ラストダンジョンをクリアしたら異世界転移! バグもそのままのゲームの世界は僕に優しいようだ

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
51 / 57
第二章 支配地

第51話 支配地強化

しおりを挟む
「ふぁ~。おはようアスノ君」

「おはようございます師匠!」

 アビゲールを逃がして次の日。ノイシュさん達に森の木を使って簡単な小屋を作ってもらってそれぞれ寝ている。僕とアスノ君はいつも通り一緒だ。本当は一人一人の家を作ろうと提案したんだけど、彼が『嫌だ嫌だ』と駄々をこねてしまった。彼にここまで好かれてしまうのも考えものだ。
 
「今日から何をするんですか?」

「ん~、王都に行きたいんだけど、既に僕は指名手配みたいになってるだろうからいけないんだよね」

 アスノ君の問いに答える。アビゲールが教会に帰って報告をしているはずだ。僕は教会から指名手配を受けているはず。オルコッドにも戻れないだろうな。

「とりあえず、75レベルになるまでレベル上げよう」

 出来る事と言ったらこんなことくらいだな。教会の出方次第と言った感じだ。

「75レベル……。僕がこんなに強くなれるなんて、やっぱり師匠は凄いです!」

 キラキラした瞳で褒めてくれるアスノ君。感動するのはいいけど、みんなもたぶん指名手配されてるはずだぞ。今回同行しちゃったドーシャさん達もね。オルコッドのみんなには迷惑かけちゃうな。

「ランカ~おはよう。今日はどうするの?」

 アスノ君と話しているとレッドが小屋に入ってきた。同じ説明をして外に出るとすでに朝食の準備が終わってた。

「ランカお兄ちゃん! 私が作った料理食べて~」

「はは、はいはい。そんなに引っ張んなくても食べるから」

 僕に気が付いたノンが腕を引っ張ってくる。ノイシュさんもアンナさんがその光景をみて微笑む。みんな新しい服を買えて心機一転と言った様子だな。

「ふぅ~。お腹いっぱいだ」

 スープに焼いて薄く切ったお肉、それに白いパン。朝からたっぷりと食べてお腹を擦る。

「なあランカ。教会を敵に回しちまっただろ? 私達も目を付けられているのか?」

「ドーシャさん。そうですね、たぶん」

 頭を掻いて彼女の疑問に答える。

「やはりそうか。じゃあ、家族を連れてきていいか?」

「アドラーにも相談しておいた方がいいだろ」

 僕の返答を聞いてルッカさんとワッカさんが声をあげる。アドラーさんがいてくれれば心強いけれど、彼はオルコッドの守護者だ。オルコッドから遠く離れることはできない。ゲームの中ではだけどね。でも、相談をしておくのはいいかもしれない。オルコッドにも教会はあるからね。

「じゃあドーシャさん達はオルコッドに帰ってみてください。教会の手が及んでいたらすぐに帰ってきてもらって」

「了解だよ。早速行ってくるね」

 三人は早速馬車に乗り込んで街道をオルコッドに向かって歩いていく。さて、後は受け入れた後の話だ。みんなの住む家をちゃんと作っていかないとな。

「ルドマン。ノイシュさん達と一緒に家を作ってくれないかな?」

「おお、そういうことか。分かった任せておけ。ついでに店もこさえておこう」

 僕の声にルドマンが答えてノイシュさんと共に建物を建てていく。スケルトン達は本当にいい労働力だ。

「あとはレベル上げの場所だけだな。この辺りでずっとやっても一日で1レベル上がるかどうかだな」

 ワイバーンを狩ってもそんなに経験値が入らない。もっといい狩場に行かないと。本当はレイドック城でやりたかったけど、セリスと仲良くなってしまったから吸血鬼狩りはできなくなっちゃったんだよな。ここら辺にダンジョンがあればいいんだけどな。

「リトル、ここらへんで強い魔物を見たことは?」

「え? ワイバーンよりも強いですか? え~っと湿地帯がこの先にあって、そこにリザードマンの集落が」

 湿地帯か、ゲームの中とは違うな。リザードマンは火山にいるような魔物だったはずだ。ドラゴンの奴隷のような種族でなかなか手ごわい。知恵も回るので人と戦っているような感覚になるんだよな。……もしかして、リトルみたいに知性があるかもしれないな。

「あ、ランカ様あれです!」

「は~、結構大きな集落だね」

 という事で湿地帯にやってきた。リトルがいると空から周りを見れるから便利だな。一瞬でたどり着けるし。
 空から見下ろすと湿地帯にテントが幾つも出来上がっているのが見える。テントは大きな葉っぱを幾重にも重ねて出来ているように見える。結構簡素なものだな。

「ゴア? ゴア! ゴア!」

 僕らに気が付いて声をあげるリザードマン。その声からは知性を感じない。そして、槍が飛んできた。

「リトル着地して、話し合いはできなさそうだ」

「それならレベル上げですね師匠!」

 リトルに指示を飛ばすとアスノ君が嬉しそうに短剣を腰から抜く。ただの魔物なら経験値になってもらおう。
 地面に着地するとすぐにリトルから降りて湿地に足を取られる。中々歩きにくい場所だ。

「あぶない!」

 レッドが声をあげると槍がすぐ横になげられる。リトルは的がでかいからすぐに空に逃げてもらう。

「師匠! リトルが狙われてます!」

「やらせない!」

 リトルへと槍を投げようとしているリザードマンに駆け寄り胴体を横なぎに切り払う。一発で絶命させると、半透明の戦利品と普通の戦利品を落として消えていく。

「これは骨が折れるの~」

「でもレベルがあがります!」

 ルドマンとアスノ君も僕に続いてリザードマンを相手にする。ステータスが高くなっているから簡単に倒せてるな。まあ、アスノシリーズを使っているから当たれば倒せるんだよな。

「は~~~~~!」

 レッドが赤い閃光となってリザードマンの群れの中を駆け巡る。次々と戦利品が落ち、リザードマンたちが消えていく。流石レッドだな。

「レベルがあがった~!」

 僕も負けじとリザードマンを倒していく。するとレベルが51、52とあがる。流石は大根剣士と言ったところか。簡単に上がっていく。

「これで全部だな」

 辺りが静かになりルドマンが声をあげる。リザードマンは中々多かったけど、僕らの敵じゃなかったな。

「さて、戦利品を拾おう」
 
 声をあげて戦利品を拾っていく。リザードマンの持っていた槍は鉄の槍。ゴブリンがもっていたのと同じだな。やっぱり、魔物側も生産が遅れているのかもしれないな。

「わわ!? 地震?」

 戦利品を拾っていると地面が揺れているのに気が付く。でも、変な地震がある一定の間隔で繰り返している。まるで、誰かの歩く感覚のような……。

「日影? 急になんで?」

「グルルルル」

「ええ!?」

 僕らを覆うように日影が生まれて首を傾げていると大きな声と共に息を吹きかけられる。赤く燃えた息を吐いてくるトカゲ、ドラゴンが現れた。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

墓守の荷物持ち 遺体を回収したら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアレア・バリスタ ポーターとしてパーティーメンバーと一緒にダンジョンに潜っていた いつも通りの階層まで潜るといつもとは違う魔物とあってしまう その魔物は僕らでは勝てない魔物、逃げるために必死に走った だけど仲間に裏切られてしまった 生き残るのに必死なのはわかるけど、僕をおとりにするなんてひどい そんな僕は何とか生き残ってあることに気づくこととなりました

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...