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第二章 支配地
第41話 みんなのいる風景
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「おはようお兄ちゃん!」
「ん? ああ、おはようノンナちゃん」
家族の再会を果たしたノンナちゃんが起こしてくれる。支配者の間に仮設の寝床を作ったんだよな。大部屋式だからみんな一緒の部屋。みんな嫌がると思ったけど、そんなに嫌じゃなかったみたいで大騒ぎして寝た。楽しかったな。
「もうお兄ちゃん! 私の事はノンって呼んでって言ったでしょ。お兄ちゃんは私達の命の恩人なんだから。本当にありがとうお兄ちゃん」
僕の手を取ってお礼を言ってくれるノン。
「ふふ、ノンナ。ご飯ができたから呼んだんでしょ。おはようございますランカ様」
「あ! そうだった! 早く早く、私が作ったご飯が冷めちゃう!」
アンナさんが様子を見に来てクスクスと笑う。ノンは僕を急かして腕を引っ張ってくる。
「こらこらノンナ。あまりランカ様を急かさない。嫌われてしまうぞ」
「だって~……」
ノイシュさんが微笑みながら注意してくれる。
長机が並ぶ食堂、これも簡易的な部屋だ。料理が所狭しと並んでる。
「しょうがないですノイシュさん! 師匠は凄いので!」
「いやいや、何言ってるのアスノ君?」
既に来ていたアスノ君が料理を食べながら声をあげる。彼は僕の事を何だと思ってるんだろうか?
「確かにしょうがないわね」
「うむ、ランカは凄いからな」
レッドとルドマンも同意して声をあげてる。なんか信者が増えた気分だな。まあ、悪い気はしないので訂正はしませんけど。
「それにしてもすごい料理の数ですね」
「うん! 私も頑張って作った!」
席について声をあげるとノンが答えてくれる。隣に座る彼女は料理を手に取ると僕にスプーンを差し出してくる。
「あ~ん」
「ちょ、ちょっとノンナちゃん。それは」
料理を掬ったスプーンを差し出してくるノンにレッドが声をあげる。
「あ! そうか! レッドお姉ちゃんにやってもらった方がいいよね」
「あ、いや……そういうわけじゃなくて……」
ノンの言葉にしどろもどろになるレッド。も、もしかしてこれってレッドが僕を意識してくれているのか!?
「ぐははは! ランカはモテモテじゃな~」
呑気に笑いながらお酒を飲むルドマン。だけど、このシチュエーションは弟と思っているからというのが大きいと思う。僕がレッドに惚れられるわけないんだ。
「ありがとうノン」
素直にスプーンに食らいつく。なかなか美味しいトマトスープだな。支配者の間で取れた野菜や果物はどれも美味しい。これを売ればお金は手に入るけど……。
「ルドマン。金貨って作れる?」
「ぶふっ! き、金貨?」
支配者の間でお金を使うとそのお金が世界からなくなっちゃう。僕の疑問にお酒を噴き出して驚くルドマン。見事にアスノ君の顔がお酒まみれだ。
「ちょ、ちょっとルドマンさん!」
「悪い悪い。ランカそれは偽金ってことか?」
アスノ君に謝ってすぐに真剣な表情になるルドマン。普通に考えて犯罪行為だもんな。
「支配者の性能を完璧に使うには金貨が必要なんだ。国の通貨の金貨を使わなくちゃいけないわけじゃないはず」
「なるほど、それで金貨を作るわけだな。う~む、できなくはないが」
ルドマンが僕の話を聞いて考え込む。犯罪に使わなくても偽金を作るのは犯罪だもんな。ためらうのは当たり前だ。
「ランカ。一応言っておくけれど、私は国の騎士団に属してるからね」
「わかってるよ。レッドの事は信頼しているから提案してるんだ」
「そ、そう……」
レッドが耳元で囁く。それに答えると彼女は顔を赤くする。言わば警察に偽金を作りますって言ってるようなものだもんな。彼女が顔を赤くして怒るのも無理はないな。やっぱりやめておいた方がいいかな。
「ちょっといいですか!」
「きゃ!?」
「おっと!?」
残念に思いながら考え込んでいるとアスノ君がレッドを僕の方へと突き飛ばしてくる。彼女を抱きとめると更に顔が赤くなっていく。
