ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)

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第1章 成長

第52話 奇跡

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「ビード!」

 体を光らせた聖女が声を上げる。するとビードが剣を突き入れてくる。
 針のような細く白い剣は光によって見えなくなる。でも、彼の動作で大きくかわせば躱せないものじゃない。
 それは私のステータスだからできること。ビードは私への攻撃を諦めてラッセルに切り替える。

「ぐあっ!?」

「び、ビード!?」

 ラッセルの悲痛な叫びと共に聖女の助けを呼ぶ声が木霊する。
 ビードの動きを見た私は聖女へ動いた。聖女に切っ先を向けてビードに視線を送る。

「む、無駄よ。私が死んでもあの人は無事で済まない」

「話し合いをしましょ。双方無駄死には良くないわ」

 聖女の怯えた声に答える。そもそもなんで攻撃してきたのかを知りたい。シャインの言い分だと私を仲間にしたいはずだしね。

「それも無駄。だってあなたはシャイン様と契約させられるんだから」

「契約? え?」

 聖女の言葉に首を傾げていると魔法陣が私と彼女の足元に現れる。

「よくやったわ。聖女【シャーリー】」

 瞳が金色になり声を上げる聖女。シャインになった?

「罠にはめたの? 今のあなたはシャイン?」

「ふふ、そうよ。そして、契約の時。これであなたは私の下につくしかなくなる」

 魔法陣が光の柱を作り出して外が見えなくなる。
 ダモクレスでシャインを貫こうとしても弾かれる。魔法陣を突いても弾かれる。とても強力な魔法みたい。

「神の定めた【契約の魔法陣】。いかなる障害も排除される。そして、しばらくすればあなたは私のしもべ。シャーリーと一緒」

「私の意志は?」

「ふふ、大精霊の下につけるのよ。こんなに喜ばしいことはないでしょ? 私よりもレベルの高い人間。何をしてくれるかしらね」

 シャインの一方的な声に憤りの声を上げる。これからのことを考えて、頬を高揚させる彼女に怒りがこみあげてくる。

「さあ、神よ! 彼女を私に!」

『契約が成った』

「こ、声が降ってきた?」

 シャインが天を仰いで声を上げる。そうすると柱の光の先から声が降ってくる。
 天から降ってきた声が体に入ってくると、光が体にまとわりついてくる。

「な!?」

「なにこれ? 光が私に集まってくる?」

 光がこびりついてくるとシャインが顔を青ざめさせる。振り払おうと手を振るけれど、光が離れない。どうなってるの?

「なんであんたがマスターになってるのよ!?」

「マスター?」

 シャインはそう言って腰砕けにしりもちをつく。魔法陣が消えて傷つくラッセルが見えた。ビードは彼に剣を突き入れていたけど、私達が見えるようになると聖女に近づいていく。

「ラッセル大丈夫?」

「あ、ああ。急所は避けれたよ。剣が細かったから助かったな」

 血を流しながら答えるラッセル。すぐに回復してあげよう。

「えっと確か。【光の精霊シャインよ。我がマナに答えて力を授けよ。そして、我が友の怪我を治したまえ【ヒール】】」

「「!?」」

 回復魔法を唱えると体にまとわりついていた光が周囲を照らしていく。
 ラッセルの傷は一瞬で治っていき、周囲を飛び越えて町へと降り注いでいく光。あまりの光景にラッセルとシャインが言葉にならない声を上げる。

