物の血液で生きる獣。ウランたちは目を光らせて目についた不届きものの山賊を襲いだす。わらわ達に出会ったのが運の尽き。潔く餌となるがいい。
◇
僕が何してきたかを教えると、取り巻きの吸血鬼を椅子とテーブルにさせて書き物を始めるセリス。ペンで背中をなぞられるのはこそばゆそうだけど、恍惚な表情になってるな。彼らからしたらご褒美なのかもな。
「そんなことを知っているとはランカ様は卓越した知恵をお持ちの様ですね。ではお約束通り、吸血鬼の遺灰を40っと」
セリスは約束通りの遺灰を手渡してくれる。その際、僕の手を握ると手の甲にキスをしてきた。取り巻きの吸血鬼達がすっごい睨んできてるんだけど、これは?
「あなたをマークしました。わらわの助けが欲しい時、わらわに会いたい時、わらわの名を呼びなさい。すぐにあなたの元に参上いたします。では近いうちに」
セリスはそれだけ言って取り巻きと共に飛んでいく。片翼の蝙蝠の羽根が印象的な彼女は心なしか嬉しそうにしてるな。
「もう! また鼻の下が伸びてる!」
「え? そ、そんなことないよ!」
レッドが失礼なことを言ってくる。少女姿のセリスに目を奪われたりはしないさ。まあ、悪い気はしないけれど。
「師匠はモテモテですね……」
「ふむ、儂の若い頃にそっくりだ! がっはっは」
アスノ君がジト目で話すとルドマンさんが豪快に笑ってる。
とりあえず、セリスと争いにならなくてよかった。あんなにふざけている吸血鬼達だったけど、ミノタウロスよりも強いはずだからね。あの人数に勝てる未来は見えない。下手に知識のある魔物は厄介だな。徒党を組まれたらレベル上げもあったもんじゃない。
「師匠! 限界突破というのはできたんですね!」
「バッチリだよアスノ君」
ジト目だった表情を笑顔に変えて抱き着いてくるアスノ君。僕も笑顔で答えると僕の胸に顔をうずめて喜んでくれる。
「はいはい。アスノ君は油断するとすぐにランカに甘えるんだから、疲れてるんだから休ませてあげなさい」
「あ~、もう少し~」
レッドがアスノ君の首根っこを掴んで吊り下げる。まるで猫を捕まえるようにしててなんだか可愛いな。
「次はアスノ君がやる番だよ。敵は同じだろうから攻略法を教えます」
「は、はい!」
僕らのステータスならば簡単に倒せることはわかってる。攻撃されても蚊に刺されたくらいのダメージだ。アスノ君は戦闘の方も結構才能があるからね、簡単に倒して見せてくれるだろう。
「なるほど、走るのが好きなんですね」
ミノタウロスの戦い方を教えるとそんな感想を話す。少年らしい感想で思わず頭を撫でてしまう。少し甘やかしすぎだな。
「じゃあ行ってきます!」
「頑張るんだぞ~」
アスノ君が遺灰の前で呪文を唱えると僕と同じように光る階段が現れて壁が現れる。壁に入るときも元気でピクニックに行くかのようだ。油断しなければいいんだけどな。
「僕らはアスノ君が帰ってくるまでルドマンさんのレベルをあげようか」
「了解」
僕が声をあげるとレッドが答えてくれる。心配してても仕方ない。次に控えているルドマンさんの準備をしてあげないと。
◇
「セリス様! なぜあのようなことをしたのですか!」
「わらわが気に入ったからに決まっているだろ」
わらわの名はセリス。ランカという可笑しな人間に会った帰り道。
側近であるウランが歯ぎしりをして意見してくる。わらわの答えを聞くと更に激しく歯ぎしりをし始める。
「ウラン。わらわは平和に暮らしたいと思って居る。それは知っているだろ?」
「そ、それは知っています。しかし!」
わらわの考えを知っていて意見を述べるウラン。少し甘やかしすぎたか?
「わらわに意見を述べるとは、ウラン。お前は偉くなったものだな」
「う!?」
口うるさいウランの首を掴み少し力を加える。苦しみ爪をわらわの腕に食い込ませるウラン。
「次はないぞ」
「うっ……ありがとうございます!」
気が済んで首を離すとやつは瞳をハートにしてお礼を言ってくる。まったく、わらわの魅了が効いているとは言え変態が多すぎる。
「皆、忘れるでないぞ。わらわは人間と仲良く暮らしていきたいと思っているのだ。お前達の前の主人のサデスに言ったようにな」
わらわが目覚めて尖塔から出ると、レイドック城に住み着いていた吸血鬼がいた、それはこやつらの前の主人サデスだった。
わらわの城に無断で住んでいたサデスと会話を交わすと人間を滅ぼすと息まいていた。わらわは説得をしたが聞く耳を持たずオルコッドへと出立しようとしていたのじゃ。それを止めるためにやつの部下を魅了し、言い聞かせようと思ったがそれでも止まらず滅した。サデスは魔物そのものになっていたようだった。わらわのように理性を持っていればよかったのだが。
「ランカという人を好いてしまわれたのですか?」
「好きという事か? それとは大きく違う。やつは何かを知っているのだ。その何かが気になってしょうがない。わらわの存在そのものの価値を決めるものやもしれぬ」
ウランの疑問に首を横に振ってこたえる。ランカのわらわを見つめる瞳には何か特別な何かがあった。絶望と恐怖が交じり合うあの瞳の様子の奥深くに何か特別な……。
「ランカと仲良くなっていたあの者達のようになれれば、その特別を教えてくれるのではないだろうか……」
「セリス様! 私はずっと反対いたします!」
「好きにせよ。しかし、人間を傷つけることは許さんぞ。山賊や盗賊の類の人間はいいがな」
わらわの言葉に意見を述べるウラン。話ながら街道を進んでいると馬に乗る不届きもの達が目を光らせる。わらわ達を獲物と見据えたか。
わらわ達は吸血鬼。人や動物の血液で生きる獣。ウランたちは目を光らせて目についた不届きものの山賊を襲いだす。わらわ達に出会ったのが運の尽き。潔く餌となるがいい。
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