「ルドマンさん! ししょ~のいう事が聞けないんですか~! ししょ~は凄いんですからね~! 王様なんか目じゃないんですからね~!」
アスノ君が考え込んでいるルドマンに掴みかかる。完全に酩酊状態だな。ぶっかけられて酔っちゃったんだろう。
「アスノ君、水水!」
「ありがとうございます師匠~!」
水の入った木のコップを手渡すと笑顔で受け取るアスノ君。抱き着いてきて胸に顔をうずめてくる。まったく、可愛い弟子だな。
「王か……それもいいかもしれんな」
「ルドマン?」
アスノ君に掴みかかれていても考え込んでいたルドマンが呟く。僕は首を傾げていると彼が金貨を一枚、机に叩きつける。
「ここにランカの顔を入れた金貨を作る!」
「へ~、僕の顔を~……。ええ!? なんで!?」
ルドマンが金貨を指さして声をあげる。思わずルドマンと金貨で視線を反復させてしまう。
「この地の支配者になっているのだから王という事なんじゃろ? それならば通貨を作ることも自由じゃろう。国を立ち上げても問題ないだろうしな」
「いやいや、問題大ありだと思いますけど!」
ルドマンの声に突っ込みを入れる。個人が国を立ち上げるなんてどんな事になるかわからない。それに国と認められるには他国の承認が必要だろう。他国の知り合いどころか、【セントラルアルステード】にも知り合いはいないぞ。
「国とかそんな話を大きくしなくていいんだよルドマン。とにかく、支配者の力を使うにはお金が必要なんだ。普通の金貨を使うと市井に通貨が少なくなっちゃうでしょ。そうなると大事だから」
「なんじゃそういうことか。では国を立ち上げるのはまた今度という事じゃな」
「いやいや、今も今度もないよ」
国なんて立ち上げても面倒なことになるだけだ。国同士の争いなんてやりたくないぞ僕は。
「ふむ、では金を見つけないといかんな。素材がなくては作れるものも作れん」
「そこは任せてくださいランカ様」
ルドマンの声にノイシュさんが胸を叩いて答える。アンナさんと顔を見合うと机に金の鉱石を出す。
「金も銀も採掘済みです」
ノイシュさんとアンナさんが親指を立てて見せる。ノンも真似してすっごい笑顔だな。
しかし、アンデッドの労働力は半端ないな。ノイシュさんも加わって戦力としても申し分ないしね。
「ん? ああ、おはようノンナちゃん」
家族の再会を果たしたノンナちゃんが起こしてくれる。支配者の間に仮設の寝床を作ったんだよな。大部屋式だからみんな一緒の部屋。みんな嫌がると思ったけど、そんなに嫌じゃなかったみたいで大騒ぎして寝た。楽しかったな。
「もうお兄ちゃん! 私の事はノンって呼んでって言ったでしょ。お兄ちゃんは私達の命の恩人なんだから。本当にありがとうお兄ちゃん」
僕の手を取ってお礼を言ってくれるノン。
「ふふ、ノンナ。ご飯ができたから呼んだんでしょ。おはようございますランカ様」
「あ! そうだった! 早く早く、私が作ったご飯が冷めちゃう!」
アンナさんが様子を見に来てクスクスと笑う。ノンは僕を急かして腕を引っ張ってくる。
「こらこらノンナ。あまりランカ様を急かさない。嫌われてしまうぞ」
「だって~……」
ノイシュさんが微笑みながら注意してくれる。
長机が並ぶ食堂、これも簡易的な部屋だ。料理が所狭しと並んでる。
「しょうがないですノイシュさん! 師匠は凄いので!」
「いやいや、何言ってるのアスノ君?」
既に来ていたアスノ君が料理を食べながら声をあげる。彼は僕の事を何だと思ってるんだろうか?
「確かにしょうがないわね」
「うむ、ランカは凄いからな」
レッドとルドマンも同意して声をあげてる。なんか信者が増えた気分だな。まあ、悪い気はしないので訂正はしませんけど。
「それにしてもすごい料理の数ですね」
「うん! 私も頑張って作った!」
席について声をあげるとノンが答えてくれる。隣に座る彼女は料理を手に取ると僕にスプーンを差し出してくる。
「あ~ん」
「ちょ、ちょっとノンナちゃん。それは」
料理を掬ったスプーンを差し出してくるノンにレッドが声をあげる。
「あ! そうか! レッドお姉ちゃんにやってもらった方がいいよね」
「あ、いや……そういうわけじゃなくて……」
ノンの言葉にしどろもどろになるレッド。も、もしかしてこれってレッドが僕を意識してくれているのか!?
