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第1章 成長
第44話 決闘
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「ファム~」
「メリナ様!?」
「あ~、また様っていった~」
ダンジョンでユマ君を強くし始めて二日程が経った。その間、教会からの動きはない。
朝になって外に出る支度をしているとメリナが部屋に入ってくる。まだみんな着替えてるのに扉が開けっ放し。そして、タイミングよくラッド達が前を通って覗いてくる。
いつの時代、どこの世界でも男の子は隙あらば覗いてくる。ラッキースケベは許されると思ってるんだよな~。
「ん、ファム様の裸を見たお仕置き!」
「ぐはっ!?」
レイブンが部屋から飛び出してラッドとドンタ君を叩く。しかし、彼女も上半身裸。自分のことを一番に考えてほしいな~。
私は見られても大丈夫。こんなぺったんこの体を見られても恥ずかしくないからね。しかし、改めて見るとこの体で成長できないのか~……。悲しいな~。
「はいはい。レイブンも着替えて。男子は早く食堂に行く」
「ん!」
「ドロップ君。あなたも大概だね」
ラッドに馬乗りになってるレイブンをなだめて着替えさせる。ドロップ君が親指を立ててきたので優しく頭を叩いた。
喋れないだけで彼も男の子なんだな。油断しないほうがいいかも。
「メリナ様! なんであなたは簡単に城を抜け出せるのですか!」
支度を終えて食堂でメリナと一緒に食事をしているとレナリスさんがやってくる。怒りながらも食堂の席についてネネさんから食事を出される。
「んぐんぐ。ネネさん申し訳ありません。食事をいただいてしまって。メリナ様が脱走したということで探したので朝食を取れなくて」
「ははは、いいんだよ。子供はいくらいてもいいからね」
「子供って……」
パンを食べながらレナリスさんが話すとネネさんがニカッと笑って答える。彼女の言葉にレナリスさんは恥ずかしそうにつぶやいてスープを口にしていく。
「レナリスさん! 剣気について教えてください!」
「剣気ですか? 物知りですね。一流の剣士の使う技なのですが」
ラッドの問いかけにレナリスさんが私を一瞥してくる。
「ファムから聞いたのですか?」
「え? あ……」
レナリスさんの疑問にラッドが口ごもって私を見る。それで答えを得た彼女が私を見つめてきた。
「アイアンゴーレムに吹き飛ばされたのはやはりあなたでしたか。なんで城壁の外に?」
「はは、やっぱり隠せないですね。ゴーレムの魔石が欲しくて。生活費の足しに」
レナリスさんの声に答えると彼女はため息をつく。私に視線を戻すと真剣な表情になる。
「あなたの力は異常です。目をつけてくるものもいるでしょう。できるだけ目立たないことをお勧めします」
レナリスさんは話し終わると優しく笑う。私の周りの大人はみんな心配してくれる。私も静かに暮らしたいと思う。だけど、みんなを守るにはお金が必要なんだよね。
どうしてもお金を得るには目立っちゃう。子供の容姿で魔物を狩るのは目立つに決まってるよね。
「無理よレナリス。ファムは私の騎士になるんだもの。目立たないわけがないわ。むしろ目立ってほしい」
『騎士?』
メリナが急に爆弾を投下してくる。彼女の言葉に一番大きな声を上げたのはレナリスさん。彼女は私を力強く睨みつけてくる。
「勝負ですファム!」
「ええぇぇぇぇ!?」
レナリスさんは口いっぱいにパンを詰め込んで手袋を投げつけてくる。決闘の合図だっけ? 何かのドラマで見たことがある。この世界も一緒なんだ。
「話は聞いたわ。場所を提供してあげる」
『ええ!? 妖精!?』
イーターが姿を現して声を上げると二人が驚いて目をパチクリさせる。私は驚いて彼女を手で覆う。
「そ、それは? え? どういうことだ?」
「は、ははは。なんで姿を見せるの!」
レナリスさんの追及に言葉が見つからずにイーターをしかりつける。彼女は自慢げに胸を張る。
「王族に頼れるなら頼った方がいいでしょ?」
「そ、そりゃそうだけど。どう説明するの」
