ラストダンジョンをクリアしたら異世界転移! バグもそのままのゲームの世界は僕に優しいようだ

カムイイムカ(神威異夢華)

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第二章 支配地

第53話 思わぬ戦力

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「ランカ様と私の卵~」

 ニールキャニオンに帰ってきてリトルが嬉しそうに鼻歌を歌いながら枯葉を敷き詰めていく。卵を温めようとしてるみたいだな。

「いいな~」

 アスノ君が羨ましそうにリトルの卵を見つめる。そんなに欲しかったのか、ドラゴンからまた手に入ったその時は彼にあげよう。

「ランカ様。住宅の建設が終わりました。また、ルドマンさんの指示通りのお店も出来上がってます」

「もうできたんですか!? 早いですねノイシュさん」

 彼の報告を聞いて驚く。一日も経っていないのに、流石はアンデッド達だな。

「ランカさん達の住宅は三階建てにしておきました。城壁内の中央に作ってあるので確認しておいて下さい」

「あ、そうか! 僕らの家もあるのか!」

 自分の家の事を忘れてた。夢のマイホームがもう手に入るとは、ほんとこの世界は僕に優しい。

「じゃあさっそく身に行きましょランカ」

「あ、うん」

 レッドが嬉しそうに話して僕の腕をつかむ。そのまま引っ張られて住宅のある中央広場へ。
 注文通りに噴水も出来上がってる。オルコッドの噴水に酷似してる。買い物のついでに調べてくれたのかもしれないな。

「三階建てって事はこれかな」

「た、たぶん……」

 レッドの声に頷いて答える。30坪くらいありそうな土地に豪邸が建ってる。もちろん、庭もあるから僕にはもったいないものだ。

「ちょっと二人とも~、おいてくなんてひどいですよ~」

「あ、ああ、ごめんごめんアスノ君。あれ? ルドマンは?」

「ルドマンさんは自分のお店を見に行きましたよ。へ~、これが師匠の家ですか。ちょっと小さいですね」

 アスノ君が追い付いてきて息を切らせる。ルドマンさんのお店も出来てるのか。ってアスノ君はこの家を見て小さいと言えるのか。凄い子だな。

「ふふ、そうね。そう言えば小さいかも。だって、この支配地全部がランカのものなんだから、支配地全部がランカの家みたいなものでしょ」
 
 レッドが楽しそうにそう話す。まあ、言われてみればそうなのか。なんか僕なんかがこんなに多くのものを手に入れてしまって申し訳ないな~。

「ランカ! 早速入りましょ!」

 レッドに引っ張られて庭に入り、豪邸に入っていく。入ってすぐに長机がみえる。すぐ横の部屋は厨房かな? ってことは玄関入ってすぐに食堂というより、パーティールームか? かなり広いぞ。

「パーティーが出来そうなくらい広いですね」

 アスノ君も僕と同じような感想を述べる。ダンスが出来そうなくらいのスペースもあるから当たっているだろうな。

「天井は吹き抜けね。二階に寝室があるみたい」

 二階の通路は壁に沿うように作られている。扉が幾つも見えてレッドが推測する。

「部屋に行ってみましょ」

 レッドがウキウキしながら腕を引っ張る。何だか新婚になった気分だな。新居にウキウキする気持ちはわかります。

「家具もしっかりと配置されてる。ノイシュさんやるわね」

「ほんと、天幕付きのベッドまであるしね」

 階段を上ってすぐの扉を開くと凄い豪華な部屋になっていてレッドと一緒に声をあげる。こんな部屋がずっと続いてるのか。僕には本当にもったいない家だな。

「三階にもホールみたいなスペースがあるわね。貴族や王族も欲しがりそうな豪邸」

「ははは、やり過ぎだよね」

 レッドの感想に失笑して答える。ここまで豪華だとドン引きだよ。小市民な僕には似合わないな~。

「師匠はこんなものじゃないです! いつしか城を作りましょう。ノイシュさんに話しておきますので」

「アスノ君? 僕らの話聞いてる?」

 フンスと鼻息荒く提案するアスノ君。やり過ぎだって言ってるのに城とか言ってるよ。あんな城なんて自己顕示欲の塊いらないよ。はぁ~日本家屋が懐かしい。

「ランカお兄ちゃ~ん。お母さんとお料理作ったよ~。食べよ~」

「一階にパーティールームに来てくださ~い」

 部屋を回っていると下の階から声が聞こえてくる。ノンとアンナさんの声だな。新居でパーティーってことか。二人の料理は美味しいからな。想像しただけでお腹が鳴ってしまうよ。

「ランカは料理が出来る子の方がいい?」

「ん~、そうだな~。出来ないよりは出来た方がいいよね」

 お腹を鳴らしていた僕にレッドが聞いてくる。軽く答えると彼女は『そう……』と答えて俯いてしまう。レッドは料理を覚えたいのかな? それなら素直に誰かに教えてもらえばいいのに、変なところで遠慮するんだから。

「料理したいならアンナさんに教えてもらえばいいんじゃない? 彼女なら快く教えてくれると思うよ」

「ん、そうね。考えておく。行きましょ、ランカ、アスノ君」

 素直に提案するとレッドは明るい表情で答えて僕とアスノ君の腕を引っ張る。僕らを引っ張る彼女はとても楽しそうで思わずアスノ君と顔を見合って笑ってしまった。
 この後、ノンとアンナさんの料理を堪能した。ミートパスタとピザが並べられていて、食後のデザートでイチゴを使ったケーキとパイが振舞われた。どんどん料理の質が良くなってきている。これも支配地のおかげだな。米も作れるようになったから明日はお米にしてもらおう。
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