「ど、どうなってるの?」

 思わず私も驚いて声を上げる。そして、シャインへと視線を向けるとビードの姿が変わっていた。

「骨じゃなくなってる?」

「おいおいおい。生き返ったのか?」

 ビード自身もびっくりした様子で顔を触る中、私とラッセルが声をあげるとシャインが私に跪いてきた。

「【光の大精霊シャイン】。あなた様の力を認識いたしました。これからあなたは私のマスターとなります」

「……どういうことなの?」

 従順になったシャイン。説明してほしいんだけどな。

「大精霊だと思いあがっていました。人間なんて我々の下だと思っていた。そんなことはない。どんな精霊もあなた様の下でした」

「そういうのはいいから説明してくれる?」

 シャインが顔も上げずに後悔を口にする。説明を求める私に彼女は顔を上げて話し出す。

「あなたと契約をしたことで光魔法の効力が上がったのです。あなたは今、光の精霊そのものとなり。更に私の力を使って魔法を行使した。ヒールでは魔力が消費しきれなかったのでしょう。そして、町へと降り注ぎ。回復魔法を町全体につかったのです」

「町全体っておまえ……」

 シャインの説明を聞いて驚くラッセル。私も声が出ない程驚いてる。
 ってなんで私がマスターになってるの? 大精霊よりも格が上ってこと?

「私は思いあがっていました。人であるあなた様に勝てると思っていた。神からみたら、精霊も人も同じ駒。強さで格が決まるんですよね」

 シャインはそう呟いて涙を流す。涙を流し私を見つめてくる彼女の瞳が白い瞳になっていく。
 【シャーリー】に戻った彼女は生身になったビードに抱き着く。

「ビード! ビード!」

「シャーリー? 私は? ここはどこ?」

「大好き! 大好き! やっと言えた!」

「シャーリー……」

 シャーリーの声が夜の草原に響く。私達はそれを見守ることしかできない。

「コホンッ! 感動の再会のところ悪いんだが……」

 見守ることしかできないと思っていたらラッセルが空気を読まずに咳ばらいをして声を上げる。
 説明を求めるとシャーリーが答えてくれる。
 どうやら、彼女はシャインがビードを生き返らせてくれるというので従っていたらしい。もちろん、契約をさせられていたみたい。

「力を得るために町の腕のある兵士の墓からスケルトンを作っていました。スケルトンを何度も天へと送って経験値を得る。強い兵士のスケルトンは経験値も多くて」

「なるほどね」

 外では何なので墓地の建物に戻ってきて席について話をしてもらう。
 なんだか尋問してるみたいになってる。

「じゃあ次は二人の馴れ初めね。どういう関係なの?」

 シャインとシャーリーの関係は分かった。次は恋愛話をしてもらいましょう。こっちの方が私は好きだわ。

「えっと、私は滅んだ国のお姫様だったの。私の国がビードの国を滅ぼそうとして、彼は私を人質にして」

 剣を向けてきたっていうのはそう言うことだったのね。シャーリーの言葉に納得して頷く。

「人質になった私とビードは話しているうちに意気投合して、戦争を止めようとしたんだけど、戦争の火がついたらもう消すことはできなかった。火が両方の国を燃やしていってしまって……」

「シャーリーを庇い私は死を迎えた」

 悲しい表情で語る二人。そこから教会に繋がるわけね。シャインは彼女の才能に目をつけて契約したっと。
 なんだかロミオとジュリエットみたいな話。中世ヨーロッパ時代みたいな世界だと多いのかもな~。

「ん? でもよ。なんでシャインはファムを求めたんだ?」

「確かに。説明できる?」

 ラッセルの声に頷いて聞くと二人は頷く。

「人の国を滅ぼそうとしていたんです」

「「は?」」

 あまりの答えに私とラッセルが呆れの声を上げる。

「シャイン様が話すって。代わるね」

 呆れているとシャーリーがそう言って瞳の色を金色に変える。

「人に飽き飽きしたのよ。神がね。だから滅ぼそうとした。でも、それはただ単に神がこの世界に飽きていただけ。そこにあなたが現れた。面白いことになって、今もあなたをみているかもね」

「神……」
 
 シャインはそう言うと腕を組んで天を仰ぐ。私も天井を見つめてため息のように声をこぼす。
 世界に飽きた神か。すべて壊してしまおうと思ってしまった神。そんな身勝手な神様はいらない。
 まだ傍観主義者の地球の神様の方がいいかもね。
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