「普通にダンジョンがありますでいいよ。嘘つくのいやでしょ?」
イーターの言葉に納得してしまう。確かに二人には嘘をつきたくない。まあ、散々ついていたけど。
「ダンジョンの妖精!? ダンジョンの管理者がいたのか……」
「可愛い~」
説明するとレナリスさんが深刻に考え込んでいる。メリナは楽しそうにイーターの体を触ってる。
「……考えても仕方ない。安全な場所で決闘ができるのならば使わしてもらう。ダンジョンのことは後々」
「ちょ、ちょっとレナリスさん……」
レナリスさんが考えるのをやめて席を立つ。中庭に向かって歩き出すとレイブンが『大人げない』とつついてくれる。
それでも彼女は止まらなかった。頑固だな~。
「剣気解放を知りたいと言っていたね。見せてあげる」
ダンジョンの入り口の祠に入ると一階層の草原に出る。遠目に畑が生い茂っているのが見えて気持ちいい。
ラッド達ももちろん見に来ているのでレナリスさんがみんなに声を上げてる。私は聞いてない。大人げない人の言葉は私の耳に届きません。
「あの剣を出しなさい」
「……もう」
やる気満々のレナリスさん。手袋を着なおして剣を構える。私服姿の彼女だけど、剣はちゃんと持ってるのね。綺麗なんだからもっと女の子らしくしていればいいのにな~。もったいない。
「【剣気解放】」
アイアンゴーレムに放った技をすぐに使い始める。青白く輝きだすレナリスさん。あの時見た光景がそのまま再現される。
「MPを体に纏い保護、強化する。これだけで通常の2倍の能力が発揮されている」
「MPを物理攻撃系のステータスに反映させてるってことか」
レナリスさんの説明に思わず感心してしまう。だから私が使うと凄い効果が出てみんなを吹き飛ばしちゃったんだな。私のステータスが2倍になったら凄いものね。
「MPを込めれば込める程強く、鋭く動けるようになる。このように」
「え!?」
レナリスさんが話しながら少しずつ私に近づいてくる。思わず私は驚いてしまう。眼前で彼女が止まると私の鼻をつまんでほほ笑む。
「次は剣を使う。構えなさい」
青白い剣気を纏いながら冷静に話すレナリスさん。やっぱり決闘はしないといけないのか。
「メリナ様!?」
「あ~、また様っていった~」
ダンジョンでユマ君を強くし始めて二日程が経った。その間、教会からの動きはない。
朝になって外に出る支度をしているとメリナが部屋に入ってくる。まだみんな着替えてるのに扉が開けっ放し。そして、タイミングよくラッド達が前を通って覗いてくる。
いつの時代、どこの世界でも男の子は隙あらば覗いてくる。ラッキースケベは許されると思ってるんだよな~。
「ん、ファム様の裸を見たお仕置き!」
「ぐはっ!?」
レイブンが部屋から飛び出してラッドとドンタ君を叩く。しかし、彼女も上半身裸。自分のことを一番に考えてほしいな~。
私は見られても大丈夫。こんなぺったんこの体を見られても恥ずかしくないからね。しかし、改めて見るとこの体で成長できないのか~……。悲しいな~。
「はいはい。レイブンも着替えて。男子は早く食堂に行く」
「ん!」
「ドロップ君。あなたも大概だね」
ラッドに馬乗りになってるレイブンをなだめて着替えさせる。ドロップ君が親指を立ててきたので優しく頭を叩いた。
喋れないだけで彼も男の子なんだな。油断しないほうがいいかも。
「メリナ様! なんであなたは簡単に城を抜け出せるのですか!」
支度を終えて食堂でメリナと一緒に食事をしているとレナリスさんがやってくる。怒りながらも食堂の席についてネネさんから食事を出される。
「んぐんぐ。ネネさん申し訳ありません。食事をいただいてしまって。メリナ様が脱走したということで探したので朝食を取れなくて」
「ははは、いいんだよ。子供はいくらいてもいいからね」
「子供って……」
パンを食べながらレナリスさんが話すとネネさんがニカッと笑って答える。彼女の言葉にレナリスさんは恥ずかしそうにつぶやいてスープを口にしていく。
「レナリスさん! 剣気について教えてください!」
「剣気ですか? 物知りですね。一流の剣士の使う技なのですが」
ラッドの問いかけにレナリスさんが私を一瞥してくる。
