ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)

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第1章 成長

第15話 いざこざ

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「トロールの魔石!?」

 冒険者ギルドに帰ってきてトロールの魔石を見せる。するとジュディーさ
が驚いて顔を近づけてくる。

「ファムちゃんならすぐに上のランクの魔物を倒すだろうと思っていたけど、トロールなんて倒してくるなんて。トロールはCランクの魔物なのに」

 ジュディーさんはそう言って革袋に銀貨を10枚入れる。もしかして、それが報酬?
 
「はい、トロールの魔石のお金。1000キットね」

「すげぇ……」

 ジュディーさんが嬉しそうに手渡してくる。やっぱり報酬だったんだ。
 ラッドが感嘆の声をあげて見つめてくる。

「ラッド君も凄いよ。ゴブリンをその歳で倒すんだから」

「そ、そうかな~」

 ジュディーさんがラッドを褒めると彼は嬉しそうに頭を掻く。
 普通に考えて9歳の少年が魔物を倒すなんて凄いことだよね。
 
「はぁ~、薬草を集めてた時の方が稼げたな~」

「ふふ、レベル上がったんだからよかったじゃない」

「ん~、上がったのはいいんだけど、実感がな~。何が変わったんだろ?」

 レベルアップしても強くなった実感がない。私みたいに大きく上がったら実感しかないけどね。

「なんかお腹すいたな~」

「そうだね。お昼はお金がなかったから食べてなかったけど、今日は沢山稼いだから食べてもいいかもね。ユマ君の様子を見に行くついでにみんなで食べようか」

 ラッドの声に提案してみると彼は嬉しそうに頷いた。
 ジュディーさんに手を振って冒険者ギルドを出るとテントに向かう。

「ん! ん~!」

「おお、ドロップ。どうしたんだ?」

 テントに着くとドロップ君がラッドに抱き着いてくる。テントの中にはネーナちゃんとドンタ君もいるみたい。

「ルマ兄ちゃんが帰ってこなくて心配」

「ほんとか? 途中で倒れてるんじゃないだろうな……」

 ネーナちゃんがけだるそうに話すとラッドが心配して声をもらす。

「探して食事にしよ。みんなもついてきて」

 私の声にみんなが答えて町に繰り出す。ウォッシュの魔法を使ってあるから町の人達もそんなに毛嫌いしてこないはず。

「洗濯はいかがですか~。銅貨2枚でやりますよ~」

「あ! 声が聞こえてきた。中央の噴水広場かな?」

 町をみんなで歩いていると声が聞こえてくる。これはムムちゃんの声かな? 双子は一緒に働いてるみたい。

「あ! ラッドお兄ちゃん!」

「わ~い!」

 噴水広場に着くと町のお姉さん方に囲まれてるユマ君がいた。傍に双子がいて声をあげていたんだけど、私達に気が付くと手を振ってくる。
 ラッドに抱き着くと頬をスリスリしてる。彼は愛されてるな~。

「ラッド兄さん!」

「ユマ! 凄いなお前こんなに人が集まって」

「へへへ」

 ユマ君の傍に近づくとラッドが彼の頭を撫でる。体の調子もいいみたい。もしかして彼の体調は魔法と関係してるのかな? MPが関係してる? 

「すまないけど、洗濯してくれるんじゃないのかい?」

「あ、すみません。すぐにすませます」

 話し込んでいると、並んでいたおばあさんがコホンと一つ咳ばらいをしてせかしてくる。私も手伝って片付けちゃおう。

「ありがとうございました。明日もやる予定なのでまた来てくださいね」

 ユマ君はそう言って深くお辞儀をした。二人でやるとすぐに終わった。
 彼は礼儀正しくて優しい子。この洗濯屋さんは繁盛していくだろうな。

「凄いんだよユマお兄ちゃん!」

「ほら! こんなに銅貨いっぱい!」

 お客さんが離れると双子が嬉しそうに革袋に入った銅貨を見せてくる。二袋の革袋がいっぱいになってる。一体何枚入ってるんだろう?

「おい! お前ら!」

 双子がはしゃいでいると声を荒らげられる。声の主に振り返るとそこにはガラの悪い男が数人立っていた。

「いい稼ぎみたいじゃねえか? 誰に断って商売してんだ?」

 男達はニヤニヤして言ってくる。なるほど、そういう人たちだね。

「誰かに許可を取らないといけませんでしたか?」

「おう! 親分のラッセルさんに許可を取らねえとダメなんだ。俺が話をつけてやるよ。その銅貨全部でな」

 ユマ君の問いかけに男はニヤニヤして提案してくる。ラッセルっていう人がこの人たちの親分さん?
 でも、この人たちは信用できないな。直接会って話をつけたい。

「私が話をつけてくるよ。みんなは食事でもしてて」

「はぁ!? な、何言ってんだよファム。俺も行くよ」

「戦いに行くんじゃないんだから大丈夫。それよりも兄弟を守ってあげて。トトおじさんの所で食べてて」

 私が手を上げる。ラッドは否定してくるけど、渋々言うことを聞いてくれた。
 ラッド達がちゃんとトトおじさんの屋台に向かうのを見て私はガラの悪いおじさんにニッコリと微笑む。

「へへへ、なかなか可愛いじゃねえか。お前なら奴隷にしても高く売れそうだ」

「奴隷になる? なにを言ってるの?」

「見ていたんだよ。お前も魔法が使えるんだろ? 場所代が払えなかったら奴隷になるんだよ」

 一人残った私にそう言ってくるおじさん。羊が何か騒いでるわね。少し脅してあげようかしら。
 おじさんは顔を近づけてきたから腰をつかんであげる。片手でおじさんを浮かせて見せると彼だけが私の異常に気が付く。

「へ、へへへ。ま、まあラッセルさんには会わせてやるよ。へ、へへ」

「ありがと。案内よろしくね」

 周りの取り巻きは何が起こったのかわかってない様子。これでそのラッセルとか言うのと話ができるわね。
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