「ぐははは! ランカはモテモテじゃな~」
呑気に笑いながらお酒を飲むルドマン。だけど、このシチュエーションは弟と思っているからというのが大きいと思う。僕がレッドに惚れられるわけないんだ。
「ありがとうノン」
素直にスプーンに食らいつく。なかなか美味しいトマトスープだな。支配者の間で取れた野菜や果物はどれも美味しい。これを売ればお金は手に入るけど……。
「ルドマン。金貨って作れる?」
「ぶふっ! き、金貨?」
支配者の間でお金を使うとそのお金が世界からなくなっちゃう。僕の疑問にお酒を噴き出して驚くルドマン。見事にアスノ君の顔がお酒まみれだ。
「ちょ、ちょっとルドマンさん!」
「悪い悪い。ランカそれは偽金ってことか?」
アスノ君に謝ってすぐに真剣な表情になるルドマン。普通に考えて犯罪行為だもんな。
「支配者の性能を完璧に使うには金貨が必要なんだ。国の通貨の金貨を使わなくちゃいけないわけじゃないはず」
「なるほど、それで金貨を作るわけだな。う~む、できなくはないが」
ルドマンが僕の話を聞いて考え込む。犯罪に使わなくても偽金を作るのは犯罪だもんな。ためらうのは当たり前だ。
「ランカ。一応言っておくけれど、私は国の騎士団に属してるからね」
「わかってるよ。レッドの事は信頼しているから提案してるんだ」
「そ、そう……」
レッドが耳元で囁く。それに答えると彼女は顔を赤くする。言わば警察に偽金を作りますって言ってるようなものだもんな。彼女が顔を赤くして怒るのも無理はないな。やっぱりやめておいた方がいいかな。
「ちょっといいですか!」
「きゃ!?」
「おっと!?」
残念に思いながら考え込んでいるとアスノ君がレッドを僕の方へと突き飛ばしてくる。彼女を抱きとめると更に顔が赤くなっていく。
「ルドマンさん! ししょ~のいう事が聞けないんですか~! ししょ~は凄いんですからね~! 王様なんか目じゃないんですからね~!」
アスノ君が考え込んでいるルドマンに掴みかかる。完全に酩酊状態だな。ぶっかけられて酔っちゃったんだろう。
「アスノ君、水水!」
「ありがとうございます師匠~!」
水の入った木のコップを手渡すと笑顔で受け取るアスノ君。抱き着いてきて胸に顔をうずめてくる。まったく、可愛い弟子だな。
「王か……それもいいかもしれんな」
「ルドマン?」
アスノ君に掴みかかれていても考え込んでいたルドマンが呟く。僕は首を傾げていると彼が金貨を一枚、机に叩きつける。
「ここにランカの顔を入れた金貨を作る!」
「へ~、僕の顔を~……。ええ!? なんで!?」
ルドマンが金貨を指さして声をあげる。思わずルドマンと金貨で視線を反復させてしまう。
「この地の支配者になっているのだから王という事なんじゃろ? それならば通貨を作ることも自由じゃろう。国を立ち上げても問題ないだろうしな」
「いやいや、問題大ありだと思いますけど!」
ルドマンの声に突っ込みを入れる。個人が国を立ち上げるなんてどんな事になるかわからない。それに国と認められるには他国の承認が必要だろう。他国の知り合いどころか、【セントラルアルステード】にも知り合いはいないぞ。
「国とかそんな話を大きくしなくていいんだよルドマン。とにかく、支配者の力を使うにはお金が必要なんだ。普通の金貨を使うと市井に通貨が少なくなっちゃうでしょ。そうなると大事だから」
「なんじゃそういうことか。では国を立ち上げるのはまた今度という事じゃな」
「いやいや、今も今度もないよ」
国なんて立ち上げても面倒なことになるだけだ。国同士の争いなんてやりたくないぞ僕は。
「ふむ、では金を見つけないといかんな。素材がなくては作れるものも作れん」
「そこは任せてくださいランカ様」
ルドマンの声にノイシュさんが胸を叩いて答える。アンナさんと顔を見合うと机に金の鉱石を出す。
「金も銀も採掘済みです」
ノイシュさんとアンナさんが親指を立てて見せる。ノンも真似してすっごい笑顔だな。
しかし、アンデッドの労働力は半端ないな。ノイシュさんも加わって戦力としても申し分ないしね。
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