「ファムから聞いたのですか?」
「え? あ……」
レナリスさんの疑問にラッドが口ごもって私を見る。それで答えを得た彼女が私を見つめてきた。
「アイアンゴーレムに吹き飛ばされたのはやはりあなたでしたか。なんで城壁の外に?」
「はは、やっぱり隠せないですね。ゴーレムの魔石が欲しくて。生活費の足しに」
レナリスさんの声に答えると彼女はため息をつく。私に視線を戻すと真剣な表情になる。
「あなたの力は異常です。目をつけてくるものもいるでしょう。できるだけ目立たないことをお勧めします」
レナリスさんは話し終わると優しく笑う。私の周りの大人はみんな心配してくれる。私も静かに暮らしたいと思う。だけど、みんなを守るにはお金が必要なんだよね。
どうしてもお金を得るには目立っちゃう。子供の容姿で魔物を狩るのは目立つに決まってるよね。
「無理よレナリス。ファムは私の騎士になるんだもの。目立たないわけがないわ。むしろ目立ってほしい」
『騎士?』
メリナが急に爆弾を投下してくる。彼女の言葉に一番大きな声を上げたのはレナリスさん。彼女は私を力強く睨みつけてくる。
「勝負ですファム!」
「ええぇぇぇぇ!?」
レナリスさんは口いっぱいにパンを詰め込んで手袋を投げつけてくる。決闘の合図だっけ? 何かのドラマで見たことがある。この世界も一緒なんだ。
「話は聞いたわ。場所を提供してあげる」
『ええ!? 妖精!?』
イーターが姿を現して声を上げると二人が驚いて目をパチクリさせる。私は驚いて彼女を手で覆う。
「そ、それは? え? どういうことだ?」
「は、ははは。なんで姿を見せるの!」
レナリスさんの追及に言葉が見つからずにイーターをしかりつける。彼女は自慢げに胸を張る。
「王族に頼れるなら頼った方がいいでしょ?」
「そ、そりゃそうだけど。どう説明するの」
「普通にダンジョンがありますでいいよ。嘘つくのいやでしょ?」
イーターの言葉に納得してしまう。確かに二人には嘘をつきたくない。まあ、散々ついていたけど。
「ダンジョンの妖精!? ダンジョンの管理者がいたのか……」
「可愛い~」
説明するとレナリスさんが深刻に考え込んでいる。メリナは楽しそうにイーターの体を触ってる。
「……考えても仕方ない。安全な場所で決闘ができるのならば使わしてもらう。ダンジョンのことは後々」
「ちょ、ちょっとレナリスさん……」
レナリスさんが考えるのをやめて席を立つ。中庭に向かって歩き出すとレイブンが『大人げない』とつついてくれる。
それでも彼女は止まらなかった。頑固だな~。
「剣気解放を知りたいと言っていたね。見せてあげる」
ダンジョンの入り口の祠に入ると一階層の草原に出る。遠目に畑が生い茂っているのが見えて気持ちいい。
ラッド達ももちろん見に来ているのでレナリスさんがみんなに声を上げてる。私は聞いてない。大人げない人の言葉は私の耳に届きません。
「あの剣を出しなさい」
「……もう」
やる気満々のレナリスさん。手袋を着なおして剣を構える。私服姿の彼女だけど、剣はちゃんと持ってるのね。綺麗なんだからもっと女の子らしくしていればいいのにな~。もったいない。
「【剣気解放】」
アイアンゴーレムに放った技をすぐに使い始める。青白く輝きだすレナリスさん。あの時見た光景がそのまま再現される。
「MPを体に纏い保護、強化する。これだけで通常の2倍の能力が発揮されている」
「MPを物理攻撃系のステータスに反映させてるってことか」
レナリスさんの説明に思わず感心してしまう。だから私が使うと凄い効果が出てみんなを吹き飛ばしちゃったんだな。私のステータスが2倍になったら凄いものね。
「MPを込めれば込める程強く、鋭く動けるようになる。このように」
「え!?」
レナリスさんが話しながら少しずつ私に近づいてくる。思わず私は驚いてしまう。眼前で彼女が止まると私の鼻をつまんでほほ笑む。
「次は剣を使う。構えなさい」
青白い剣気を纏いながら冷静に話すレナリスさん。やっぱり決闘はしないといけないのか。
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